【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況 (経営成績の状況)当第2四半期連結累計期間(2022年9月1日~2023年2月28日)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束し、社会経済活動の正常化が進むとともに、緩やかな回復基調がみられる一方、ウクライナ情勢の長期化や欧米金融不安、資材・エネルギー価格の高騰等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
a サステナブル経営このような経済環境の中、当社グループではサステナブル経営のもと、森林保有や使用電力の再エネ化等脱炭素や環境保全への取り組みを行ってまいりました。当社が保有し維持・管理を行っている那智勝浦の保安林(16.7ha)が、2022年9月に公益財団法人都市緑化機構から、都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として高い評価を受け、同機構のSEGES*1審査会にてExcellent Stage2の認定を受けました。更なるStage upに向け、水資源や生物多様性など多面的な森林の保全及び地元住民との連携など地域社会への貢献に取り組んでまいります。2023年2月には、太陽光パネルのライフサイクルにわたりサポートするため、JFEグループのJ&T環境株式会社と業務提携を締結いたしました。太陽光発電所の建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)だけでなく、リユース・リサイクルまでワンストップで取り組むことにより、循環型社会と脱炭素社会の実現に貢献してまいります。また、国内においては、建設業における高度技術者の不足が大きな課題となっています。当社では、2022年10月に独立行政法人国際協力機構(JICA)と「ベトナム国BIM*2理論を活用した産学連携による電気技術者のための案件調査」を正式締結しました。工学院大学とSOBA Projectとの産学連携によりベトナム国ダナン工科大学にBIM講座を開設するための調査を開始し、2023年8月までに調査結果を報告する予定です。早期に高度技術者を育成し、当社グループの人材紹介会社JESCOエキスパートエージェント社を通じて、当社を含め国内外の企業の人材不足のニーズに応えてまいります。
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当期業績について当期は新中期経営計画の初年度となり、成長分野である再生可能エネルギー関連設備、無線通信インフラ関連設備、アセアンEPCを注力分野として捉えるとともに、新たにCRE(不動産)事業を立上げ、両利きの経営体制を構築し、更なる事業拡大に努めております。国内においては、2022年9月にM&Aした阿久澤電機株式会社(2023年4月にJESCO AKUZAWA株式会社に社名変更)に引き続き、2023年3月に原子力発電所や発電プラント向け工業用ITV(工業用監視設備)・指令通話システム(ページング装置)等に豊富な実績と技術力のあるマグナ通信工業株式会社をM&Aいたしました。今後再稼働や建て替えが検討される原子力発電所等の分野や情報通信分野において、当社グループとのシナジー効果を発揮することにより更なる成長を実現してまいります。また、同社は多数の資格保有者を抱えており、1級電気工事施工管理技士では同社の40名が加わることにより当社グループ全体で107名に達する他、1級電気通信工事施工管理技士では4名が加わることにより計22名となる等、人的資本の強化につながり、事業拡大に向け大きく踏み出すことができました。なお、当第1四半期連結累計期間において記載の通り、阿久澤電機株式会社のM&Aに伴う取得関連費用52百万円を販売費及び一般管理費として計上しております。また、2023年1月に公表いたしましたJESCO新宿御苑ビル売却に伴い、当第2四半期連結累計期間において譲渡益724百万円を特別利益として計上しております。海外においては、JESCO ASIA社が2022年12月にベトナム政府より、多くの国際空港電気設備設計の実績と資格保有技術者数から、35,000V以下の特別高圧の電気設備設計企業に認定され、元請としての受注が可能となりました。これにより、ホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備関連詳細設計に加えて、ハノイ市ノイバイ国際空港において、第2ターミナルの新築工事(2014年)に引き続き、同ターミナル拡張工事の電気設備詳細設計を受注することができ、順調に進捗しております。併せまして、エンジニアリング部門では、2022年10月にカントー支店を開設し、早期の300名体制構築に向けて増員を進めるとともに、技術力強化にも取り組んでおります。建設部門でも設計に引き続いてロンタイン国際空港を中心とした空港案件の関連設備工事受注に向けて注力するとともに再生可能エネルギーや防災減災関連設備の受注拡大に取り組んでまいります。なお、スリランカ国バンダラナイケ国際空港案件に関して、同国の経済危機により中断しておりましたが、当第2四半期連結累計期間において契約解除となりました。当期連結業績に与える影響は、現時点において軽微となる見通しです。当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高58億7百万円(前年同四半期比30.3%増)、営業利益3億19百万円(同24.7%減)、経常利益3億46百万円(同18.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益6億79百万円(同158.8%増)となりました。セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。 a 国内EPC事業
国内EPC事業では、脱炭素化に向けた再生可能エネルギー分野のマーケットが拡大しており、特に、注力分野である太陽光発電設備工事が順調に推移いたしました。従来のメガソーラー案件の他、ゴルフ場のカーポートや工場の屋根に設置するPPA*3(Power Purchase Agreement)モデルの自家消費型の設計施工案件の受注が拡大しており、今後とも注力してまいります。また、2022年9月に当社グループとなったJESCO AKUZAWA社も順調に推移しており、増収増益となりました。
当第2四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高42億46百万円(前年同四半期比17.7%増)、セグメント利益4億13百万円(同31.0%増)となりました。
b アセアンEPC事業
アセアンEPC事業では、設計積算部門においては前期より取り組んでいるDXによる国内設計部門との一体化が定着するとともに新規顧客も拡大し、順調に推移いたしました。一方、建設部門においては、2022年6月に当社グループとなったJESCO PEICO ENGINEERING社及び高層コンドミニアム建設工事が順調に進捗したことにより増収となったものの、新規連結子会社となったPEICO社ののれん償却費発生の他、JESCO HOABINH ENGINEERING社での貸倒引当金戻入益の減少により、減益となりました。なお、ベトナムにおける不動産開発会社の融資及び社債発行への規制が強化されたことにより、不動産開発会社の資金繰りが悪化しており、一部の工事で2022年末頃より中断や延期が発生しております。当社としては、今後の動向を注視してまいります。
当第2四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高13億98百万円(前年同四半期比92.2%増)、セグメント利益5百万円(同95.2%減)となりました。
c 不動産事業 不動産事業では、JESCO新宿御苑ビルを売却したことによる仲介手数料の他、保有ビルの賃貸管理収入の順調な推移により、増収増益となりました。
当第2四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高1億62百万円(前年同四半期比33.3%増)、セグメント利益1億4百万円(同331.2%増)となりました。
*1 SEGES認定: 公益財団法人都市緑化機構が、企業等によって創出された良好な緑地や取り組みを評価し、 社会・環境に貢献している、良好に維持されている緑地であることを認定する制度。 SEGES…Social and Environmental Green Evaluation System*2 BIM:ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフロー を提供する設計ソフト BIM…Building Information Modeling*3 PPAモデル:施設所有者が提供する屋根や敷地等にPPA事業者(太陽光発電の所有・管理を行う会社)が 太陽光発電システムを設置・運用し、発電された電力を施設所有者へ有償提供するビジネスモデル。
(財政状態の状況)当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、66億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億93百万円の増加となりました。これは、現金及び預金が7億41百万円、受取手形・完成工事未収入金等が5億98百万円増加したこと等によるものであります。当第2四半期連結会計期間末における固定資産は、59億31百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億51百万円の減少となりました。これは、建物及び構築物が6億64百万円、土地が16億69百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、126億8百万円となり、8億58百万円の減少となりました。当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、40億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億31百万円の減少となりました。これは未払法人税等が1億49百万円増加し、短期借入金が10億円減少したこと等によるものであります。当第2四半期連結会計期間末における固定負債は、32億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億88百万円の減少となりました。これは、長期借入金が5億96百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、72億80百万円となり、14億19百万円の減少となりました。当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、53億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億61百万円の増加となりました。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の32.8%から当第2四半期連結会計期間末は39.6%になりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5億65百万円増加し、21億22百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。営業活動によるキャッシュ・フロ-は、税金等調整前四半期純利益10億70百万円、棚卸資産の減少55百万円等の増加要因に対し、固定資産売却損益7億24百万円、売上債権の増加6億27百万円、法人税等の支払額2億73百万円等の減少要因により、1億81百万円の支出(前第2四半期連結累計期間は3億38百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フロ-は、定期預金の払戻による収入2億3百万円、固定資産の売却による収入31億36百万円等の増加要因に対し、定期預金の預入による支出3億89百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4億7百万円等の減少要因により、25億33百万円の収入(前第2四半期連結累計期間は39百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入31億5百万円、長期借入による収入9億円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出41億3百万円、長期借入金の返済による支出15億32百万円、配当金の支払額1億円等の減少要因により、17億65百万円の支出(前第2四半期連結累計期間は5億80百万円の収入)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。