【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しているものの、感染症法の区分が5類への変更が決定、ウィズコロナの下で各種政策の効果による持ち直しなどによる景気回復が期待されております。一方世界情勢では、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスクの長期化、エネルギー資源・原材料価格の高騰による物価上昇、急激な為替の変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当社グループでは、「持続的社会保障制度の構築」を通して「安心を育て、挑戦を創る」世界を実現させるため、「介護」、「障がい者支援」、「保育」の3分野を中心とした事業を行ってまいりましたが、様々な社会課題の解決に貢献すべく、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)(弊社HP:中期経営計画2024参照)を特定しております。また、重要な課題である人材の獲得及びサービスの質の向上のため、当期より社内資格制度を開始し、導入したe-ラーニングシステム等を活用しながら効率的な習熟を促す体制の構築を進めております。更に、DXを推進し、管理業務を中心にペーパーレス、押印レス、キャッシュレス、在宅ワーク等を加速させております。その他、サスティナビリティへの取り組みとして「多様な人材が活躍できる社会の実現」のため、特定技能を中心とした外国人就労も既に今期25名以上採用するなど、企業価値向上に取り組んでおります。当社グループを取り巻く環境として、主力事業である介護事業においては、高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)が2022年は29.1%(総務省統計局より抜粋)に上昇し、団塊の世代が75歳以上となる2025年には「超高齢社会」に直面していくことは周知の状況となっており、医療・介護・年金を含めた社会保障制度全体の再構築が急がれております。少子高齢化の進行を背景に、介護サービスに対するニーズが拡大する一方、深刻化する人手不足への対応や介護人材の確保・育成が経営課題となっております。このような環境のもと、当社グループといたしましては、当第3四半期連結累計期間において新規施設8事業所の開設を行ないました。その結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループ連結業績は、売上高10,197百万円(前年同期比120.9%)、営業利益177百万円(同43.3%)、経常利益20百万円(同3.7%)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、43百万円(同12.7%)となりました。
事業領域別の状況は以下のとおりです。
<介護事業>介護事業におきましては、当第3四半期連結累計期間において4事業所(有料老人ホーム3事業所、グループホーム1事業所)の新規開設を行い、当第3四半期連結会計期間末における有料老人ホーム等(注1)の稼働率は81.4%(開設後1年以上経過した事業所では85.2%)、グループホームの稼働率は91.5%(開設後1年以上経過した事業所でも93.1%)となりました。新型コロナウイルス感染症が長期化される中、当社グループがサービス提供する地域においてもクラスターが発生するなど、感染症法上の分類はいまだ2類に区分されており、未だ予断を許さない状況となっておりますが、回復基調にあり、新規事業所の開設等、事業は順調に拡大していることから、今後の各種政策転換により稼働率や収益構造は改善されると考えております。その他の直近における問題は、エネルギー価格、食材費、そして建築費の高騰ですが、エネルギー価格については、利用者への価格転嫁や大型施設への太陽光パネルの設置、食材費については、食材の取捨選択や利用者への価格転嫁、建築費については、事業拡大におけるM&Aとの比重の変更を進めておりますが、最も影響の大きいエネルギー価格については、各電力会社における原発再稼働の状況により大きく左右されると認識しております。
当社グループの介護事業は、より人材の確保がしやすく、利益率も高い施設介護の運営に注力しており、特に有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームを中心として事業の推進に取り組んでまいりました。事業展開の優先順位は、許認可を必要とする介護付き有料老人ホームやグループホームを高く設定いたしますが、一方、自治体での許認可公募状況、需給環境を踏まえ、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に訪問介護や看護等を併設する事業モデルでも事業拡大をしてまいります。(注1)介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、短期入居者生活介護
<障がい者支援事業>障がい者支援事業におきましては、当第3四半期連結累計期間において3事業所(グループホーム)の新規開設を行い、当第3四半期連結会計期間末における就労継続支援B型の稼働率は58.3%(開設後1年以上経過した事業所では58.3%)、グループホーム等(注2)の稼働率は73.5%(開設後1年以上経過した事業所では91.1%)となりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響は依然として残っており、また、グループホームの開発を急速に進めているため、稼働率や、収益構造を改善するには至りませんでした。一方でグループホームを中心としての事業開発は順調に進んでおり、時間の経過とともに収益改善の可能性は高いと考えております。また、今後介護と同様グループホームが公募制に移行する可能性が高い中で、短期的利益が抑制されることを想定した上で、事業拡大速度重視の政策をとっているため、一定規模への拡大後は、利益が想定水準に達する見込みです。当社グループの障がい者支援事業は、障がい者の自立した生活を実現するためのトータルサポート体制の構築を重視しております。生活訓練、継続支援事業を通じて様々な就労訓練を行うだけでなく、自立した生活を目指す方々の住まいとしてグループホーム等を提供し、また、介護、保育や給食事業等の当社グループ内事業所への就職の拡充も図っていくことで、利用者の方々が社会の重要な戦力として活躍する支援を進める方針であります。(注2)共同生活援助(グループホーム)、福祉ホーム
<保育事業>保育事業におきましては、当第3四半期連結累計期間において1事業所(認可保育所)の新規開設を行い、当第3四半期連結会計期間末における認可保育所の稼働率は80.6%(開設後1年以上経過した事業所では84.6%)、企業主導型保育所の稼働率は48.6%(開設後1年以上経過した事業所でも48.6%)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は大きくなく、回復基調にあると考えております。ただし、整備率の向上に伴い、新規事業公募が停止される自治体も増加しており、市場のピークアウトは遠くないと考えております。少子高齢化が進む中、子供を産みたい方が産める国策としての社会的インフラ整備が求められているところ、今後も待機児童の解消は最重要課題であるだけでなく、保育指導指針の改定により養護だけでなく教育が求められてまいりました。当社グループでは、この教育という要素を重要視し、当社グループの高齢者事業所との連携において多世代交流を深める等、文化の伝承を促進し、子供の生き抜く力を養う支援を行うと共に整備を進める方針であります。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金などが減少したものの、受取手形及び売掛金、建物及び構築物などが増加したことにより、前連結会計年度末と比較して99百万円増加し10,965百万円となりました。負債は、長期借入金、未払法人税等、1年内返済予定の長期借入金などが減少したものの、短期借入金、未払費用などが増加したことにより、前連結会計年度末と比較して37百万円増加し9,557百万円となりました。純資産は、資本剰余金などが減少したものの、利益剰余金などが増加したことにより、前連結会計年度末と比較して61百万円増加し1,407百万円となりました。
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