【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における平山グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、年度前半から第3四半期までは円安と資源高を背景とした原材料コストの増加が景況感を下押ししたものの、第4四半期は、2023年7月3日発表の全国企業短期経済観測調査(短観)に見られるとおり、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の3月調査から4ポイント改善してプラス5となり、7四半期ぶりに改善しました。原材料費の高騰がペースダウンするとともに、半導体不足などの供給制約が緩和し、自動車生産が回復しました。大企業非製造業はプラス23となり、コロナ禍の影響緩和から5期連続で改善しています。
一方、2023年5月の失業率は、前月と同じで2.6%となりました。コロナ禍で自らのキャリアを見直す人が増えており、失業者のうち、「自発的な離職(自己都合)」が増える一方、リストラなど「非自発的な離職」は減少しております。また、同月の有効求人倍率は1.31倍、新規求人数は前年同月比で3.8%増えました。新型コロナウイルス感染症の5類移行を受け、サービス業において求人が活発になっております。
このような環境の下、平山グループは、自動車関連分野において前期に続き部品供給制約によるサプライチェーンの混乱により一部生産が先送りされたものの、コロナ禍後の生産回復需要を取り込んだことから、インソーシング・派遣事業を中心に全事業セグメントにおいて増収増益を確保しました。利益面では、請負現場での現場改善及び受注単価の高い案件獲得や単価改定が奏功したこと、販売費及び一般管理費においてRPAを活用した効果などもあり、前期を上回る結果を出すことができました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高31,674百万円(前期比13.2%増)、営業利益893百万円(前期比29.1%増)、経常利益は助成金収入8百万円、為替差益28百万円等を計上したことから948百万円(前期比22.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失3百万円及び法人税等389百万円等を計上した結果、549百万円(前期比34.1%増)となりました。
セグメント別の業績の概況は、次のとおりです。
(インソーシング・派遣事業)
インソーシング・派遣事業につきましては、自動車関連分野において前期に続き部品供給制約によるサプライチェーンの混乱により一部生産が先送りされるとともに、上半期に好調であった農業用機器関連、住設関連及び半導体関連において、下半期に在庫調整が多くの顧客で行われたため減産の影響を受けましたが、医療機器関連は引き続き底堅く推移しました。物流関連、航空・観光関連、流通ストア・コンビニ関連等においては、既存取引先からの追加発注が好調であったことや新規取引先を獲得できたこと、さらにコロナ禍で取引が一旦終了していた顧客との取引再開などもあり、前期から引き続き旺盛な需要がありました。注力業種として新規開拓を行っていた半導体関連について、多数の新規取引がスタートしました。また、自動車関連の需要復調が見られ、本年6月に大型受注を獲得することができました。
利益面では、自動車関連分野・住設関連分野において一部生産先送りによる収益圧迫があったものの、製造請負の現場改善を継続したこと、新規に受注した高単価案件に人員配置ができたこと及びハイエンド技能人材教育に注力した結果、顧客ニーズに適合した人材を配置できたことから、増益となりました。
採用面では、2022年新卒の採用者が定着し生産の安定に寄与する一方、2023年新卒及び中途採用ではサービス産業の復調等業況改善とともに採用環境が厳しくなり始めました。これに対し、平山グループは、コストパフォーマンスの良い地方テレビCM等のメディア活用、SNSの活用、ネットワーク採用等を強化し、企業イメージの向上を図るとともに、採用ルートの多様化等により採用コストの抑制に努めました。
この結果、売上高は25,283百万円(前期比10.9%増)、セグメント利益は1,441百万円(前期比5.1%増)となりました。
(技術者派遣事業)
技術者派遣事業につきましては、主要顧客である大手製造業の一部で中長期を見据えた技術開発投資の持ち直しが見られ、電子機器の組み込みソフトウェアや半導体関連、生産設備関連の技術者を中心に、平山グループの受注は回復基調となりました。キャリアカウンセリングの強化やテクノカウンセリング窓口の設置効果による離職率の低下が見られ、また、2023年新卒の早期配置も進んだことで稼働人員は堅調に推移しております。研修センターでの経験者へのステップアップ研修や顧客ニーズに対応したオーダー研修の実施などにより、技術者の育成及び定着の仕組み強化を今後も継続してまいります。
人材採用面では中長期の成長を見据えて採用活動を強化しており、2023年新卒の採用においては概ね予定通りの人員が確保できております。一方、中途採用においては業界の人手不足感が解消されず、技術者の確保面で厳しい状況が継続しております。
利益面では、増収による利益確保に加え、販売費及び一般管理費の効率的使用に努めた結果、増益となりました。
この結果、売上高は2,676百万円(前期比21.8%増)、セグメント利益は64百万円(前期比890.9%増)となりました。
(海外事業)
海外事業につきましては、主力のタイにおいて、製造業生産指数(MPI)が、2022年4~6月期は前年同四半期比1.1%減、2022年7~9月期は前年同四半期比7.7%増、2022年10~12月期は前年同四半期比6.0%減、2023年1~3月期は前年同四半期比3.9%減となり停滞しておりましたが、主要産業である自動車生産では、2022年は前年比11.7%増、2023年1~3月は前年同四半期比5.8%増と回復傾向でした。このような環境の下、タイにおける平山グループの派遣従業員数は、2023年3月時点で前年同月比5.5%の増加となりました。
利益面では、高収益顧客の派遣増員に伴う収益の改善及び社会保険料率軽減措置による原価の低減等があり増益となりました。
この結果、売上高は2,709百万円(前期比21.8%増)、セグメント利益は73百万円(前期比47.5%増)となりました。
(注) 海外事業につきましては、2022年4月~2023年3月期実績を3ヶ月遅れで当連結会計年度に計上しております。
(その他事業)
その他事業につきましては、各国の行動制限や水際対策の段階的緩和により、現場改善に係るコンサルティング及び研修が増加したことに加え、再開した研修ツアーには世界各国からの参加がありました。また、生産性向上のAIソリューション開発に加えて、国内に回帰生産をしようとする顧客に対する工場立ち上げ支援のコンサルティング案件が増加しました。
利益面では、外国人の入国制限が緩和されたことでエンジニア及び技能実習生の配置が進んだことから、外国人雇用管理サポート事業の寄与により増益となりました。
この結果、売上高は1,005百万円(前期比34.2%増)、セグメント利益は210百万円(前期比87.7%増)となりました。
当連結会計年度末の財政状態の概況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,399,850千円増加し、10,114,410千円となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金が921,065千円、受取手形及び売掛金が172,470千円、その他流動資産が58,782千円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,251,542千円増加し、8,640,071千円となりました。
当連結会計年度末の固定資産合計は、有形固定資産が1,249千円、無形固定資産が6,757千円、投資その他の資産が140,301千円、それぞれ増加したことにより、前連結会計年度末に比べ148,308千円増加し、1,474,339千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ996,907千円増加し、6,127,210千円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は、未払金が199,444千円、未払消費税等が16,344千円、1年内返済予定の長期借入金が60,010千円、それぞれ増加した一方で、未払法人税等が18,087千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ286,185千円増加し、4,217,221千円となりました。
当連結会計年度末の固定負債は、長期借入金が565,387千円、退職給付に係る負債が142,727千円、それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ710,722千円増加し、1,909,988千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、新株予約権の行使による株式の発行等により、資本金が16,283千円、資本剰余金が15,924千円、それぞれ増加したほか、親会社株主に帰属する当期純利益549,127千円を計上した一方で、配当金175,513千円の支払等があったことにより、前連結会計年度末に比べ402,943千円増加し、3,987,200千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ921,065千円増加し、4,300,259千円となりました。
営業活動による資金の増加は、561,336千円となりました(前期は244,947千円の増加)。これは主として、税金等調整前当期純利益939,208千円の計上、退職給付に係る負債の増加142,727千円、未払金の増加182,102千円等の資金の増加があった一方で、売上債権の増加156,988千円、法人税等の支払額562,358千円等の資金の減少があったことによります。
投資活動による資金の減少は、100,292千円となりました(前期は350,487千円の減少)。これは主として、有形固定資産の取得による支出26,986千円、無形固定資産の取得による支出29,673千円、敷金及び保証金の差入による支出46,689千円等の資金の減少があったことによります。
財務活動による資金の増加は、472,729千円となりました(前期は371,241千円の減少)。これは主として、長期借入れによる収入900,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入32,436千円の資金の増加があった一方で、長期借入金の返済による支出274,603千円、配当金の支払額175,432千円等の資金の減少があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、生産実績については記載を省略しております。
b.受注実績
平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、受注実績については記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
インソーシング・派遣事業
25,283,111
10.9
技術者派遣事業
2,676,256
21.8
海外事業
2,709,039
21.8
その他
1,005,628
34.2
合計
31,674,036
13.2
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
テルモ株式会社
3,934,267
14.1
4,591,402
14.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による平山グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
平山グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の分析は、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
平山グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業活動における運転資金需要は、主として給与等の人件費及び人材確保のための社員募集費であります。また、設備資金需要としては、教育施設投資に加え、社内基幹システム、製造スタッフ管理システム及び採用サイト等の無形固定資産投資等であります。業容拡大を図るために事業買収(M&A)等の投資を行う場合、それに伴う資金需要の発生が見込まれます。必要な資金については自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。
資金の流動性については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は2.8%となっており、中期的な目標としている4.0%に対しては改善途上であります。このギャップにつきましては、平山グループが主力事業としている国内製造業向けインソーシング・派遣事業において、インソーシングでは請負現場の改善による省人化により、派遣では大型派遣事業所との単価交渉を進めることにより、売上高営業利益率の改善に努めてまいります。