【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績(経営成績)当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症についてはほぼ正常化が完了し、緩やかな持ち直しの動きが継続しました。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっているほか、円安、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響により先行きが不透明な状況となっております。また、バイオテックのファイナンス環境が日米両方で低迷しており、厳しい環境下にあると考えております。
当社グループは、技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として2016年の設立から8期目にいたるまで事業を続けています。ここ数年で類似企業がいくつか設立される中、創業以前からそのポテンシャルに着目し、メジャーな分野においてグローバルなリーディングポジションをとり続け、臨床試験が視野に入る段階まで開発を進めていること注目に値すると考えています。
当社は2023年8月において、アステラス製薬株式会社よりMDL-201及びMDL-202の開発、製造・販売権を再取得いたしました。MDL-201及びMDL-202の対象疾患は、それぞれデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)及び筋強直性ジストロフィー1型(DM1)で、いずれも筋肉疾患の中では患者数の多い疾患とされています。当社がこれまでに自社で開発を進めてきたMDL-101の経験、ノウハウを投入することで、同じ筋肉疾患を対象とする2剤をより良い形で開発ができると考え、再取得の判断をするに至りました。 本再取得に伴い、当社はパイプラインの見直しを行い、MDL-102及びMDL-205を削除しましたが、一方で顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)を対象としたMDL-103を追加いたしました。これはMDL-101の開発によって、筋肉選択的なウィルスベクターとGNDMカセットの組み合わせが、効率良く筋肉にGNDM分子を送達し目的の遺伝子の制御を行えることが、マウス及びサルにて確認できたことにより、筋肉疾患プログラムの確度がより高まったと考え、リソースを集中するという判断に基づきます。 MDL-101においては、2023年6月の末に米国食品医薬品局(FDA)よりPre-INDに係る応答を受け、臨床試験開始に至るまでの開発経路および条件についての確認を行っております。基本的に当社の開発案は受け入れられた形であると当社は認識をしており、若干の修正を行う事で臨床試験に到達できると考えております。これはCRISPRを用いたエピジェネティックス編集の会社がいくつもある中で、恐らく世界で初めて当局とPre-INDを行ったケースであると考えており、当該領域のリーダーとして新しいステップを乗り越えたことは大変意義のあることであると当社は考えます。 また、2023年5月にロサンゼルスで開催された米国遺伝子細胞治療学会(ASGCT)において、当社はMDL-101の開発成果の報告を行っております。このデータはサルにおけるターゲットエンゲージメントのデータを含み、またエピジェネティックス編集技術の方向性に対する懐疑論を払拭する説得力のあるデータであったと考えます。実際に当社の技術には追随者も現れ、そういった企業からの後追いの発表も見受けられました。なお、本データによって保証されるのは、MDL-101のターゲット疾患であるLAMA2-CMD(別名MDC1A)に対する有効性のみならず、筋肉疾患向けのCRISPR-GNDM®プラットフォームを共有する他の筋肉疾患プログラムに対しても外挿可能な効果を予測するものであると考えています。 これらの成果は、ファイナンスのオプションとしてのパートナリングの可能性を拡げ、進行中の協議を推進する効果を生むものと予想しております。また、再取得したMDL-201及びMDL-202についても患者数も多く、アンメットニーズも高い疾患であることを考えると、当社にあらたな収益機会をもたらすものと考えます。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、事業収益-千円(前年同四半期は事業収益40,500千円)、営業損失1,044,792千円(前年同四半期は営業損失868,457千円)、経常損失995,474千円(前年同四半期は経常損失780,483千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失1,033,228千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失775,695千円)となりました。なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(財政状態)(流動資産)当第2四半期連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて278,411千円減少し、2,782,816千円となりました。これは主に、現金及び預金が341,771千円減少したためであります。
(固定資産)当第2四半期連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて4,240千円増加し、72,845千円となりました。これは主に、投資その他の資産が4,240千円増加したためであります。
(流動負債) 当第2四半期連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて136,172千円増加し、278,012千円となりました。これは主に、その他が112,198千円増加したためであります。
(固定負債)当第2四半期連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて1,612千円減少し、45,147千円となりました。これは主に、その他が2,070千円減少したためであります。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて408,731千円減少し、2,532,501千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,033,228千円発生したためであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて341,771千円減少し、2,591,391千円となりました。当第2四半期連結累計期間末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、使用した資金は979,332千円(前年同四半期は713,384千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失1,032,620千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は37,830千円(前年同四半期は118,965千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出37,830千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、獲得した資金は615,005千円(前年同四半期は3,653千円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入618,372千円によるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、906,431千円であります。 なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。