【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日)における世界経済は、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、資源及び資材価格の高騰、為替変動(円安)、欧米でのインフレ加速、中国での主要都市ロックダウンとゼロコロナ政策解除など、想定外の状況に直面致しました。日本経済におきましても、年初から春先までは、「まん延防止等重点措置」が発動された影響により、個人消費を中心に経済活動が停滞致しました。加えて、2月下旬にロシアがウクライナに侵攻した影響による原材料価格の高騰により、広範な商品での価格上昇が起こり、更に、個人消費にマイナス影響を与えております。一方、9月以降は、コロナ感染拡大が落ち着き、政府が「全国旅行支援」を開始するなど、消費活動がウィズコロナに移行しております。当社グループが属するアウトドア業界につきましては、2020年・2021年のコロナ下で密を避けたレジャーとして人気が高まり、2022年においても、引続き国内・海外ともに高い人気を継続した状況にあります。家族連れでのキャンプを中心に、アウトドアを楽しむ人が増加していると考えております。
このような環境下において、当社グループは「人間性の回復と自然指向のライフバリュー」を全世界の多くの人々に提供するため、国内・海外市場共に、新規顧客創造や既存ユーザーのロイヤルカスタマー化に、引き続き注力して参りました。国内市場に関しましては、新規出店・増設や、SPA新設など、新規顧客の開拓に注力するとともに、体験型消費(キャンプフィールド・イベント等)の強化に取り組み、カスタマーエンゲージメントを高める取り組みを継続して参りました。海外市場に関しましては、全拠点でブランド認知の拡大を推進するべく、チャネルの強化、体験価値の強化に注力致しました。
当社グループの営業概況としましては、引き続きキャンプ需要が高い水準で推移した結果、当社製品への需要拡大が見られたことにより、2022年前半は、好調に推移致しました。しかしながら、2022年の夏は、3年ぶりの行動制限のない夏休みとなったことから、帰省や旅行などのレジャーの選択肢が増えたことや、気象庁統計開始以来2番目に暑い夏だったことから、夏場のキャンプ需要が、昨年対比落ち込んでいたと認識しており、その結果、卸売り先での他社ブランドを中心とした在庫の滞留が影響して、当社製品についてもセルインが、進まなくなりました。加えて、2022年10月からの急激な円安進行の結果、売上原価は増加しております。また、今後の成長の為の人財投資などにより販売費及び一般管理費が増加したこと、更に、既存店舗及び海外現地法人の収益性を見直した結果、減損損失を計上したことにより、当連結会計年度における業績は以下の通りとなりました。
売上高 30,773,843千円(前年比19.7%増)営業利益 3,674,934千円(前年比3.8%減)経常利益 3,606,933千円(前年比10.6%減)親会社株主に帰属する当期純利益 1,946,226千円(前年比28.6%減)
国内での事業においては、オミクロン株感染拡大が落ち着いたのと並行して、直営店への来店客数も増加をしており、引き続き、キャンプ需要の高さを確認しております。また、当社のポイント会員数についても、店舗拡大に伴い、エントリー層を中心に順調に増加しております。しかしながら、上述の通り、2022年夏場以降、キャンプ市場を取り巻く環境は変化しており、当社グループと致しましては、引き続き、「野遊び」を通じた人間性の回復を訴求して参り、新規キャンパー創出とロイヤルカスタマー化の実現を目指して参りたいと考えております。なお、子会社の株式会社スノーピークビジネスソリューションズにおいては、当社グループ全体のDX推進サポート、及び、キャンピングオフィスや研修事業の強化を図ったことで売上を好調に伸ばしております。
海外での事業については、ウィズコロナ下での消費活動が再開しており、全地域にて、前年を上回る売上実績となりました。以下、各国別の状況につき、記載致します。まず、韓国については、アウトドア文化が社会に根付いていること、及び当社ブランド認知が進んでいることから、売上は好調に推移しました。中国については、韓国から越境ECという形態で進めており、前年を上回る実績となりました。また、2022年10月に、現地企業との合弁会社「雪諾必克自然(北京)文化発展有限公司」を設立しており、今後、より積極的に展開していきたいと考えております。台湾については、キャンプ・登山文化が社会で認識されていることから、売上げは好調に推移しました。また、台湾における長期視点でのブランドの可視化及び事業展開の加速により、更なる売上拡大を図っていくことを目的に、台湾における各種事業を行う子会社「台湾雪諾必克企業股份有限公司」を2023年1月に設立する旨、2022年12月に公表致しました。米国については、ウィズコロナでの消費活動再開に伴い、売上は堅調に推移致しました。また、2022年10月に、従来あったマンハッタン地区SoHoエリアから、ニューヨーク市ブルックリン地区に直営店「Snow Peak Brooklyn」を移転し、開業致しました。従来の店舗より広くなったことで、テントやタープなども展示することができ、より、スノーピークの世界観をお客さまにアピールすることができると考えております。英国については、米国同様、ウィズコロナでの消費活動再開に伴い、売上は堅調に推移致しました。英国での卸売事業拡大に加えて、EU圏への事業拡大を考えております。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は5,368,105千円となり、前年同期末より1,553,527千円増加致しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、1,461,508千円(前連結会計年度に比べ4,126,219千円の減少)となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上2,823,462千円(同1,195,007千円の減少)、減価償却費の計上1,180,689千円(同335,257千円の増加)があった一方で、売上債権及び契約資産(前連結会計年度は売上債権)の増加841,714千円(同375,911千円の増加)、棚卸資産の増加3,344,196千円(同2,042,542千円の増加)、仕入債務の減少341,809千円(同328,264千円の減少)、法人税等の支払額1,712,012千円(同876,686千円の増加)、その他の減少420,998千円(同618,271千円の減少)があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、2,652,424千円(同919,409千円の減少)となりました。これは、スパリゾートの建設等による有形固定資産の取得による支出2,407,823千円(同867,258千円の増加)、無形固定資産の取得による支出281,958千円(同160,484千円の増加)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、5,424,653千円(同5,340,043千円の増加)となりました。これは、短期借入金の増加3,843,300千円(同3,243,300千円の増加)、長期借入れによる収入3,000,000千円(同3,000,000千円の増加)があった一方で、長期借入金の返済による支出384,000千円(同114,000千円の増加)、自己株式の取得による支出432,033千円(同431,912千円の増加)、配当金の支払額377,922千円(同142,525千円の増加)があったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、アウトドアライフスタイル事業を単一の報告セグメントとしている為、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社グループの拠点別に記載しております。
(a)
生産実績当連結会計年度における生産実績を拠点毎に示すと、次の通りであります。
拠点の名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
生産高(千円)
前年同期比(%)
日本
14,341,964
31.2
合計
14,341,964
31.2
(注) 金額は、原価によっております。
(b) 受注実績当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っている為、該当事項はありません。
(c) 販売実績当連結会計年度における販売実績を拠点毎に示すと、次の通りであります。
拠点の名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
日本
22,406,846
11.1
米国
2,740,312
48.5
韓国
3,828,810
57.7
台湾
1,119,461
43.8
英国
678,413
35.9
合計
30,773,843
19.7
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社アルペン
2,479,441
9.6
3,241,282
10.5
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存する為確定できない金額については、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意した上で会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性がある為、見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。新型コロナウイルス感染症拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ9,415,029千円増加し、30,733,740千円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加1,553,527千円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)の増加876,374千円、商品及び製品の増加3,270,626千円等により前連結会計年度末に比べ6,779,197千円増加し16,669,276千円となり、固定資産は、スパリゾート建設等による建物及び構築物の増加1,621,626千円、建設仮勘定の減少925,300千円、当期首より米国会計基準を適用している米国子会社において、新リース会計基準(ASC第842号)を適用したことにより使用権資産を990,716千円計上したこと等により前連結会計年度末に比べ2,635,831千円増加し、14,064,463千円となりました。当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ8,007,502千円増加し、15,476,539千円となりました。流動負債は、短期借入金の増加3,843,300千円があった一方で、未払法人税等の減少587,154千円等により前連結会計年度末に比べ4,050,696千円増加し、9,149,225千円となりました。固定負債は、長期借入金の増加2,160,000千円があったほか、収益認識会計基準等の適用により契約負債を1,275,826千円計上したこと、米国子会社において、新リース会計基準(ASC第842号)を適用したことによるリース債務の増加864,056千円等により前連結会計年度末に比べ3,956,806千円増加し、6,327,313千円となりました。当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,946,226千円、為替換算調整勘定の増加412,827千円等があった一方で、自己株式の増加301,785千円、配当金の支払いによる利益剰余金の減少378,268千円、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の当期首残高が439,551千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,407,526千円増加し、15,257,201千円となりました。
(b) 経営成績の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下の通りであります。
(売上高)当連結会計年度の売上高は30,773,843千円となり、前年同期比19.7%増となりました。日本の売上高22,406,846千円(前年同期比11.1%増)、米国2,740,312千円(同48.5%増)、韓国3,828,810千円(同57.7%増)、台湾1,119,461千円(同43.8%増)英国678,413千円(同35.9%増)となりました。
(売上総利益)売上高が増加した一方で、円安や資材の高騰による原価の上昇が見られたことで、粗利については0.3%の低下が見られ、売上総利益は16,823,832千円となりました。
(販売費及び一般管理費)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、人財への投資等に伴う、人件費・減価償却費の増加等により、13,148,897千円となりました。
(営業利益)当連結会計年度は、上記販売費及び一般管理費の増加が売上高の増収効果を上回ったことにより、営業利益は3,674,934千円(前年同期比3.8%減)となりました。
(営業外損益、特別損益)営業外収益は、補助金収入、受取保険金等により、240,156千円となりました。また、営業外費用は、為替差損、支払利息等により、308,157千円となりました。特別利益は、固定資産売却益により、1,971千円となりました。また、特別損失は、減損損失、固定資産除却損の計上により、785,442千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,946,226千円(前年同期比28.6%減)となりました。
(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
② 資金需要の主な内容当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料の購入、販売費及び一般管理費等の営業費用の他、新規出店にかかる設備投資、新規事業展開の促進及び社内業務の効率化のためのIT投資等であります。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、地代家賃、発送配達費等があります。
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