【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における世界経済は、金融関連の混乱や高インフレ、ロシアによるウクライナ侵攻長期化などの影響、また3年にわたる新型コロナウイルス感染症を受けて、見通しは再び不透明さを増しており、経済成長率は、2022年の3.4%から2023年は2.8%へ鈍化しており、アナリストによる世界経済の成長率予測が2023年下期には、約2.5%にまで低下するとの予測もある中、先進国の成長率は1%を下回ることになるとの見解もあり、予断を許さない状況が続いております(世界経済見通し WEO)。 同期間における我が国経済に目を向けると、日銀短観では、周辺国との地政学的な影響も色濃く受け、また円安による原材料高が我が国経済を直撃し、製造業を中心に景況感が低迷、加えて世界的な半導体需要の落ち込みから電子機器の需要も悪化しております。一方、個人消費やインバウンド需要の回復を背景に、小売などの消費関連の景況感は改善しており、第3次産業活動指数は、現時点の2023年3月では、前月対比+0.9%と2か月ぶりの上昇。新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを受けて、運輸業・郵便業や生活娯楽関連サービスなどが上昇しております。
当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界におきましては、世界的なテレワーク需要の減少を背景に、民生品向け半導体やフラットパネルディスプレイの需要が急減、在庫がダブつく事態となり、最終製品の出荷数量も、PCモニタやノートPC、スマートフォンなどを中心に全体の数量として大きく減少しております。その結果、年初からパネル等の価格も下落が続き、中国のディスプレイパネルメーカーを中心に工場の稼働率を下げる動きが目立ち、それに伴い新規設備投資にも慎重さが目立ちます。しかしその反面徐々に、5Gなどのインフラの整備が進み、車載、AR/VR、パブリックディスプレイなどの新規アプリが伸びており、特にパブリックディスプレイは欧米やアジアの一部がロックダウンを解除し、公共の場に大勢の人が出てくるようになったことから、そうした場所に新たにディスプレイを設置するニーズが高まりを見せており、2023年下期には各工場における、製造調整も一段落、スマホやPC等を中心に既存分野も回復することが期待され、生産数量、出荷数量ともに減少に転じるものと期待されております(Omdia社)。また今後の半導体市場は今後の10年は、データセンターやGX投資(グリーン投資)など、官民両輪によるインフラの整備がけん引役となり、足元のリセッションにも負けず、力強く成長すると見られております(EETIMES)。
このような環境下、当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、中国、台湾のLCDドライバーIC等のデザインハウスやOSATの設備投資意欲が減退するなか、2023年下期といわれる生産調整の終了を睨みつつ、引続き現地の顧客ニーズに適合したLCDドライバーIC検査装置や、次世代検査ユニットなどの開発を継続しています。
また、営業面では販売店に集中させていた、販売方法を見直し当社の製造子会社の営業を含めた直接販売も拡大することとし、現地マーケットに集中した営業展開を開始いたしました。しかしながら当第1四半期連結累計期間においては、上述のように、お客様工場の在庫のだぶつきから生産調整が発生、その影響を受け計画されていた設備投資もまた第2四半期連結会計期間以降となることとなりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の当社グループの売上高は82,583千円(前年同四半期比59.8%増)、営業損失131,890千円(前年同四半期は営業損失177,005千円)、経常損失138,499千円(前年同四半期は経常損失165,033千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失139,119千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失165,652千円)となりました。
なお、セグメント区分については、従来報告セグメントの「半導体検査装置事業」及び報告セグメントに含まない「その他」の2つにセグメントを区分しておりましたが、当第1四半期連結累計期間より「半導体検査装置事業」の単一セグメントに変更しております。
これは、「その他」の事業セグメントに含まれておりましたオーディオ事業を株式会社データゲート(大阪府大阪市北区)に事業譲渡を行ったことにより、「その他」に含まれていた事業がなくなったため、報告セグメントを「半導体検査装置事業」の単一セグメントとして管理することが適切と判断したためであります。
(2)財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度に比べ20,358千円減少し、1,856,942千円(前連結会計年度末比1.1%減)となりました。この主な要因は、現金及び預金が89,418千円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度に比べ110千円増加し、25,053千円(前連結会計年度末比0.4%増)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が110千円増加したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ139,007千円減少し、234,727千円(前連結会計年度末比37.2%減)となりました。この主な要因は、短期借入金が157,030千円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度に比べ8,452千円減少し、167,339千円(前連結会計年度末比4.8%減)となりました。この主な要因は、長期借入金が8,433千円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度に比べ127,210千円増加し、1,479,928千円(前連結会計年度末比9.4%増)となりました。この主な要因は、資本金及び資本剰余金がそれぞれ119,699千円増加したことによるものです。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は57,418千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。