【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.経営成績
当連結会計年度における国内経済は、当初は緩やかな景気の回復傾向にあったものの、その後発生した新型コロナウイルス感染拡大によって経済活動が大きく抑制され、雇用情勢や設備投資も弱含みになる等、極めて厳しい状況で推移しました。世界経済においても、今なお欧州諸国を中心に新型コロナウイルス感染症の再拡大によるロックダウンが一部で再開される等、経済活動への影響は長期化し、先行きが極めて不透明な状況が続いております。
当社の装置関連事業、特に太陽電池製造装置の関連する市場においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、発電所設置の作業人員の手配ができず、作業が物理的に制限されたことが原因となり、高水準で継続していた市場の成長に一時的な減速が見られました。しかしながら、コロナ禍後の経済復興と、脱炭素社会への移行等、環境課題への取り組みを両立させるグリーンリカバリーの考え方の普及によって、太陽電池の需要が全世界的に一層の高まりを見せております。また、その他のFA装置に関しても、コロナ禍を受けて生産の自動化の必要性が認識されているほか、効率化、生産能力の向上、稼働率の向上等に対するニーズが継続的に存在しています。しかし、自動車業界を中心として、コロナ禍の影響により設備投資を見合わせる等一時的に大きな影響を受けています。
当社の環境関連事業が属する太陽光発電業界においては、発電コストの低下や再生可能エネルギーへの更なる注目の高まりに加え、認定済み未稼働発電所に対する稼働期限が設定され、国内の太陽光発電所の設置が進展しています。また、将来的なパネルの大量排出を見据え、引き続き排出パネルの適正なリサイクル方法や処理体制の整備の必要性が増しています。
このような状況下、当連結会計年度の売上高は7,938百万円(前期比1,059百万円の増収)と期初の計画をやや下回る結果となりました。利益面においては、販売費及び一般管理費が減少傾向になったことで期初の計画を上回り、営業利益は879百万円(前期比192百万円の増益)、経常利益は884百万円(前期比225百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は749百万円(前期比68百万円の増益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(装置関連事業)
装置関連事業におきましては、米国の主要顧客である太陽電池メーカー向け大型新規ラインの売上を予定通り計上し、部品販売も堅調に推移しました。国内のFA装置については好調な電子部品業界に向けた販売が伸びました。一方、主に自動車業界で売上を見込んでいた案件についてはコロナ禍の影響を受け、低調となりました。売上高は7,485百万円(前期比1,082百万円の増収)となりました。営業利益につきましては1,286百万円(前期比136百万円の増益)となりました。
(環境関連事業)
環境関連事業におきましては、検査サービスが期初の予想を大きく上回って好調に推移した一方で、予定していた国内でのパネル解体装置の販売が来期にずれ込み、売上高は453百万円(前期比23百万円の減収)となりました。営業利益につきましては143百万円(前期比72百万円の増益)となりました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,181百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,365百万円の増加となりました。これは主として、現金及び預金の増加1,333百万円、電子記録債権の増加103百万円、仕掛品の増加970百万円があった一方で、原材料及び貯蔵品の減少67百万円があったことによるものであります。固定資産は3,923百万円となり、前連結会計年度末に比べ183百万円の減少となりました。これは主として、建物及び構築物の減少152百万円、繰延税金資産の減少43百万円があったことによるものであります。
この結果、総資産は、10,104百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,182百万円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,028百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,547百万円の増加となりました。これは主として、買掛金の増加123百万円、電子記録債務の増加590百万円、前受金の増加665百万円、製品保証引当金の増加186百万円があった一方で、リース債務の減少79百万円があったことによるものであります。固定負債は32百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円の増加となりました。これは、退職給付に係る負債の増加11百万円があったことによるものであります。
この結果、負債合計は、3,060百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,559百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は7,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ623百万円の増加となりました。これは主として、利益剰余金の配当77百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益749百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上884百万円、減価償却費の計上、製品保証引当金の増加、仕入債務の増加、前受金の増加があった一方で、売上債権の増加、たな卸資産の増加、配当金の支払額、リース債務の返済による支出があったことにより、前連結会計年度末に比べ1,333百万円増加し、2,052百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は1,596百万円(前連結会計年度は16百万円の支出)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上884百万円、減価償却費の計上198百万円、製品保証引当金の増加186百万円、仕入債務の増加716百万円、前受金の増加665百万円があった一方で、売上債権の増加137百万円、たな卸資産の増加902百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55百万円(前連結会計年度は55百万円の支出)となりました。これは主として、関係会社の清算による収入7百万円があった一方で、有形及び無形固定資産の取得による支出68百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は206百万円(前連結会計年度は107百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払額76百万円、自己株式の取得による支出49百万円、リース債務の返済による支出79百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
8,678,785
142.9
環境関連事業
499,820
114.8
合計
9,178,606
141.0
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
3,461,947
38.9
3,469,080
46.3
環境関連事業
361,292
94.7
197,229
68.2
合計
3,823,239
41.2
3,666,310
47.1
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
装置関連事業
7,485,023
116.9
環境関連事業
453,073
95.1
合計
7,938,097
115.4
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2018年9月1日
至 2019年8月31日)
当連結会計年度
(自 2019年9月1日
至 2020年8月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
FIRST SOLAR MALAYSIA SDN.BHD.
-
-
4,122,782
51.9
FIRST SOLAR,INC.
4,025,324
58.5
2,103,863
26.5
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績については、売上高は7,938百万円(前期比1,059百万円の増収)となりました。米国の主要顧客である太陽電池メーカー向け大型新規ラインの売上を予定通り計上し、部品販売も堅調に推移しました。国内のFA装置についても好調な電子部品業界に向けた販売が伸びた一方、主に自動車業界で売上を見込んでいた案件についてはコロナ禍の影響を受け、低調となりました。また、検査サービスが期初の予想を大きく上回って好調に推移した一方で、予定していた国内でのパネル解体装置の販売が来期にずれ込みましたが、売上高が前年同期と比べて増加となりました。
営業利益は879百万円(前期比192百万円の増益)となり、前年同期を上回りました。これは主に、売上高の増加、販売費及び一般管理費が減少したことが要因であります。
なお、研究開発費の総額は68百万円となり、前年同期から15百万円増加しました。当社顧客の需要動向や、太陽電池業界を中心とした様々な市場動向に合致したFA装置、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルリサイクル等の研究開発活動、パネル解体装置や新規装置開発に取り組み、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
イ.装置関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比16.9%増の7,485百万円となりました。太陽電池製造装置の大型新規ライン、太陽電池製造装置用部品販売も堅調に推移したことにより、前年同期を上回りました。セグメント利益については、前期比11.8%増の1,286百万円となりました。売上総利益率では前期比2.2ポイントの減少となりましたが、売上高の増加及び販売費及び一般管理費の減少により、前年同期を上回りました。
ロ.環境関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比5.0%減の453百万円となりました。検査サービスは予定を上回り好調となりましたが、太陽光パネル解体装置の販売が翌期にずれ込んだことにより、前年同期を下回りました。セグメント利益については、前期比101.8%増の143百万円となりました。高付加価値なサービスを提供したことにより売上総利益率では前期比13.9ポイントの増加となり、また販売費及び一般管理費の減少により、前年同期を上回りました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、原材料の仕入、外注費及び労務費などの製造費用のほか、人件費、研究開発費等を中心とする販売費及び一般管理費の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本としており、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。そのために銀行2行と総額20億円のコミットメント契約を締結しており、柔軟に資金調達できる体制を構築しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
イ.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
ロ. 製品保証引当金
販売した製品の補修等の対応費用の発生に備えるため、今後発生が見込まれる合理的な費用の見込額を製品保証引当金として計上しております。引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合の発生や、引当の額を超えて補修等の費用が発生する場合、実際の補修等の対応費用が引当金の額を下回った場合は、当社グループの業績が変動する可能性があります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。