【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束し、経済活動の制約も解消される傾向にあることから、緩やかな回復基調にあります。企業の設備投資意欲は、デジタル化、脱炭素化に関連した投資もけん引役となり、引き続き旺盛です。ロシア・ウクライナ情勢が長期化するなど、地政学的リスクは依然として高く、エネルギー需給バランスや経済安全保障の面で懸念が残ります。
当社グループと関連の高い建設業界については、引き続き資材価格高騰により建設コストは増加しているものの、コロナ禍で先送りされた住宅・建設需要を背景に、新設住宅着工戸数及び建設工事受注は概ね回復基調にあります。また、鉄スクラップ相場は、一時的な上昇・下落局面を経て、3月末には53,000円/トン(東京製鐵(株)宇都宮工場特級価格)となっております。
このような状況下、廃棄物処理・再資源化事業においては、電力費、燃料費の高騰や、東北復興PJなど複数の大型PJ案件が前連結会計年度に終了したことなどの影響を受けつつも、廃棄物の付加価値化、製品化などに継続して取り組みました。資源リサイクル事業においても電力費の高騰や、使用済自動車の発生台数減少といった影響を受けましたが、分選別の強化や適切な在庫マネジメントにより、搬出品の付加価値を高めることに努めております。再生可能エネルギー事業においては、長期間の法定点検などによる操業度低下や、集荷不足による発電出力の抑制の影響を受けましたが、電力小売部門において非FIT燃料(固形燃料RPFなど)を活用したことが奏功し、収益改善に繋がりました。その他の事業においても、グループ間での相乗効果を図る製品開発、研究技術開発、クロスセリング等に積極的に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の売上高は90,712百万円、営業利益は7,509百万円、経常利益は7,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,197百万円となりました。
なお、当社は、2021年10月1日付で(株)タケエイとリバーホールディングス(株)の経営統合に伴い、両社の共同持株会社として設立されました。設立に際し、(株)タケエイを取得企業として企業結合を行っているため、前連結会計年度の連結経営成績は、取得企業である(株)タケエイの2021年4月1日から2022年3月31日までの連結経営成績を基礎に、リバーホールディングス(株)の2021年10月1日から2022年3月31日までの連結経営成績を連結したものとなります。そのため、当連結会計年度は、前連結会計年度との対比は行っておりません。
この結果、当連結会計年度の経営成績及び主要な経営指標は次のとおりとなりました。
当連結会計年度
(自 2022年 4月 1日
至 2023年 3月31日)
収益性
売上高
(百万円)
90,712
営業利益
(百万円)
7,509
営業利益率
(%)
8.3
経常利益
(百万円)
7,600
親会社株主に帰属する当期純利益
(百万円)
5,197
資本効率
自己資本利益率(ROE)
(%)
8.1
財務健全性
自己資本比率
(%)
49.5
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
各セグメントにおける売上高については、「外部顧客への売上高」の金額、セグメント利益については、「報告セグメント」の金額を記載しております。
a. 廃棄物処理・再資源化事業
(株)タケエイの建設系廃棄物処理・リサイクルにおいては、東北復興PJが前連結会計年度に複数終了したことにより取扱量が減少し、再開発案件等からの搬入は堅調に推移したものの減収となりました。また、電力費や燃料費の値上がり及び高止まり傾向によるコスト増加の影響を受け減益となりましたが、中間処理施設において廃棄物の徹底した分選別による有価物回収や、廃プラスチック等からの固形燃料RPF製造や、収集したダスト(粉塵)からの製鉄副資材「エコ・フォーム」製造といった搬出品の付加価値化、製品化などに引き続き取り組みました。
その他、廃石膏ボードの再資源化を行う(株)ギプロは、新築・解体案件の増加に伴って搬入量が増加し、増収増益となりました。イコールゼロ(株)は、前連結会計年度に災害廃棄物処理支援PJが完了したことに加え、半導体等の生産調整による影響を受けて廃液の取扱量が減少して減収減益となりました。2022年5月に取得し、第2四半期連結会計期間より連結業績に寄与しているJWガラスリサイクル(株)は、ガラスリサイクルのニーズの高まりを受け、引き続き堅調に推移しています。管理型最終処分場を運営する(株)北陸環境サービスは、前連結会計年度と比較して大型PJ案件が減少したことに加え、2022年8月の集中豪雨災害や冬場の降雪等の影響を受け、減収減益となりました。(株)信州タケエイは、産業廃棄物処理事業、解体事業とも好調に推移し、コスト増の影響は受けたものの、増収増益となりました。
この結果、セグメント売上高は25,473百万円、セグメント利益は4,210百万円となりました。
なお、JWガラスリサイクル(株)は、2023年4月3日付で、TREガラス(株)に社名変更しております。
b. 資源リサイクル事業
リバー(株)藤沢事業所のヤード建屋建替に伴う操業制限が継続しております。また、複数の事業所における新設設備導入等により減価償却費が増加し、エネルギー価格高騰により電力費も増加しております。自動車生産における半導体供給不足により使用済自動車の減少なども影響しております。
鉄・非鉄スクラップの仕入・加工・販売を行うスプレッド事業では、入荷から出荷までの工程を迅速に処理・対応することで資源相場の変動によるリスクを最小限に抑制することに加え、素材に適した選別・加工を行うことで収益を確保しております。
廃棄物などの中間処理及び再資源化を行う非スプレッド事業では、リバー(株)那須事業所の新たな樹脂選別ラインやリバー(株)東松山事業所に新設した電子廃棄物専用ラインにおいて、効率的かつ効果的に選別することで、可能な限り資源を循環させ、ダスト(残さ物)などの処理コストを低減し、分選別後の有価物売却により収益を確保しております。
この結果、セグメント売上高は44,850百万円、セグメント利益は3,139百万円となりました。
c. 再生可能エネルギー事業
市原グリーン電力(株)は、第1四半期連結会計期間において法定点検実施に伴って長期停止した後は安定稼働を続けておりますが、燃料となる木質チップ集荷に苦戦したことも影響し、減収減益となりました。(株)タケエイグリーンリサイクルは、横須賀バイオマス発電所において安定稼働を継続していることなどから、営業赤字幅は縮小しつつあるものの、木質チップ集荷の低迷が続いて発電出力を抑制したことや、遠方から燃料集荷することなどによりコストが増加し、利益確保には至りませんでした。(株)大仙バイオマスエナジーは、燃料材の水分率管理に苦戦し、燃焼効率が下がったことから、減収減益となりました。(株)田村バイオマスエナジーは、安定操業体制を確立したことや燃料チップの貯留棟が完成したことなどから好調を維持し、増収増益となりました。2022年9月1日付で電力小売子会社5社を統合した電力小売部門は、非FIT燃料(固形燃料RPFなど)の活用や、管理一元化によるコスト削減などが寄与し、好調に推移しています。
この結果、セグメント売上高は13,678百万円、セグメント利益は688百万円となりました。
d. その他
環境装置、特殊車輌等を開発・製造・販売する富士車輌(株)は、受注残高が引き続き高位に推移しておりますが、海外からの仕入部材、資材の調達遅れ等により製造期間が延び、その間、調達コストが当初見込みより上昇した影響で、増収ながらも減益となりました。
環境保全(株)及び(株)アースアプレイザルは、アスベスト(石綿)分析関連の受注が続き、業績は堅調に推移しております。
この結果、その他に含まれるセグメント売上高の合計は6,709百万円、セグメント利益は325百万円となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年 4月 1日
至 2023年 3月31日)
前年同期比(%)
廃棄物処理・再資源化事業(百万円)
16,795
-
資源リサイクル事業(百万円)
38,065
-
再生可能エネルギー事業(百万円)
12,162
-
その他(百万円)
5,354
-
合計(百万円)
72,378
-
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当社は、2021年10月1日付で(株)タケエイとリバーホールディングス(株)の経営統合に伴い、両社の共同持株会社として設立されました。そのため、前年同期との対比は行っておりません。
b. 受注状況
廃棄物処理・再資源化事業においては、顧客との契約は包括的な契約を主としており、個々の受注案件の期間、数量及び金額等について変動要素が多く情報として有用性に欠くため、記載を省略しております。
資源リサイクル事業においては、受注生産方式を採用していないため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年 4月 1日
至 2023年 3月31日)
前年同期比(%)
廃棄物処理・再資源化事業(百万円)
25,473
-
資源リサイクル事業(百万円)
44,850
-
再生可能エネルギー事業(百万円)
13,678
-
その他(百万円)
6,709
-
合計(百万円)
90,712
-
(注)1.総販売額に対する割合が10%以上の主要な販売先が無いため、相手先別の記載を省略しております。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
3.当社は、2021年10月1日付で(株)タケエイとリバーホールディングス(株)の経営統合に伴い、両社の共同持株会社として設立されました。そのため、前年同期との対比は行っておりません。
③ 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は132,290百万円(前連結会計年度末比2,765百万円の増加、前連結会計年度末比2.1%増)となりました。
流動資産は39,177百万円(前連結会計年度末比1,062百万円の増加、前連結会計年度末比2.8%増)となりました。これは、現金及び預金が341百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が591百万円、棚卸資産が314百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は91,985百万円(前連結会計年度末比1,739百万円の増加、前連結会計年度末比1.9%増)となりました。これは主に、JWガラスリサイクル(株)を新規連結(2022年6月30日みなし取得日)したこと等により土地が1,707百万円増加したことによります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は65,152百万円(前連結会計年度末比199百万円の減少、前連結会計年度末比0.3%減)となりました。流動負債は27,011百万円(前連結会計年度末比2,579百万円の増加、前連結会計年度末比10.6%増)となりました。これは、短期借入金が3,843百万円増加したこと等によります。固定負債は38,141百万円(前連結会計年度末比2,778百万円の減少、前連結会計年度末比6.8%減)となりました。これは、社債が571百万円、長期借入金が2,264百万円減少したこと等によります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は67,137百万円(前連結会計年度末比2,964百万円の増加、前連結会計年度末比4.6%増)となりました。これは、利益剰余金が2,871百万円増加したこと等によります。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、税金等調整前当期純利益と減価償却費を源泉とした収入が固定資産の取得や法人税等の支払などによる支出を上回り、2,491百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入金の増加や長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払による支出などにより、2,827百万円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物は336百万円減少し、当連結会計年度末残高は、23,678百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益7,885百万円、減価償却費5,740百万円等の収入が、法人税等の支払額3,825百万円等の支出を上回ったことにより、9,184百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、既存設備の更新や改良投資などによって固定資産の取得による支出5,707百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,412百万円等により、6,693百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加額2,875百万円、長期借入れによる収入2,814百万円等の収入があったものの、長期借入金の返済による支出5,262百万円、配当金の支払額2,326百万円等の支出が上回ったことにより、2,827百万円の支出となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により充当することを基本としておりますが、最終処分場、新規設備投資・改修等の大型の投資案件に係る資金につきましては資金需要が発生した時点で市場の状況等を勘案の上、銀行借入、社債発行及び増資等の最適な方法により資金調達することとしております。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
固定資産の減損損失
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、原則として、事業所又は個々の会社を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来の利益計画に基づき慎重に検討を行っておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
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