【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
(1)財政状態
当連結会計年度における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ1,748百万円増加し、17,464百万円(11.1%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ710百万円増加し、9,883百万円(7.7%増)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ1,038百万円増加し、7,581百万円(15.9%増)となりました。
(2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は2期連続で過去最高を更新し、12,516百万円(前期比8.3%増)となりました。また、利益面では、営業利益は1,256百万円(前期比15.7%増)、経常利益は外貨預金等に為替差益55百万円等が発生したため1,283百万円(前期比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は昨年発生したサイバー攻撃関連の保険金の受取り115百万円や子会社清算益35百万円が発生したこと等から1,004百万円(前期比27.1%増)となりました。
以上の結果、前期比で増収増益を達成するとともに、2022年5月16日に発表した当期の連結業績予想を上回る結果となりました。
売上高及び営業利益に関する説明は下記のとおりです。
売上高は、米欧地域の大型国際共同治験等の増加に加え、為替が円安に推移し海外子会社の収益を押し上げたことから、欧州、米国、アジアの海外事業が前期比で増収となり、連結で過去最高となりました。欧米を中心とする海外製薬企業、バイオテクノロジー企業の治験需要は旺盛であり、当社グループの受注残高は高いレベルを維持しています。引き続きこれらの企業からの引き合いを確実に受注できるよう営業活動を強化してまいります。
営業利益は、日本の増益に加え、米欧地域で第1四半期に大型国際共同治験の開始が遅れ、一時的に要員稼働率が低下したものの、7月後半に開始されて以降はおおむね順調に進捗し、その他新規案件の開始や契約変更による工数増加もあり、要員稼働率が高水準を維持したことによって業績が改善した結果、増益となりました。
次に、各地域の状況は下記のとおりです。
日本は、上期に依頼者事由による治験開始時期の変更が発生したこと等の影響が大きく、前期比で減収となったものの、営業利益は、採用数調整による人件費の厳密なコントロール等により、情報セキュリティ強化のための費用増加等を吸収し、前期比で大幅な増益となりました。
米国においては、前述の第1四半期の米欧地域での大型国際共同治験の遅れ等があったものの第2四半期以降は改善したことに加え、円安の影響もあり前期比で増収となりました。一方、営業利益面では、前述の第1四半期の試験遅れ等に伴う一時的な要員稼働率の低下等の影響が大きく、第2四半期以降は改善したものの前期比で減益となりました。
欧州においては、前期の好調な受注を計画通り消化して売上を計上するとともに、上述の大型国際共同治験においても第2四半期以降は順調に進捗したことに加え、円安の影響もあり、前期比で大幅な増収となりました。一方、営業利益は、いくつかの受託案件で進捗の遅れが発生し第4四半期で予定していた売上が想定を若干下回ったこと等もあり前期比で僅かに減益となりました。
韓国では、複数の新規案件を獲得・開始したこと等に加え円安の影響もあり前期比で大幅な増収となりました。営業利益は、新規案件に対応するための増員による先行的な人件費増加により第1四半期に営業損失を計上した影響が大きく、第2四半期以降において利益を順調に積み上げたものの、前期比では減益となりました。
中国では、上期にゼロ・コロナ政策によるロックダウンの影響から一部の受注案件で進捗が遅れた結果、前期比で増収減益となりました。
台湾では、上期に既存の一部受注案件でコロナの影響から治験の進捗が遅れたものの新規案件の開始もあり、前期比で増収となりました。また、営業利益面でも、増収に加え、費用節減を継続した結果、営業黒字化を達成し、前期から業績が大きく改善しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① CRO事業
当社グループのCRO事業につきましては、売上高は11,669百万円(前期比9.9%増)、営業利益は3,094百万円(前期比21.9%増)と増収増益となりました。
② 育薬事業
当社グループの育薬事業につきましては、売上高は847百万円(前期比9.8%減)、営業利益は158百万円(前年比42.6%減)と減収減益となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,056百万円増加し、7,042百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,839百万円(前連結会計年度は1,631百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,378百万円の計上に加え、預り金の増加額999百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、14百万円(前連結会計年度は20百万円の獲得)となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出10百万円及び有形固定資産の取得による支出11百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、957百万円(前連結会計年度は951百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出539百万円及び配当金の支払額316百万円があったことによるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
② 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
CRO事業
10,141,745
△28.3
20,450,663
△7.0
育薬事業
794,123
+8.0
482,962
△9.9
合計
10,935,868
△26.5
20,933,626
△7.0
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
CRO事業 (千円)
11,669,884
+9.9
育薬事業 (千円)
847,114
△9.8
合計(千円)
12,516,998
+8.3
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
中外製薬株式会社
1,477,359
12.8
1,322,626
10.6
エーザイ株式会社
1,593,305
13.8
1,314,600
10.5
2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2023年6月23日)において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,748百万円増加し、17,464百万円(11.1%増)となりました。これは、主に現金及び預金、売掛金及び契約資産の増加によるものであります。
② 負債の部
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ710百万円増加し、9,883百万円(7.7%増)となりました。これは、主に長期借入金が減少する一方、預り金が増加したことによるものであります。
③ 純資産の部
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,038百万円増加し、7,581百万円(15.9%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ961百万円増加し、12,516百万円(前期比8.3%増)となりました。
② 売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ411百万円増加し、8,355百万円(前期比5.2%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ379百万円増加し、2,905百万円(前期比15.0%増)となりました。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ170百万円増加し、1,256百万円(前期比15.7%増)となりました。
⑤ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ99百万円増加し、1,283百万円(前期比8.4%増)となりました。
⑥ 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ346百万円増加し、1,378百万円(前期比33.6%増)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ213百万円増加し、1,004百万円(前期比27.1%増)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1[経営成績等の状況の概要] (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 財務政策及び資金の流動性についての分析
当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。
内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。
当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,632百万円、現金及び現金同等物の残高は7,042百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,500百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。
(5)経営成績等に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は44.47円(前年同期比27.1%増)となりました。これは、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期と比して増加したことによるものです。
1株当たり当期純利益の2023年3月期までの実績値及び2024年3月期の計画値は、次のとおりであります。
経営指標
2020年
3月期実績
2021年
3月期実績
2022年
3月期実績
2023年
3月期実績
2024年
3月期計画
1株当たり当期純利益(円)
21.38
23.91
35.00
44.47
44.63
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