【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結会計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)のわが国は、3年以上苦しめられてきた新型コロナウイルス感染症の影響が次第に和らいできました。厚生労働省はこの感染症を季節性インフルエンザと同等の第5類感染症に分類しました。「8回にわたる感染拡大の波を乗り越え、ウィズコロナへの移行を進めてくることができました」とし、リスクが低下したと判断しました。この間に、当社内でも数人の感染者が発生しましたが幸い大事には至っておりません。しかし、感染症に苦しまれた方々、後遺症に悩まされている方々、不幸な事態をご経験された方々には、心からお見舞い申し上げます。
国内の経済情勢は、個人消費が回復基調を維持し、行動制限の解除により人出が回復し、GW期間における国内旅行者数はコロナ前の水準に戻りました。インバウンドの復活の兆しや春闘による賃上げも影響は限定的ながら明るい話題となりました。法人部門は、第1四半期において全産業で前期比+6.2%と3四半期ぶりの増益となり、設備投資は緩やかに増加しました。
こうした状況の中、当第2四半期連結累計期間における画像検査関連事業は、前年(2022年12月期)第2四半期連結累計売上額8.4億円に対し2割以上増の10.4億円となりました。
画像検査関連事業における主軸であるラベル検査機が堅調でした。医薬品や食品市場のニーズに応える小型横軸ロール検査機「S-Lab SSV」や、インライン検査CISユニットが販売台数を増やし、大型検査機であるスリッター搭載横軸ロール検査機「S-Lab SSR」も納品した得意先顧客から高い評価を得ています。新製品のスマートシリーズは、コンパクトで操作が簡単かつ廉価というコンセプトが受け、人気製品となりました。本新製品のニーズの高まりを継続するために、顧客の要望に応える機能開発や製品改善に注力しています。2019年の販売開始以来、販売台数が100台を超えた大型検版機S-Scan LNCは、当期の出荷も好調に推移し、当第2四半期連結累計期間の売上を押し上げる要因になりました。本製品は、海外からの引き合いも多く、展開準備を進めています。
当社製品群は、ご相談から、提案、受注、製造、そして納品・検収まで、長い期間を要するものが多々あります。当第2四半期連結会計期間にも、大型のインライン枚葉品印刷検査機や当社画像検査事業のルーツである高精細電子基板検査機など、2年以上の期間を要する案件も多々出てまいりました。ご相談から納品までのお客様との長いお付き合いは、これまで積み上げてきた当社画像検査技術を高く評価された結果であり、顧客満足度を大切にしてきた成果とも考えております。
画像検査業界では、AI(人工知能)の活用が進展しています。閉域ネットワーク内で稼働可能なオンプレミス版AIシステム「Sirius-AIS」(シリウスアイズ)は、セキュリティ要件の高い企業向けのシステムですが、検査データ収集から、学習データ作り(アノテーション)、深層学習、学習モデルの適用までローカル環境で簡単に実行できる点が人気を得ています。当社の検査機の既存顧客へこのSirius-AISの導入が進むとともに、新規顧客からも数多くの引き合いをいただいております。また、Sirius-AISのクラウド版も用意し、DXクラウドサービスの「UniARTS」に組み込んでサブスクリプションでもご提供しています。このサービスにより、日々のアップデートによる利益を享受いただいております。
このDXクラウドサービスにて品質改善に資するシステムを提供する株式会社UniARTSは、営業開始から1年半が経過しました。サブスクリプションモデルは、初期コストがほとんど不要でかつ追加開発費の心配がないなどお客様のメリットは大きいものの、新しいビジネスモデルであるため、損益分岐点を超えるまで苦しい日々を経てきました。しかし、当第2四半期連結会計期間中には単月黒字化を達成し、グループ収益に貢献できる準備が出来てきました。
クラウドサービスの企画・開発・運営を行う株式会社ウェブインパクトは、受託開発が好調でした。これまでの官公庁向けシステムの運用保守と新規システム開発の受注が順調に推移する一方、国立大学法人向け、地公体向けの受託開発も伸長しました。クラウドサービスとして提供する申請審査は新規案件も加わり当社の大きな収益源となっています。WEB給(給与明細サービス)、Sync(スケジューラ同期サービス)、QuickGate(スキー場チケット販売サービス)なども順調で、グループ業績に貢献しました。
海外市場では、アセアン諸国市場、中国市場ともに、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上低迷の長期化が続いています。タイ、ベトナム含むASEAN市場においては、営業活動は再開できたものの、未だ新型コロナウイルス感染症の影響が残り、当第2四半期連結累計期間は厳しい結果となりました。ベトナムでは、第1四半期連結会計期間末の事業移管により、特殊印刷機関連事業からの撤退が完了しました。このため今後は画像検査関連事業が中心となりますが、現在準備段階となっており、早急の立上げを進めています。
中国では、長期間続いたゼロコロナ政策による営業活動への制約が大きかったものの、2023年1月末の春節以降、経済活動の活発化が見られます。当社の印刷品質検査ソフトウエアを中国製搬送機に組み込んで画像検査機として販売するビジネスモデルが成果を出し始めており、複数の中国大手容器メーカー生産工場への導入が進んでいます。化粧品ボトル・容器市場で需要を取り込むとともに、自動車関連市場や医薬品市場への3DT(プラズマ加工処理)装置販売などにより、当第2四半期売上は前四半期比2倍以上となり、来期の成長に向けた手ごたえを感じております。
上述のとおり、過去3年間積極的に人とコストを投資することにより研究開発した新技術・新製品により、既存市場だけでなく、海外含む新市場を開拓してきた成果が業績に現れてまいりました。この投資の成果を、当期の業績回復だけではなく来期以降の持続的成長に資するため、当第2四半期連結累計期間においても、さらなる新技術・新製品の研究開発、ソフトウエア新製品開発、及び新市場開拓のために積極的に投資を続けております。その結果、当第2四半期連結累計期間(2023年1月~6月)の研究開発費投資額は、1億4百万円を計上いたしました。
また、新技術・新製品の研究者・開発者の積極的増員とともに、国内営業体制の再編と海外営業担当の増員など、来期に向けた人員体制の構築のために積極的に投資を継続しています。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経営成績につきましては、売上高は10億47百万円(前年同期比24.5%増加)となりました。また、利益面におきましては、営業利益が16百万円(前年同期は営業損失3億25百万円)、経常利益が59百万円(前年同期は経常損失2億47百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は44百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失3億11百万円)となりました。
財政状態については、当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して25百万円増加し、31億38百万円となりました。これは主として現金及び預金が2億16百万円減少及び土地が63百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が1億5百万円増加、流動資産その他が1億18百万円増加、ソフトウエアが22百万円増加及び投資有価証券が28百万円増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して19百万円減少し、4億47百万円となりました。これは主として未払消費税等が18百万円増加、繰延税金負債が9百万円増加及び流動負債その他が18百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が60百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して45百万円増加し、26億90百万円となりました。これは主として利益剰余金が3百万円減少、その他有価証券評価差額金が19百万円増加及び為替換算調整勘定が19百万円増加したことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して0.5ポイント増加し、84.1%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2億16百万円減少し10億31百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローでは、85百万円の支出(前年同期は1億32百万円の支出)となりました。これは主として税金等調整前四半期純利益の計上71百万円及び未払消費税等の増加74百万円があるものの、売上債権の増加76百万円、仕入債務の減少68百万円及び固定資産売却益の計上61百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、96百万円の支出(前年同期は1億85百万円の支出)となりました。これは主として無形固定資産の取得による支出70百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、47百万円の支出(前年同期は2億48百万円の支出)となりました。これは主として配当金の支払47百万円によるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は58百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。