【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績(経営成績)当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染状況の改善や行動制限の緩和等により経済活動の回復が期待されている中で、継続するロシアのウクライナ侵攻の影響や世界的なインフレ、円安の急伸等への懸念により不透明な状況が継続しております。
当社グループは、「Every life deserves attention(すべての命に、光を)」を経営理念として掲げ、そのほとんどが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して画期的な新薬を提供することを目標とし、研究開発を行っております。技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として2016年の設立から7期目に当たる当連結累計期間にいたるまで、リーディングカンパニーとして最先端の研究をリードし続けてまいりました。この成果を結実させるべく当期は臨床試験に向けた取り組みを継続しております。なお、当第3四半期連結累計期間の経営成績等において新型コロナウイルス感染症による影響は限定的と考えております。
当社グループは自社及びパートナーとの提携によりCRISPR-GNDM®技術を用いたパイプラインの開発を進めております。当第3四半期連結累計期間においては、9月15日にプレスリリースに発表の通り、MDL-101のAAVベクターの設計変更及びMDL-104の開発優先度の引き上げの判断を行いました。これは主として筋ジストロフィーを対象疾患とするMDL-101の筋肉への送達効率の向上を目的としてキャプシド*の変更を行うものですが、今後のパイプラインにも適用される新しい指針となります。これまでのAAVベクターを用いた遺伝子治療においては、汎用のキャプシドを用いることが一般的でしたが、眼科領域など局所投与で成功を収めた後に治療対象が筋肉疾患などに拡がり、大量のAAVベクターの全身投与を伴う治療が模索された結果、いくつかの安全性上の問題点が明らかになってきました。これには当局も懸念を示し、臨床試験あるいは上市に至るまでに注視すべき項目が増え、開発のハードルが高くなりつつありました。一方で、近年の技術革新により専用のキャプシドが開発され、目的の対象臓器毎に送達効率が高められたものが作られるようになってきました。このメリットは、肝臓などのターゲットとしない臓器における毒性の影響を低減できることや毒性を生ずること無く目的とする臓器への送達量を増やし、効果を高めることができるようになります。また、同じ薬効を実現するために投与するAAVベクターの量を減らすことができるので、コスト面でも優位になると考えられます。当社は臨床に向けて開発分子のロックイン及び製造、GLP試験をこれから開始しようという回帰不能点に至るにあたって、当該変更を適用する判断を行いました。その結果、約半年から1年の臨床入りの遅延を伴うことになりますが、プロダクトの性能を高め、より高い成功確率をもたらすことになるので、長期的にはより高いパイプライン価値を実現するであろうと考えています。一方で、当該変更に伴うタイムラインの精査にあたって、他のパイプラインの臨床到達時期を見直した結果、タウオパチーをターゲットとしたMDL-104は、当社の以前の想定よりも早くに臨床入りできる可能性が浮上しました。そこで当社はMDL-101と並行してMDL-104の開発優先度を引き上げ、2023年央に両プログラムをpre-INDファイリングを実現させるべく両者を並行して開発を行うこととしました。特許面においては、当社とパートナーであるアステラス社との間でデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬開発を目指して共同出願された「ユートロフィン遺伝子を標的とした筋ジストロフィーの治療法」が10月に米国で特許発効されております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、事業収益40,500千円(前年同四半期は事業収益1,100千円)、営業損失1,438,226千円(前年同四半期は営業損失677,519千円)、経常損失1,314,537千円(前年同四半期は経常損失661,924千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失1,309,827千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失181,372千円)となりました。なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。*キャプシド(Capsid):ウイルスゲノムを取り囲むタンパク質の殻のこと。これによって細胞への送達の指向性や効率が左右される。
(財政状態)(流動資産)当第3四半期連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,263,534千円減少し、3,803,509千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,254,894千円減少したためであります。
(固定資産)当第3四半期連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて80,895千円増加し、1,082,988千円となりました。これは主に、有形固定資産が125,526千円増加したためであります。
(流動負債) 当第3四半期連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて104,296千円増加し、285,014千円となりました。これは主に、その他が80,711千円増加したためであります。
(固定負債)当第3四半期連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて21,658千円減少し、317,548千円となりました。これは主に、その他固定負債が18,315千円減少したためであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,265,277千円減少し、4,283,934千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,309,827千円発生したためであります。
(2) 経営方針・経営戦略等 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動 当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、1,290,857千円であります。 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。