【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済の業況判断につきましては、日銀短観(2023年4月3日発表)によりますと、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業がプラス1で前回より6ポイント下がりました。資源やエネルギー価格の上昇を転嫁する動きが続き、半導体市況の悪化も響いたことから、5四半期連続で下がっております。また大企業非製造業はプラス20と前回より1ポイント上がりました。新型コロナの感染対策の緩和により、人の流れが回復していることが景況感を押し上げる結果となりました。一方先行きのDIは低下し、企業が物価上昇や人手不足への懸念を抱いていることがうかがえます。国内不動産業界につきましては、三鬼商事株式会社によりますと、2023年3月時点の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均空室率は6.41%となり、2022年12月より0.26ポイント上げました。3月は竣工1年未満のビルに成約が進んだ一方、大規模ビルが募集面積を残して竣工し、既存ビルでも縮小などに伴う解約があったことが要因となっております。このような環境のもと、当社グループは収益獲得の強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は売上高2,353,302千円(前年同期比96.6%増)となり、経常損失2,068,191千円(前年同期は721,491千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失2,254,363千円(前年同期は1,160,201千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。当社は、当連結会計年度において運送事業を行う株式会社フィフティーワンを連結範囲に含め、第4四半期連結会計期間からの業績を連結損益計算書に取り込んでおります。当該事実に鑑み、当連結会計年度から報告セグメントとして「運送事業」を新たに追加しております。
金融サービス事業金融サービス事業につきましては、主としてファイナンシャル・アドバイザリー事業、経営投融資事業及び不動産投資事業の営業活動を行ってまいりました。ファイナンシャル・アドバイザリー事業につきましては、取引先の資金調達支援や財務戦略の助言などに努めました。経営投融資事業においては、当連結会計年度に事業譲受した美容脱毛サロンを運営するキレイモ事業部を立ち上げ、店舗における売上獲得へのアプローチ、従前顧客への救済措置として月間1万件を上限とする無償のサービス提供によるキレイモのイメージ回復及び事業の構築等を進めてまいりました。しかしながら、キレイモ事業の譲受に伴う取得直後の店舗スタッフ人員確保に伴う費用、賃料等の店舗運営費用及び施術用の消耗品費用などの販売費及び一般管理費の負担が大きく、また社会的にも反響のある状況下での顧客獲得は容易ではない状況下での運営となりました。その後、従前顧客への救済措置として月間1万件を上限とする無償のサービス提供を見直し、2月中旬より有償化に向けた契約の切り替えを進めていきました。投融資事業につきましては、様々な事業者の事業資金需要に応える事業融資を実行しました。不動産投資事業につきましては、太陽光発電施設の運用による売電収入を得るとともに、不動産の売却活動を実施しました。この結果、売上高は508,663千円(前年同期比112.6%増)、セグメント損失は1,409,477千円(前年同期は319,545千円のセグメント損失)となりました。
サイバーセキュリティ事業サイバーセキュリティ事業につきましては、主として、海外製のサイバーセキュリティ商品を国内の民間企業向けに販売を行いました。conpal GmbHと国内単独で契約した「conpal LAN Crypt」を中心に新規開拓及び後継製品としての需要を取り込むべく営業を進めてまいりました。
また、就労支援事業においては、全国でFC店舗展開による施設のオープンを進めており、15以上の市区町村においてFC店舗が契約待ちの状態となり、今後の業績に寄与してくる見込みです。BPOサービス事業におきましては、保険の営業を中心に新規顧客の開拓を行いました。この結果、売上高は259,540千円(前年同期比55.9%増)、セグメント損失は138,053千円(前年同期は10,142千円のセグメント損失)となりました。
空間プロデュース事業空間プロデュース事業につきましては、宿泊施設の運営及びナイトクラブの運営による営業活動を行ってまいりました。 ナイトクラブの運営においては、2022年はハロウィン時期に渋谷の路上等での酒類の販売等がないことからCLUB CAMELOTへの来店があるなど市況は改善してきております。しかしながら、前年よりも円安の影響により、国外で生産されるアルコール飲料などを中心に原価の高騰の影響は引き続き残りました。宿泊施設の運営については、年末にインバウンド顧客の利用が増え、常に満室に近い営業状況となりコロナ後初めて単月での黒字となるなど市場環境は正常化しており、週末のみならず平日も満室に近い状況と需要がコロナ前に近い水準に戻ってきております。また、3月後半より心斎橋店舗において平日の宿泊営業を開始しております。この結果、売上高は1,094,068千円(前年同期比46.6%増)セグメント損失は339,145千円(前年同期は154,147千円のセグメント損失)となりました。
ゲーム事業ゲーム事業につきましては、2021年にレーシングゲームアプリをリリースし2023年3月時点、約19万ダウンロードに到達しております。快適に遊んでいただけるよう随時アップデートを実施しております。また、メタバース事業におけるNFT販売による売上が寄与しました。この結果、売上高は17,357千円、(前年同期比61.3%減)セグメント損失は35,249千円(前年同期は215,260千円のセグメント損失)となりました。
運送事業運送事業につきましては、駐車場の貸出し等の安定的な収益獲得に加え、チャーター便、貸切配送便、ハンドキャリー、倉庫保管、医療品輸送など多様なサービスを提供してまいりました。この結果、売上高は473,672千円、セグメント損失は5,760千円となりました。
当社グループにおける、当連結会計年度末の財政状態につきましては、次のとおりであります。当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比4,201,008千円の増加となる5,683,018千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比3,343,939千円の増加となる4,369,324千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比857,068千円の増加となる1,313,694千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は871,910千円となり、前連結会計年度末比617,857千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果使用した資金は3,314,695千円となりました。これは主に貸倒引当金の増加488,082千円による増加があった一方で、税金等調整前当期純損失の計上2,266,114千円や営業貸付金の増加1,620,565千円による減少があったこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果使用した資金は895,786千円となりました。これは主に事業譲渡による支出770,000千円による減少があったこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果得られた資金は4,828,339千円となりました。これは主に短期借入金による収入3,198,347千円や株式の発行による収入2,919,117千円による増加があった一方で、長期借入金の返済による支出115,289千円及び短期借入金の返済による支出1,428,728千円による減少があったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産実績当社グループは金融サービス事業、サイバーセキュリティ事業、空間プロデュース事業、ゲーム事業、運送事業を主たる事業としており、生産活動を行っていないため該当事項はありません。
受注実績該当事項はありません。
販売実績
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
金融サービス事業
508,663
112.6
サイバーセキュリティ事業
259,540
55.9
空間プロデュース事業
1,094,068
46.6
ゲーム事業
17,357
△61.3
運送事業
473,672
-
合計
2,353,302
96.6
(注) 主な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、10%以上に該当する取引先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループはこの連結財務諸表の作成に当たりまして、貸倒引当金や繰延税金資産の計上、投資その他の資産の評価及び偶発債務の認識等に関して、過去の実績や取引の状況に照らし合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。当該見積り及び判断について当社は継続的に評価を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う業績の悪化が懸念され、財務諸表の作成においてのれんを含む固定資産の減損や投資案件の減損、更に貸付先の業績悪化に伴う貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響額は、今後の広がり方や収束時期等について、外部の情報源に基づく客観性のある情報が入手できないため、当事業年度期末時点で入手可能な情報をもとに見積りを行っております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
(資産)当連結会計年度末における流動資産は4,036,300千円となり、前連結会計年度末に比べ2,848,295千円増加しました。これは主に、事業融資により営業貸付金が1,453,643千円、中古住宅の取得により販売用不動産が178,265千円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,646,718千円となり、前連結会計年度末に比べ1,352,712千円増加しました。これは主に、事業譲受により建物が602,998千円、商標権が276,699千円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は5,683,018千円となり、前連結会計年度末に比べ4,201,008千円増加しました。
(負債)当連結会計年度末における流動負債は3,029,620千円となり、前連結会計年度末に比べ2,596,737千円増加しました。これは主に、短期借入金が1,783,254千円、契約負債が206,600千円増加したこと等によるものであります。固定負債は1,339,703千円となり、前連結会計年度末に比べ747,202千円増加しました。これは主に、長期借入金が400,795千円増加したこと等によるものであります。この結果、負債合計は4,369,324千円となり、前連結会計年度末に比べ3,343,939千円増加しました。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,313,694千円となり、前連結会計年度末と比べ857,068千円増加しました。これは主に、新株式の発行及び新株予約権の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,543,810千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失2,254,363千円を計上したこと等によるものであります。 この結果、自己資本比率は21.8%(前連結会計年度末は27.2%)となりました。
資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資金運営は、事業活動にかかる資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、不動産及び株式の取得については金融機関等からの借入の利用などにより流動性を保持しております。しかしながら、新型コロナウイルスの5類への移行による感染拡大の程度に左右されるものであることから、厳しい経営環境が続くものと考えられ、財務状態の健全化を図る必要があると認識しております。このため、株式・新株予約権の発行による資金調達の可能性を検討してゆきます。また、金融機関等からの借入による資金調達を実施する予定であります。
経営成績の分析経営成績の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
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