【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの事業において、開発事業については、自社開発及びセカンダリー双方で発電所の取得を進めた結果、発電所の開発又は保有数は累計で186件となり、設備容量は914.1MWとなりました。2022年9月には当社にとって初の海外案件となるソコボス太陽光発電所(スペイン王国、設備容量21.6MW)を取得いたしました。また、2022年12月にはトリホス太陽光発電所(スペイン王国、設備容量7.9MW)を取得し、海外において保有する発電所は2件、設備容量は29.6MWとなりました。
これにより、当社グループが保有する稼働済み発電所のネット設備容量(設備容量に当社グループ持分割合を乗じたもの)は、2022年12月31日時点で合計355.3MWとなりました。
2022年8月には、鹿児島県垂水市と「再生可能エネルギーの活用に関する連携協定書」を締結いたしました。これは、垂水市強靭化地域計画及び垂水市地球温暖化対策実行計画に基づく垂水市内のカーボンニュートラルに向けた取組みを加速・拡大させ、垂水市の持続可能なまちづくりを推進させるためのものです。今後、当社は、垂水市におけるオンサイト型 PPA(Power Purchase Agreement、発電事業者が電力需要施設に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を電力需要施設にて消費するというスキームの電力購入契約)による太陽光発電所の導入を計画しております。垂水市所有の施設の屋上及び屋根に当社が太陽光発電設備を設置し、発電事業者として当社が発電した電気を垂水市所有の施設へ供給する予定です。
2022年12月には、太陽光発電所の取得資金として203億円を再生可能エネルギープロジェクトボンドスキームにより調達しました。本プロジェクトボンドは、日本の再生可能エネルギーグリーンプロジェクトボンドにおける過去最大の発行額となりました。また、当社として12件目となるプロジェクトボンドの発行で、発行総額は1,105.5億円となりました。
O&M事業については、外部からの受注を強化したことにより、他社からの受託が累計95件,設備容量684.1MW、総計は264件、設備容量1,306.5MWとなり、当社の開発事業及びO&M事業の拠点は全国29か所となりました。
当社は、2022年5月12日開催の取締役会において、日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(以下「対象者」といいます。)を連結子会社化することを目的として、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)に基づく公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)により、当社の連結子会社である合同会社アールジェイ7号を公開買付者として、対象者の投資口を取得することを決議し、2022年5月13日から2022年6月23日を取得期間として本公開買付けを実施いたしました。
本公開買付けの結果、2022年6月30日(本公開買付けの決済の開始日)付けで対象者が当社の連結子会社となり、当社グループは本公開買付けに伴う手数料等を計上いたしました。
また、2022年12月には対象者が保有する発電所の一部を連結子会社である合同会社アールジェイ8号へ譲渡いたしました。なお、本譲渡による連結決算への影響はございません。
当社グループは、今後も再生可能エネルギー事業の拡大を通じてCO2削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高17,718,960千円(前期比11.1%増)、営業利益1,289,455千円
(同42.2%減)、経常損失1,360,681千円(前連結会計年度は経常利益990,726千円)、親会社株主に帰属する当期
純損失1,526,471千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益529,953千円)となりました。
なお、当社グループは、再生可能エネルギー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は38,490,856千円となり、前連結会計年度末に比べ69,108,384千円減少い
たしました。これは主に販売用発電所の減少39,300,907千円、仕掛販売用発電所の減少17,992,544千円、現金及
び預金の減少3,717,692千円等によるものであります。固定資産は128,238,542千円となり、前連結会計年度末に
比べ116,071,773千円増加いたしました。これは主に機械装置及び運搬具の増加101,043,567千円、長期前払費用
の増加3,502,032千円等によるものであります。
この結果、総資産は166,729,399千円となり、前連結会計年度末に比べ46,963,388千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は22,859,208千円となり、前連結会計年度末に比べ1,437,699千円減少い
たしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金の減少1,709,132千円等によるものであります。固定負債
は131,261,461千円となり、前連結会計年度末に比べ49,890,174千円増加いたしました。これは主にノンリコー
ス長期借入金の増加26,357,729千円、長期借入金の増加15,071,435千円等によるものであります。
この結果、負債合計は154,120,670千円となり、前連結会計年度末に比べ48,452,475千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は12,608,729千円となり、前連結会計年度末に比べ1,489,086千円減少
いたしました。これは主にオーバーアロットメントによる売り出しに関連した第三者割当増資により資本金及び
資本準備金がそれぞれ340,386千円増加したものの、子会社株式の追加取得により資本剰余金が489,459千円減
少、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が1,526,471千円減少、非支配株主持分が152,695
千円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は5.6%(前連結会計年度末は8.9%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ
3,714,892千円減少し、14,444,792千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,901,939千円(前期は営業活動の結果使用した資金は18,607,274千円)とな
りました。これは主に棚卸資産の増加額が8,165,958千円となったものの、減価償却費が5,968,232千円、長期未
払金の増加額が3,074,453千円、未払消費税等の増加額が1,977,907千円となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は17,518,258千円(前期比335.3%増)となりました。これは主に連結の範囲の変
更を伴う子会社株式等の取得による支出が16,840,984千円、有形固定資産の取得による支出が625,817千円とな
ったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は12,101,915千円(前期比57.9%減)となりました。これは主に長期借入金の返
済による支出が49,566,674千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式等の取得による支出が6,813,460千円
となったものの、長期借入れによる収入が69,123,826千円となったこと等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、受注生産を行っていないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社グループは、再生可能エネルギー事業の単一セグメントであり、フロー型収益、ストック型収益の当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
売上高
(千円)
前年同期比
(%)
売上総利益
(千円)
前年同期比
(%)
フロー型収益
2,206,537
59.3
1,411,255
47.1
ストック型収益
売電事業等
13,711,683
130.5
3,242,137
174.1
O&M事業
1,985,474
123.0
1,345,650
128.0
AM事業
667,873
110.4
667,873
110.4
調整額
△852,607
169.9
△843,376
164.7
合計
17,718,960
111.1
5,823,540
97.0
(注)1.「フロー型収益」は、開発業務、EPC等工事請負、発電所売却および匿名組合出資持分売却による収益
であります。
2.「ストック型収益」は、売電事業、O&M事業、AM事業、匿名組合からの分配損益および地代等による収
益であります。
3.「調整額」は、連結子会社との取引消去されている収益であります。
4.前連結会計年度においては、O&M事業及びAM事業は連結子会社との取引消去後の売上高及び売上総利
益を記載しておりましたが、当連結会計年度より、O&M事業及びAM事業単独での売上高及び売上総利
益を記載し、別途、調整額を記載しております。
5.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下
のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年1月1日
至
2021年12月31日)
当連結会計年度
(自
2022年1月1日
至
2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
東北電力ネットワーク株式会社
―
―
4,167,911
23.5
中部電力ミライズ株式会社
2,067,726
13.0
2,275,757
12.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの財政状態の分析等は「第2 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べ11.1%増加し、17,718,960千円となりました。これは主に、発電所の運転開始及び新規取得に伴う売電収入の増加3,201,529千円等によるものであります。前連結会計年度は、発電所の長期保有体制を構築することに注力し、発電所売却のため私募ファンドの組成を見送ることにより、売上高が一時的に減少しました。当連結会計年度は安定的な積み上げが期待できる売電事業及び発電所運営管理事業からのストック収益と、発電所の売却等のフロー収益の両立を確保できたことにより売上高が増加いたしました。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比べ19.6%増加し、11,895,419千円となりました。これは主に、売却手法の違いによる発電所売却原価の増加357,665千円等によるものであります。
以上の結果、売上総利益は、前連結会計年度と比べ3.0%減少し、5,823,540千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ20.1%増加し、4,534,085千円となりました。これは主に、TOB関連費用の内、外部報酬の増加331,101千円等によるものであります。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度と比べ42.2%減少し、1,289,455千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ38.4%増加し、308,166千円となりました。これは主に、受取保険金の増加191,248千円等によるものであります。また、営業外費用は、102.4%増加し、2,958,303千円となりました。これは主に、一時的に発生したTOB関連費用を含む資金調達に伴う支払手数料の増加824,507千円、支払利息の増加622,204千円等によるものであります。
以上の結果、経常損失1,360,681千円(前連結会計年度は経常利益990,726千円)となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の特別利益は、子会社の段階取得に係る差益69,321千円等の計上により、91,690千円となりました。特別損失は固定資産除却損の計上等により、1,469千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失1,526,471千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益529,953千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの財政状態の分析等は「第2 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(資金の流動性に関する分析)
週次で代表取締役社長含め関係者集めた資金繰会議及び月次での資金計画等により資金管理に努めており、また、複数の金融機関と、当座貸越契約締結やコミットメントライン等の確保により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、再生可能エネルギー事業を展開しております。当社グループの経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④経営戦略の現状と見通し
当社グループの収益構造は、安定的な積み上げが期待できる売電事業及び発電所運営管理事業からのストック収
益と、発電所の売却等のフロー収益から構成されております。
今後は、開発した発電所を自社保有して安定的な売電収入を得ることに加え、発電所の一部を私募ファンド等に売却することでバランスシートをコントロールしつつ、その売却収入を再投資資金として新たな開発を行う循環モデルにより成長を加速させてまいります。加えて、売却先ファンドのAM業務や、O&M業務を受託することで、安定的なストック収益を確保していきます。また、O&M事業については、外部受注の拡大を進め、更なる成長を目指してまいります。
⑤経営上の目標及び達成状況の分析
当社グループは、多額の設備投資を必要とする発電事業の割合が高まっており、減価償却費等の割合が大きくなっております。減価償却費等の一過性の償却負担に過度に左右されることなく、株式価値の向上を目指すことが重要と認識していることから、EBITDAを目標とする経営指標としております。
当連結会計年度においては、発電所の運転開始及び新規取得に伴う、売上高及び減価償却費の増加等により前連結会計年度に比べ63%増加し、EBITDAは7,616,962千円となりました。
今後もフロー型収益とストック型収益のバランスを取りながら、安定的なEBITDAの拡大を目指してまいります。(注)EBITDA=経常利益+支払利息+支払手数料+減価償却費+のれん償却額+その他償却(EBITDAは、会計監査又は四半期レビューを受けておりません)
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、直近の太陽光発電事業に対するビジネス環境の変化に鑑みますと、当社グループを取り巻く事業環境は、厳しさを増すことが予想されております。具体的には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑦重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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