【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症との共存に向けた各種感染症対策や行動制限の緩和により、緩やかに経済・社会活動の正常化が進む一方、原材料・資源価格の高騰や為替変動等に起因した物価上昇の進行がもたらす実体経済への影響が懸念されております。加えて、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れや長期化しているロシア・ウクライナ問題の動向等、国内景気を下押しするリスクについては引き続き注視を要する状況にあります。このような状況の下、当社グループの状況につきましては、世界的な脱コロナへの動きを受け需要を取り込んだアスモトレーディング事業、及び香港における外食需要の回復によりASMO CATERING(HK)事業では好調に推移いたしましたが、感染リスクが高い高齢者向けの事業を行っているアスモフードサービス事業とアスモ介護サービス事業においては、主なサービス提供先である高齢者施設の入居率や介護サービス利用者数の回復に時間を要しており、引き続き慎重な事業運営が求められています。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高14,920百万円(前年同四半期比4.2%増)、営業利益232百万円(前年同四半期比53.2%減)、経常利益279百万円(前年同四半期比47.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、132百万円(前年同四半期比59.1%減)となりました。売上高の増加は、アスモトレーディング事業およびASMO CATERING(HK)事業におけるコロナ禍で低迷していた業績の回復によるものであります。営業利益、経常利益の減少は、アスモフードサービス事業およびアスモ介護サービス事業における売上高の減少、アスモフードサービス事業における人件費や光熱費の増加によるものであります。今後におきましては、各事業の状況に応じて売上高の拡大やコストコントロールを推し進めることでコロナ禍前の水準への業績回復に向け、グループ一丸となって邁進してまいります。
セグメントごとの状況は次のとおりであります。
セグメント名称(セグメントに該当する会社)
主要な事業の内容
アスモ事業(株式会社アスモ)
グループ会社の統制・管理、不動産賃貸
アスモトレーディング事業(株式会社アスモトレーディング)
食肉の輸入、食肉及び食肉加工品の販売
アスモフードサービス事業(株式会社アスモフードサービス)(株式会社アスモフードサービス首都圏)(株式会社アスモフードサービス東日本)(株式会社アスモフードサービス中日本)(株式会社アスモフードサービス西日本)
高齢者介護施設等における給食の提供
アスモ介護サービス事業(株式会社アスモ介護サービス)(株式会社アスモライフサービス)
訪問・居宅介護事業所の運営、有料老人ホームの運営
ASMO CATERING (HK) 事業(ASMO CATERING (HK) CO., LIMITED)
香港における外食店舗の運営、食品加工販売
その他
(ASMO CATERING(TAIWAN)COMPANY LIMITED)
台湾における外食店舗の運営 ※事業を休止中
① アスモトレーディング事業アスモトレーディング事業におきましては、アメリカやオーストラリア等の輸入牛肉に係る供給の不安定・価格高騰が続く中、メキシコ産牛肉を現地から安定的に購買できる強みや価格面での優位性を活かし、秋ごろから行動制限のない年末にかけての外食需要を取り込むことに成功し、第2四半期連結累計期間から継続して販売が増加いたしました。また、国内通販事業部門においても安定的な販売が続き、前年同四半期を上回る実績となりました。費用・利益面については依然として原油価格の高騰による物流費の高止まりや保管料の高騰が続く中、円安傾向が続いていた為替相場が当第3四半期連結累計期間終盤にようやく円高傾向に振れたことで海外からの商品調達に係るコストが抑制され、当第2四半期連結累計期間に比べて売上原価率が改善し、利益の押し上げに貢献いたしました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、3,272百万円(前年同四半期比32.0%増)、セグメント利益(営業利益)は84百万円(前年同四半期比14.1%増)となりました。今後におきましては、物価上昇により消費者の生活防衛意識が高まること等で厳しい環境が予想されますが、国内消費動向と需給バランスを注視しつつ、メキシコ産牛肉を中心に価格や商品の優位性をアピールしていくことで、既存顧客への販売強化と新規開拓による業績の向上を目指してまいります。
② アスモフードサービス事業アスモフードサービス事業におきましては、主要な給食提供先である高齢者施設の利用者・入居者数が新型コロナウイルス感染症蔓延前の水準まで回復しておらず、依然として厳しい状況が続いております。経費面におきましても、原材料費や物流費の高騰に加えて光熱費も著しく上昇しており、利益にマイナス影響を及ぼしております。そのような中で、新規受託先の開拓や、既存受託先に対する委託費・食材費に係る単価の値上げ交渉に注力し、売上高の維持・底上げに取り組む他、徹底した原価管理による利益の確保に努めてまいりました。また、季節ごとの行事にちなんだイベント食の提供を受託先施設に積極的に提案することで売上を伸ばすと共に、付加価値のある給食を提供すべく、リーダー社員を中心に、社員それぞれが工夫を凝らした具体的なメニュー案を持ち寄り、ディスカッション形式での勉強会の場を設けることで、社員のモチベーションの向上を図っております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、5,641百万円(前年同四半期比0.7%減)、セグメント利益(営業利益)は169百万円(前年同四半期比43.9%減)となりました。引き続き、原価管理の徹底に加え、営業活動に取り組むことで収益力の回復に努めてまいります。
③ アスモ介護サービス事業アスモ介護サービス事業におきましては、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響によるご利用者様の減少で、足元・先行きとも厳しい状況にあります。そのような状況の中、感染力が強い新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の急速な広がりにより、スタッフやサービス提供先におけるご利用者様への感染が再拡大し、一時的にサービスの提供を減少せざるを得ない事象が続いたため、引き続き売上、利益ともに厳しい状況で推移いたしました。これにより当第3四半期連結会計期間末現在、訪問事業所36事業所(前年同四半期末は37事業所)、居宅介護支援事業所12事業所(前年同四半期末は12事業所)で支援させていただいておりますご利用者様(※)は1,881名(前年同四半期末は1,933名)となりました。また、有料老人ホーム7施設(前年同四半期末は6施設)のご入居者様は324名(前年同四半期末は306名)となりました。(※)介護タクシーでの介護保険利用者を除く以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、4,157百万円(前年同四半期比4.3%減)、セグメント利益(営業利益)は130百万円(前年同四半期比51.1%減)となりました。今後におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で自重していました新規入居者様獲得に向けて引き続き積極的な促進活動を行いながら、事業規模拡大のため新規有料老人ホームの開発も見据え、コロナ後の需要をしっかりと取り込むことで業績の向上を図ってまいります。また、職員の定着率向上に向けた取り組みと積極的な新規採用により十分な職員数を確保していることを強みとして、介護サービスの更なる質の向上を図ってまいります。
④ ASMO CATERING (HK) 事業香港では、香港市民および海外や台湾からの渡航者に対する新型コロナウイルスの防疫対策が2022年12月に緩和され、人々の往来も回復しつつあることで、ASMO CATERING (HK) 事業における売上高は、緩やかながら回復基調にあります。一方で、アフターコロナを見据えた人員配置を行っていく中で、香港内における人出不足に起因して人件費が高騰していることや、飲食店の休業補償や雇用調整を目的とした政府からの助成金支給の終了が利益に与える影響は大きく、引き続き予断を許さない状況にあります。そのような状況の中、食品加工販売部門における売上は堅調に推移しております。特に既存顧客である日系レストラン事業を営む取引先からの引き合いが続いており、販売品目の拡大・多様化に伴う安定的な収益の創出が期待できるものと認識しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、1,845百万円(前年同四半期比24.9%増)、セグメント利益(営業利益)は2百万円(前年同四半期比53.4%増)となりました。インバウンド消費への依存度が高い香港の小売業、飲食業において、未だ海外や台湾からの渡航者に対する往来規制は完全に解除されていないものの、今後、往来規制の完全な撤廃によって期待されるインバウンド消費の復調需要を取り込めるよう準備して参ります。
⑤ その他の事業その他セグメントに含めておりましたサーバントラスト信託株式会社につきましては、基幹事業分野への経営資源の集中を図ることを目的として当社が保有する全株式を2022年5月27日付で譲渡したことに伴い、第1四半期連結会計期間の期首をみなし譲渡日として連結の範囲から除外しております。また、その他セグメントに含まれておりますASMO CARTERING(TAIWAN)COMPANY LIMITEDは2019年3月を期末とする連結会計年度以降、事業を休止しております。以上の結果、当第3四半期連結累計期間のセグメント損失(営業損失)は0百万円(前年同四半期はセグメント損失4百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産)当第3四半期連結会計期間末における総資産は9,325百万円となり、前連結会計年度末に比べ679百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が591百万円、受取手形及び売掛金が367百万円、商品が82百万円、前払費用が56百万円増加し、未収入金が312百万円、繰延税金資産が41百万円、差入保証金が23百万円減少し、貸倒引当金が36百万円増加したことによるものであります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,084百万円となり、前連結会計年度末に比べ665百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が339百万円、短期借入金が84百万円、未払金が169百万円、預り金が106百万円、前受収益が35百万円増加し、賞与引当金が69百万円減少したことによるものであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は6,240百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円増加いたしました。これは主に為替換算調整勘定が10百万円、非支配株主持分が6百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は66.4%(前連結会計年度末は71.6%)となりました。
前連結会計年度末に比べ債権や在庫は増加しておりますが、年末年始を繁忙期とする事業に係る債権の増加が主な要因であり、前連結会計年度末と比較して現金及び預金は増加していることからも、順調な増減であると認識しております。資本の財源につきましては、当社グループの運転資金・設備投資について一部連結子会社で一時的な借入を行うことがありますが、基本的には自己資金により充当しております。当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、短期借入金101百万円とリース債務133百万円であり、前連結会計年度末と比較して46百万円増加しております。現金及び預金の当第3四半期連結会計期間末残高は5,209百万円であり、資金の流動性は十分に確保できております。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。