【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症が2類相当から5類に感染症分類が引き下げられるなど、社会経済活動の正常化に向けた動きが急速に進んだことで、外食業や小売業における売上はコロナ禍前の水準に回復(一般社団法人日本フードサービス協会や経済産業省の統計より)しております。一方で、ウクライナ・ロシア情勢などに起因したコスト高の継続や急速な為替相場の変動などの要因により景況感の方向性は依然として不明瞭な状況であります。
当社グループの主たる事業領域である不動産市場においては、2022年12月に日本銀行による10年国債金利の変動許容幅拡大があったものの不動産価格への影響はみられず、投資家の要求リターンへの影響は限定的とみております。一方でコロナ禍による影響を大きく受けたホテルや商業施設等のアセットは稼働率の改善とともに投資対象としての魅力が高まっております。なお、当社の借入金利に直結する短期金利はほとんど変動していないため、当社の支払利息に影響は出ておりません。
このような状況の下、物流関連市場においては、通信販売・電子商取引の拡大とそれに伴う宅配取扱個数の増加を背景に倉庫面積や拠点を拡充する企業が増加すると見込まれており、自家用に加え3PL(サードパーティロジスティクス)事業者の利用拡大等を背景とした物流施設需要は引き続き高く、今後も増加すると見込まれています。当社グループでは、中小型・冷凍冷蔵倉庫をメインターゲットに物流施設開発を進めておりますが、物流施設開発用地4件を開発フェーズに移行させました。加えて、開発用地1件を取得、物流施設3件が竣工するなど、順調に開発を進捗させております。
ホテル関連市場においては、国内旅行は行動制限緩和や全国旅行支援により、2022年9月から2023年4月までの日本人宿泊者数はコロナ禍前の同期間(2019年2月から4月、2019年9月から2020年1月)を上回りました。他方、インバウンド需要は2022年10月11日の外国人の新規入国制限見直しをはじめ水際対策措置が見直され、2023年4月の外国人宿泊者数はコロナ禍前の2019年4月に比べても遜色のない数値に回復しております。5月8日には新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い水際対策も終了したことにより、インバウンド需要拡大にはさらなる追い風が吹いています。このような状況を背景にして、11月に「FAV HOTEL 鹿児島中央」、12月に「FAV HOTEL 広島平和大通り」・「FAV TOKYO 西日暮里」、3月に「FAV TOKYO 両国」が開業を迎えました。さらに2月にはアパートメントホテル10件を対象とした総資産額約135億円の長期運用型ファンドを組成いたしました。本ファンド組成はホテル開発事業において、土地のソーシングから開発を経てファンド組成およびアセットマネジメント業務の受託までおこなう当社のビジネスモデルを完遂した第1号案件となります。また、ホテル開発用地3件を取得、開発用地1件を開発フェーズに移行いたしました。続く6月にも開発用地1件を取得するなどホテル開発・運営は社会経済活動正常化の潮流を受け順調に進捗している状況です。
前期より参入したヘルスケア関連施設開発事業においては、超高齢社会である日本において終末期医療や在宅看護、在宅介護の需要増加が強く見込まれており、当社が開発を進めるホスピス住宅は最期を迎える場所として重要な役割を担っていく存在となるべく鋭意取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においては、ヘルスケア関連施設開発用地3件を取得、開発用地2件を開発フェーズに移行、ヘルスケア関連施設1件を売却するなど、着実に事業を推進しております。
また、ESGに関して当社はSDGsに着目した取組みをおこなっており、この度は物流施設とヘルスケア関連施設の開発において、グリーンローンおよびソーシャルローンフレームワークを策定し、本フレームワークに準じた資金調達をおこないました。更に、現在アセットマネジメント業務を受託している「LOGI FLAG COLD船橋Ⅰ」および「LOGI FLAG加須Ⅰ」、「LOGI FLAG COLD横浜港北Ⅰ」の3物件でCASBEE評価認証機関より、「CASBEE不動産評価認証書」において、『Aランク』を取得いたしました。加えて、当社開発物流施設の環境認証取得状況により資金調達条件が変動するサステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワークを策定し、それに基づく資金調達を2件実施いたしました。これらは当社の環境性や社会性が評価されることが資金調達の多様化と安定化に結びついた実例であり、環境性や社会性が事業性の向上に寄与することの証左であると考えており、引き続き本取組みを推進してまいります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高18,463,260千円(前年同四半期比65.7%増加)、営業利益1,043,367千円(前年同四半期は営業損失315,342千円)、経常利益909,324千円(前年同四半期は経常損失604,762千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益545,789千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失508,224千円)となりました。
なお、当社グループは、従来「不動産コンサルティング事業」および「自然エネルギー事業」の2つを報告セグメントとしておりましたが、「不動産コンサルティング事業」の単一セグメントに変更しております。
変更理由は以下の通りです。
当社グループは、創業当初より自然エネルギー事業に取組んでおりますが、FIT価格の下落や自社発電施設の売却などにより、足元の事業規模は従前と比べて縮小傾向でございます。一方で、近年においては不動産コンサルティング事業に属するホテルや物流事業をはじめとする不動産開発事業拡大が顕著であり、前連結会計年度においてもヘルスケア事業を新規に立ち上げるなど継続した成長を実現しております。
その結果、自然エネルギー事業の開発利益や売電収入がグループ全体の売上・利益に占める規模は相対的にも低くなってきており、自然エネルギー事業の事業予算についても、全体予算に占める重要性が低くなっております。引き続き自然エネルギー発電施設の開発や売電事業は継続して行うものの、自然エネルギー事業を1つのセグメントとして特定し社内リソースの投入と管理を実施していくことは今後の事業展開において適切ではないと判断しております。
なお、上記に伴い、自然エネルギー事業関連部門を、不動産コンサルティング事業関連部門に統合する組織再編を実行いたしました。
この変更により、セグメントごとの経営成績については記載を省略しております。
(2)財政状態に関する説明
当第3四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して9,182,493千円増加し、39,619,766千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して9,161,320千円増加し、34,920,917千円となりました。これは主に開発事業等支出金が4,423,899千円、販売用不動産が4,842,949千円増加したことによるものであります。 固定資産は、前連結会計年度末と比較して19,867千円増加し、4,686,648千円となりました。これは主に匿名組合への出資等により投資その他の資産の増加737,640千円があるものの、保有目的の変更に伴う販売用不動産への振替等により有形固定資産が719,896千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して8,789,785千円増加し、29,867,016千円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末と比較して2,579,146千円増加し、16,469,020千円となりました。これは主に短期借入金が4,915,969千円増加したものの、1年内返済予定の長期借入金が1,632,159千円減少したことによるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末と比較して6,210,639千円増加し、13,397,995千円となりました。これは主に長期借入金が6,103,774千円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して392,707千円増加し、9,752,749千円となりました。これは主に利益剰余金が304,330千円増加したことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。