【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況 <当第1四半期連結累計期間(2023年1月~3月)業績の概要>(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額
増減率
売上高
56,065
65,593
9,527
17.0
%
営業利益
11,128
10,990
△137
△1.2
%
経常利益
12,099
11,933
△166
△1.4
%
親会社株主に帰属する 四半期純利益
6,431
3,931
△2,499
△38.9
%
当社グループは「すべての人にインターネット」のコーポレートキャッチのもと、1995年の創業以来一貫して、インターネットのインフラ・サービスインフラの提供に経営資源を集中してきました。インターネットの普及とともにインターネット上のデータ量・トランザクションは級数的に増加し、当社グループの事業機会も拡大し続けたことから、2022年12月期において14期連続の増収増益となりました。 今般、新型コロナウイルス感染症拡大の対策が進み、経済再開の動きがみられる中、DXの進展やオンライン消費の定着は不可逆的なトレンドとなり、当社グループのサービスに対するニーズは引き続き高まっているものと考えています。
このような事業環境のもと、(1)多くのサービスが国内No.1となっているインターネットインフラ事業は、顧客基盤が拡大する中、キャッシュレス決済端末販売の大口案件、サイバーセキュリティ事業の年度末需要を受け、決済事業・セキュリティ事業を中心に好調に推移し、四半期最高業績を更新しました。(2)インターネット広告・メディア事業は、自社商材・自社メディアを中心に収益は拡大したものの、一時的な広告配信費用の増加もあり、減益となりました。(3)インターネット金融事業は、FXとCFDともに好調に推移し、資源価格の変動により活況であった前年同期を上回る高水準の収益となりました。(4)暗号資産事業は、暗号資産市場全体の取引高が低迷している影響を受け、厳しい環境が続いています。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は65,593百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は10,990百万円(同1.2%減)、経常利益は11,933百万円(同1.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,931百万円(同38.9%減)となりました。
<当第1四半期連結累計期間(2023年1月~3月)セグメント毎の売上高・営業利益の状況>(単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減額
増減率
インターネットインフラ事業
売上高
34,759
42,161
7,402
21.3%
営業利益
6,283
6,994
711
11.3%
インターネット広告・メディア事業
売上高
7,892
8,904
1,011
12.8%
営業利益
927
668
△259
△28.0%
インターネット金融事業
売上高
10,796
12,792
1,995
18.5%
営業利益
3,650
3,762
112
3.1%
暗号資産事業
売上高
2,062
1,202
△860
△41.7%
営業利益
159
△338
△497
-
インキュベーション事業
売上高
536
195
△341
△63.7%
営業利益
252
108
△143
△57.0%
その他
売上高
835
1,447
612
73.3%
営業利益
△90
△122
△32
-
調整額
売上高
△817
△1,110
△292
-
営業利益
△53
△80
△27
-
合計
売上高
56,065
65,593
9,527
17.0%
営業利益
11,128
10,990
△137
△1.2%
各セグメントの事業の内容は、以下のとおりとなっております。
事業区分
主要業務
インターネットインフラ事業
ドメイン事業
・「.shop」、「.tokyo」などのドメインを管理するレジストリ事業
・『お名前.com』、『ムームードメイン』、『VALUE-DOMAIN』で展開するレジストラ事業
クラウド・ホスティング事業
・『お名前.comレンタルサーバー』、『ConoHa by GMO』、『Z.com Cloud』、『GMOクラウドVPS』、『GMOクラウドALTUS』、『GMOクラウド Private』、『ロリポップ!』、『heteml』、『30days Album』などで展開する共用サーバー、VPS、専用サーバー、クラウドの提供・運用・管理・保守を行うホスティングサービス
EC支援事業
・『カラーミーショップ』、『MakeShop』で展開するネットショップ構築のECプラットフォームの運営
・CtoCハンドメイドマーケット『minne』の運営
・オリジナルグッズ作成・販売サービス『SUZURI』、『canvath』の運営
・EC事業者・020事業者向け支援サービスなど
・飲食店向けの予約管理サービス『OMAKASE』の運営
・Web制作・運営支援・システムコンサルティングサービスなど
セキュリティ事業
・『クイック認証SSL』、『企業認証SSL』などのSSLサーバー証明書、『コードサイニング証明書』、『PDF文書署名用証明書』、『クライアント証明書』などの電子証明書発行サービス
・電子契約サービス『電子印鑑GMOサイン』
・WEB・スマートフォンアプリの脆弱性診断、ペネトレーションテスト、 セキュリティ事故対応などのサイバーセキュリティサービス
・ブランド脅威対策、模倣品の検知・削除、商標管理システムの提供、ドメインネームの取得・管理などを行うブランドセキュリティサービス
決済事業
・通販・EC事業者向け『PGマルチペイメントサービス』、公金・公共料金等の『自治体・公共機関向けクレジットカード決済サービス』などの総合的な決済関連サービス及び『早期入金サービス』、『トランザクションレンディング』、『GMO 後払い』などの金融関連サービス
アクセス事業
・『GMOとくとくBB』などのインターネット接続サービス
インターネット広告・メディア事業
インターネット広告事業
・リスティング広告、モバイル広告、アドネットワーク広告、リワード広告、アフィリエイト広告などの総合的なインターネット広告サービス
・企画広告制作サービス
インターネットメディア事業
・10代女子向けコミュニティサイト『prican』、プログラミング教育ポータル『コエテコ』、ポイントサイト『ポイントタウン』、ゲームプラットフォーム『ゲソてん』、共同購入型クーポンサイト『くまポン』、美容医療のチケット購入サイト『キレイパス』、はたらく女性向け生活情報サイト『michill』などのインターネットメディアの運営及び自社メディアへの広告配信
・SEMメディア事業SEOの販売
インターネットリサーチ・その他事業
・インターネットリサーチシステムの提供・リサーチパネルの管理・運営『GMOリサーチ・クラウド・パネル』など
インターネット金融事業
インターネット金融事業
・オンライン証券取引、外国為替証拠金取引(FX)、CFD取引などの運営
暗号資産事業
暗号資産交換事業
・暗号資産の現物取引・レバレッジ取引の提供など
暗号資産マイニング事業
・マイニングセンターの運営
暗号資産決済事業
・ステーブルコイン『GYEN』『ZUSD』の提供
インキュベーション事業
ベンチャーキャピタル事業
・インターネット関連企業を中心とした未上場会社への投資事業
当第1四半期連結累計期間のセグメント別の業績は以下のとおりです。
①インターネットインフラ事業 当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様のビジネス基盤となるサービスをワンストップで提供しています。主な商材は、インターネットにおける住所となる「ドメイン」、データを保管するための「サーバー」、ネットショップ導入のためのプラットフォームを提供する「EC支援」、決済システムを提供する「決済」、これら取引の安全を図る「セキュリティ」です。これら5大商材すべてを自社グループ内で開発・提供しており、いずれも国内トップシェアを有しています。この他、個人向けにインターネット接続サービスを提供するアクセス事業を運営しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)ドメイン事業 当該事業は、他のインフラ商材の起点と位置づけており、当社、GMOペパボなどが低価格戦略による顧客基盤の拡大を継続しています。当四半期のドメイン登録・更新数は159万件(前年同期比24.0%増)、当四半期末の管理累計ドメイン数は718万件(同1.4%減)、売上高は2,291百万円(同3.2%増)となりました。
2)クラウド・ホスティング事業 当該事業では、お客様の利用ニーズの多様化に対応するため、当社、GMOグローバルサイン・ホールディングス、GMOペパボなどが共用サーバー、専用サーバー、VPS、クラウドの各サービスにおいて多ブランド展開を行なっています。個人向けサーバーの販売が好調に推移し、当四半期末の契約件数は111.7万件(前年同期比2.2%増)、売上高は4,810百万円(同7.3%増)となりました。
3)EC支援事業 当該事業では、GMOペパボ、GMOメイクショップなどがネットショップ導入のためのプラットフォームを提供するECプラットフォーム、CtoCハンドメイドマーケット『minne』、オリジナルグッズ作成・販売サービス『SUZURI』、O2O支援サービスなどを展開しています。 まず、ECプラットフォームでは、『カラーミーショップ』において月額無料でネットショップを開設できるフリープランの利用増加により、当四半期末の有料店舗数は5.6万件(前年同期比12.1%減)となりました。また、『カラーミーショップ』が消費動向の変化による影響を受け、流通総額は1,208億円(同1.4%減)となり、『minne』でも、消費動向の変化による影響があり、流通金額は37億円(同9.7%減)となりました。一方で、高価格帯向けの『MakeShop』は堅調に推移した結果、売上高は3,995百万円(同12.2%増)となりました。
4)セキュリティ事業 当該事業では、GMOグローバルサイン・ホールディングスを中核として展開するSSLサーバー証明書、電子契約サービス『電子印鑑GMOサイン』などの電子認証セキュリティ、GMOサイバーセキュリティbyイエラエで展開するサイバーセキュリティ、そしてGMOブランドセキュリティで展開するブランドセキュリティなど、すべてのひとに安心安全なインターネットを提供するセキュリティサービスを展開しています。なお、GMOサイバーセキュリティbyイエラエについては前第2四半期連結会計期間より業績に含めております。 『電子印鑑GMOサイン』の販売が堅調に推移しており、契約社数・契約送信件数が順調に増加しています。また、GMOサイバーセキュリティbyイエラエが、年度末に向けた需要を受け好調に推移しました。これらの結果、売上高は4,658百万円(前年同期比83.8%増)となりました。
5)決済事業 当該事業では、GMOペイメントゲートウェイを中核として、総合的な決済関連サービスおよび金融関連サービスを展開しています。決済関連サービスでは、オンライン課金・継続課金分野におけるEC市場の順調な成長に加え、対面分野における次世代決済プラットフォーム『stera』端末の取扱いが増加したこともあり、好調に推移しました。これらの結果、決済処理件数・決済処理金額が順調に増大し、売上高は15,386百万円(前年同期比27.9%増)となりました。
6)アクセス事業 当該事業では、当社が個人向けのインターネット接続サービスを提供しています。固定回線が堅調に推移し、当四半期末の契約回線数は226万件(前年同期比1.0%増)、売上高は10,011百万円(同6.3%増)となりました。
以上、これらを含めたインターネットインフラ事業セグメントの売上高は42,161百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益は6,994百万円(同11.3%増)と四半期最高業績を更新しました。
②インターネット広告・メディア事業 当該セグメントにおいては、インターネットビジネスを手掛けるお客様の集客支援サービスを提供しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)インターネット広告事業 当該事業では、GMOアドパートナーズ、GMO TECHなどが広告代理、アドプラットフォームの提供など総合的なネット広告サービスを提供しています。対面経済の本格的な戻りへの期待感による広告需要増に加え、一部業種の繁忙期にも重なったことから取引高が拡大し、また、自社アフィリエイト広告も堅調に推移しました。これらの結果、売上高は4,628百万円(前年同期比20.8%増)となりました。
2)インターネットメディア事業 当該事業では、GMOメディアなどが自社メディアの運営を通じた広告枠の提供、集客支援サービスを提供しています。自社メディアのPV数の伸長や好調な集客が奏功し、売上高は2,856百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
以上、これらを含めたインターネット広告・メディア事業セグメントの売上高は8,904百万円(前年同期比12.8%増)と増収となりましたが、取引高拡大に伴う外注費の増加などに加え、一時的な広告配信費用の増加などにより、営業利益は668百万円(同28.0%減)と減益となりました。
③インターネット金融事業 当該セグメントにおいては、GMOフィナンシャルホールディングスの連結子会社であるGMOクリック証券を中核として、個人投資家向けのインターネット金融サービスを展開しています。当四半期末における取引口座数は、店頭FX口座が144.1万口座(前年同期比4.1%増)、証券取引口座が51.1万口座(同5.0%増)と顧客基盤の拡大が続いています。店頭FXについては、取引高が高水準を維持するなか、収益性の改善への取り組みの強化により収益性は前年同期比で改善しました。CFDについては、売買代金が前年同期比で減少したものの、コモディティ市場の盛況を受け収益は拡大しました。一方、利益については、タイ王国の証券事業に係る貸倒引当金繰入額約15億円を計上したことにより対前年同期比では微増となりました。 以上、インターネット金融事業セグメントの売上高は12,792百万円(前年同期比18.5%増)、営業利益は3,762百万円(同3.1%増)となりました。
④暗号資産事業 当該セグメントにおいては、暗号資産の「マイニング」、「交換」に関わる事業などを展開しています。当該セグメントの各事業別の業績は下記のとおりです。
1)暗号資産マイニング事業 当該事業では、マイニングセンターの運営を行っています。ハッシュレートの上昇により、前年同期比では収益性が低下し、売上高は278百万円(前年同期比67.5%減)となりました。
2)暗号資産交換事業 当該事業では、GMOフィナンシャルホールディングスの連結子会社であるGMOコインなどが、暗号資産の現物取引、レバレッジ取引などを提供しています。当四半期末における取引口座数は55.9万口座(前年同期比11.7%増)と顧客基盤は順調に拡大しました。一方、低調な暗号資産市場の動向を受けて売買代金が低下した結果、売上高は921百万円(同14.6%減)となりました。
以上、暗号資産事業セグメントの売上高は1,202百万円(前年同期比41.7%減)、営業損失は338百万円(前年同期は159百万円の営業利益)と減収減益となりました。
⑤インキュベーション事業 当該セグメントにおいては、GMOベンチャーパートナーズを中核として、キャピタルゲインを目的とした国内外のインターネット関連企業への投資、事業拡大への支援、企業価値向上支援を行なっています。保有株式の売却があり、売上高は195百万円(前年同期比63.7%減)、営業利益は108百万円(同57.0%減)となりました。
(2)連結財政状態の分析<資産、負債及び純資産の状況>(資産) 当四半期連結会計期間末(2023年3月31日)における資産合計は、前連結会計年度末(2022年12月31日)に比べ81,704百万円増加し、1,624,445百万円となっております。主たる変動要因は、現金及び預金が16,892百万円増加、利用者暗号資産が41,766百万円増加、証券業等における顧客資産の変動により諸資産(証券業等における預託金・証券業等における信用取引資産・証券業等における有価証券担保貸付金・証券業等における短期差入保証金・証券業等における支払差金勘定)が10,975百万円増加、有形固定資産が4,533百万円増加したことであります。(負債) 当四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ75,333百万円増加し、1,463,385百万円となっております。主たる変動要因は、社債が19,800百万円増加、預り暗号資産が41,049百万円増加、証券業等における顧客資産の変動により諸負債(証券業等における預り金・証券業等における信用取引負債・証券業等における受入保証金・証券業等における受取差金勘定・証券業等における有価証券担保借入金)が17,133百万円増加したことであります。(純資産) 当四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,370百万円増加し、161,059百万円となっております。主たる変動要因は、利益剰余金が2,421百万円増加(親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により3,931百万円の増加、自己株式の消却により1,510百万円の減少)、非支配株主持分が3,103百万円増加、自己株式が取得および消却により1,509百万円減少したことであります。
(3)キャッシュ・フローの状況 当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、記載を省略しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は45百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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