【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a 経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、長期化する半導体不足、ロシア・ウクライナ情勢に起因した資源価格の高騰、海外金融政策に伴う急激な為替変動、円安に伴う物価高騰など、国内景気の先行きに注視する状況が続いております。
しかしながら、増加の一途をたどるサイバー攻撃被害により、サイバーセキュリティ対策に対するニーズは底堅く、当社事業に対する社会的な期待や必要性は益々高まっているものと認識しております。
そのような環境において、当社ではデータセキュリティ事業及びネットワークセキュリティ事業の営業状況が共に順調に推移し、当事業年度の売上高は2,986,135千円(前年同期比8.1%増)、積極的な新事業への研究開発により、営業利益は263,665千円(前年同期比1.2%増)、経常利益は、急速な円安継続を想定した外貨調達による為替評価益が奏功し、301,718千円(前年同期比16.0%増)となり、以上の結果、当期純利益は229,641千円(前年同期比25.0%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
データセキュリティ事業
ストック売上となるソフトウエア保守が堅調に推移したため、売上高は前期比で伸長しました。長期化する半導体不足により、ソフトウエアをインストールするハードウエアに調達遅延が生じたため、ハードウエアを必要としないSaaS提供モデル「ALog Cloud」の研究開発を当事業年度内に集中的に行いました。また、中堅・中小企業向けのサイバー攻撃監視を代行するセキュリティサービスを新事業として発足し、34,555千円の人材投資を行ったため、当事業年度における売上高は1,116,444千円(前年同期比3.4%増)、セグメント利益は589,867千円(前年同期比1.3%減)となりました。
ネットワークセキュリティ事業
半導体不足に向けた対策として、当社では先行した機器調達や代替機器の調達を行ったため、年間を通じて安定した供給体制を維持でき、計画を上回る販売実績となりました。
円安の影響により原価の高騰があったものの、第2四半期に講じた価格改定並びに外貨調達の効果もあり、粗利益率も第2四半期累計期間の32.9%に対して、第3四半期以降は36.3%と改善しました。この結果、当事業年度における売上高は1,869,690千円(前年同期比11.2%増)、セグメント利益は369,647千円(前年同期比22.9%増)となりました。
b 財政状態
(資産)
当事業年度末における総資産は2,795,453千円となり前事業年度末と比較して53,935千円減少しました。これは主に自己株式の取得及び買掛金の支払等により現金及び預金が522,116千円減少した一方で、在庫確保により原材料及び貯蔵品が333,854千円、売掛金が74,810千円、前渡金が41,304千円、有形固定資産が19,029千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は1,374,511千円となり前事業年度末と比較して39,143千円減少しました。これは主に借入金の返済により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が80,232千円減少した一方で、契約負債(前事業年度は「前受金」)が52,184千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の合計は1,420,942千円となり前事業年度末と比較して14,792千円減少しました。これは主に自己株式の取得等により241,619千円減少した一方で、当期純利益の計上により利益剰余金が229,641千円増加したこと等によるものであります。
セグメント別の財政状態は、取締役会が経営の意思決定上、当該情報をセグメントに配分していないことから記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較して522,116千円減少し、1,371,033千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動におけるキャッシュ・フローは110,899千円の支出(前事業年度は299,486千円の収入)となりました。これは主に棚卸資産の増加327,707千円、法人税等の支払88,336千円、売上債権の増加74,810千円等があった一方で、税引前当期純利益301,256千円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動におけるキャッシュ・フローは87,811千円の支出(前事業年度は26,951千円の支出)となりました。これは主にソフトウェア購入及び販売用ソフトウェアの製作による無形固定資産55,118千円の取得、事務所のレイアウト変更による有形固定資産28,777千円の取得等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動におけるキャッシュ・フローは326,797千円の支出(前事業年度は698,795千円の収入)となりました。これは主に自己株式の取得による支出260,276千円、長期借入金の返済による支出80,232千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
データセキュリティ事業(千円)
1,116,444
103.4
ネットワークセキュリティ事業(千円)
1,869,690
111.2
合計(千円)
2,986,135
108.1
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。
(市場販売目的のソフトウエアの減価償却費方法)
当社は、市場販売目的のソフトウエアについて、見込販売収益及び販売可能な見込有効期間に基づき、残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分額を減価償却費として計上しております。
見込販売収益は売上成長率及び受注金額等を基礎として見積り、見込有効期間は製品の販売予定期間を踏まえ上限を3年として決定しております。見込販売収益及び見込有効期間は将来の経済状況等によって影響を受ける可能性があり、翌事業年度の市場販売目的のソフトウエアの減価償却費の金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 経営成績の分析
a 売上高
当事業年度における売上高は、2,986,135千円(前年同期比8.1%増)となりました。
セグメント別の内訳は次のとおりとなります。
データセキュリティ事業では、長期化する半導体不足の影響によりソフトウエアのライセンス売上が減少したものの、ソフトウエア保守の売上が引き続き堅調に伸長したため、当事業年度売上高は1,116,444千円(前年同期比3.4%増)となりました。
ネットワークセキュリティ事業では、新型コロナウイルス感染症の影響によりリモートワークやWEB会議等新たなビジネススタイルが普及し、それに伴うリモートワーク環境のセキュリティ強化やオフィスのネットワーク環境の整備など引き続きITインフラに対する見直しの需要は継続しました。当社が取り扱うNetwork All Cloud・Ubiquiti製品はネットワークインフラの市場ニーズにマッチし、堅調なインバウンドリードの創出、及び顧客獲得につなげることができました。そのため、ネットワークセキュリティ事業の当事業年度売上高は伸長し、1,869,690千円(前年同期比11.2%増)となりました。
b 売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、1,431,095千円(前年同期比9.8%増)となりました。これはNetwork All Cloudの売上伸長に伴うアクセスポイントなどの部材費の出庫増加、及び材料高騰化によるものの他、労務費の増加によるもの等になります。この結果、売上総利益は1,555,040千円(前年同期比6.7%増)となりました。
c 販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、1,291,374千円(前年同期比7.8%増)となりました。これは主に、従業員の増員による人件費の増加のほか、「ALog Cloud」の研究開発費が増加したことによるものです。この結果、営業利益は263,665千円(前年同期比1.2%増)となりました。
d 営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外損益は、急激な為替変動に備えた外貨預金の為替差益等により営業外収益が41,110千円(前年同期比150.3%増)となりました。また営業外費用は、自己株式の買付手数料の計上等により3,057千円(前年同期比81.8%減)となりました。この結果、経常利益は301,718千円(前年同期比16.0%増)となりました。
e 特別損益、当期純利益
当事業年度における特別損益は、特別損失が461千円(前年同期比93.5%減)となりました。これは固定資産の除却損461千円を計上したことによるものであります。また法人税等は71,614千円となりました。この結果、当期純利益は229,641千円(前年同期比25.0%増)となりました。
③ 財政状態の分析
当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態」に記載の通りであります。
④ キャッシュ・フローの分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費及び外注費、販売費及び一般管理費の広告宣伝費用等による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
また、資金の流動性については、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,371,033千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、今後も十分な流動性を維持していく考えであります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
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