【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況 (経営成績の状況)当社グループは、国内及びベトナムを中心とするアセアンにおいて、カーボンニュートラルやSociety5.0等、持続可能で豊かな社会の実現に向けて、ダイナミックにChallenge&Innovationする企業集団を目指し、長年培ってきた電気設備・電気通信設備工事の技術や経験を活かし、様々な社会インフラ構築に取り組んでおります。今期から始まりました新中期事業計画では、成長分野である国内EPC*1事業(再生可能エネルギー設備建設工事、及び無線通信インフラ関連設備電気通信工事)及びアセアンEPC事業を注力分野とし、新たに立ち上げたCRE(不動産)事業を成長分野とする両利きの経営により事業の更なる発展を目指すとともに、事業を通じてサステナブルな社会構築に貢献してまいります。
当第3四半期連結累計期間(2022年9月1日~2023年5月31日)においては、ウクライナ情勢の長期化や金融不安、資材・エネルギー価格の高騰等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。その中において、わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の各種対策緩和により、社会経済活動の正常化が進むとともに、緩やかに回復しております。
a サステナブル経営を目指して-1. 環境保全への取組み
このような経済環境の中、当社グループではサステナブル経営のもと、森林保有や使用電力の再エネ化等脱炭素や環境保全への取り組みを行ってまいりました。当社が保有し維持・管理を行っている那智勝浦、奈良吉野等山林は27ha以上になりますが、この内那智勝浦の保安林(16.7ha)が、2022年9月に公益財団法人「都市緑化機構」から、都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として高い評価を受け、同機構のSEGES*2審査会にてExcellent Stage2の認定を受けました。更なるStage upに向け、水資源や生物多様性等多面的な森林の保全及び地元住民との連携等地域社会への貢献に取り組んでまいります。-2. 太陽光パネルのライフサイクルサポートへ2023年2月には、太陽光パネルのライフサイクルにわたりサポートするため、JFEグループのJ&T環境株式会社と業務提携を締結いたしました。当社グループでは、太陽光発電所の建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)に20年以上取り組んでいますが、今後は、リユース・リサイクルまでワンストップで取り組むことにより、循環型社会と脱炭素社会の実現に貢献してまいります。-3. 電気設備技術者育成への取組み国内外において、電気工事を含む建設業の高度技術者の不足が大きな課題となっています。当社では、2022年10月に独立行政法人「国際協力機構」(JICA)と「ベトナム国BIM*3理論を活用した産学連携教育事業による電気設備技術者育成のための案件調査」を正式締結しました。工学院大学とSOBA Projectとの産学連携によりベトナム国ダナン工科大学にBIM講座を開設するための調査を開始し、2023年7月に調査結果を報告する予定です。早期に高度技術者を育成し、当社グループの人材紹介会社JESCOエキスパートエージェント社を通じて、当社を含め国内外の企業の人材不足のニーズに応えてまいります。
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当期業績について-1. 国内業績2022年9月にM&Aした阿久澤電機株式会社(2023年4月にJESCO AKUZAWAに社名変更)に引き続き、2023年3月に原子力発電所や発電プラント向け工業用ITV(工業用監視設備)・指令通話システム(ページング装置)等に豊富な実績と技術力のあるマグナ通信工業株式会社をM&Aいたしました。今後再稼働や建て替えが検討される原子力発電所等や情報通信分野において、当社グループとのシナジー効果を創出し、更なる成長を実現してまいります。また、同社は多数の資格保有者を抱えており、1級電気工事施工管理技士では40名が加わることにより現在当社グループ全体で計105名、1級電気通信工事施工管理技士では4名が加わることにより計22名となる等、人的資本の強化につながり、事業拡大に向け大きく踏み出すことができました。なお、第1四半期連結累計期間において、阿久澤電機株式会社のM&Aに伴う取得関連費用52百万円を販売費及び一般管理費として計上しております。また、第2四半期連結累計期間において、JESCO新宿御苑ビル売却に伴う譲渡益7億24百万円を特別利益として計上しております。加えて当第3四半期連結累計期間において、M&Aに伴う負ののれんの発生により5億43百万円を特別利益として計上しております。-2. 海外業績JESCO ASIA社が2022年12月にベトナム政府より、多くの国際空港電気設備設計の実績と資格保有技術者数から、35,000V以下の特別高圧の電気設備設計元請企業に認定されました。これにより、ホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備詳細設計に引き続き、ハノイ市のノイバイ国際空港第2ターミナルビル拡張工事の電気設備詳細設計を元請グループとして受注でき、順調に進捗しております。併せまして、エンジニアリング部門では、2022年10月にカントー支店を開設し、300名体制の早期構築に向けて増員を進めるとともに、技術力強化にも取り組んでおります。建設部門でも設計に引き続いてロンタイン国際空港等空港案件の関連設備工事受注に向けて注力するとともに再生可能エネルギーや防災減災関連設備の受注拡大に取り組んでまいります。なお、スリランカ国で建設中のバンダラナイケ国際空港案件に関して、同国の経済危機により中断しておりましたが、第2四半期連結累計期間において契約解除となりました。当期連結業績に与える影響は、現時点において軽微となる見通しです。当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高84億74百万円(前年同四半期比14.7%増)、営業利益4億98百万円(前年同四半期比28.1%減)、経常利益5億59百万円(前年同四半期比1.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益13億34百万円(前年同四半期比278.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業脱炭素化に向けた再生可能エネルギー分野のマーケットが拡大を続ける中、注力分野の一つである太陽光発電設備工事が順調に推移いたしました。従来のメガソーラー案件の他、自家消費型案件の需要を的確に捉え、ゴルフ場のカーポートや工場の屋根に設置するPPA(Power Purchase Agreement)モデル*4の設計施工案件の受注が拡大しました。また、新たに当社グループとなったJESCO AKUZAWA社(阿久澤電機株式会社)及びマグナ通信工業社も順調に推移しており、増収増益となりました。当第3四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高65億78百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益6億68百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
b アセアンEPC事業 設計積算部門においては前期より取り組んでいるDXによる国内設計部門との一体化が定着するとともに新規顧客も拡大し、順調に推移いたしました。同時に、業務拡大・技術力強化を目的としたエンジニアの300人体制構築に向けた増員等、先行投資を行っております。一方、建設部門においては、2022年6月に当社グループとなったJESCO PEICO ENGINEERING社及び高層コンドミニアム建設工事が順調に進捗したことにより増収となったものの、新規連結子会社となったPEICO社ののれん償却費発生や、JESCO HOABINH ENGINEERING社での貸倒引当金戻入益の減少、ベトナムにおける不動産開発会社の融資及び社債発行への規制強化等により、一部の工事で2022年末頃より発生した中断や延期が継続しており、減益となりました。当第3四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高16億77百万円(前年同期比49.6%増)、セグメント損失25百万円(前年同期はセグメント利益1億22百万円)となりました。
c 不動産事業2022年1月に公表いたしましたようにJESCO CRE社を設立し、不動産売買からバリューアップによる不動産価値向上等、幅広く事業を展開し、当社グループの大きな柱とすべく取り組んでおります。その一環として、2023年6月に港区赤坂において不動産を取得しましたが、名称を「JESCO赤坂メディカルセンタービル」に改称し、医療モールとして更なる高付加価値へバリューアップしてまいります。また、2023年2月に仲介会社としてJESCO新宿御苑ビルを売却したことによる仲介手数料の他、保有ビルの賃貸管理収入の順調な推移により、増収増益となりました。当第3四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高2億18百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益1億30百万円(前年同期比96.7%増)となりました。
*1 EPC: Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略*2 SEGES認定: 公益財団法人都市緑化機構が、企業等によって創出された良好な緑地や取り組みを評価し、 社会・環境に貢献している、良好に維持されている緑地であることを認定する制度。 SEGES…Social and Environmental Green Evaluation System*3 BIM:ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフロー を提供する設計ソフト BIM…Building Information Modeling*4 PPAモデル:施設所有者が提供する屋根や敷地等にPPA事業者(太陽光発電の所有・管理を行う会社)が 太陽光発電システムを設置・運用し、発電された電力を施設所有者へ有償提供するビジネスモデル。
(財政状態の状況)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、72億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億60百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が10億円、受取手形・完成工事未収入金等が6億45百万円増加したこと等によるものであります。当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、72億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億円の減少となりました。これは、資産の売却等により有形固定資産が11億97百万円減少し、投資有価証券の取得等により投資その他の資産が5億33百万円増加したこと等によるものであります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、145億25百万円となり、10億59百万円の増加となりました。当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、44億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億12百万円の減少となりました。これは短期借入金が8億50百万円減少し、支払手形・工事未払金等が90百万円、未払法人税等が88百万円、賞与引当金が74百万円増加したこと等によるものであります。当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、34億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億32百万円の減少となりました。これは、長期借入金が5億19百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、79億55百万円となり、7億45百万円の減少となりました。当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、65億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億4百万円の増加となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の32.8%から当第3四半期連結会計期間末は38.9%になりました。
(2) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。