【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、深刻なコロナ禍を脱し、感染防止措置に対する様々な規制緩和が進んだことで、経済活動の再活性化に向けて動いております。その一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や円安による影響から、エネルギーコストの高騰、原材料の高騰・供給量の不足が生じるなど、依然として予断を許さない経済環境が続いております。当社が属する、中食・外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に端を発した経済活動の活発化により、来店客数に回復の動きが見られるものの、原材料の高騰及び労働力不足が解消されないことから、依然として厳しい状況がつづいております。
このような環境下において、当社グループは、主力事業セグメントである「小売事業(旧 持ち帰り寿し事業等)」「飲食事業」「デリバリー事業」の収益改善と事業成長を軸とした、2023年12月期~2025年12月期の中期経営計画を策定し、当社グループの基本方針である「多様な食を、多様な形で、多様な顧客へ」のもと、食と顧客を繋なぐ「トータル・フード・プロバイダー」として各事業セグメントにおける取組を進め、また、各事業セグメント間の取り組みを有機的に結合することで、新たな事業の創出を行う為の取り組みを進めております。
現時点における当社グループの取り組みは、下記となります。
・小売事業である食品スーパーマーケットを運営する株式会社だいまる(以下「だいまる」という。)の、小売商品、物流拠点や配送車等のリソースを活用した、「持ち帰り寿し店 小僧寿し」の小売事業店舗化の推進
・飲食事業においては、2022年10月に連結子会社とした株式会社TBJ(以下「TBJ」という。)にて運営する、メキシカン・ファストフード「TacoBell」の更なる新規出店、及び、とり鉄、どさん子等の新規出店を進め、事業領域を拡大するとともに、全国に展開する各ブランドの店舗を配送拠点(DEPO)とした、デリバリー事業の事業領域拡大の推進
・デリバリー事業において、自社流通機能の強化による収益率の改善を進める一方で、上記に記載するグループブランドの店舗を配送拠点(DEPO)としたデリバリー網の拡大、及び、フードデリバリー店「デリズ」にて展開する各ブランド単位のFC加盟を行う「ブランドシェアリング」の推進
主として上記の取り組みを進めることで、当社のグループスケールを活かした多面的かつ多層的な収益の確保を目指します。
上記の事業推進による取り組み及び、中食・外食業界における来店客数の増加により、既存店の売上高は前期に比べて増加しておりますが、前第1四半期連結累計期間と比較し、2022年6月に株式会社ミートクレスト、2022年10月に株式会社アニスピホールディングスの株式譲渡により連結対象外となった影響から、当第1四半期連結累計期間における売上高は、22億44百万円(前期比26.6%減少)となりました。
営業利益及び経常利益に関しまして、「飲食事業」におきましては、2021年7月に連結子会社とした株式会社Tlanseair(以下「トランセア」という。)、2022年7月に連結子会社としたアスラポート株式会社(以下「アスラポート」という。)、2022年10月に連結子会社としたTBJの各社が堅調な事業推進のもと、営業利益を計上している一方で、「小売事業」「デリバリー事業」において、前期と比較し収益構造の改善は進んでいるものの利益創出には至っていないことから、営業損失は21百万円(前年同期は52百万円の営業損失)、経常損失は22百万円(前年同期は54百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は39百万円(前期は1億3百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメント別の状況
① 小売事業
「持ち帰り寿し店 小僧寿し」の小売事業化の推進に伴い、旧「持ち帰り寿し事業等セグメント」を、当第1四半期連結会計期間より「小売事業セグメント」に変更いたしました。
小売事業は、株式会社小僧寿し、及び、食品スーパーマーケットを運営するだいまるによって構成されており、「持ち帰り寿し店 小僧寿し」「茶月」の直営店舗を73店舗(前年同期は76店舗)、だいまるが展開するスーパーマーケット「だいまるスーパー」を1店舗(前年同期は1店舗)展開しており、小売事業の直営店舗数は74店舗(前年同期比3店舗減少)となっております。
同セグメントの売上高は、直営店舗数の減少に伴い、10億25百万円(前年同期比6.5%減少)となりました。昨年度において、海産物の原材料価格の高騰により収益力に大きな影響が生じておりましたが、販売価格の改定により収益力は改善傾向にあり、セグメント損失は3百万円(前年同期は58百万円のセグメント損失)となりました。
② 飲食事業
飲食事業は、連結子会社であるトランセア、アスラポート、TBJ、株式会社スパイシークリエイト(以下「スパイシークリエイト」という。)において展開する飲食事業、焼き鳥と鳥料理の居酒屋「とり鉄」や、ラーメン業態の「どさん子」、メキシカン・ファストフードの「TacoBell」などの、外食・居酒屋業態のチェーン展開を行っております。同セグメントにおいては、新型コロナウイルス感染症の緩和措置に端を発する来店客数の増加により、既存店の売上高は堅調に推移し、また、前年同期は連結対象外でありました、アスラポート、TBJの業績も寄与したことから、売上高は10億16百万円(前年同期比113.5%増加)とセグメント利益は1百万円(前年同期は0百万円のセグメント利益)となりました。
③ デリバリー事業
デリバリー事業は、連結子会社であるデリズにおいて、自社WEBサイト及び、「出前館」「UberEats」等の宅配ポータルサイトを介して、フードデリバリーを行う事業です。デリズでは、著名シェフとのコラボブランド商品の展開、当社のグループブランドである「小僧寿し」「どさん子」「キムカツ」等のコラボによる商品の展開等を行うなど「デリズでしか食べられない商品」の開発を進めております。また、全国に展開する当社グループ店舗を一つの宅配拠点(DEPO)とした、デリズの展開により事業の広域化を進め、更なる収益力の改善に努めております。当該事業においては、昨年度までに新規出店を積極的に実施してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響下において競争が激化したデリバリー業界の中において、想定した売上高が確保出来ない不採算店舗の閉鎖を実施し、また、自社WEBサイトの強化及び自社デリバリー機能の活用により、収益力の改善に努めてまいりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間においては、一部不採算店の閉鎖に伴い売上高は2億88百万円(前年同期比20.8%減少)、セグメント損失は18百万円(前年同期は16百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は30億10百万円、前連結会計年度末に比べ1億91百万円の減少となりました。主な要因としては、現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少等により、流動資産が48百万円減少したこと、敷金及び保証金の減少等により、固定資産が1億42百万円減少したこと等によるものです。
負債合計は24億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億88百万円の減少となりました。主な要因としては、買掛金、未払金が減少したこと等によるものです。
純資産合計は、当第1四半期連結累計期間の業績を反映して5億43百万円となり、96百万円の増加となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、2022年12月期において、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化に及ぶ中で、商材価格の高騰による収益力の低下、エネルギーコストの上昇による費用増加等の影響が複合的に生じたため、主力事業である「持ち帰り寿し事業等」「デリバリー事業」の収益は大きく減退し、採算性の低い一部店舗の閉鎖を実施し、前連結会計年度においては、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループではこのような事象を解消するために、主力事業セグメントの損失因子の改善、事業成長により、キャッシュ・フローを改善する必要があることから、以下の施策を継続的に進め、収益構造の抜本的な改善に努めてまいります。
1)小売事業(旧 持ち帰り寿し事業等)における多層的な収益事業の確立
「小売事業」において、既存の持ち帰り寿し店「小僧寿し」の店舗売上高は、2022年度の通期において堅調に推移したものの、前連結会計年度において大きな影響が生じた、食材価格の高騰による収益力の減退を早期に改善する必要があります。かかる外部環境の中で、当連結会計年度より、幾度かの商品価格の改善、品質の改善を繰り返し、収益性と商品力を向上させる取り組みを進め、2021年12月期と同等の収益力の確保、そして、商品力の向上に一定の成果が表れております。また、当連結会計年度においては、「小僧寿し」における小売商品販売の売上高増加を目標に、スーパーマーケットを運営するだいまるとのシナジーを更に強化し、小売商品のバリエーションの増加、小売販売機能を有した店舗の増加を果たしました。一方で、今後の取組みとして、収益性の確保が難しい店舗に関して、「厨房設置型の無人販売店」へと展開する検討を進めており、店舗運営コストの圧縮、デリバリー販売機能付加による多層的な収益力を有する店舗へと転換する事で、収益力の改善を図ってまいります。
2)デリバリー事業の推進
「デリバリー事業」においては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、フードデリバリー業界の競争激化に伴い、既存店の店舗売上高が前連結会計年度と比較して減少しております。売上高の改善を図るために、「デリズでしか食べられない商品」を提供するべく、著名シェフとのコラボレーション商品の開発、当社グループの各ブランドや著名店との共同により、新たな商品の開発を進め、商品力の向上を進めてまいります。
一方で、前連結会計年度より推進する、店舗収益性の改善と並行し、自社WEBサイトからの受注率の向上による、配送手数料の圧縮を進める事で、デリバリー事業の収益性を改善してまいります。
また、デリズの有する自社デリバリー機能を有効活用し、中期経営計画(2023年12月期-2025年12月期)にて策定した「ラスト・ワン・マイル」と「クイック・コマース」の実現による、新機軸のデリバリー事業の推進を果たしてまいります。
3)適正なキャッシュ・フローの確立
前連結会計年度においては、複数の子会社の売却、また、第12回新株予約権並びに第13回新株予約権の発行を行うなどの資本増強策により、資金を確保し、税金や社会保険料の支払いに充てることで、未払の税金等を解消し、キャッシュ・フローの適正化を図ってまいりました。当期においても、必要に応じて資金調達を行い、中期経営計画を着実に遂行し、適正なキャッシュ・フローを確立に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。