【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策での規制緩和などにより緩やかな回復基調にあるものの、外国為替相場における急激な円安、エネルギー価格や原材料費の高止まりなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。このような状況の下、当社グループの状況につきましては、世界的な脱コロナへの動きを受けた回復需要を取り込んだアスモトレーディング事業、及び給食需要の回復を受けたアスモフードサービス事業では好調に推移いたしましたが、高齢者施設の入居率や介護サービス利用者数の回復に時間を要しているアスモ介護サービス事業、食品加工販売部門が順調に売上を拡大する一方で店舗部門の業績が本格的な回復基調には転じていないASMO CATERING (HK) 事業においては引き続き慎重な事業運営が求められています。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高5,113百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益157百万円(前年同四半期比155.3%増)、経常利益181百万円(前年同四半期比96.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、110百万円(前年同四半期比236.5%増)となりました。売上高の増加は、アスモトレーディング事業およびアスモフードサービス事業におけるコロナ禍で低迷していた業績の回復によるものであります。営業利益、経常利益の改善は、アスモトレーディング事業における高付加価値商品の取扱い量増加、アスモフードサービス事業における給食提供数の増加や受託先施設に対する売上単価値上げ交渉の成果によるもの、また各セグメントで増幅していた衛生関連費用の縮小によるものであります。今後におきましては、各事業の状況に応じて売上高の拡大や利益率の改善を推し進めることで、業績の向上に向けグループ一丸となって邁進してまいります。
セグメントごとの状況は次のとおりであります。
セグメント名称(セグメントに該当する会社)
主要な事業の内容
アスモ事業(株式会社アスモ)
グループ会社の統制・管理、不動産賃貸
アスモトレーディング事業(株式会社アスモトレーディング)
食肉の輸入、食肉及び食肉加工品の販売
アスモフードサービス事業(株式会社アスモフードサービス)(株式会社アスモフードサービス首都圏)(株式会社アスモフードサービス東日本)(株式会社アスモフードサービス中日本)(株式会社アスモフードサービス西日本)
高齢者介護施設等における給食の提供
アスモ介護サービス事業(株式会社アスモ介護サービス)(株式会社アスモライフサービス)
訪問・居宅介護事業所の運営、有料老人ホームの運営
ASMO CATERING (HK) 事業(ASMO CATERING (HK) CO., LIMITED)
香港における外食店舗の運営、食品加工販売
その他
(ASMO CATERING (TAIWAN) COMPANY LIMITED)
台湾における外食店舗の運営 ※事業を休止中
① アスモトレーディング事業食肉市場では、世界情勢の不安に起因した燃料価格の高騰に加え、輸送費や穀物飼料価格の高止まりが続いた結果、アメリカやオーストラリア等の輸入牛肉の供給が不安定となりました。国内では、記録的な円安の長期化により食肉価格の高騰が続くなど、事業を取り巻く環境は依然として不透明でありますが、主力商品であるメキシコ産牛肉を現地から安定的に購買できる強みや価格面での優位性を活かして外食需要を取り込むことに成功いたしました。また、インバウンド需要が増えたことと、社会経済活動の正常化を受けたゴールデンウィーク需要を追い風として販売が好調に推移しました。また、国内通販事業部門においても消費活動の活性化に応える形での新商品開発に注力した結果、業績は堅調に推移いたしました。一方で、費用面に関しては人件費の高騰に加え、原油価格の上昇による光熱費、配送費や保管料といった経費の増加傾向は引き続いておりますが、先に述べた販売機会の拡大により営業利益を確保することができました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,193百万円(前年同四半期比4.7%増)、セグメント利益(営業利益)は37百万円(前年同四半期比34.7%増)となりました。今後におきましては、長引く円安基調とさらなる物価上昇による消費者の生活防衛意識の高まりなど、足元では不透明な状況が続きますが、お客様へ安定的な商品の供給を継続すると共に、販路拡大と業績の向上に専念してまいります。
② アスモフードサービス事業アスモフードサービス事業におきましては、主要マーケットである高齢者施設の利用者様数において新型コロナウイルス感染症がまん延する以前の水準への回復に時間を要しておりましたが、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことに伴い、新規開拓営業活動の機会が増えたため、給食受託施設数、及び給食提供数が増加いたしました。また、2020年より控えておりました洋菓子講習会の実施や対面による研修の再開等、従業員の知識や技能習得に関しても意欲的に取り込むことができる環境に戻りつつあります。一方、費用面では引き続き物価高騰の影響が続くなか、人員不足も深刻化しており、原材料費・人件費の増加が利益を押し下げる要因となっておりますが、仕入れ先の見直しや献立を工夫することで原材料費を抑え、従業員の勤務シフト体制の見直しを図ることで人件費を削減し、受託先施設に対しては食材費値上げの働きかけをおこなうことで利益の確保に取り組んでまいりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,916百万円(前年同四半期比2.1%増)、セグメント利益(営業利益)は75百万円(前年同四半期比52.7%増)となりました。引き続き、経費管理に注力し、営業活動に取り組むことで収益力の向上に努めてまいります。
③ アスモ介護サービス事業アスモ介護サービス事業におきましては、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、有料老人ホーム運営事業、および介護タクシー事業を営んでおります。介護業界全体として、新型コロナウイルス感染症の影響は低減いたしましたが、長引く物価高騰下における経費及び人件費の上昇に、引き続き足元・先行きとも厳しい状況にあります。そのような状況の中、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことに伴い、施設への入館規制を緩和し、ご入居の促進に注力したことにより、有料老人ホームの入居率は緩やかながら回復傾向となりました。また介護の現場においては感染症対策の徹底を図り、ご利用者様の日々の安心と安全をお守りする事に努めることで、介護サービスの提供機会を増やしてしてまいりました。これにより当第1四半期連結会計期間末現在、訪問介護事業所36事業所(前年同期末は36事業所)、居宅介護支援事業所12事業所(前年同期末は12事業所)となり、支援させていただいておりますご利用者様(※)は1,909名(前年同四半期末は1,850名)となりました。また、有料老人ホーム7施設(前年同四半期末は7施設)のご入居者は340名(前年同四半期末は317名)となりました。(※)介護タクシーでの介護保険利用者を除く以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,394百万円(前年同四半期比0.1%増)、セグメント利益(営業利益)は116百万円(前年同四半期比238.7%増)となりました。今後におきましては、業績の回復を目指し、職員の定着率向上に向けた取り組みと積極的な新規採用により十分な職員数を確保していることを強みとして、介護サービス提供の強化と、介護サービスの更なる質の向上を図ってまいります。
④ ASMO CATERING (HK) 事業香港では、ゼロコロナ政策の緩和により2023年2月に香港と中国本土の間の往来が正常化され、景気の急回復が期待されておりましたが、往来の正常化後、香港から中国本土や海外に越境して消費を楽しむ香港人が急増し、中国本土からの香港入境者数をはるかに上回る状況となったことや、観光客がかつてのような買い物一辺倒の行動パターンから変化していることを背景として、景気の回復は極めて緩やかな状況にあります。そのような状況の中で店舗部門の業績は回復に時間を要しており、先行きは依然不透明な状況にあります。一方で、食品加工販売部門においては、当第1四半期連結累計期間においても順調に売上を拡大してきており、セグメント売上全体の約42%を占めるに至りました。今後も顧客となる日系プロバイダーによる出店も多数計画されており、マーケットの拡大が期待されます。利益面では、新型コロナウイルス感染症に関する政府からの助成金が前連結会計年度で終了したため、前第1四半期連結累計期間に比べて減少いたしました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、607百万円(前年同四半期比10.9%増)、セグメント損失(営業損失)は10百万円(前年同四半期はセグメント利益5百万円)となりました。インバウンド需要に頼る割合が高い香港の小売業、飲食業ですが、店舗部門、食品加工販売部門のバランスを見極め、効率的な収益体制の確立に取り組んでまいります。
⑤ その他の事業その他セグメントに含まれておりますASMO CARTERING(TAIWAN)COMPANY LIMITEDは2019年3月を期末とする連結会計年度以降、事業を休止しております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間のセグメント損失(営業損失)は0百万円(前年同四半期はセグメント損失0百万円)となりました。
(2) 財政状態
(資産)当第1四半期連結会計期間末における総資産は8,980百万円となり、前連結会計年度末に比べ77百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が14百万円、受取手形及び売掛金が42百万円、商品が34百万円、未収入金が16百万円、差入保証金が23百万円増加し、繰延税金資産が57百万円減少し、貸倒引当金が10百万円増加したことによるものであります。
(負債)当第1四半期連結会計期間末における負債合計は2,671百万円となり、前連結会計年度末に比べ83百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が27百万円、短期借入金が82百万円、未払金が132百万円、未払消費税等が46百万円、仮受金が19百万円増加し、賞与引当金が103百万円、未払法人税等が112百万円減少したことによるものであります。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は6,309百万円となり、前連結会計年度末に比べ6百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が23百万円減少し、為替換算調整勘定が13百万円、非支配株主持分が4百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は69.7%(前連結会計年度末は70.5%)となりました。
過去の実績では、第1四半期連結累計期間において納税、賞与、配当等の支払いにより前連結会計年度末から現金及び預金が減少するケースが多くなっておりますが、当第1四半期連結累計期間においては利益の改善によって前述の減少分を補う形となり、前連結会計年度末に比べて現金及び預金が増加いたしました資本の財源につきましては、当社グループの運転資金・設備投資について、一部連結子会社で一時的な借入を行うことがありますが、基本的には自己資金により充当しております。当第1四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、短期借入金96百万円とリース債務95百万円の合計192百万円であり、前連結会計年度末と比較して73百万円増加しております。現金及び預金の当第1四半期連結会計期間末残高は5,103百万円であり、資金の流動性は十分に確保できており、小規模ベースのM&Aや隣接事業への拡大についても対応できる水準であります。