【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
なお、従来「ネット型リユース事業」として表示していた報告セグメントの名称を2021年12月期より「着物・ブランド品等リユース事業」に変更しております。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。また、当社グループは、「着物・ブランド品等リユース事業」を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が収束しておらず、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの属するリユース業界については、フリマアプリやインターネットオークションなどの普及に伴い、消費者にとってリユース品を売買しやすい環境が広がっていることを背景に、市場規模はますます拡大しております。2021年度において顕在化しているリユース市場規模は約2.7兆円とされ、2025年には約3.5兆円規模に拡大すると予測されております(参照:「中古市場データブック2022」リサイクル通信2022年10月3日)。また、潜在的なリユース市場規模を示す、自宅内の一年以上利用されていない不要品(以下「かくれ資産」)の日本における総額は2021年時点で約44兆円と推計されており、リユースの潜在市場規模はより大きなものと考えられます(ニッセイ基礎研究所監修令和3年12月14日付調査結果)。
このような環境の中、当社グループにおける状況は以下の通りとなりました。
買取においては、当社グループの主要サービスである「バイセル」の認知向上のために、リスティング等のオンラインメディアのみならず、テレビCMやポスティングチラシなどのオフラインメディアを組み合わせたクロスメディアマーケティング施策を実施してまいりました。また、買取店舗の出店(当社10店舗、2022年12月末時点)など、買取チャネルの拡大を図ってまいりました。
また、全国主要都市に店舗を展開する「バイセル」と、全国百貨店内に店舗を展開する「総合買取サロン タイムレス」について、相互送客やマーケティング、採用・人材戦略、各種データ統合によるグループシナジーを有効活用することにより、出張訪問買取と差別化した買取チャネルの強化として、グループ店舗の出店拡大(当社10店舗、株式会社タイムレス19店舗、2022年12月末時点)を図ってまいりました。
加えて、当期においては、買取店舗「Reuse Shop WAKABA」を運営し、190店舗のフランチャイズ店、17店舗の直営店(いずれも2022年12月末時点)を擁する株式会社フォーナインを完全子会社化し、さらなる買取チャネルの強化も図ってまいりました。
販売においては、業者への販売や古物市場への出品などのtoB向け販売とECや催事などのtoC向け販売の傾向分析を進め、商品毎に適切な販売方法を選択するなどにより、在庫回転期間の短縮化とともに、収益性の改善を図ってまいりました。外出自粛などを背景に消費者の購買環境の変化もあり、toC向け販売では、自社ECサイト(「リユースセレクトショップバイセルオンライン」、「BUYSELL brandchée」)やECモール(「楽天市場」や「ヤフオク!」等)等での販売に加え、ライブコマースを中心とした海外販路の拡大を図ってまいりました。toB向け販売では、株式会社タイムレスが開催する「TIMELESS AUCTION」及び「TIMELESS AUCTION ONLINE」を含めた最適な販路選択により、グループとしての収益最大化を図ってまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高33,724百万円(前年同期比36.0%増)、営業利益3,694百万円(前年同期比59.6%増)、経常利益は3,672百万円(前年同期比60.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,268百万円(前年同期比72.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,209百万円増加し、7,005百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,969百万円の収入(前連結会計年度は2,081百万円の収入)となりました。これは、主に、税金等調整前当期純利益3,672百万円の計上、広告増加による未払金及び未払費用422百万円の増加、棚卸資産624百万円の増加、法人税等の支払1,204百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,349百万円の支出(前連結会計年度は449百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式(フォーナイン)の取得による支出1,595百万円、倉庫移転や本社増床、新センター開設等に伴う有形固定資産の取得による支出263百万円、敷金及び保証金の差入による支出242百万円、自社システムの開発に伴う無形固定資産の取得による支出287百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,588百万円の収入(前連結会計年度は478百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入2,978百万円の一方で、長期借入金の返済による支出1,105百万円、及び配当金の支払198百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
該当事項はありません。
ロ 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
着物・ブランド品等リユース事業(千円)
14,127,871
136.1
(注)金額は、仕入価格によっております。
ハ 受注実績
該当事項はありません。
ニ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
着物・ブランド品等リユース事業(千円)
33,724,535
136.0
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社ネットジャパン
4,631,398
18.7
5,937,765
17.6
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,101百万円増加し、10,448百万円(前期末比42.2%増)となりました。これは主に、売上が好調に推移したことによる現金及び預金2,226百万円の増加、仕入の増加に伴う商品651百万円の増加、その他の流動資産が143百万円増加したことによるものであります。その他の流動資産の増加の主な内訳は、前払費用の増加によるものであります。
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて4,257百万円増加し、7,196百万円(前期末比144.9%増)となりました。これは、株式会社フォーナインの連結子会社化等に伴い、主にのれんが2,134百万円増加、顧客関連資産が1,306百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,040百万円増加し、5,690百万円(前期末比55.9%増)となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金716百万円の増加、未払金436百万円及び未払費用129百万円、未払法人税等320百万円の増加、契約負債431百万円の増加の一方で、短期借入金100百万円の減少によるものであります。
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,672百万円増加し、3,715百万円(前期末比81.9%増)となりました。これは主に、長期借入金1,262百万円の増加及び繰延税金負債が316百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて3,646百万円増加し、8,238百万円(前期末比79.4%増)となりました。これは剰余金の配当による利益剰余金の減少198百万円の一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金2,268百万円の増加、株式会社フォーナイン取得時の株式交換に伴い資本剰余金が1,279百万円増加したことによるものであります。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、33,724百万円(前年同期比36.0%増)となりました。当社グループは年間を通じて、買取数量の増加に伴う業者への販売や古物市場への出品量が増加しました。また、自社ECサイト(「リユースセレクトショップバイセルオンライン」、「BUYSELL brandchée」)やECモール(「楽天市場」や「ヤフオク!」等)等のECでの販売が好調に推移したことに加え、ライブコマースによる販売等の新たな販路開拓により、toC販売が増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、13,860百万円(前年同期比34.5%増)となりました。これは主に、査定員の採用及び教育体制の強化による買取数量の増加及び店舗事業拡大による増加であります。この結果、売上総利益は、19,864百万円(前年同期比37.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、16,169百万円(前年同期比32.8%増)となりました。これは主に、事業規模拡大に伴う、新卒・中途採用強化やエンジニア等の人員増強による人件費の増加、認知度向上及び問い合わせ数拡大のための広告宣伝費の増加、また、店舗やオフィス拡張に伴う地代家賃の増加、toC販売の増加に伴うECサイトの販売手数料の増加であります。
この結果、営業利益は、3,694百万円(前年同期比59.6%増)となり、売上高営業利益率は、11.0%となりました。
(営業外損益、経常利益、特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の営業外収益は、9百万円となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、支払利息などにより、30百万円となりました。この結果、経常利益は、3,672百万円(前年同期比60.0%増)となり、売上高経常利益率は、10.9%となりました。
その他、当連結会計年度の特別損失の計上はありませんでした。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,268百万円(前年同期比72.6%増)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、商品買取に係る仕入資金のほか、テレビCMを中心とした広告宣伝費用や当社従業員等に支払う給与手当等の販売費及び一般管理費等の営業資金によるものであります。投資を目的とした資金需要は、主に、社内の業務システムの構築及び改修などのシステム投資や倉庫やセンターの移転・開設等によるものであります。これらの資金需要については、内部資金で不足する場合には、長期借入金又は社債等による調達を行う方針であります。
なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
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