【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績及び財政状態の状況
・経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大によるまん延防止等重点措置の適用や、当該ウイルスの再拡大など、依然として厳しい状況となっております。
当社の重たる事業が属する中食業界、外食業界におきましては、外出機会の減少に伴う利用機会の減少、デリバリー参入企業の増加に伴う顧客獲得競争が激しさを増す一方で、海産物の原料価格やエネルギーコストの増加が収まる兆候が無く、先行きの見通しが困難であり、予断を許さない状況が続いております。
このような環境下において、当社グループは、持ち帰り寿し事業「小僧寿し」を中核とした、事業ポートフォリオの拡大を進め、収益の柱となる事業の構築、事業間のシナジーによる新たな事業の創出を行う為の取組みを進めております。当社の主たる事業ポートフォリオは、「持ち帰り寿し事業」「デリバリー事業」「飲食事業」「障がい者福祉事業」であり、各事業においては、前期までのM&Aの実施により各連結子会社を各事業の中核会社としております。
現時点における当社グループの取組みとして、小売事業である食品スーパーマーケットを運営するだいまるのリソースを活用した「総合小売事業」の推進、デリバリー事業における、持ち帰り寿し店「小僧寿し」のシナジーによる寿しデリバリー導入店舗の開発推進、「とり鉄」「とりでん」等の飲食店を展開するトランセアの運営機能に「デリバリー」「テイクアウト」の業態を付加するなど、多層的な収益力を備えた業態の開発推進、障がい者福祉関連サービスの展開を行うAHDとの連携による、当社グループ店舗における「就労継続支援事業所化」の推進、また、同社が全国に展開する1,100施設以上のペット共生型障がい者グループホーム「わおん」「にゃおん」には、5,500人以上の障がいのある方々が入居されており、当該入居者の方々へ「365日の日常食」の提供推進、など、各々の事業の特性を活用した新たな事業展開を推進しております。なお、新たな事業の取組みである、当社グループ店舗における「就労継続支援事業所化」に関しては、2022年7月以降に千葉県市川市、2022年8月1日に神奈川県相模原市による指定認可を受領しており、事業着手に向けて着実な推進を図っております。
上記の事業推進による取組は、現時点の当社業績に対しての影響は限定的であるものの、前連結会計年度及び当連結会計年度において連結子会社とした各社の売上高が寄与したため、2022年12月期第3四半期連結累計期間における売上高は、79億44百万円(前期比50.9%増加)となりました。
営業利益に関しまして、「飲食事業」におきましては堅調な事業推進のもと、営業利益を計上しておりますが、その一方で、下記の影響に伴い、営業損失並びに経常損失を計上しております。
・「持ち帰り寿し事業」においては、既存の持ち帰り寿し事業の売上高は堅調に推移したものの、海産物の原料価格の高騰による仕入原価の上昇の影響が大きく、営業損失を計上している点、及び、前期より実施いたしました、だいまるの小売商品、物流機能を活用して、小僧寿しのショーケースに食品小売事業の機能・商品を付加」する、小僧寿し店舗の「総合小売事業化」の推進が2022年12月期第3四半期連結累計期間においては、一部店舗に限定されており、事業の展開に時間を要していることから、営業損失を計上している点。
・「デリバリー事業」においては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している中で、フードデリバリー業界の競争激化に伴い、店舗当たりの売上高が前連結会計年度と比較して減少しており、事業収益構造の改善を進めた事で損失額は圧縮された一方で、収益化に至るまでの適正な事業モデルを確立するまでには時間を要し、営業損失を計上している点。
上記の損失計上要因が発生したため、営業損失は3億88百万円(前年同期は8百万円の営業利益)、経常損失は4億5百万円(前年同期は12百万円の経常利益)となりました。
上記の損失計上要因に加え、関係会社株式売却損39百万円、新型コロナ関連損失16百万円、固定資産除去損3百万円、店舗閉鎖損失29百万円等、特別損失として93百万円を計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は5億30百万円(前期は3百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメント別の状況
①持ち帰り寿し事業等
持ち帰り寿し事業等は、「持ち帰り寿し事業」「その他飲食店事業」「寿しFC事業」より構成されております。持ち帰り寿し事業におきましては、直営店として「小僧寿し」「茶月」を74店舗(前年同期は77店舗)、その他飲食店事業として、連結子会社である株式会社スパイシークリエイトが展開する飲食店を6店舗(前年同期は7店舗)、だいまるが展開するスーパーマーケットを1店舗展開しており、持ち帰り寿し事業等の直営店舗数は合計81店舗(前年同期比1店舗減少)となっております。
同セグメントの売上高は33億21百万円(前年同期比5.3%減少)となり、また、中核事業である持ち帰り寿し事業における、海産物の原料価格の高騰を始め、商材価格の高騰が想定を上回り、かつ長期に及んでいることで、想定以上の収益減退に繋がり、セグメント損失は2億91百万円(前年同期は4百万円のセグメント利益)となるなど、累計損失が増加しております。
同セグメントにおいては、2022年7月以降に「総合小売事業化」を推進するための「冷凍・冷蔵ショーケース」を導入いたしました。これにより、従来の持ち帰り寿しとしての売上に、小売商材の売上高を付加することで、店舗収益を改善してまいります。また、新たに宅配寿しの販売機能を付加する事を進め、「持ち帰り寿し」「宅配寿し」「小売商材の販売」を主軸とした、複合的な収益構造を備える店舗へと、改善を進めてまいります。
②デリバリー事業
デリバリー事業は、主に宅配ポータルサイトの「出前館」「UberEats」及びデリズ)の自社WEBサイトを通じて受注した商品を調理、宅配する事業です。デリズでは、自宅やオフィスにお届けするデリバリーサービスを全国で展開し、日本全国の名店や人気店、著名シェフとのコラボレーションの実施など、「デリズでしか食べられない商品」の開発による商品開発を進める一方で、フランチャイズ加盟社を含めた積極的な出店展開を進めております。2022年12月期第3四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している中で、フードデリバリー業界の競争激化に伴い、店舗当たりの売上高が前連結会計年度と比較して減少しており、同セグメントの売上高は9億98百万円(前年同期比33.6%減少)となりました。前期より事業収益構造の改善に着手しておりますが、損失額は圧縮された一方で、商材価格の高騰による収益性の減退、エネルギーコストの増加により、同事業が有する自社デリバリー機能維持のための固定費増加など、収益性を圧迫しております。そのため、セグメント損失は86百万円(前年同期は38百万円のセグメント損失)となりました。同セグメントにおいては、店舗当たりの売上高の増加、コスト構造の改善により、店舗収益性を改善していく事が必要であります。同セグメントでは自社のデリバリー機能を有しておりますが、商品のデリバリーに対する外部の配送機能(UberEatsや出前館等の宅配代行機能)を並行活用していることから、配送委託にかかる手数料コストが収益を圧迫している状態にあります。そのため、自社で有する配送機能の活用比重を増加し、配送委託コストを抑え、店舗収益力の改善を進めてまいります。
③飲食事業
飲食事業はトランセアにおいて展開する、焼き鳥と鳥料理の居酒屋「とり鉄」、釜飯と串焼きの「とりでん」を中心とした外食・居酒屋業態のチェーン展開を行っております。同セグメントにおいては、新型コロナウイルス感染症のまん延による影響が生じているものの、売上高は堅調に推移しており、売上高は15億75百万円、セグメント利益は33百万円となりました。同セグメントにおいては、引き続き安定的な収益を確保出来るよう、各店舗で有する「厨房・拠点」としての機能を活用し、デリズのフードデリバリー事業を付加していくなど、店内売上のみに依存しない、多層的な売上を生み出す事業展開を進めてまいります。
④食肉関連事業
食肉関連事業は、ミートクレストにおいて展開する、「牛・豚・鶏」の食肉原料調達から、消費者が購入される商品へと加工を行う「食肉生産加工」を主要な事業としております。当該事業セグメントは、2022年6月にミートクレスト及び関連会社1社の株式を譲渡したことにより、2022年12月期第2四半期連結会計期間より同社の業績は含まれておらず、売上高は6億88百万円、セグメント損失は11百万円となりました。
⑤障がい者福祉事業
障がい者福祉事業は、AHDにおいて展開する「ペット共生型障がい者グループホーム」の展開、障がい者福祉関連サービスの展開を主要な事業としており、ペット共生型障がい者グループホームの開設数の増加及び加盟社の増加に伴い、売上高は15億95百万円、セグメント損失は32百万円となりました。
なお、当該事業セグメントは、2022年10月にAHD及び関連会社4社の株式を譲渡したことにより、2022年12月期第4四半期連結会計期間よりこれら会社の業績は含まれません。
・財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は60億円となり、前連結会計年度末に比べ1億98百万円の減少となりました。
主な要因としては、有形固定資産等の増加にともない、固定資産が5億16百万円増加した一方で、現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少等に伴い、流動資産が7億14百万円減少したことによるものです。
負債合計は53億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億58百万円の減少となりました。主な要因としては、リース債務等の増加に伴い、固定負債が5億13百万円増加した一方で、買掛金、未払金等の減少に伴い、流動負債が6億71百万円減少したことによるものです。
純資産合計は、資本金及び資本剰余金の増加に伴い、5億43百万円増加した一方で、利益剰余金の減少に伴い39百万円減少し、6億45百万円となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、「小僧寿しグループ」が持つブランド価値の最大化を今後の成長戦略の基軸として考え、幅広い世代に必要とされ、今以上に愛されるブランドへと進化するため、現在の消費者のライフスタイルとニーズに即した「新生小僧寿し」のブランド開発を進めてまいると共に、全国を網羅するフランチャイズ事業体制の構築、および今後の成長戦略としてのデリバリー事業の推進を通して、国内外で有数のフランチャイズ企業を目指してまいります。
具体的な施策は、以下の通りであります。
①「小僧寿し」「茶月」における「総合小売事業」の推進
だいまるの小売商品、物流機能を活用して、小僧寿しのショーケースに食品小売事業の機能・商品を付加する取組みを進め、2022年7月時点において、当社直営店全店に、小売商品販売用の冷凍・冷蔵を導入し、当社がセレクトする小売食品、冷凍食品や、卵などの生鮮食品の販売を開始しております。
当該事業においては、総合小売事業であるスーパーマーケットを運営するだいまるにおいて、同社が有する小売商品を新たに「小僧寿し」の店舗で販売することで、同社が保有する倉庫を「小僧寿し」店舗に小売商品を配送するための物流拠点(DEPO)として活用し、また、同社で保有するトラックで配送を行う事で、自社グループによる商品流通が可能となるなどのシナジーが生じております。
②当社店舗における「就労継続支援事業化」の推進
社会福祉関連事業を推進するAHDとの協業により、当社グループ店舗を、障がい者の方々への就労継続支援事業所化を進め、社会福祉事業領域の推進を図ります。2022年7月以降に千葉県市川市、神奈川県相模原市の認可を受け、持ち帰り寿し店「小僧寿し」にて、就労継続支援事業所を開設しております。
当該事業の推進により、持ち帰り寿し店「小僧寿し」において、就労継続支援事業所としての収益が加算されることとなり、「小僧寿し」の店舗を活用した収益向上が見込まれます。
③デリバリー事業の推進
当社グループの各事業ブランド・各店舗の厨房機能を活用して、フードデリバリー店「デリズ」の機能を付加した店舗を開発し、出店推進を行っております。
当該事業においては、ブランド・各店舗の厨房機能を、フードデリバリー店「デリズ」の機能を付加することにより、運営を行っていたブランドに、「デリズ」のフードデリバリーの販売による収益力の向上が見込まれ、当該事業を元々備えている厨房機能を活用することで行えるといった、資産の効率的活用が可能となる点において、シナジーが生じております。
以上の施策を通じて、安定的な利益の確保と財務体質の改善を図ってまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
(4)従業員数
①連結会社の状況
第3四半期連結累計期間末において、ミートクレストの全株式を売却したことに伴い、当該会社が帰属する「食肉関連事業」セグメントにおいて、従業員が55名、臨時雇用者数が24名それぞれ減少し、また、アスラポートの全株式を取得したことに伴い、当該会社が帰属する「飲食事業」セグメントにおいて、従業員が17名、臨時雇用者数が57名それぞれ増加しております。
②提出会社の状況
該当事項はありません。