【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結会計期間(2022年7月1日~2022年9月30日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延が昨年より引き続き継続しておりますが、テレワーク需要やモバイル、そしてHPC(クラウド化に伴うサーバ台数増加)の伸長により活況に推移した上半期に比べ、2022年折り返しから、中国各地のロックダウン、ロシア・ウクライナ情勢の影響が物流やエネルギーにまで及び、世界経済にまで大打撃を与える状況となり、不安定に推移しました。足元では、各国が進めるウイズコロナ政策における、テレワーク需要も一段落したことなどを受け、各社による在庫調整がクローズアップされることとなり、景気後退リスクが高まっている状況です。具体的には、最終製品需要の減退を受けた半導体市場の軟化が進み、民生機器関連向けを中心に、今後減速する懸念は払拭できず半導体設備への投資意欲も大きく減退しております。
また、足元では最近の台湾情勢を取巻く米中関係、長引くウクライナ侵攻の影響、また国内においては、大幅な円安による物価上昇圧力が続き消費者マインドにも影響が出ており、それは市場、経済ともにマイナス要因に働くことが予想されております。しかし、国によって新型コロナウイルス感染症への対応、ロシアのウクライナ侵攻の影響は様々ですが、ワクチン普及による防疫措置の緩和、欧米、中国を含む各国がエネルギー危機への対応を進めることで、中期的には回復方向へと向かうと予想されております。
当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界は、テレワーク等に支えられてきた2021年から2022年前半までは好調でしたが、大量消費国であった中国各地におけるロックダウン政策の影響を受けて、後半は大きく減退し、パネル各社は在庫調整に入っております。しかし当該市場の今後は、各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み、自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に開発・開拓され、広範な需要に支えられ、足元も含めた半導体サイクルといわれる短期需要変動を繰り返しつつも、中長期的に大きな成長が予測されております。
当社グループの主要事業である半導体検査装置事業では、2022年8月10日に8千万円の受注、同年10月20日に追加で1億円の受注を頂きました。しかし、2022年3月から4月にかけて開発が完了した次世代向け機能リソースユニットを現行装置WTS-577SRにも搭載できるようにし、ベンチマークは計画どおりに完了したものの海外市場からの新規受注には至っておらず、また上述のように足元では半導体市場の踊り場に突入したことから、受注済み装置の出荷は、当社第4四半期連結会計期間以降となります。
営業面では新型コロナウイルス感染症による日本からの訪中、訪台の大幅制限は、当第3四半期連結会計期間半ば以降大幅に緩和されました。2022年8月より営業活動の再開を行うことが可能となったことから、これまでのベンチマークの結果報告をお客様に確認、受注と納入に向けたアプローチを開始しましたが、上述いたしましたIT機器需要等の急激な減退を受けた半導体市場の低迷期に直面することとなり、先に記載の国内方面での受注は若干動きがあったものの、全体として新規受注及び売上は低調に推移しました。
このような状況により、当第3四半期連結累計期間の当社グループの売上高は138,881千円、営業損失513,881千円、経常損失486,356千円、親会社株主に帰属する四半期純損失488,214千円となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
半導体検査装置事業においては、上記のように、2022年折り返しから、中国各地のロックダウン、ロシア・ウクライナ情勢の影響が物流やエネルギーにまで及び、市場は不安定に推移、またテレワーク需要の段階的な終息からIT機器需要の減退を要因として半導体メーカー各社は設備投資に慎重な姿勢となったことから低調に推移、この結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は136,036千円、営業損失510,639千円となりました。今後、第4四半期連結会計期間から2023年に向け、販売店戦略の見直し、ローカル拠点戦略などの整備並びに販管費等の見直しを進め、事業活動をより活発、強力に推し進めてまいります。
報告セグメント「新エネルギー関連事業」については、2021年10月21日付にてオランジュ株式会社の全株式を売却したことから、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを廃止しております。
なお、「その他」の事業セグメントに関しましては、当社が行っているオーディオ事業を含んでおりますが、重要性が低いことから、報告セグメントとはしておりません。
また、2022年8月末に当該オーディオに関する事業を、シナジーの高い株式会社データゲート(大阪府大阪市北区)に事業譲渡しております。これは、当社のコア事業に経営資源を集中投下することを目的としてノンコア事業を売却したものです。
②財政状態の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ172,468千円減少し、1,698,314千円(前連結会計年度末比9.2%減)となりました。この主な要因は、現金及び預金が138,227千円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,277千円増加し、27,707千円(前連結会計年度末比8.9%増)となりました。この主な要因は、その他投資等が2,277千円増加したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ62,271千円減少し、139,601千円(前連結会計年度末比30.8%減)となりました。この主な要因は、買掛金が74,377千円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ79,508千円増加し、183,418千円(前連結会計年度末比76.5%増)となりました。この主な要因は、長期借入金が79,665千円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ187,426千円減少し、1,403,001千円(前連結会計年度末比11.7%減)となりました。この主な要因は、資本金及び資本準備金がそれぞれ114,245千円増加したものの、利益剰余金が494,839千円減少したことによるものです。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は183,292千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。