【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年9月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の段階的な緩和を受け、社会経済活動の正常化が進んだ一方で、世界的な資源価格の高騰や急激な為替変動による物価上昇など、先行きは不透明な状況で推移しました。当社グループが属する宝飾業界は、百貨店を中心に高額品が堅調に推移し、インバウンド需要の回復も消費を後押しした一方で、光熱費や生活必需品の相次ぐ値上げ等を背景とした節約志向の高まりに加え、原材料費の高騰や人材不足の深刻化が継続するなど、総じて厳しい事業環境となりました。このような状況下、当社グループは、当社の強みを活かし、付加価値の高い商品やサービスを継続的に創出することで、どのような時代や環境においても持続的な成長を可能とする経営基盤の確立を目指しております。中期方針に「強みの進化」と「ビジネスモデルの再構築」を掲げ、当社の強みであり、付加価値を創出する源泉となるのは人、社員であると捉えて人材力強化に向けた取り組みに注力し、併せて顧客満足度の向上と生産性の向上を目的としたDX推進への基盤整備を進めております。人材力強化の取り組みとしては、当社の行動基準「festaria Group エンゲージメントルール」への共感を重視した「エンゲージメント採用」を推進したことに加え、各種研修制度の充実を図るとともに、専門チームによる継続的なサポートを実施するなど人材育成の強化を推進しました。また、物価上昇を背景とした賃上げの実施や働き方改革の推進に適した福利厚生の拡充を図るなど、労働環境の改善にも取り組みました。DXへの取り組みにおいては、オーダーメイド施策の一環としてジュエリーの3Dデジタルカスタマイズシステムの実装に加え、顧客サービスの向上を目的に、OMO(Online Merges with Offline)戦略をサポートするCRMシステム「festaria Members Club」をオンラインショップに先行導入しました。さらに、店舗および本社の業務フローを可視化し、バックエンドの最適化を図るなど、基幹システムを中心にIT基盤の再構築に向けた対応を進めました。海外事業については、小売部門である台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)は、アジアマーケットの重要拠点として、引き続きフェスタリアグループの強みに立脚したビジネス展開を進め、収益性の向上を図りつつ、ブランド力の強化など成長への布石となる取り組みを進めました。生産部門であるベトナム子会社D&Q JEWELLRY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)は、品質管理・工程安定化に注力するなど、SPA企業としてグループ全体での競争力の向上に努めました。これらの取り組みにより、売上高につきましては、都市部の百貨店内店舗が堅調に推移したものの、特に地方におけるSC(ショッピングセンター)での売上が低調であったことに加え、主力商品“Wish upon a star”を中心にブライダルジュエリーの売上が落ち込んだことから、前年同四半期比で109百万円(1.7%減)の減少となりました。売上総利益は、減収に加え、地金やダイヤモンド等の原材料価格の高騰の影響により売上総利益率が前年同四半期比で0.5%低下したため、前年同四半期比101百万円(2.5%減)減少しました。費用面に関しては、百貨店売上の増加に伴う変動家賃増加に加え、ブランディングへの投資やDX推進に伴う外注費の増加など先行投資を拡大したことなどにより、販売費及び一般管理費は前年同四半期比129百万円(3.4%増)増加しました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高6,378百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益89百万円(前年同期比72.2%減)、経常利益57百万円(前年同期比83.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益31百万円(前年同期比85.8%減)となりました。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、前連結会計年度に比べて48百万円(0.7%)減少して、6,901百万円となりました。これは主に、現金及び預金が132百万円、商品及び製品が105百万円増加しているものの、原材料及び貯蔵品が200百万円、受取手形及び売掛金が104百万円減少したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間末の負債の部は、前連結会計年度に比べて111百万円(2.0%)減少して、5,550百万円となりました。これは主に、借入金が197百万円、社債が90百万円、前受金が25百万円増加しているものの、支払手形及び買掛金が195百万円、未払金及び未払費用が37百万円、未払法人税等が47百万円、リース債務が35百万円、賞与引当金102百万円が減少したことによるものであります。当第3四半期連結会計期間末の純資産の部は、前連結会計年度に比べ62百万円(4.9%)増加して1,350百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が54百万円、利益剰余金が7百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は19.0%となり、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント増加いたしました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。