【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としての活動制限が緩和されることにより経済活動が徐々に再開されている一方、為替相場の変動やロシアのウクライナ侵攻に起因した資源価格の高騰など、依然として先行き不透明な状態が継続しています。
当社の主要セグメントの属するリテールテック市場(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版 次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。
デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界の国内市場(投資金額)については、スーパーなどの小売店舗における現場担当者の経験知がシステム化され、需要予測・発注業務が自動化されるほか、OMO(Online Merges with Offline)が進展し、実店舗とECの顧客購買データと行動データを活用したRaaS(Retail as a Service)ビジネスが普及するとみられること、販売業務の省人化と顧客行動データの取得・活用、購買体験の向上に向けてデジタル店舗技術が浸透し、市場が拡大するとみられることから、2030年度予測は2020年度比5.6倍の2,455億円と予測されています(富士キメラ総研「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。
また、AIビジネスの国内市場においては、2021年度以降は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するための要素技術の一つとしてAIの利用がさらに増加していき、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。
このような状況のもと、当社グループは、当第3四半期連結累計期間において、グローバル展開加速のための事業投資、体制強化のための積極的な人材採用やリテンション強化施策等を実行しております。
また、第1四半期連結会計期間において重要性が増したことに伴い、ペルーの非連結子会社であったFollow UP Peru S.A.C.を、連結子会社化いたしました。
当第3四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高は1,332百万円(前年同四半期比15.4%増)となりました。この主な要因は、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)においてシステム開発案件の受注が増加していること、前連結会計年度の第2四半期に連結子会社とし前連結会計年度の下期から損益を取り込んでいるInteligenxia S.A.の売上が当第3四半期連結累計期間の売上高に寄与したこと、当連結会計年度の第1四半期からFollow UP Peru S.A.C.を非連結子会社から連結子会社としたこと、海外連結子会社各社においてサービスの受注が増加していることによるものであります。
(売上原価)
当第3四半期連結累計期間の売上原価は831百万円(前年同四半期比17.1%増)となりました。この主な内訳は、人件費389百万円、業務委託費322百万円、減価償却費71百万円、サーバー使用料46百万円であります。
(販売費及び一般管理費)
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は623百万円(前年同四半期比41.7%増)となりました。この主な内訳は、人件費290百万円、のれん及び顧客関連資産償却費89百万円、業務委託費37百万円、役員退職慰労金18百万円、備品消耗品費22百万円、租税公課22百万円、支払報酬料18百万円、地代家賃16百万円であります。
(営業外収益)
外貨建債権等に係る為替差益として43百万円、また、匿名組合からの投資分配等により匿名組合投資利益20百万円等を計上いたしました。
(特別利益)
投資有価証券売却益として102百万円を計上いたしました。
上記より、売上高1,332百万円(前年同四半期比15.4%増)、グローバル展開加速のための事業投資、人材採用を中心とする体制強化による人件費の増加、DSSにおける受注案件の大型化に対する外注費(業務委託費)の増加により営業損失122百万円(前年同四半期は5百万円の営業利益)となりましたが、調整後EBITDAは115百万円(前年同四半期比31.1%減)となりました。また、営業外収益に、外貨建債権等に係る為替差益43百万円、及び匿名組合からの投資分配等により匿名組合投資利益20百万円等を計上した結果、経常損失47百万円(前年同四半期は47百万円の経常利益)となり、特別利益に投資有価証券売却益102百万円を計上したこと及び法人税等合計39百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益14百万円(前年同四半期は0百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
※ 調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
イ. リテールマーケティング
リテールマーケティングにおきましては、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして提供しております。
当第3四半期連結累計期間における「FollowUP」の国内展開は、2021年以降デジタルマーケティングによるリード件数や商談件数の増加が図れており、かつ顧客層の広がりにより、数十店舗単位での一括導入も進んでいるため、売上高は前年同四半期と比べ増加いたしました。第4四半期においても、引き続き複数店舗の一括導入に注力してまいります。
「FollowUP」の海外展開においては、複数国において大型案件が進行し、必要な事業投資を実行しながら着実にプロジェクトを進行しております。主要拠点であるチリにおいては、第2四半期で交渉した大型スーパーマーケットへの導入を開始しました。また、中央アメリカにおいて多店舗展開するシューズショップとスペインにおいて2つのショッピングモールと導入に向けた交渉を開始しております。連結子会社であるJach Technology SpA(チリ)及びAlianza FollowUP S.A.S.(コロンビア)において順調に売上を伸ばしているほか、前連結会計年度以降連結に取り込んだInteligenxia S.A.(チリ)とFollow UP Peru S.A.C.(ペルー)が業績に寄与し、売上高は前年同四半期と比べ増加いたしました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の外部顧客への売上高は550百万円(前年同四半期比47.2%増)となり、セグメント利益は51百万円(前年同四半期は11百万円のセグメント損失)と利益が拡大しました。
ロ. データ分析ソリューション
データ分析ソリューションでは、ソーシャルメディア分析事業、AI・システム開発事業、新規事業を行っております。
ソーシャルメディア分析事業では、ソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。
AI・システム開発事業では、ビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社のDSSでは、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ」( bizpreca.jp/ ))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。
新規事業では、AIによる医療系データ解析サービス(NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図))の開発、音声解析AIによるサービスの開発、を行っております。
当第3四半期連結累計期間におけるソーシャルメディア分析事業は、当社においては、前年同四半期と比べ売上高は減少しました。第4四半期においては、引き続き効率的な業務が可能な体制構築をすすめてまいります。また、連結子会社であるSIは、当第3四半期連結累計期間においては、前年同四半期と比べ受注案件数が減少しており売上高は減少しました。第4四半期においては、インバウンド需要の回復期待等もあり、パブリックセクター向けの案件を増やし、受注増加を図ってまいります。
当第3四半期連結累計期間におけるAI・システム開発事業は、当社においては、既存取引のストック収入の減少に対し、データ収集と分析に関する複数の開発案件を受託したことから、売上高は前年同四半期と比べ微増となりました。第4四半期においては、引き続き複数の協業案件や既存顧客の多面的なニーズへのアプローチを進めてまいります。また、DSSでは、近年取り組んできた難易度の高い大型案件を着実にリリースしたことにより、前年同四半期と比べ売上高は増加いたしました。一方で、難易度の高いプロジェクトへの対応や業務の工数が増加しているため、持続的な成長を維持すべく、積極的な人材採用や外注を利用したリソースの確保等を実行していく方針です。
当第3四半期連結累計期間における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。
当第3四半期連結累計期間の外部顧客への売上高は、ソーシャルメディア分析事業の売上高の減少をAI・システム開発事業の売上高増加が補った結果、781百万円(前年同四半期比0.2%増)となり、一方でセグメント損益については、DSSにおける受注案件の大型化に対する外注費(業務委託費)の増加等により、セグメント損失24百万円(前年同四半期は135百万円のセグメント利益)となりました。
②財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して551百万円増加し(前年度末比12.5%増)、4,952百万円となりました。
これは、その他流動資産が125百万円、有形固定資産が157百万円、ソフトウエアが117百万円、投資その他の資産のその他が106百万円増加したことを主要因とするものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して328百万円増加し(前年度末比20.8%増)、1,911百万円となりました。
これは、短期借入金が113百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が84百万円、固定負債のその他が233百万円それぞれ増加したことを主要因とするものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比較して223百万円増加し(前年度末比7.9%増)、3,041百万円となりました。
これは、譲渡制限付株式等の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ58百万円増加したこと及び海外子会社の財務諸表の為替換算により生じた為替換算調整勘定が106百万円増加したことを主要因とするものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
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