【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、内需及びインバウンド需要の回復など、社会活動の正常化の動きがみられました。一方で、国際情勢不安、円安の進行、物価上昇など、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。
AIビジネスの国内市場においては、2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられています。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想され、それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。
南米のスマートリテールデバイス市場は、2019年の18億3,220万米ドルから2027年までに26億6,920万米ドルに成長すると予想されています。2020年から2027年までに5.3%のCAGRで成長すると推定されています。南米のスマートリテールデバイス市場は、ブラジル、アルゼンチン、およびその他の南米の地域に分類されます。この地域には複雑なマクロ経済的および政治的環境を抱える国がいくつかあり、さまざまな成長シナリオが存在します。ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの発展途上国は、インフラストラクチャーや小売部門の開発に多額の投資を行っています。さらに、これらの地域の多くの小売業者は、競争力を高め、変化のメリットを適応させるためにデジタル変革を開始しています。コロンビアとブラジルはデジタルイノベーションに急速に進化しており、チリはデジタル化とイノベーションにおいて最も優れた国にランクされ、「傑出した」国とみなされています。このデジタル変革は、地域全体のスマート小売デバイス市場に新たな機会を提供します。都市化の進行により、さまざまなショッピング複合施設やレクリエーションセンターが成長しており、この地域のスマート小売デバイスの需要が高まると予想されています(Business Market Insights「South America Smart Retail Devices Market research report 」)。
リテールテック(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版 次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界については、実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでおり、今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待されること。ショッピング体験の拡充に向けて、小売事業者やSI、広告事業者がAR/VR技術を活用した展開を進められていること。デジタルオペレーションでは、自動発注システムが食品や総合スーパーを中心に採用が広がっており、卸事業者のSCM向けの導入も期待され、また、需要予測システムは廃棄ロス削減やSDGs対応ニーズにより、全国展開する大手リテーラーで導入が進んでいることから、2030年度予測は2021年度比3.6倍の1,852億円と予測されています(富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。
なお、当第2四半期連結会計期間において、非連結子会社であったスペインのFollowUP Customer Experience S.I及びパナマのAlianza FollowUP Panamá S.Aを重要性の増加に伴い、新たに連結子会社としております。
(売上高)
売上高は978百万円(前年同四半期比13.8%増)となりました。これは、海外の連結子会社の各社で売上高が増加したこと、非連結子会社であったスペインのFollowUP Customer Experience S.I及びパナマのAlianza FollowUP Panamá S.Aを新たに連結子会社としたことを主因とするものであります。
(売上原価)
当売上原価は668百万円(前年同四半期比22.6%増)となりました。これは、主に当社単体及びチリの連結子会社であるJach Technology SpAのにおいて体制強化ため人件費が59百万円増加し、連結子会社各社において新規案件獲得に伴った外注の増加により業務委託費が51百万円増加したことを主因とするものであります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は472百万円(前年同四半期比12.5%増)となりました。これは、主に当社単体における体制強化、また、チリ及びコロンビアにおけるインフレーションに対応した従業員の給与調整のため人件費が42百万円増加したことを主因とするものであります。
(営業損益)
営業損益は営業損失162百万円(前年同四半期は104百万円の営業損失)となりました。これは、上記の通り人件費及び業務委託費の増加を主因とするものであります。
(調整後EBITDA)
調整後EBITDAは△53百万円(前年同四半期は38百万円)となりました。これは、上記の通り人件費及び業務委託費の増加を主因とするものであります。
※ 調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
(営業外収益)
営業外収益は、58百万円(前年同四半期比47.5%減)となりました。これは、前年同四半期は匿名組合投資利益13百万円を計上したものの当第2四半期連結累計期間においては計上しなかったこと、当社が保有する外貨建債権等の評価替えに際し、円安が進行したことから、為替差益として51百万円を計上(前年同四半期は79百万円の為替差益を計上)したことを主因とするものであります。
(営業外費用)
営業外費用は19百万円(前年同四半期比28.0%増)となりました。これは、借入金の利息の支払いによる支払利息11百万円を計上したことや、当社の持分法適用関連会社である株式会社日本データ取引所の決算報告に基づき、持分法による投資損失5百万円を計上したことを主因とするものであります。
(経常損益)
上記により、経常損益は経常損失123百万円(前年同四半期は8百万円の経常損失)となりました。
(特別利益)
特別利益は、非連結子会社であったパナマのAlianza FollowUP Panamá S.Aを新たに連結子会社といたしましたが、同社の取得価額が時価純資産額を下回ったことから、負ののれん発生益6百万円を計上いたしました。
(法人税等合計)
法人税等合計については、法人税、住民税及び事業税21百万円を計上し、また、現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額△33百万円を計上しました。
(親会社株主に帰属する四半期純損益)
上記により、親会社株主に帰属する四半期純損益は親会社株主に帰属する四半期純損失99百万円(前年同四半期は75百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
当第2四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当第2四半期連結会計期間において、報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。
なお、セグメントごとの比較情報については、前第2四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
イ. 国内事業
国内事業では、AI・システム開発事業、ソーシャルメディア分析事業、リテールマーケティング事業、新規事業を行っております。
AI・システム開発事業は、当社単体でビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)では、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ 」
(https://bizpreca.jp/))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融
系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービ
ス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。
当第2四半期連結累計期間の当社においては、当社単体で既存取引のストック収入及び新規案件の減少により、売上高は前年同四半期と比べ減少いたしました。DSSにおいては、前年同四半期に大中複数の開発案件があった関係で結果として前年同四半期と比べ売上高が微減となりましたが、検収時期がずれていた案件の検収が10月に完了しており、通期においては予算通りに推移しております。
また、下期においては、大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有しているThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)の事業を当社が、4Dの子会社であるThe ROOM Door株式会社の事業をDSSが譲り受けたことにより、更なる事業拡大をはかってまいります。
ソーシャルメディア分析事業は、当社単体でソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。
当第2四半期連結累計期間の当社単体においては、昨年度から効率的な業務体制構築を行い、スポット案件を積み上げ、売上高は前年同四半期と比べ増加しました。また、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。
リテールマーケティング事業は、当社単体で小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして提供しております。
当第2四半期連結累計期間における「FollowUP」の国内展開は、昨年度に引き続き顧客層の拡大、チェーン展開やフランチャイズ展開を行っている顧客への一括導入を進めた結果、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加し、売上高は前年同四半期と比べ増加いたしました。
新規事業では、AIによる医療系データ解析サービスとして、モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図)の開発、音声解析AIによるサービスの開発、を行っております。
当第2四半期連結累計期間における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
これらの結果、当社単体におけるAI・システム開発事業の売上高の減少が主因で国内事業における当第2四半期連結累計期間の外部顧客への売上高は543百万円(前年同四半期比0.7%減)となり、体制強化のための人件費及び外注費(業務委託費)の増加によりセグメント損失は69百万円(前年同四半期は10百万円のセグメント利益)となりました。
ロ. 海外事業
海外事業では、「FollowUP」の海外展開を行っております。
当第2四半期連結会計期間からスペイン及びパナマの非連結子会社を、連結子会社化し、グローバルな事業基盤を更に強化しております。
また、引き続きプロジェクトの大型化を進め、ショッピングモールに出店している小売店舗の全店へ一括導入を行ってまいりました。
特にチリの連結子会社であるJach Technology SpAにおいて大型ショッピングモールへの導入が行われたことなどが海外事業の売上高の増加に寄与し、売上高は前年同四半期と比べ増加いたしました。
これらの結果、海外事業における当第2四半期連結累計期間の外部顧客への売上高は441百万円(前年同四半期比41.3%増)となり、セグメント利益は85百万円(前年同四半期比222.9%増)となりました。
②財政状態の分析
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して98百万円減少し(前年度末比2.2%減)、4,287百万円となりました。
これは、有形固定資産が190百万円、のれんが78百万円、ソフトウエアが80百万円増加したものの、現金及び預金が445百万円減少したことを主要因とするものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して67百万円減少し(前年度末比3.6%減)、1,809百万円となりました。
これは、短期借入金が23百万円、未払金が36百万円、未払費用が22百万円、固定負債のその他が44百万円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が189百万円減少したことを主要因とするものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比較して30百万円減少し(前年度末比1.2%減)、2,478百万円となりました。
これは、海外子会社の財務諸表の為替換算により生じた為替換算調整勘定が58百万円増加した一方、親会社株主に帰属する四半期純損失99百万円を計上したことを主要因とするものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて445百万円減少し、969百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果減少した資金は、159百万円となりました(前年同四半期連結累計期間は27百万円の獲得)。これは主に、税金等調整前四半期純利益△113百万円、減価償却費69百万円及びのれん償却費24百万円の計上、売上債権の増減額32百万円、その他△139百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果減少した資金は、92百万円となりました(前年同四半期連結累計期間は86百万円の減少)。これは主に、有形固定資産の売却による収入16百万円の一方、無形固定資産の取得による支出81百万円、保険積立金の積立による支出20百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果減少した資金は、217百万円となりました(前年同四半期連結累計期間は392百万円の減少)。これは主に、長期借入金の返済による支出200百万円によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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