【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
当第1四半期連結累計期間(2022年9月1日~2022年11月30日)の連結業績は、売上収益が7,163億円(前年同期比14.2%増)、営業利益が1,170億円(同2.0%減)と、増収減益となりました。これは主に、中国大陸のユニクロ事業が新型コロナウイルス感染症による行動規制の影響を受け、大幅な減益となったためです。一方で、グレーターチャイナや国内のユニクロ事業を除くすべての国で大幅な増収増益と好調でした。ジーユー事業も大幅な増収増益と、再び成長拡大の基調となっています。売上高総利益率は前年同期比で0.9ポイント低下し、53.1%となりました。売上高販管費比率は、同1.5ポイント上昇し、37.0%となりました。また、金融収益・費用は、主に債券の運用額を増やしたことで受取利息が増加したことに加え、外貨建金融資産などの換算による為替差益を計上したことにより、ネットで97億円のプラスとなりました。この結果、税引前四半期利益は1,268億円(同5.5%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は850億円(同9.1%減)となりました。
当社グループは、「グローバルNo.1ブランドになる」ために、1)お客様起点の商品づくり、2)グローバルでの出店の加速、3)店舗とEコマースが一体となった購買体験の構築、4)地球環境・社会のさまざまな課題の解決に注力し、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを強化しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、各国・各地域で出店の加速とEコマースの強化を図っています。グレーターチャイナ、その他アジア・オセアニア地区はすでに確立しているブランドポジションをさらに高め、継続的に事業の拡大をめざします。北米、欧州は、黒字体質が定着したため、今後は、マーケティングを強化しLifeWearの浸透を図るとともに出店を加速することで、さらなる事業規模の拡大をめざします。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWearのコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。
[国内ユニクロ事業]
国内ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は2,409億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は394億円(同5.6%減)と、増収減益となりました。既存店売上高は同4.7%の増収でした。9月、10月の気温が例年よりも低く推移したことで、ジャケット、スフレヤーンニット、カシミヤ、ヒートテックといった秋冬商品の販売が好調だったことに加え、トレンドを捉えたタックワイドパンツなどの商品の販売も好調でした。一方で利益面では、売上総利益率は、急激な円安による調達コストの増加により原価率が上昇したことで、同1.1ポイント低下しました。売上高販管費比率は、パート・アルバイトの時給アップに伴う人件費の増加や、戦略的に広告宣伝費を増やしたことで、同0.8ポイント上昇しました。
[海外ユニクロ事業]
海外ユニクロ事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は3,578億円(前年同期比19.4%増)、営業利益は572億円(同4.4%減)と、大幅な増収、減益となりました。減益となった要因は、中国大陸が新型コロナウイルス感染症に伴う行動規制の影響を受け、大幅な減益となったことに加え、ロシアが営業を停止していることで赤字となったことによります。一方で、その他アジア・オセアニア地区、北米、欧州(ロシアを除く)では、計画を上回る大幅な増収増益と好調で、過去最高の業績を達成しました。
地域別の業績(現地通貨ベース)については、中国大陸は、行動規制の影響により、購買意欲が低下したことや、最大で247店舗が臨時休業したことで、大幅な減収減益となりました。香港、台湾は、商売規模が大きい11月の気温が例年より高かったことで減収、大幅な減益となりました。韓国は増収増益、特にカジュアルアウターやニット商品の販売が好調でした。その他アジア・オセアニア地区は、大幅な増収増益となりました。購買意欲や旅行需要の回復に加え、継続的にコア商品の情報発信を行ったことで、お客様のユニクロ商品に対する支持がさらに高まっています。北米は、大幅な増収増益となりました。ブランディングのための情報発信や冬物コア商品のマーケティングを強化したことにより、好調な販売となりました。欧州(ロシアを除く)は大幅な増収、増益となりました。特に、気温が急激に低下した9月の販売が好調でした。
[ジーユー事業]
ジーユー事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は793億円(前年同期比13.6%増)、営業利益は106億円(同19.3%増)と、大幅な増収増益となりました。品番数を絞り込み、マストレンド商品の数量を十分にもって商売を行ったことで好調な販売となりました。また、物流が正常化し、売れ筋商品の追加生産に機動的に対応できたことや、10月に気温が低下したことも追い風となりました。特に、ヘビーウェイトスウェットや、ワイドパンツ、ヒートパデッドアウターなどの販売が好調でした。
[グローバルブランド事業]
グローバルブランド事業の当第1四半期連結累計期間の売上収益は376億円(前年同期比22.4%増)、営業利益は7億円(同72.1%減)と、増収減益となりました。セオリー事業は、大幅な増収となったものの、減益となりました。これは、米国事業が値引き販売の強化により収益性が低下し、減益となったことに加え、グレーターチャイナを中心とするアジア事業が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、減益となったためです。プラステ事業は、軽めの羽織物やスティックパンツの販売が好調で、若干の増収増益となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、欧州で10月以降の気温が高かったことや、インフレによる購買意欲の低下により減収、営業利益の赤字幅は若干拡大しました。
当第1四半期連結会計期間より、従来国内ユニクロ事業に含めて表示していたロイヤリティ部門の業績は、調整額に含めて表示しています。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。前年同四半期との比較にあたっては、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組替えて行っております。
[サステナビリティ(持続可能性)]
ファーストリテイリングは、あらゆる人の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、品質・デザイン・価格だけでなく、環境・人・社会への貢献を含む、服づくりを進めています。サステナビリティ活動は、「商品と販売を通じた新たな価値創造」「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」「環境への配慮」「コミュニティとの共存・共栄」「従業員の幸せ」「正しい経営」の6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。2022年11月には、第2回目となる「LifeWear=サステナビリティ」説明会を開催しました。主に投資家やメディアなどの方々に向けて、温室効果ガス排出量削減、トレーサビリティ確保の取り組み、ダイバーシティ&インクルージョンなどの主要な取り組みの進捗を詳説し、質疑応答を通じた双方向のコミュニケーションを行いました。詳細はウェブサイト(https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/presentation.html)をご覧ください。
■「商品と販売を通じた新たな価値創造」:2022年6月に始まったユニクロの「PEACE FOR ALL」プロジェクトでは、「世界の平和を心から願い、アクションする」という趣旨に賛同した著名人の方々にボランティアでご協力をいただき、それぞれの平和への願いをデザインしたUT(グラフィックTシャツ)を販売し、利益の全額(1枚当たり販売金額の20%相当)を、貧困、差別、暴力、紛争などによって影響を受けた人々に対して人道的支援を行っている団体に寄付しています。2022年8月末までの時点で、PEACE FOR ALLの活動によるTシャツの収益金は、総額1億4千5百万円となり、大きな支持をいただくことができました。
■「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:サプライチェーン全体の人権・労働問題への取り組みを継続的に強化しています。縫製工場と素材工場については、労働環境などの確認を、自社または第三者機関により、確実に行っています。加えて、2023年春を目途に、サプライチェーンの上流である紡績工場ともコードオブコンダクトを締結し、定期的な労働環境監査とトレーサビリティ情報の確認を実施していく計画です。
■「環境への配慮」:温室効果ガス排出量が非常に少ない素材の使用割合は、2022年度は約5%と、この1年間で約4ポイントアップすることができました。2030年度までには比率を50%にまで高めることを目標としています。リサイクル素材を使用した商品としては、ドライEXクルーネックTシャツ(リサイクルポリエステル27%~80%使用)、ファーリーフリースフルジップジャケット(身生地にリサイクルポリエステル100%使用)、リサイクルダウンジャケット(RE.UNIQLOを通して回収したダウン商品から取り出したダウン・フェザーを100%使用)を開発、販売し、お客様から高い支持を得ています。また、服を長く着ていただくことも、環境負荷の低減につながると考えています。ドイツや英国のユニクロでご好評いただいている、リペアやカスタマイズのサービスを提供するRE.UNIQLO STUDIOについては、10月から、日本の世田谷千歳台店でもトライアルを開始しました。今後はお客様の声を集めてサービスを改善し、国内外に広げていきたいと考えています。
■「コミュニティとの共存・共栄」: 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、バングラデシュのコックスバザールにある世界最大規模の難民キャンプで、ロヒンギャ難民の女性を対象に、自立支援プロジェクトを開始しました。ファーストリテイリンググループの生産パートナーの協力を得て、難民キャンプで日常的に必要とされ、かつ持続的な供給が不可欠な、繰り返し使える生理用布ナプキンなどの縫製スキルのトレーニングを実施しています。2025年までに1,000人に対するトレーニングの修了をめざします。
■「従業員の幸せ」:2030年度末までに全管理職における女性比率を50%とする目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。2022年度時点の女性管理職比率は43.7%に達しました。引き続き、管理職候補となる女性従業員向けの育成計画や中長期のキャリアプランの強化、スキル向上などに向けたサポートを行っていきます。
②財政状態
資産は、前連結会計年度末に比べ130億円増加し、3兆1,968億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の減少4,442億円、売掛金及びその他の短期債権の増加606億円、その他の短期金融資産の増加2,435億円、棚卸資産の増加843億円、デリバティブ金融資産の減少512億円、その他の流動資産の増加39億円、有形固定資産の増加57億円、使用権資産の増加16億円、無形資産の増加23億円、長期金融資産の増加1,041億円、繰延税金資産の増加12億円等によるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ106億円増加し、1兆5,790億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の増加407億円、その他の短期金融負債の増加241億円、デリバティブ負債の増加97億円、未払法人所得税の減少379億円、その他の流動負債の減少57億円、繰延税金負債の減少205億円等によるものです。
資本は、前連結会計年度末に比べ23億円増加し、1兆6,177億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加503億円、その他の資本の構成要素の減少467億円、非支配持分の減少13億円等によるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、4,442億円減少し、9,140億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は13億円(前年同期は844億円の資金の獲得)となりました。これは主として、税引前四半期利益1,268億円、仕入債務の増加額383億円等の資金増加要因、売上債権の増加額643億円、棚卸資産の増加額880億円、法人税等の支払額815億円等の資金減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3,763億円(前年同期は218億円の資金の使用)となりました。これは主として、定期預金の純増額746億円、投資有価証券の取得による支出2,793億円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、691億円(前年同期は651億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額346億円、リース負債の返済による支出348億円等によるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)主要な設備
当第1四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名
設備内容
事業所名
所在地
完成年月
株式会社ユニクロ
国内ユニクロ倉庫
市川塩浜DC倉庫
日本
千葉
2022年9月
② 在外子会社
該当事項はありません。
また、当第1四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。
① 国内子会社
会社名
設備内容
事業所名
所在地
完成年月
株式会社ジーユー
国内ジーユー倉庫
茨木北DC倉庫
日本
大阪
2023年1月
② 在外子会社
該当事項はありません。
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