【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における世界半導体市場を、2023年4月時点での半導体世界売上高で分析すると、前月比で僅かながら0.3%増加し、これにより2か月連続で前月を上回る結果となりましたが、この成長は、特に中国市場の回復によるものでした。中国は金融の緩和を行っているものの、水面下ではゼロコロナ政策と同様の規制を続けており、2022年8月から2023年2月までの7か月間、半導体売上高が前月比で減少していました。しかし、中国の半導体売上高は、2023年3月にわずかながら増加し始め、4月には増加率が1.7ポイント上昇して、2.9%の成長を記録しました。中国の半導体売上高は、世界全体の売上高の約28.6%を占め、依然として世界最大の市場となっています。このように一部では回復の兆しはみられるものの、同市場における投資は限定的で、例えば、当第2四半期連結累計期間の前年同月比では、半導体世界売上高は21.6%減少しております。この前年比の減少は、2022年8月から続いており、当初は2023年上半期には在庫調整も一段落するものと予測されておりましたが、回復にはまだ時間がかかるとされています(WSTS及び日経誌データより)。半導体産業は、マクロ経済の低迷や景気の先行き不透明性、在宅需要のピークアウト、インフレーション、地政学的リスクなどの要因によって影響を受けており、2023年6月末時点においてもまだ、スマートフォンやPC、民生機器などの需要低迷が響き、同機器で使用される半導体を中心にだぶつき感が否めない状況が続いています。
ただし、自動車の電動化や再生エネルギー関連の用途においては、需要が引続き強く見込まれており、また、急速に需要が高まっている生成人工知能(AI)も一部のロジックICの需要を押し上げる要因となっています。
半導体産業の統計を提供するWSTSは、2023年通年の半導体世界市場を前年比で10.3%縮小すると予測しています。これによれば、2023年は2019年以来の4年ぶりの市場縮小となる見込みですが、2024年には、市場が回復し、前年比で11.8%の増加を記録するとの見通しも示しています。
日本市場においては、2023年は自動車用途などの半導体需要の下支えによって前年比1.9%成長すると予測され、市場規模は約6兆4,494億円に達するとされています。そして、2024年には成長が加速し、同市場は7.8%成長して約6兆9,537億円に達するとの予測があります。
このような環境下、2023年度における当社グループの主要事業である半導体検査装置事業分野では、EETIMESから引用すると、中国向けを含む市場規模として、前年比23%減の3兆201億円と予測されています。この予測は、半導体の需要低迷が長引いたことによる大幅な下方修正が背景にあります。しかし、2024年以降は、生成人工知能(AI)向けのデータセンターの拡大や電気自動車(EV)、仮想現実(VR)端末の普及により、需要回復が期待されています。世界的な景気の低迷により、半導体製造装置の世界売上高も2023年には前年比19%減の874億ドルになる見通しで、PCやスマホ向け半導体を製造する、韓国サムスン電子や米マイクロン・テクノロジーも大幅な生産調整による減産を行っており、特にメモリーやロジック分野の装置売上高は28%減、市場を引っ張ってきたNAND分野も51%減る見通しです。しかし、中国景気の回復などで民生品の需要が上向き、2024年には再び1,000億ドル台を回復すると見られています。当社としては、市場の上昇機運は未だ弱いものの、より高速高精度な半導体、特に高画素化が求められているLCDドライバーICに注力し、引続きお客様のニーズを取り込んだ、既存装置の改良、改善そして次世代デバイス向け検査装置の開発を継続することで、2023年下半期から2024年かけて回復が予想される当該市場に注力してまいります。
当第2四半期連結累計期間においては、上述のように、お客様工場の在庫のだぶつきから生産調整による受注の遅れがあったことから受注及び売上は低迷いたしました。営業面では販売店に集中させていた、販売方法を見直し当社の製造子会社の営業を含めた直接販売を拡大することとし、現地マーケットに集中した営業展開を2023年8月より本格化いたしました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の当社グループの売上高は186,416千円(前年同四半期比69.8%増)、営業
損失249,453千円(前年同四半期は営業損失349,286千円)、経常損失239,355千円(前年同四半期は経常損失323,882千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失240,594千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失325,120千円)となりました。
なお、セグメント区分については、従来報告セグメントの「半導体検査装置事業」及び報告セグメントに含まな
い「その他」の2つにセグメントを区分しておりましたが、第1四半期連結会計期間より「半導体検査装置事
業」の単一セグメントに変更しております。
これは、「その他」の事業セグメントに含まれておりましたオーディオ事業を株式会社データゲート(大阪府大
阪市北区)に事業譲渡を行ったことにより、「その他」に含まれていた事業がなくなったため、報告セグメントを
「半導体検査装置事業」の単一セグメントとして管理することが適切と判断したためであります。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度に比べ8,313千円増加し、1,885,614千円
(前連結会計年度末比0.4%増)となりました。この主な要因は、売掛金が66,462千円増加したものの、現金及び預金が45,991千円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度に比べ53千円減少し、24,889千円(前連結会計年度末比0.2%減)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が53千円減少したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ200,595千円減少し、173,139千円(前連結会計年度末比53.7%減)となりました。この主な要因は、短期借入金が157,030千円減少したこと、買掛金が14,249千円減少したこと及び未払金が20,217千円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度に比べ16,487千円減少し、159,304千円(前連結会計年度末比9.4%減)となりました。この主な要因は、長期借入金が16,449千円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度に比べ225,342千円増加し、1,578,060千円(前連結会計年度末比16.7%増)となりました。この主な要因は、資本金及び資本剰余金が各々が216,669千円増加し、利益剰余金が240,594千円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて45,991千円減少し、当第2四半期連結会計期間末には232,488千円となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は306,840千円(前年同四半期は、245,372千円の減少)となりました。これは主に、売上債権の増加額44,385千円、仕入債務の減少額23,357千円及び税金等調整前四半期純損失239,355千円等による資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は300千円(前年同四半期は、増減がありませんでした)となりました。これは、敷金・保証金支払いによる支出が300千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は260,568千円(前年同四半期は、321,711千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出が156,235千円があったものの、新株予約権の行使による株式の発行による収入が428,424千円があったことによるものです。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は113,597千円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。