【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当社グループでは、持続的成長と収益性を向上し、企業価値の継続的な拡大を目指す中期経営計画(2022年度から2024年度)を2022年2月に公表いたしました。より多様化し高まっていくお客様のご期待にお応えし着実な成長を実現するために、マクドナルドビジネスの基盤と将来に向けた分野への投資を強化いたします。これからの成長に向けた3本柱として「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」の分野に注力し、3年間で全店売上高年平均成長率5%前後、営業利益年平均成長率3~5%、営業利益率10%以上、ROE10%以上を目指してまいります。
当第1四半期におきましては、これまで同様お客様の声を伺い、店舗の衛生管理の徹底、QSCと利便性の向上を通じてお客様の店舗体験の向上に努めました。3月には日本国内における鳥インフルエンザ流行の影響によりたまごの供給が不安定となりましたが、調達のための最大限の努力に加え、たまごを使用しない新たな期間限定商品を販売するなどした結果、影響を最小限に抑えることができました。加えて、様々なメニュー戦略やマーケティング活動、人材の採用と育成への投資などを強化した結果、既存店売上高は2015年第4四半期から2023年第1四半期まで30四半期連続でプラスとなりました。
一方で、円安や原材料価格の高騰、エネルギーコストや人件費、物流費の上昇など、ビジネス環境としては前年度から引き続き厳しい状況が継続いたしました。そのため、商品価格を改定するとともに、グローバル規模の原材料調達や、より効率的な物流網の構築といったコスト管理、マーケティング活動の強化、為替ヘッジの取り組み、経費削減など最大限の企業努力を行ってまいりました。この結果、利益面では対前年で減益となりましたが、通期計画に対してはおおよそ想定通り推移いたしました。
<中期経営計画の3本柱>
① ブランド
地域社会の一員として、サステナビリティを積極的に取り組むべき重要課題と位置づけ、「安全でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」を重点的に取り組む4つの領域と定めました。2023年3月にサステナビリティレポート2022としてマクドナルドの考え方と取り組みをウェブサイトで公開しております。
「安全でおいしいお食事を」:食を提供する企業として「食の安全」の確保を最優先課題とし、お客様に安全なお食事をお召し上がりいただけるよう食品管理システムの正確な運用に取り組んでおります。関連法令・規制の遵守とともに、グローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)にも準拠し、さらにマクドナルド独自の基準を加えて構成された、厳しい品質管理システムを構築しております。また、商品に対するお客様の信頼を高めるため、最終加工国、主要原材料の主要原産国の情報公開や、対象サプライヤーに対する監査の実施など、徹底した品質管理体制の構築と強化を図っております。
「地球環境のために」:海のエコラベル(MSC)や森林認証制度(FSC)といった持続可能な原材料であるとの認証を取得した素材の使用、ハッピーセットのおもちゃリサイクル、紙ストローや木製カトラリーの導入によるプラスチック素材の削減、店舗の省エネ機器やデリバリーの電動三輪バイクの導入による温室効果ガス排出の削減にも取り組んでまいります。
「地域の仲間にサポートを」:公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンへの支援や、スポーツ支援、教育支援、安全笛の提供等を通じて地域社会への貢献に努めてまいります。
「働きがいをすべての人に」:全国で19万人のクルーを雇用する雇用主として、性別や年齢、国籍といった様々な個性や背景を持った多様な人材が、それぞれの強みを発揮して働きがいを感じていただける職場環境を作ってまいります。
当第1四半期においては、前期より引き続き、テレビCMやホームページ、SNS等を活用したブランドコミュニケーションの継続に加え、QSCの向上を通じて店舗体験を高めた結果、お客様のブランドに対する好感度や信頼度がさらに上がっております。今後もこれまでの取り組みを継続強化することで、よりお客様との結びつきを強化してまいります。
② メニュー・バリュー
お客様のご期待にお応えするために、それぞれの時間帯に合わせたメニューラインアップを強化し、バリュー・フォー・マネーにおいてお客様にお得感を感じていただける様々な取り組みを実施いたしました。期間限定商品としては、春の風物詩「てりたま」に加え、「アジアンバーガーズ」や「スパイシーチキンマックナゲット黒胡椒ガーリック」等を販売し、多くのお客様にご好評いただきました。また、平日のランチのセットメニューを、お得な価格はそのままに、より親しみやすい「ひるまック」として名称をリニューアルしたほか、手軽に様々な商品をお選びいただける「ちょいマック」を継続するなど、お客様に「おいしさ」「お得さ」「手軽さ」を通じて、マクドナルドのバリューを実感していただける商品をお届けしております。
③店舗・デジタル・ピープル
「店舗」:今後の成長に向けて、移転を含む新規出店や改装、リビルドに積極的に投資を行っていくことで、よりお客様や地域のニーズに合った店舗ポートフォリオへの進化を実現してまいります。キッチンの製造能力強化やドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの最適化など、お客様により便利で快適にご利用いただける環境をご提供してまいります。
当第1四半期においては、新規出店7店舗、閉店14店舗となり、当第1四半期連結会計年度末の店舗数は2,960店舗となりました。キャパシティの増強についても、製造能力を強化したキッチンシステム、商品の受け渡し口を増強した店舗の導入を徐々に進めております。経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドへの投資配分を柔軟に行いながら、お客様の満足度と業績を向上させるための投資を継続してまいります。
区分
前連結会計
年度末
新規出店
閉店
区分移行
当第1四半期
連結会計期間末
増加
減少
直営店舗数
859店
4
△4
2
–
861店
フランチャイズ店舗数
2,108店
3
△10
–
△2
2,099店
合計店舗数
2,967店
7
△14
2
△2
2,960店
「デジタル」:デジタルとピープルの融合により、より良いサービスをご提供していく「未来型店舗体験」のひとつとして、「モバイルオーダー」を導入しております。公式アプリにモバイルオーダーやデリバリーのアプリを統合することで、お客様にシームレスなサービスを提供し、また、お客様のニーズにお応えし続けるためにさらに利便性を高め、利用者数を伸ばすことを目指しています。
デリバリーは、今後も大きく成長が期待されるポテンシャルの高いマーケットです。マクドナルドのクルーがお届けするマックデリバリーサービス(MDS)と、Uber Eats、出前館等との提携により、デリバリーサービスを展開しております。2023年3月末時点で、デリバリー実施店舗数はそれぞれMDS970店舗、Uber Eats1,915店舗、出前館1,933店舗等を合わせて、合計で全国2,198店舗となっております。今後もデリバリーサービスを提供できる店舗を拡大し、お客様の利便性の向上を目指してまいります。
ドライブスルーについては、キャパシティの増強に加え、「モバイルオーダー」でご注文いただいた商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー」を導入しており、2023年3月末時点で全国の1,115店舗で展開しております。また、「ドライブスルー モバイルオーダー」も、全国のドライブスルー店舗(一部店舗を除く)でご利用いただけます。
「ピープル」:事業環境の変化が激しい中において、お客様のご期待にお応えできたのは、約19万人のクルーや店舗社員をはじめとしたピープル、つまり人材があってこそだと考えております。お客様に最高の店舗体験をしていただくため、優秀な人材の採用と育成に積極的な投資を継続しております。デジタル端末を使ったトレーニング教材である「デジタルCDP」は現在日本語以外に5ヶ国語に対応しており、クルーの理解度の向上、トレーニング時間の短縮に繋がっております。また、ハンバーガー大学ではオンラインによる授業を継続し、当第1四半期においては5,000名以上が受講いたしました。さらに、多様な人材の多様なライフスタイルに応じた社員としてのキャリアパスを提供するため、地域社員制度を導入しております。今後も、性別、国籍、年齢などの属性に関わらず、多様な個性や背景を持った人材がそれぞれの強みを生かして自分らしく働き、成長できる環境を提供し、人材育成とリテンションに繋げてまいります。
上述の施策の結果、当第1四半期の既存店売上高は8.0%の増加となりました。
システムワイドセールスは1,882億11百万円(対前年同期比164億3百万円増加)、売上高は920億59百万円(対前年同期比77億69百万円増加)、営業利益は83億78百万円(対前年同期比12億65百万円減少)、経常利益は86億60百万円(対前年同期比9億7百万円減少)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は52億84百万円(対前年同期比8億31百万円減少)となりました。
(注)1.既存店売上高とは、少なくとも13ヶ月以上開店している店舗の合計売上高です。
2.システムワイドセールスとは、直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高であり、四半期連結損益計算書に記載されている売上高と一致しません。
3.当社グループの事業はハンバーガーレストラン事業単一であるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
今後も、お客様、従業員をはじめ全ての方々の安全と健康を最優先しながら、常にお客様に寄り添い、変化する社会やお客様のニーズに柔軟に対応できるよう進化を続けてまいります。おいしいメニュー、お得感、納得感のあるバリュー並びに便利で快適な店舗体験を日々ご提供するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組みながら、「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」ご提供してまいります。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の流動資産は799億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ108億53百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が178億16百万円減少、売掛金が44億2百万円増加、1年内回収予定の長期繰延営業債権が15億4百万円増加したことが主な要因です。 固定資産は1,859億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億40百万円の減少となりました。これは、有形
固定資産が19億32百万円増加、繰延税金資産が19億25百万円減少、長期繰延営業債権が15億66百万円減少したことが主な要因です。
流動負債は521億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ117億6百万円の減少となりました。これは、その他が49億20百万円減少、未払法人税等が20億30百万円減少、未払金が46億86百万円減少したことが主な要因です。
固定負債は69億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億20百万円の増加となりました。これは、役員賞与引当金が53百万円増加、賞与引当金が38百万円増加したことが主な要因です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
特記すべき研究開発活動はありません。
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