【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間(2022年9月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で、入国規制や行動制限が緩和されるなど社会経済活動に及ぼす影響は限定的となり、経済活動の正常化に向けた動きが見られました。一方で不安定な海外情勢や円安による電気料金、食品等の相次ぐ値上げによる節約志向の高まりから、慎重な消費行動が続いている状況にあり、衣料品小売業界におきましても依然として厳しい経営環境にて推移しました。
このような状況の中、当社は「顧客満足度NO.1の実現」を掲げ、お客様起点の発想に立った事業活動を第一に考え、お客様志向に基づいた経営基盤の強化に努めてまいりました。
商品面におきましては、取引先との戦略的パートナーシップによってライトオンならではのNB(ナショナルブランド)の品揃えを実現するとともに、PB(プライベートブランド)におきましては、「ジーニングカジュアル」、「アウトドアカジュアル」、「クリーンカジュアル」の3つのカテゴリー別にターゲットと提供価値を明確にしてブランドポートフォリオを整備し、魅力的なPB開発に取り組んでまいりました。「ジーニングカジュアル」では、着心地や素材の機能性にフォーカスした、お手頃価格のシーズン戦略商品の年間を通じての強化や、本物志向の都会的なアメカジの提案等に取り組んでまいりました。「アウトドアカジュアル」では、タウンユースに取り入れやすいデザイン・カラーの充実や、ライフスタイル雑貨/ギアアイテムの拡大を図るとともに、高機能素材を使用した商品群を導入するなど、付加価値訴求に取り組んでまいりました。また、「クリーンカジュアル」では新たな顧客層へのアプローチとして、当社では手薄だったきれいめシルエットの商品の拡充を行うなど、中期経営計画(2022年10月12日付公表)に掲げた戦略に取り組んでまいりました。また、メンズ・ウイメンズ・キッズを横断して展開する「SALASALA」シリーズ(接触冷感・吸水速乾などの機能を持った商品群)等のシーズン戦略商品の拡充にも取り組み、差別化と収益性向上のエンジンとしてPBの強化を推進してまいりました。
店舗におきましては、商品・マーケティング・店舗運営を横断して、売上状況に応じてスピーディーに店舗演出を担う「三位一体VMD(Visual Merchandising)チーム」の新設や外部VMDコンサルティング会社導入によるVMD体制の強化、NPS(Net Promoter Score:顧客ロイヤルティを測る指標)を用いた接客サービス向上の取り組みの継続などリアル店舗の魅力の深化に努めてまいりました。
ECビジネスにおきましては、LINE STAFF START(LINE株式会社と株式会社バニッシュ・スタンダードが共同開発した新しいオンライン接客サービス)を導入したことにより、商品紹介、コーディネート提案やセール情報の発信等の他、店舗スタッフとお客様がオンライン上で繋がることで、1to1で双方向のコミュニケーションも可能となり、オンライン・リアル店舗の両方で充実した接客・購入体験を提供できる環境を整えるなど、店舗スタッフの強みを活かしたOMO(Online Merges with Offline:ECサイトと実店舗の融合)を推進し、顧客エンゲージメントの向上に取り組んだ結果、ECの売上向上や店舗スタッフのファン創出に繋がりました。また、LINE配信件数の増加やWEB広告の見直しによるデジタル広告宣伝の強化、人気インフルエンサーとのコラボ商品の開発やイベント開催、WEBメディア「LIFE STYLE magazine」の開設による情報発信等によって潜在顧客の発掘、新規顧客の獲得及び既存顧客のリピート率向上を目指してまいりました。
店舗展開におきましては、4店舗の出店と13店舗の退店により、当第3四半期会計期間末店舗数は385店舗となりました。
また、ジーンズを中核アイテムとして販売する企業として、デニムに関わる様々なサステナビリティ推進活動にも取り組んでまいりました。「つなごう 藍い糸プロジェクト」では、不要になったジーンズを回収し、新しいデニム製品の原料の一部としてリサイクルするなど、循環型社会の形成に貢献する取り組みを推進し、多くのお客様から共感と好評をいただきました。
この結果、当四半期会計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態の分析
資産
当第3四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末に比べて2,531百万円減少し、31,508百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて2,106百万円減少し、19,306百万円となりました。これは主に現金及び預金が3,887百万円減少し、商品が1,006百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて425百万円減少し、12,202百万円となりました。これは有形固定資産が87百万円、無形固定資産が39百万円、投資その他の資産が299百万円それぞれ減少したことによるものであります。
負債
当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べて2,263百万円減少し、16,740百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて779百万円減少し、12,614百万円となりました。これは主に短期借入金が1,125百万円、買掛金が850百万円それぞれ減少し、電子記録債務が1,556百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて1,484百万円減少し、4,125百万円となりました。これは主に長期借入金が1,341百万円減少したことによるものであります。
純資産
当第3四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末に比べて267百万円減少し、14,768百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものであり、自己資本比率は46.6%となりました。
b.経営成績の状況
商品の売上動向におきましては、「クリーンカジュアル」カテゴリーのアウターなど、新たに展開をスタートしたPB商品が堅調に推移したことや、「SALASALA」シリーズ等のシーズン戦略商品を拡充したことにより、PBの売上は前年同期を上回りました。また、LINE STAFF STARTの取り組み等、OMOの推進によりオンライン上でお客様との接点が増えたことが奏功し、EC関与の売上も前年同期を上回るなど、一定の成果は得られました。一方で秋冬商戦におきましては、11月は前年に比べ気温が高く推移したことから冬物全体の出足が鈍く、特に防寒アウターの販売が大きく落ち込むなど冬物の買上げ点数が伸び悩んだ他、12月はボトムスやスウェットなどの定番商品が値上げ等の影響もあり苦戦したため、前年と比べセール売上比率が高くなり客単価が下落するなど年末にかけて売上は低調に推移しました。春商戦におきましては、早くから気温が高く推移したことでシャツやカーディガン等を中心に端境期対応の薄手の羽織物が好調に推移したものの、春アウター及びスウェットや長袖Tシャツなどのカットソーが苦戦しました。また、ゴールデンウイーク商戦におきましては、値引きイベントを実施したことや気温の上昇に伴いTシャツや「SALASALA」シリーズを中心に夏物は好調に推移しました。しかしながら、ボトムス販売が低調に推移した他、連休明け以降は客数が伸びず売上は苦戦しました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は36,718百万円となりました。
部門別売上高といたしましては、ボトムス部門11,923百万円、カットソー・ニット部門12,575百万円、シャツ・アウター部門6,357百万円となりました。
利益面につきましては、売上高の減少に加え、売上拡大に向けたLINE配信件数の増加など、デジタル広告宣伝の強化を実施したことや光熱費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は314百万円、経常利益は222百万円となりました。
最終損益につきましては、新型コロナウイルス感染症に関連する雇用調整助成金収入、移転補償金等、特別利益を27百万円計上し、退店店舗および収益性の厳しい店舗の減損損失等、特別損失を408百万円計上したことにより、四半期純損失は302百万円となりました。
なお、当社は前第3四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)主要な設備
該当事項はありません。