【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展、移動制限の緩和等により、経済活動は緩やかに再開の動きが見られました。一方、世界的な資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱、急激な円安の進行等により、依然として国内外における経済の先行きは不透明な状態が続いております。また、生活必需品の値上げやエネルギーコストの上昇も相次いでおり、消費者の節約志向も強まっております。
このような状況の中、当社グループは、第二創業にあたり、「人と自然とモノの望ましい関係と心豊かな人間社会」を考えた商品、サービス、店舗、活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献することを企業理念と定め、以下に記載する二つの使命を果たすべく事業展開を行ってまいりました。
第一の使命は、誠実な品質と倫理的な意味を持ち、生活に欠かせない基本商品群、基本サービス群を、手に取りやすい適正な価格で提供すること、そして第二の使命は、当社の展開する店舗が、その地域のコミュニティセンターとしての役割を持ち、地域のステークホルダーの皆様と共に、地域課題に対して取り組み、地域への良いインパクトを実現することです。
当第1四半期連結会計期間末における当社グループの総資産は4,049億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ56億21百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の減少153億14百万円、受取手形及び売掛金の増加34億50百万円、商品の増加138億33百万円及び未収入金の増加27億83百万円によるものです。
負債は1,653億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ、109億7百万円増加いたしました。これは主に、買掛金の減少21億33百万円、短期借入金の増加103億37百万円及び未払費用の増加24億26百万円によるものです。
純資産は2,395億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ、52億85百万円減少いたしました。これは主に、利益剰余金の減少16億25百万円、繰延ヘッジ損益の減少25億69百万円及び為替換算調整勘定の減少16億32百万円によるものです。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前連結会計年度末の60.5%から58.3%となりました。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの経営成績は、次のとおりであります。
営業収益
1,369億48百万円(前年同期比11.4%増)
営業利益
50億21百万円(前年同期比54.9%減)
経常利益
54億61百万円(前年同期比53.5%減)
親会社株主に帰属する四半期純利益
38億95百万円(前年同期比50.3%減)
営業収益は、国内及び中国大陸における既存店の売上が苦戦するなか、新規出店に伴う店舗数の増加により、増収となったものの、原材料の高騰、急激な円安に伴う仕入れ価格の上昇により、営業総利益が伸び悩んだことに加え、販管費も増加し、営業利益は減益となりました。
当第1四半期末における無印良品(ライセンスドストアを含む)の店舗数は国内525店舗、海外593店舗となり、国内外計1,118店舗となりました。国内では、地域に根付いた食品スーパーマーケットとの隣接店を中心に33店舗を出店し、通期の出店計画79店舗に対する進捗率は約4割となりました。また海外では、中国大陸、タイ等に18店舗を出店し、店舗網の拡充を図りました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 国内事業
国内事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は817億73百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は2億15百万円(同96.2%減)と、増収減益となりました。
既存店売上は生活雑貨の販売不振が響き、前年実績を下回ったものの、出店が順調に進んだことにより、営業収益は増収となりました。一方、原材料の高騰、急激な円安に伴う仕入れ価格の上昇により、営業総利益が伸び悩んだほか、商品マーケティング活動による宣伝費の増加や出店強化に伴う営繕費の増加、電気代の高騰等により、販管費が増加し、営業利益は減益となりました。
② 東アジア事業
東アジア事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は390億1百万円(前年同期比7.3%増)、セグメント利益は63億13百万円(同1.7%減)と、増収減益となりました。
中国大陸では、生活雑貨を中心に現地開発商品の品揃えを引き続き強化したものの、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、店舗運営に大きな支障が生じ、既存店の売上が低迷しました。為替影響や店舗数の増加により円貨ベースでは増収となったものの、人件費を始めとする販管費が重荷となり、減益となりました。
一方、台湾、香港、韓国は増収増益となりました。
③ 東南アジア・オセアニア事業
東南アジア・オセアニア事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は72億76百万円(前年同期比77.7%増)、セグメント利益は10億65百万円(同251.5%増)と、増収増益となりました。
当期より、アセアン向けの商品展開を開始するなど、タイ、シンガポール、マレーシア等の売上が好調に推移し、増収増益となりました。
④ 欧米事業
欧米事業における当第1四半期連結累計期間の営業収益は88億97百万円(前年同期比30.7%増)、セグメント利益は8億2百万円(同148.2%増)となりました。
北米、欧州ともに売上が伸長し、増収増益となりました。なかでも、北米はオペレーションの改善が進み、順調な出足となりました。
[ESGの取り組み]
「社会や人の役に立つ」という根本方針のもと、提供する商品やサービス、地域に根差した店舗を軸とした活動を通じて、資源循環型・自然共生型の社会、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを進めています。
・商品における ESG:
当社では、2022年9月より世界の生活の知恵を生かした商品や、数量や色に限りがある商品、残反、残糸等、素材を余すところなく活用して作った商品展開を拡大しています。2022年10月には、以前スリッパを製造した際に使用しなかった予備の生地(残反)を活用して「残反で作ったスリッパ」シリーズを発売しました。
・事業活動での ESG:
2030年「包材・資材の脱プラスチック100%」を目指し、当社では2019年から、衣服・雑貨で使用する陳列用ハンガーやフックを、再生紙を使った紙ハンガー・フックに順次切り替えてきました。2022年10月からは、このハンガーやフックを無印良品の店舗で回収し、リサイクルする取り組みを開始しました。工場で溶解して紙に再生したのち再加工し、当社の一部商品の紙ハンガーに活用しています。これにより事業活動にかかわる社会的コストを低減してまいります。
・土着化活動での ESG:
当社では、人と地域や社会のつながりの再構築、各店舗が地域のコミュニティセンターとなることを目指して、各自治体との様々な取り組みを行っています。当第1四半期は、北海道函館市、新潟県津南町、東京都板橋区、高知県四万十町と各地域の課題解決を目指した連携協定を締結しました。函館市では、コロナ禍で減少した町の賑わいを再度活性化させる取り組みを市や近隣の事業者と開始しています。板橋区では、11月にオープンした「無印良品 板橋南町22」内で、今年新たに選定された板橋の銘品を店舗で販売したり、近隣の個人事業主と連携した取り組みを開始しています。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略等に重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の費用は、2億91百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について、重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に新規出店及び既存店舗の改装といった設備投資、情報システム投資によるものであります。
これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて資金調達を行ってまいります。