【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第3四半期連結累計期間(2022年9月1日~2023年5月31日)の連結業績は、売上収益が2兆1,435億円(前年同期比21.4%増)、営業利益が3,305億円(同21.9%増)と、大幅な増収増益となり、過去最高の業績を達成しました。東南アジア、北米、欧州のユニクロ事業、ジーユー事業は好調な業績が継続していることに加え、グレーターチャイナのユニクロ事業は、当第3四半期連結会計期間の3カ月間は大幅な増収増益と業績が回復したことで、グローバルで収益の柱の多様化が一段と進みました。金融収益・費用は、ネットで286億円のプラスとなりました。これは主に、前年同期に比べて債券の運用額が増加し、受取利息が増加したことによります。この結果、税引前四半期利益は3,592億円(同2.8%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,385億円(同0.3%増)となりました。
当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ために、1)情報製造小売業をさらなる進化、2)海外事業の業容を拡大し、グローバル視点の事業運営への変革、3)事業の発展そのものが、サステナビリティに寄与する事業モデルの追求、4)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、5)グローバルで人材の能力を最大限に引き出せる組織運営、に注力して取り組んでいます。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、各国・各地域で出店の加速とEコマースの強化を図っています。グレーターチャイナ、東南アジア・インド・豪州地区はすでに確立しているブランドポジションをさらに高め、継続的に事業の拡大をめざします。北米、欧州は、マーケティングを強化し、LifeWearの浸透を図るとともに出店を加速することで、さらなる事業規模の拡大をめざします。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWearのコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は7,097億円(前年同期比10.7%増)、営業利益は996億円(同3.0%減)と大幅な増収となりましたが、円安による原価率上昇で、減益となりました。
当第3四半期連結会計期間の3カ月間も、増収減益となりました。夏物商品や羽織物、トレンドを捉えたボトムスの販売が好調で、既存店売上高は5.5%増となりましたが、売上高総利益率が1.7ポイント低下、売上高販管費比率が0.3ポイント上昇したことで、減益となりました。売上高総利益率は、追加生産分に使用するスポットの為替レートが想定以上に円安となり原価率が上昇したことに加え、過年度からの春物在庫の処分を強化し、在庫適正化を進めたことで低下しました。売上高販管費比率の上昇は、主に3月から給与水準を引き上げたことで、人件費比率が上昇したためです。ただし、当第3四半期連結会計期間の一人当たり売上高は前年同期比で改善しており、生産性は向上しております。在庫運営や店舗オペレーションの効率化をさらに進めることで、早期に人件費比率を改善させていく計画です。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は1兆976億円(前年同期比30.5%増)、営業利益は1,841億円(同38.6%増)と、大幅な増収増益となりました。すべての地域で大幅な増収増益となり、収益の柱の多様化が一段と進みました。
当第3四半期連結会計期間の3カ月間の地域別の業績(現地通貨ベース)については、グレーターチャイナは大幅な増収増益となりました。中国大陸、香港、台湾いずれのエリアも大幅な増収増益と、業績が回復しています。特に中国大陸は既存店売上高が4割超の増収と、想定以上の売上となりました。東南アジア・インド・豪州地区は大幅な増収、営業利益は増益となりました。なかでもシンガポール、タイ、インド、オーストラリアの業績が好調でした。北米は大幅な増収増益となりました。コア商品の販売が好調だったことに加え、米国のお客様のニーズを基に開発した商品も増収に大きく寄与しました。欧州は大幅な増収増益となりました。ボトムス、リネンシャツなどのコア商品の販売が好調だったことに加え、ラウンドミニショルダーバッグやブラトップの情報発信を強化したことで、SNS上で大きな話題になり、女性や若年層を中心に、顧客層が拡大しました。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は2,279億円(前年同期比19.7%増)、営業利益は258億円(同44.6%増)と、大幅な増収増益となりました。品番数を絞り込み、マストレンド商品の数量を十分に持ち、それらの商品のマーケティングを強化した商売を行ったことで数々のヒット商品が生まれ、好調な業績となりました。また、組織の変革を進め、商品開発体制が強化されたことで、トレンドを捉えた完成度の高い商品を生み出す基盤が整ってきています。
当第3四半期連結会計期間の3カ月間は大幅な増収増益となりました。特に、スーパーワイドカーゴパンツ、プルオンパンツ、スウェットTシャツが好調な販売となりました。営業利益率は前年同期比3.0ポイント改善しました。これは、大幅な増収となったことに加え、経費コントロールを強化し、家賃や物流費を中心に販管費比率が改善したことによります。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第3四半期連結累計期間の売上収益は1,064億円(前年同期比18.2%増)、営業利益は14億円(同105.4%増)と、大幅な増収増益となりました。当第3四半期連結会計期間3カ月間では、セオリー事業が、大幅な増収増益となりました。特にアジア事業は、新型コロナが収束し、外出需要が回復したことに加え、コア商品の打ち出しを強化したことで、大幅な増収増益と好調でした。プラステ事業は、事業利益は増益でしたが、赤字店舗の閉店など事業構造改革を進めていることで、減損損失を計上したため、営業利益は若干の減益となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、減収、赤字幅は若干拡大しました。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。サステナビリティ活動は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」の6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。当第3四半期連結累計期間における主な活動内容は、以下の通りです。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:サプライチェーン全体の人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しています。縫製工場と素材工場については、労働環境などの確認を、自社または第三者機関により、確実に行っています。また、サプライチェーンの上流である主要な紡績工場とコードオブコンダクトを順次締結し、定期的な労働環境監査とトレーサビリティ情報の確認を確実に進めています。さらに、2023年4月には、新たに発足した「パキスタンの繊維・縫製産業における健康と安全のための協定(Pakistan Accord on Health & Safety in the Textile & Garment Industry、パキスタンアコード)」に署名することで、パキスタンの取引先工場で働く人々の健康と安全性向上を実現していきます。
また、アパレル産業の女性の地位向上を目的に、取引先縫製工場での「女性エンパワーメントプログラム」に継続的に取り組んでいます。バングラデシュにおける主要取引先縫製工場8社で、女性管理職比率や、管理職になるためのトレーニング受講人数など、2025年末までの目標を設定し、取り組みをさらに強化しています。
■「環境への配慮」:気候変動と水セキュリティに関する積極的な取り組みと透明性が評価され、環境情報開示のプラットフォームを提供する国際的な非営利団体CDP(Carbon Disclosure Project)により、2022年の「Aリスト」企業に認定されました。また、2023年4月に、エネルギー効率の高い新たなロードサイド店舗として「ユニクロ 前橋南インター店」をオープンしました。前橋南インター店は、さまざまな省エネルギー技術を採用することで、従来のユニクロのロードサイド店と比べ、店舗の消費電力を約40%削減すると同時に、太陽光パネルによる発電により、同消費電力の約15%をまかなうことができると試算されています。
■「コミュニティとの共存・共栄」:2023年3月8日の国際女性デーに合わせ、ユニクロ、ジーユーの商品のうち、ワイヤレスブラ、ブラトップ、ブラフィール、ショーツの売り上げから30万ドル(約4,000万円)を、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通して、バングラデシュに避難した難民女性の自立支援プロジェクトへ寄付しました。国際女性デーに女性支援のためのプロジェクトへの資金を拠出するのは、当社として初の取り組みです。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ831億円減少し、3兆1,006億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少4,357億円、売掛金及びその他の短期債権の増加416億円、その他の短期金融資産の増加3,492億円、棚卸資産の減少985億円、デリバティブ金融資産の減少587億円、有形固定資産の増加212億円、長期金融資産の増加943億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,153億円減少し、1兆3,530億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の減少881億円、その他の短期金融負債の減少664億円、未払法人所得税の減少384億円、リース負債の減少147億円、引当金の増加29億円、繰延税金負債の減少154億円、デリバティブ金融負債の増加56億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ1,321億円増加し、1兆7,475億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加1,655億円、その他の資本の構成要素の減少327億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、4,357億円減少し、9,225億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、3,158億円(前年同期は3,386億円の資金の獲得)となりました。これは主として、税引前四半期利益3,592億円、減価償却費及びその他の償却費1,392億円、棚卸資産の減少額991億円等の資金増加要因、法人税等の支払額1,456億円、仕入債務の減少額867億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、5,058億円(前年同期は907億円の資金の使用)となりました。これは主として、投資有価証券の純増額2,657億円、定期預金の純増額1,611億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,407億円(前年同期は1,748億円の資金の使用)となりました。これは主として、リース負債の返済による支出1,020億円、配当金の支払額728億円、社債の償還による支出500億円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名
設備内容
事業所名
所在地
完成年月
株式会社ユニクロ
国内ユニクロ倉庫
市川塩浜DC倉庫
日本
千葉
2022年9月
株式会社ジーユー
国内ジーユー倉庫
茨木北DC倉庫
日本
大阪
2023年1月
株式会社ユニクロ
国内ユニクロ店舗
板橋蓮根店
日本
東京
2023年4月
② 在外子会社
該当事項はありません。
また、当第3四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
該当事項はありません。
② 在外子会社
会社名
設備内容
事業所名
所在地
完成年月
迅銷(中国)商貿有限公司
海外ユニクロ倉庫
上海DC倉庫
中国
上海
2023年6月
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