【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループ内の業績管理区分の一部変更等に伴い、当第1四半期連結会計期間より「モバイルデータソリューション事業」を「グローバルデータインテリジェンス事業」に報告セグメントの名称を変更しております。当該変更による、セグメント情報に与える影響はありません。
(1)当期の経営成績の概況<外部環境について>グローバルデータインテリジェンス事業が属するデジタルインテリジェンス市場は、近年の犯罪捜査に於いて、デジタルテクノロジーの進化により犯罪の性質そのものが大きく変化しています。同時に、犯罪者側は益々テクノロジーに精通してきています。そのような状況下で、デジタル(データ)証拠の重要性は益々高まっており、Cellebrite社のUFED等の最新鋭のデジタルインテリジェンスツールは今や必要不可欠なソリューションとなっています。次に、エンターテインメント関連事業のうち、パチンコ・パチスロ市場につきましては、2022年11月からスマート遊技機が導入され始め、稼働が好調なことも影響し、スマート遊技機を中心に新台需要も高まりつつあります。一方、コロナ禍や継続する世界的な半導体不足による供給難及び原価高騰、パチンコホールの減少等、将来的な不透明感が依然として存在しております。ゲームコンテンツ市場につきましては、コロナ禍において在宅で楽しめるエンターテインメントとしての地位を確立しており、今後も拡大傾向が続いていくと思われます。また、技術の進歩によりゲーム開発はパソコン一台で一人からできる時代となり、各プラットフォームでリリースされるゲームの数も拡大傾向にあるため、競争が激化している状態にあります。新規IT関連事業のうち、M2M、IoT市場につきましては、各通信キャリアが2026年3月までに3G回線を順次停波するため、3GからLTE(4G)へのマイグレーションが本格的に進んでおります。産業機器などに遠隔地からアクセスする監視/制御システムの需要は増加している一方、多くの企業が市場に参入しているため、市場自体は拡大しつつも競争環境は厳しくなっております。半導体全体の供給は徐々に回復しつつあるものの、原価高騰は続いており当社製品の供給や利益に影響が出る可能性もあり、現時点では不透明な状況にあります。スマートグラスを利用した遠隔支援市場につきましては、まだ市場が本格的に立ち上がっている状況ではないものの、コロナ禍によるオンライン業務や、人手不足による企業の遠隔支援に関する需要は、高まってきております。上記のように、市場環境が不透明な主力事業も存在する中、当社グループの更なる業績向上を図るため、IoT、AR、AI等の最新技術を活用していく社会的な流れを汲み、新たな主力製品・サービスの構築に取り組んでおります。
<競争優位性>グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、デジタル証拠量の爆発的な増加に伴い、テクノロジーに精通した犯罪者(組織)に対峙する法的執行機関に対して、捜査リソースの生産性を向上させる為の最新鋭なデジタルインテリジェンスツールはトレーニング、サービスと伴に長年に渡り提供しております。エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、業界及び顧客を特化することで、強力な信頼関係の構築及び特定分野における表現力・技術力の蓄積をし、高い商品力を有したコンテンツ開発や高品質の制御基板開発を実現することで、競争優位性を図っております。ゲームコンテンツにつきましては、知名度の高い「上海」ブランドを使ったモバイルゲームを社内で開発から運営まで完結し、コスト効率の良い収益を長期にわたり維持しております。また、当社が多くのIPを保有する「レトロゲーム」ジャンルは、欧米市場を中心に人気が再来しており、その有効活用により更なる収益の拡大が見込める状況にあります。新規IT関連事業につきましては、各通信キャリア、パートナーと強力な信頼関係を構築しつつ、長年培ってきた技術をベースに3G回線からLTE(4G)回線へのマイグレーションに関連した特許を取得し、技術的競争優位性を維持しつつ、5GやエッジAIをキーワードに製品開発を進め更なる競争力強化を図っております。2021年11月にリリースしました「DRX5010」はデュアルSIM対応で、それぞれ異なる通信キャリア回線を冗長化することが可能となりました。これによりキャリア網障害発生時には主回線から副回線に自動切換えを行い、回線の通信断を防ぎ、遠隔監視・制御、データ収集を止めることなく運用することができるようになり引き合いが増え、販売が好調に推移しております。IoT分野に於いて導入が進むと、遠隔地で無人環境の多拠点で運用を行うためルータ・ゲートウェイのみならず、顧客、パートナーの本番環境運用を支えるデバイスマネジメントサービス「SunDMS」が不可欠となります。「SunDMS」は、すでに7万台以上が運用に使われており回線冗長化と保守運用に欠かせないツールとして安定運用が実現できるようになり、競合他社との差別化を図り更なる収益拡大を見込める状況にあります。
<経営施策>グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、年々巧妙化、組織化するサイバー犯罪に対峙する犯罪現場に於いて、インシデント発生後に調査、解析をするデジタルインテリジェンス(フォレンジック)だけではなく、法執行機関に向けた、インシデントを事前に予知し、防止する為のアクティブサイバーディフェンスや脅威インテリジェンスとの相互関連性が高まっています。各種犯罪手法に我が国の法的執行機関が対応できるようにより専門的なトレーニング、サポート体制を強化すると同時に新たな技術を備えた商材を取り揃えるべく活動を進めてまいります。ゲームコンテンツにつきましては、既存のモバイルタイトル、ライセンス事業を収益基盤としつつ、新たな収益の柱として当社レトロゲームIPを活用した、新規タイトルの開発に着手しております。新規IT関連事業のうち、「おくだけセンサーソリューション」戦略商品について、マーケティングを行いながら、機能開発、新規顧客の開拓に努めております。飲料自販機は日本国内で約228万台設置されており、その多くが在庫管理等に3G回線を使用しています。M2M事業では、3GからLTE(4G)へマイグレーションするための戦略製品である「A330」、「A900」を開発、販売開始しており、在庫管理システムを展開している大手通信キャリア、パートナーと連携をしながら、複数の大手飲料オペレータに採用され、順調に事業が拡大しております。また、今後デバイスマネジメント「SunDMS」の機能強化をすることにより付加価値を高め、ストックビジネスの拡大を図っております。また更なる事業拡大に向けAI画像解析搭載可能なエッジゲートウェイを2023年9月リリースに向け開発を進めておりAI技術をベースに新たなソリューションを提供いたします。「AceReal Assist」についてはスマートグラスに対応した遠隔支援の機能にフォーカスをして、ソリューションビジネスを中心に、事業展開を進めております。大手通信キャリアとは5Gをキーワードに戦略的パートナーシップを形成しており、今後も多様なソリューション案件で更なる拡販を図ってまいります。また、収益力向上の為、2022年10月にマーケティング部と技術開発部を統合した研究開発部門を設立致しました。今後の当社の事業展開を踏まえ、当面のテーマをデータビジネスの推進として、人工知能(AI)、情報セキュリティ、ヘルスケアの技術開発を始めております。さらに研究開発に際しては、技術シーズを持つ大学との共同研究を行い、差別化した製品開発を目指してまいります。
<商品・サービスの概況>グローバルデータインテリジェンス事業につきましては、従来のデジタルインテリジェンス商品に加え、アクティブサイバーディフェンスや脅威インテリジェンス関連商材及び関連サービス、サポートの供給を進めまいります。新しいSaaSベースの証拠管理ソリューションとして「Cellebrite Guardian」をリリースし、導入が進んでおります。「Cellebrite Guardian」では、証拠データの保存、管理、共有など、デジタル証拠を一元管理するフローを支援します。また、関連する法執行機関の権限により、証拠データの共有、複製、転送、過去データの閲覧などを可能とし、捜査フローの効率化を図ります。また、Forensic Focus4:cast awardにて、DFIR Commercial Tool of the Yearや、Investigator of the Yearを3年連続で受賞するなど、デジタルフォレンジックにおける高い技術力が証明されています。エンターテインメント関連事業のうち、遊技機関連事業につきましては、パチンコ・パチスロの企画から設計、映像制作、プログラムまでのトータルのコンテンツ開発と、制御基板の設計から製造までを一貫して受託しております。また、コンテンツ開発のノウハウを活かし、スマートフォン向けのパチンコ・パチスロの実機シミュレーションアプリを展開しており、実機の市場での稼働貢献、コンテンツの知名度向上を図っております。ゲームコンテンツにつきましては、レトロゲームIPを活用した企画を複数進めており、直近のものでは北米Limited Run社との共同プロジェクトであるゲームボーイタイトル「トリップワールド」の現行機移植版が第2四半期に発売予定です。新規IT関連事業につきましては、飲料自販機向けLTE(4G)マイグレーション戦略製品「A330」、「A900」が複数の大手飲料オペレータに採用され、既に導入開始しております。Rooster等のルータ・ゲートウェイ製品においては回線冗長化及びデバイスマネジメントサービス「SunDMS」との連携で他社との差別化を打ち出し、売上高も堅調に推移しており、5G、エッジAIの開発を進め更なる事業拡大を進めております。また、センサーデバイス「おくだけセンサー」については大型受注もあり、本格導入フェーズとなりました。更なる強化のため自社製センサーに限らず、多種多様な他社製センサーも容易に対応可能なマルチセンサーソリューション「BlueXtender」も2022年11月24日にリリースいたしました。遠隔支援に特化した「AceReal Assist」は、クラウド型であることから、複数メーカーの最新スマートグラスに迅速に対応することができます。簡易な操作で遠隔支援が開始できるため、すぐに円滑な双方向のコミュニケーションが実現できます。今後、この「AceReal Assist」を手始めに、お客様のDXを解決すべく、新たなソリューションを広く展開してまいります。
<損益計算書(連結)について>全体の売上高は、23億70百万円(前年同期比75.2%減)となりました。これは主に、前第1四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。当社グループが生み出す付加価値を示す売上総利益につきましても、上記減収の影響もあり、7億円(前年同期比89.8%減)となり、売上総利益率は29.6%(同42.0pt減)となりました。
連結売上高
セグメント
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減率(%)
グローバルデータインテリジェンス
7,703
222
△97.1
エンターテインメント関連
1,443
1,465
1.5
新規IT関連
409
687
67.8
調整額
△4
△4
―
合計
9,552
2,370
△75.2
売上総利益
セグメント
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減率(%)
グローバルデータインテリジェンス
6,339
49
△99.2
エンターテインメント関連
331
424
28.0
新規IT関連
164
222
35.3
調整額
4
4
―
合計
6,840
700
△89.8
売上総利益率
セグメント
2023年3月期第1四半期(%)
2024年3月期第1四半期(%)
グローバルデータインテリジェンス
82.3
22.1
エンターテインメント関連
23.0
29.0
新規IT関連
40.2
32.4
合計
71.6
29.6
<販売費及び一般管理費について>連結の販売費及び一般管理費は、6億75百万円(前年同期比90.8%減)となりました。これは主に、前第1四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。販売費及び一般管理費
セグメント
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減率(%)
グローバルデータインテリジェンス
6,679
25
△99.6
エンターテインメント関連
212
242
13.8
新規IT関連
162
172
5.9
調整額
297
235
―
合計
7,353
675
△90.8
研究開発費
セグメント
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減率(%)
グローバルデータインテリジェンス
2,401
―
△100.0
エンターテインメント関連
125
163
30.4
新規IT関連
84
46
△44.7
調整額
24
36
―
合計
2,635
246
△90.6
<営業利益について>連結の営業利益は25百万円(前年同期は営業損失5億12百万円)となりました。これは主に、前第1四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等によるものです。営業利益
セグメント
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減率(%)
グローバルデータインテリジェンス
△340
24
―
エンターテインメント関連
123
186
51.1
新規IT関連
1
50
―
調整額
△297
△235
―
合計
△512
25
―
<経常利益及び親会社株主に帰属する四半期純利益について>連結の経常損失は27億92百万円(前年同期は経常利益76億68百万円)となりました。これは、Cellebrite社におけるデリバティブ評価損が影響し、当社が持分法による投資損失27億87百万円を計上したことが主たる要因です。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は26億14百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益39億96百万円)となりました。
<各セグメントの概況>[グローバルデータインテリジェンス事業]
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減額(百万円)
前年同期比増減率(%)
売上高
7,703
222
△7,480
△97.1
セグメント利益又は損失(△)
△340
24
364
―
前第1四半期において連結子会社であったCellebrite社が、前第3四半期末に持分法適用関連会社になったこと等により、74億80百万円の減収となりました。
[エンターテインメント関連事業]
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減額(百万円)
前年同期比増減率(%)
売上高
1,443
1,465
21
1.5
セグメント利益
123
186
63
51.1
遊戯関連事業につきましては、部品の高騰によりコスト増となったものの、受託開発が増加したこと及び新製品が好調により受注が増加したことによりセグメント全体では増収増益となりました。
[新規IT関連事業]
2023年3月期第1四半期(百万円)
2024年3月期第1四半期(百万円)
前年同期比増減額(百万円)
前年同期比増減率(%)
売上高
409
687
277
67.8
セグメント利益
1
50
48
―
M2M事業につきましては、原材料高騰の影響は残るものの、部品調達難が解消傾向にあることから、セグメント全体では増収増益となりました。
(2)財政状態に関する説明(資産、負債及び純資産の状況)(資産)総資産は404億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億15百万円の減少となりました。流動資産は232億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億88百万円の減少となりました。主な減少要因は、金銭の信託7億円の減少であります。固定資産は172億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億26百万円の減少となりました。主な減少要因は、関係会社株式28億55百万円の減少であります。一方、主な増加要因は、投資有価証券21億48百万円の増加であります。(負債)負債は79億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億74百万円の増加となりました。流動負債は49億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億2百万円の増加となりました。主な増加要因は、支払手形及び買掛金4億75百万円、契約負債2億78百万円及び未払法人税等1億92百万円の増加であります。固定負債は30億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億72百万円の増加となりました。主な増加要因は、繰延税金負債2億69百万円の増加であります。(純資産)純資産は325億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億90百万円の減少となりました。主な減少要因は、利益剰余金30億67百万円の減少、自己株式の減少8億88百万円であります。一方、主な増加要因は、その他有価証券評価差額金15億29百万円の増加であります。
(3)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、2億46百万円であります。