【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年7月1日~2023年6月30日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が段階的に緩和され、2023年5月には当該コロナウイルス感染症が5類に移行となり、訪日観光客が増加し始め、日経平均株価も3万円を超えるなど経済活動も活発化し始めました。今後更なる景気回復が期待されますが、長期化するロシアによるウクライナ侵攻等の地政学リスクや世界的な物価上昇や金融引締め政策、円安等、様々な動向に注視していく必要があると考えております。
首都圏の新築分譲マンション市場は、2023年7月20日に発表された「首都圏新築マンション市場動向2023年上半期(1~6月)」(株式会社不動産経済研究所)によると、2023年上半期(1~6月)の供給戸数が1万502戸で、前年同期比17.4%減と2年連続の減少となりましたが、平均販売価格が平米132.1万円と最高値を更新し2年連続で上昇しています。また、2023年7月10日に発表された「2023年6月の首都圏不動産流通市場動向」(東日本不動産流通機構)によると、首都圏における中古マンションの成約件数は3.6%増加し、平米あたりの成約単価も72万2,700円と38か月連続で上昇しています。
当社グループの属する資産運用型マンション市場の動向としては、東京都の人口は、2023年1月30日に公表された「住民基本台帳人口移動報告2022年(令和4年)結果」(総務省統計局)によると、2022年の転入者数は前期比4.7%増加で東京都への移動の動きが活発になりつつあり、特に年代別では、20代の転入超過数が最も多くなっております。人口流入が回復し始めているように、都内の賃貸物件は徐々に需要が上がってきており、賃料も緩やかではありますが上昇の兆しが見えてきました。今後も、賃貸マンションの需給バランスは急激に変化することは想定されず、マンションの資産性は維持されるものと考えられます。
このような事業環境の中、当社グループは「23区・駅近・高機能マンション」をコンセプトに、資産運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」の開発・分譲を行ってまいりました。(※ 当社では「駅近」とは駅徒歩10分以内の距離としております。)
新たに価値のある商品を提供するとともに、資産運用中のバリューアップに貢献する様々なオペレーションを展開してまいりました。その結果、「XEBEC(ジーベック)」シリーズは、投資商品としての資産価値を向上させ、安定収入が見込めるマンションブランドとして、投資家より高い評価をいただいております。
以上の結果、当連結会計年度は、売上高86億27百万円(前期比19.8%減)、営業利益3億7百万円(同509.2%増)、経常利益2億72百万円(同185.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1億92百万円(同233.3%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産販売事業)
不動産販売事業においては、資産運用型マンション「XEBEC(ジーベック)」に加え、中古マンションを取り扱ってまいりました。個人投資家だけでなく、上場リート、私募リート、不動産ファンド、企業法人等、様々な販売チャネルの拡大に努めてまいりました。当連結会計年度は大型物件の売却が寄与いたしました。
以上の結果、売上高72億48百万円(前期比22.9%減)、セグメント利益2億71百万円(同305.0%増)となりました。
(不動産管理事業)
不動産管理事業は、賃貸管理事業及び建物管理事業より構成されております。当連結会計年度は、賃貸管理において、募集賃料の見直し及び空室率の低減に注力し、管理物件の資産性向上を図ってまいりました。建物管理においては、当社が分譲した物件以外の新規契約獲得を推進してまいりました。また、不要な管理コストの削減に努めてまいりました。
以上の結果、売上高11億円(前期比0.7%減)、セグメント利益60百万円(前期はセグメント損失3百万円)となりました。
(海外不動産事業)
海外不動産事業においては、マレーシア国内の建物管理事業では、住宅だけではなく商業施設等の管理推進を図り、管理戸数が1万戸を超えました。
当連結会計年度は、G7 PROPERTIES SDN.BHD.を連結子会社に収め、首都クアラルンプールへ進出し事業の拡大に努めております。
以上の結果、売上高2億25百万円(前期比20.0%増)、セグメント損失24百万円(前期はセグメント損失28百万円)となりました。
(営業支援事業)
営業支援事業においては、法人向けに営業活動全体のコンサルティング事業を行っております。主に製造、技術等に経営資源を集中している企業に対して、営業戦略の立案、営業人員の採用、ターゲット企業の選定から企業へのアプローチや営業代行等、コンサルティングから現場レベルのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)まで総合的な支援を行っております。当連結会計年度は、受注企業のリピート率の増加を図ってまいりましたが、新規の大口受注が減少しました。
以上の結果、売上高52百万円(前期比14.6%減)、セグメント損失8百万円(前期はセグメント利益6百万円)となりました。
当期の財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から2億43百万円増加し52億77百万円となりました。総資産の増加の主な要因は、前期より契約済みの物件が竣工し引渡しを受け、販売したことにより販売用不動産が8億98百万円、及び開発中であった物件が竣工し販売を行ったことにより、仕掛販売用不動産が1億16百万円減少する一方で、現金及び預金11億36百万円が増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から88百万円増加し30億75百万円となりました。負債の増加の主な要因は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)が2億57百万円増加する一方で、短期借入金が1億87百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から1億54百万円増加し22億1百万円となりました。純資産の増加の主な要因は、期末配当金の支払いにより利益剰余金が41百万円減少する一方で、親会社株主に帰属する当期純利益1億92百万円を計上したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は41.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、棚卸資産の販売による減少により、前連結会計年度末に比べ11億36百万円増加し、19億92百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は11億90百万円(前期は27億86百万円の収入)となりました。主な収入は、販売用不動産の売却によるもので、棚卸資産の減少額9億95百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は21百万円(前期は10百万円の収入)となりました。主な支出は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出15百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は31百万円(前期は24億66百万円の支出)となりました。主な収入は、開発用地及び竣工物件取得のための長期借入れによる収入21億75百万円であり、主な支出は、販売用不動産の販売に伴う、長期借入金の返済による支出19億32百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.契約実績
当連結会計年度における不動産販売事業の契約実績は次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
期中契約高
年度末契約残高
戸数
(戸)
金額
(千円)
戸数
(戸)
金額
(千円)
前年同期比(%)
前年同期比(%)
資産運用型マンション
100
2,812,259
51.3
3
81,293
39.9
コンパクト型マンション
13
672,960
14.8
-
-
-
その他不動産
-
-
-
-
-
-
合計
113
3,485,220
26.5
3
81,293
2.1
(注)概ね専有面積30㎡未満の1Kタイプの部屋を資産運用型マンションと定義し、専有面積30㎡から50㎡程度のタイプの部屋をコンパクト型マンションと定義しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
区分
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
戸数
(戸)
金額
(千円)
前年同期比
(%)
不動産販売事業
資産運用型マンション
104
2,934,560
55.1
コンパクト型マンション
85
4,313,719
454.0
その他不動産
-
-
-
小計
189
7,248,279
77.1
不動産管理事業
不動産賃貸管理
-
911,877
97.4
不動産仲介
-
4
3.4
建物管理
-
188,887
109.6
小計
-
1,100,769
99.3
海外不動産事業
資産運用型マンション
-
-
-
コンパクト型マンション
-
-
-
建物管理
-
221,642
121.1
その他
-
4,053
79.4
小計
-
225,695
120.0
営業支援事業
営業活動支援
-
52,271
85.4
小計
-
52,271
85.4
合計
189
8,627,015
80.2
(注)1.セグメント間の取引を相殺消去した後の金額を記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ブローディア・プライベート投資法人
1,974,000
18.4
-
-
株式会社グッドコムアセット
1,968,585
18.3
-
-
株式会社ボルテックス
1,596,500
14.8
-
-
株式会社大京
1,550,000
14.4
-
-
コンフォリア・レジデンシャル投資法人
-
-
3,816,000
44.2
いちごオーナーズ株式会社
-
-
1,836,743
21.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等分析
セグメント別の売上高及び営業利益につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況につきましては、1棟販売での売却が進んだため、棚卸資産が9億95百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが11億90百万円の収入(前期は27億86百万円の収入)となりました。また、販売用不動産の売却に伴う長期借入金の返済により19億32百万円を支出する一方で、長期借入による収入21億75百万円となった結果、財務活動によるキャッシュ・フローは31百万円の支出(前期は24億66百万円の支出)となりました。期末時点の自己資本比率は41.6%となり前期比1.1pt改善し、財務の健全性を保っております。
当社グループは、用地取得費用および建築代金の着手金を、金融機関からの借入金によって調達しております。金融資本市場の変動や金融機関の融資姿勢が変化した場合は、資金調達面で仕入が厳しくなることが想定されます。そのような場合にも柔軟に対応できるよう、安定した財務体質の維持を図ってまいります。また、仕入費用以外の運転資金につきましては、不動産管理事業のキャッシュ・フローと自己資金で対応しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業に重要な影響を与える要因として、法的規制、景気や金利の変動などの経済状況の影響、有利子負債への依存、物件の引渡し時期による業績の偏重、建築工事外注先の経営状態、訴訟の発生など様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。