【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.経営成績
当連結会計年度における国内経済は、製造業等で設備投資や企業収益に持ち直しの動きが見られたものの、緊急事態宣言が複数回発出され、経済活動が制限される時期もあるなど、依然として厳しい状況にあります。また、世界経済においても、ワクチン接種が進展する一方で、新型コロナウイルス変異株の感染が拡大し、先行きの不透明な状況が続いております。
当社の装置関連事業が主な対象とする、米国太陽電池関連市場については、州や企業による再生可能エネルギー導入が活発であることや、バイデン政権の政策の後押しにより順調に成長しており、前年を上回る太陽光発電設備の新規設置が予測されています。太陽電池製造装置以外のFA装置に関しては、日本国内では電子部品業界など、好調な業界を中心に設備投資の継続が見込まれています。また米国では、日系自動車関連企業を中心に、現地で製造や改造に対応できる日本のFA装置メーカーへの需要が存在しています。
当社の環境関連事業が属する太陽光発電業界におきましては、日本政府が温暖化ガス排出量削減目標を強化したことで、比較的短期間に設置できる再生可能エネルギーである太陽光発電設備の設置が増加する見込みです。また、将来的なパネルの大量排出を見据え、世界的に排出パネルのリユースおよび適正なリサイクルの方法や処理体制の整備の必要性が増していますが、特に欧州ではパネルの排出量が既に増えており、パネル解体装置のニーズが増加しています。
このような状況下、当連結会計年度の売上高は5,217百万円(前期比2,720百万円の減収)となり、やや予定を下回りました。一方で、利益面においては、原価低減によって利益率が改善し、営業利益は691百万円(前期比188百万円の減益)、経常利益は670百万円(前期比214百万円の減益)となり、予定を上回りました。また、米国における法人税を計上し、繰延税金資産の一部を取り崩しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は411百万円(前期比337百万円の減益)となり、予定を上回りました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(装置関連事業)
装置関連事業におきましては、主要顧客である米国太陽電池メーカーに装置の改造や増設を行ったほか、その他の米国太陽電池メーカーに向けて太陽電池製造装置を売上計上しました。また、国内電子部品業界を中心にFA装置を売上計上しましたが、海外向けFA装置の一部案件において、顧客都合によるスケジュール変更があったこと等により、売上高は4,905百万円(前期比2,579百万円の減収)となり、やや予定を下回りました。一方で、原価低減により利益率が向上し、営業利益は1,250百万円(前期比35百万円の減益)となり、予定を上回りました。
(環境関連事業)
環境関連事業におきましては、太陽光発電所の検査サービスの売上を予定通り計上したほか、パネルのリユース販売、リサイクル処理、パネル解体装置の提供、植物工場ビジネスによる売上がありました。この結果、売上高は311百万円(前期比141百万円の減収)、営業利益は29百万円(前期比113百万円の減益)となりました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,971百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,209百万円の減少となりました。これは主として、現金及び預金の増加1,273百万円があった一方で、受取手形及び売掛金の減少1,395百万円、仕掛品の減少958百万円、流動資産のその他の減少130百万円があったことによるものであります。固定資産は3,874百万円となり、前連結会計年度末に比べ48百万円の減少となりました。これは主として、無形固定資産のその他の増加80百万円があった一方で、建物及び構築物の減少137百万円、繰延税金資産の減少55百万円があったことによるものであります。
この結果、総資産は、8,846百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,258百万円の減少となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,418百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,609百万円の減少となりました。これは主として、買掛金の減少300百万円、電子記録債務の減少807百万円、前受金の減少479百万円があったことによるものであります。固定負債は44百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円の増加となりました。これは、退職給付に係る負債の増加11百万円があったことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,462百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,597百万円の減少となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,383百万円となり、前連結会計年度末に比べ339百万円の増加となりました。これは主として、利益剰余金の配当76百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益411百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上670百万円、減価償却費の計上、製品保証引当金の増加、売上債権の減少、たな卸資産の減少があった一方で、仕入債務の減少、前受金の減少、有形及び無形固定資産の取得による支出、自己株式の取得による支出、配当金の支払額があったことにより、前連結会計年度末に比べ1,273百万円増加し、3,326百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は1,629百万円(前連結会計年度は1,596百万円の取得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上670百万円、減価償却費の計上204百万円、製品保証引当金の増加50百万円、売上債権の減少1,392百万円、たな卸資産の減少935百万円があった一方で、仕入債務の減少1,109百万円、前受金の減少480百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は232百万円(前連結会計年度は55百万円の支出)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得による支出233百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は126百万円(前連結会計年度は206百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額76百万円、自己株式の取得による支出49百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
3,532,169
40.7
環境関連事業
294,959
59.0
合計
3,827,128
41.7
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
5,363,363
154.9
3,927,041
113.2
環境関連事業
215,708
59.7
101,067
51.2
合計
5,579,071
145.9
4,028,108
109.9
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
4,905,402
65.5
環境関連事業
311,870
68.8
合計
5,217,273
65.7
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
当連結会計年度
(自 2020年9月1日
至 2021年8月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
FIRST SOLAR MALAYSIA SDN.BHD.
4,122,782
51.9
1,798,200
34.5
First Solar Vietnam Mfg Co., Ltd.
-
-
1,207,241
23.1
FIRST SOLAR,INC.
2,103,863
26.5
706,789
13.5
新光電気工業株式会社
-
-
546,726
10.5
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績については、売上高は5,217百万円(前期比2,720百万円の減収)となり、やや予定を下回りました。米国の主要顧客である太陽電池メーカーへ装置の改造や増設を予定通り行ったほか、その他の米国太陽電池メーカーに向けて太陽電池製造装置を売上計上し、部品販売も好調となりました。FA装置については、国内電子部品業界を中心に販売が伸びた一方、海外向けの一部案件において、顧客都合によるスケジュール変更があり、売上高は予定を下回りました。また、検査サービスはほぼ予定通りとなりましたが、国内でのパネル解体装置の販売が予定を下回りました。
営業利益は691百万円(前期比188百万円の減益)となり、業績予想を上回りました。これは主に、現地作業等の原価低減の積み上げにより、予想を下回ったことが要因であります。
なお、研究開発費の総額は65百万円となり、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。当社顧客の需要動向や、太陽電池業界を中心とした様々な市場動向に合致したFA装置、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルリサイクル等の研究開発活動、パネル解体装置、また、ペットボトルの自動選別装置や鶏糞による肥料製造等、新規事業の開発に取り組み、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
イ.装置関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比34.5%減の4,905百万円となりました。太陽電池製造装置の改造や増設を行いましたが、主要顧客の新規ライン向け装置の売上がなかったため、前連結会計年度を下回りました。セグメント利益については、前期比2.8%減の1,250百万円となりましたが、原価低減等の積み上げにより売上総利益率では31.9%となり、前期比10.5ポイントの増加となりました。
ロ.環境関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比31.2%減の311百万円となりました。検査サービスは予定通りとなりましたが、太陽光パネル解体装置の販売が伸びず、前連結会計年度を下回りました。セグメント利益については、売上高が低下したことで前期比79.3%減の29百万円となり、売上総利益率では前期比15.3ポイントの減少となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、原材料の仕入、外注費及び労務費などの製造費用のほか、人件費、研究開発費等を中心とする販売費及び一般管理費の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本としており、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。そのために銀行2行と総額20億円のコミットメント契約を締結しており、柔軟に資金調達できる体制を構築しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。