【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績及び財政状態の状況
・経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、深刻なコロナ禍を脱し、感染防止措置に対する様々な規制緩和が進んだことで、経済活動の再活性化にむけて動いております。その一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や円安による影響から、エネルギーコストの高騰、原材料の高騰・供給量の不足が生じるなど、依然として予断を許さない経済環境が続いております。
当社が属する、中食・外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、また、規制緩和が進んだことで経済活動が活発化し、来店客数に回復の動きが見られます。しかしながら、原材料の高騰及び慢性的な労働力不足が解消されていないことから、依然として厳しい状況が続いております。
このような環境下において、当社グループは、各事業セグメントの収益改善と事業成長を軸とした、2023年12月期~2025年12月期の中期経営計画を策定し、当社グループの基本方針である「多様な食を、多様な形で、多様な顧客へ」のもと、食と顧客を繋ぐ「トータル・フード・プロバイダー」として、各社・各事業セグメントにおける取組みの推進、シナジーを活かした各事業の有機的な結合による、新たな事業の創出を行う為の取組みを進めております。
現時点における当社グループの取組みは、下記となります。
[小売事業]
「小僧寿し」の小売事業店舗化の推進として、食品スーパーマーケットを運営するだいまるのリテール商品、物流拠点の機能を活用し、小売商品のバリエーションの強化を進めております。
また、小僧寿しにおいて、新たな業態による新規出店として、「フードコート」に対応したモデル店舗の開発を進めております。(同モデル店舗については、2023年7月24日に開店済)
一方で、「飲食事業」「デリバリー事業」の各店舗において、小僧寿しのお寿司を提供する取組を進め、販売網の拡充を進めております。
[飲食事業]
前第2四半期連結会計年度においては、株式会社Tlanseair(以下「トランセア」といいます。)の事業セグメントでありましたが、2022年7月以降に、アスラポート株式会社(以下「アスラポート」といいます。)及び株式会社TBJ(以下「TBJ」といいます。)の、飲食事業会社2社に連結子会社化により、売上高、収益力を大幅に増強しております。TBJにて運営する、メキシカン・ファストフード店「TacoBell」においては、年内の複数店舗の出店開発を進め、また、ラーメン業態である「どさん子らーめん」においては、新業態である「札幌タンメン ベジ達」の出店を行うなど、新規出店による店舗数の増加及び収益力の拡大を進めております。
[デリバリー事業]
新型コロナウイルス感染症の規制緩和が進み、経済活動が活発化したことで、外食作業の改善とは対照的に、緩やかな需要の減退が生じております。このような環境下において、フードデリバリー店「デリズ」においては、収益性の低い不採算店舗の一部閉鎖を敢行し、また、既存店の収益性を改善するため、自社流通機能の強化を進める事で、収益性の改善を果たしました。
一方で、事業成長の因子として、デリズにおいて展開するデリバリーブランドの、個別FC加盟を行う「ブランドシェアリング」を推進し、収益力の向上を図っております。
当社グループは、上記の店舗開発やブランド間のクロスオーバーによる商品提供範囲の拡大、また、近年の積極的なM&Aの実施により、事業領域と共に、ブランド数及び店舗数が拡大し、本日現在、16ブランド、571店舗の出店展開をしております。(前第2四半期連結会計期間末、10ブランド、303店舗の展開)。また、店舗数の増加と比例して、事業エリアが広域化しており、食材・商品配送時の物流網が広域化していることから、物流コストが増加しております。当社はこの対策の一環として、商品卸売事業を展開する東洋商事及びその完全子会社である、和惣菜の製造販売を展開するモリヨシを、2023年5月1日付で完全子会社といたしました。これにより、全国の各店舗に対する物流コストのコントロール及びコストの圧縮を図る事で、当社グループ全体に及ぶ収益改善効果を見込んでおります。
なお、東洋商事及びモリヨシに関しては、2023年7月1日以降の収益連結を予定しております。
以上の結果、上記に記載する事業の取組み、及び、中食・外食業界における来店客数の増加等の影響により、「飲食事業」の売上高が大幅に増加しておりますが、株式譲渡を行った会社の連結離脱による売上高減少の影響が生じたことから、当第2四半期連結累計期間における売上高は、44億78百万円(前期比15.8%減少)となりました。なお、当社グループは、2022年6月以降に株式会社ミートクレスト、株式会社アニスピホールディングスの株式を譲渡し、前第2四半期連結累計期間においては当該会社の売上高が17億15百万円含まれております。
営業利益及び経常利益におきましては、各事業の取組みの効果により、前第2四半期連結累計期間と比較し、各事業セグメントにおいて収益改善をしております。中でも、2022年7月以降のM&Aにより連結子会社としたアスラポート、TBJの連結加入によって、飲食事業の売上高は大幅に増加し、また、堅調な事業推進のもと、営業利益を拡大しております。
一方「小売事業」「デリバリー事業」におきまして、原材料価格の高騰、エネルギーコストの増加等による収益圧迫要因に対する対策の実施により、収益力は改善されたものの、各事業の黒字化に至るまでには、更なる事業領域の拡大、収益力の改善を必要としていることから、現時点において営業損失を計上しております。
上記に記載する要因により、当社グループ全体として、前期と比較し収益構造の改善は進んでいるものの、未だ利益創出には至っていないことから、営業損失は77百万円(前年同期は2億6百万円の営業損失)、経常損失は84百万円(前年同期は2億16百万円の経常損失)となりました。
また、特別利益として2023年5月1日付で完全子会社と致しました東洋商事、及び、モリヨシにおいて、当該株式の取得原価と両者の純資産の差額が生じ、負ののれん発生益を82百万円計上したことから、親会社株主に帰属する四半期純損失は、37百万円(前年同期は3億6百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメント別の状況
① 小売事業
小売事業は、株式会社小僧寿し、及び、食品スーパーマーケットを運営するだいまるによって構成されており、「持ち帰り寿し店 小僧寿し」「茶月」の直営店舗を72店舗(前年同期は77店舗)、だいまるが展開するスーパーマーケット「だいまるスーパー」を1店舗(前年同期は1店舗)展開しており、小売事業の直営店舗数は73店舗(前年同期比5店舗減少)となっております。
同セグメントの売上高は、既存店の売上高が前期比にして増加しているものの、直営店舗数の減少に伴い、20億19百万円(前年同期比4.6%減少)となりました。昨年度において、海産物の原材料価格の高騰により、収益力の大幅な減退が生じておりましたが、販売価格の改定により収益力は改善傾向にありますが、当初想定していた、小僧寿し店舗における、デリバリー販売網の拡充において、その成果が顕在化されるまでに一定の期間を要することから、未だ大きな収益改善に繋がっておらず、セグメント損失は61百万円(前年同期は1億37百万円のセグメント損失)となりました。
② 飲食事業
飲食事業は、連結子会社であるトランセア、アスラポート、TBJ、株式会社スパイシークリエイト(以下「スパイシークリエイト」といいます。)において展開する飲食事業、焼き鳥と鳥料理の居酒屋「とり鉄」、ラーメン業態の「どさん子」、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」、ミルフィーユ・カツを主力商品とする「キムカツ」などの、外食・居酒屋業態のチェーン展開を行っております。同セグメントにおいては、新型コロナウイルス感染症の緩和措置等の影響も生じ、来店客数が増加したことにより、売上高は堅調に推移し、また、前年同期は連結対象外でありました、アスラポート、TBJの業績も寄与したことから、売上高は20億72百万円(前年同期比108.3%)と大幅な増収となりました。また、各社事業が堅調な推移を示しており、セグメント利益は22百万円(前年同期比155.1%)となりました。
③ デリバリー事業
デリバリー事業は、連結子会社であるデリズにおいて、自社WEBサイト及び、「出前館」「UberEats」等の宅配ポータルサイトを介して、フードデリバリーを行う事業です。デリズでは、著名シェフとのコラボブランド商品の展開、当社のグループブランドである「小僧寿し」「どさん子」「キムカツ」等のコラボによる商品の展開を行うなど、「デリズでしか食べられない商品」の開発を進めております。また、全国に展開する当社グループ店舗を一つの宅配拠点(DEPO)とした、デリズの展開により事業の広域化を進め、更なる収益力の改善に努めております。
当該事業においては、昨年度まで新規出店を積極体に実施してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響かにおいて競争が激化したフード・デリバリー業界に中において、想定した売上高が確保出来ない不採算店舗の閉鎖を進め、また、自社WEBサイトの強化及び自社デリバリー機能の活用により、収益力の改善に努めてまいりました。当該取組みの推進びより、収益力が改善され、直営店舗での収支は黒字化を果たしたものの、現段階においては、管理コストを吸収するまでの収益力を有していないことから、売上高は5億54百万円(前年同期比16.8%減少)、セグメント損失は38百万円(前年同期は59百万円のセグメント損失)となりました。
・財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は50億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億83百万円の増加とな りました。
主な要因としては、東洋商事及びモリヨシの連結加入によって、現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品、短期貸付金等、流動資産が16億69百万円増加したことによるものです。
負債合計は44億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億25百万円の増加となりました。主な要因としては、 東洋商事及びモリヨシの連結加入によって、買掛金12億28百万円、長期借入金6億5百万円等の負債が増加したことによるものです。
純資産合計は、新株予約権の行使等により、1億57百万円増加し、6億4百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ54百万円増加の4億91百万円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は3億8百万円となりました。負ののれん発生益による支出82百万円、仕入債務の増加による支出156百万円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の増加は2億35百万円(前第2四半期連結累計期間は1億2百万円の減少)となりました。
これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が1億3百万円、敷金及び保証金の返還による収入1億50百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は1億26百万円(前第2四半期連結累計期間は16百万円の増加)となりました。
これは主として、新株の発行による収入2億8百万円によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2022年12月期において、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化に及ぶ中で、商材価格の高騰による収益力の低下、エネルギーコストの上昇による費用増加等の影響が複合的に生じたため、主力事業である「持ち帰り寿し事業等」「デリバリー事業」の収益は大きく減退し、採算性の低い一部店舗の閉鎖を実施し、前連結会計年度においては、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループではこのような事象を解消するために、主力事業セグメントの損失因子の改善、事業成長により、キャッシュ・フローを改善する必要があることから、以下の施策を継続的に進め、収益構造の抜本的な改善に努めてまいります。
1)小売事業(旧 持ち帰り寿し事業等)における多層的な収益事業の確立
「小売事業」において、既存の持ち帰り寿し店「小僧寿し」の店舗売上高は、2022年度の通期において堅調に推移したものの、前連結会計年度において大きな影響が生じた、食材価格の高騰による収益力の減退を早期に改善する必要があります。かかる外部環境の中で、当連結会計年度より、幾度かの商品価格の改善、品質の改善を繰り返し、収益性と商品力を向上させる取り組みを進め、2021年12月期と同等の収益力の確保、そして、商品力の向上に一定の成果が表れております。また、当連結会計年度においては、「小僧寿し」における小売商品販売の売上高増加を目標に、スーパーマーケットを運営するだいまるとのシナジーを更に強化し、小売商品のバリエーションの増加、小売販売機能を有した店舗の増加を果たしました。一方で、今後の取組みとして、収益性の確保が難しい店舗に関して、「厨房設置型の無人販売店」へと展開する検討を進めており、店舗運営コストの圧縮、デリバリー販売機能付加による多層的な収益力を有する店舗へと転換する事で、収益力の改善を図ってまいります。
2)デリバリー事業の推進
「デリバリー事業」においては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、フードデリバリー業界の競争激化に伴い、既存店の店舗売上高が前連結会計年度と比較して減少しております。売上高の改善を図るために、「デリズでしか食べられない商品」を提供するべく、著名シェフとのコラボレーション商品の開発、当社グループの各ブランドや著名店との共同により、新たな商品の開発を進め、商品力の向上を進めてまいります。
一方で、前連結会計年度より推進する、店舗収益性の改善と並行し、自社WEBサイトからの受注率の向上による、配送手数料の圧縮を進める事で、デリバリー事業の収益性を改善してまいります。
また、デリズの有する自社デリバリー機能を有効活用し、中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)にて策定した「ラスト・ワン・マイル」と「クイック・コマース」の実現による、新機軸のデリバリー事業の推進を果たしてまいります。
3)適正なキャッシュ・フローの確立
前連結会計年度においては、複数の子会社の売却、また、第12回新株予約権並びに第13回新株予約権の発行を行うなどの資本増強策により、資金を確保し、税金や社会保険料の支払いに充てることで、未払の税金等を解消し、キャッシュ・フローの適正化を図ってまいりました。当期においても、必要に応じて資金調達を行い、中期経営計画を着実に遂行し、適正なキャッシュ・フローを確立に努めてまいります。
以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ってまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当第2四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)従業員数
①連結会社の状況
2023年5月1日付で東洋商事及びモリヨシの全株式を取得したことに伴い、従業員が119名、臨時雇用者数が131名、それぞれ増加しております。
②提出会社の状況
該当事項はありません。