【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻を起因としたエネルギー価格の上昇による世界的な高インフレと欧米の中央銀行による金融引き締め政策が継続し、景気の下振れが懸念されています。一方で、3年に及ぶ中国のゼロコロナ政策が一転して緩和され、経済の本格再開が期待されます。このように明暗が入り交じり、足下では不透明な経済環境が続くと考えております。我が国経済におきましては、宿泊・飲食を中心に新型コロナウイルスの影響からの回復が進み、インバウンドによる観光需要も期待出来ます。また、現在はサプライチェーン全体で価格改定に取組んでおり、デフレ脱却の足掛かりになると予想されます。この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高4,930億68百万円(前年同期比20.2%増)となりました。営業損益においては、売上総利益は国内拠点・海外拠点ともにコロナ禍により大きく影響を受けた前年からの回復によって前年同期比で増益となりました。営業利益は173億94百万円(前年同期比190.1%増)、経常利益は162億48百万円(前年同期比154.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は131億96百万円(前年同期比143.7%増)となりました。なお、持株会社体制移行に伴う組織再編により、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
当第3四半期連結累計期間の業績をセグメント別にみると次のとおりです。
<北東アジア><日本>紙分野では、景気は緩やかな回復基調にはあるものの、グラフィック用紙は依然としてコロナ前には至らず数量は前年を更に下回りましたが、売上高は販売価格修正によって増収となりました。板紙分野も段ボール原紙はEコマースによる宅配事業や飲料用包装資材向けの販売は堅調に推移したものの、輸出の減少や物価高騰による消費の減退で販売数量は前年を下回りました。紙器用板紙は観光需要の回復もあり販売数量と売上高共に前年を上回りました。製紙原料分野では、古紙の発生量が減少する中、数量・売上高共に大きく伸長することが出来ました。市販パルプは、国内家庭紙メーカー向けの需要が減少し、数量は前年を下回ったものの、販売単価の上昇によって売上高は前年を大きく上回りました。<中国>年初より実需が乏しい中、ゼロコロナ政策による断続的な都市封鎖の影響と民間企業の規制強化によって紙・板紙の需要は低迷し、販売数量・売上高ともに前年を下回りました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,287億75百万円(前年同期比7.4%増)となり、営業利益は26億48百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
<欧州/南米>欧州事業は第3四半期に入りGDP成長率の鈍化や高いインフレ率などの影響があるものの、ウィズコロナによる各種イベントの復活やタイトな需給関係によって、業績は前年を大きく上回りました。ペーパー事業は、数次にわたる価格修正によって需要は減少傾向にあります。パッケージ事業は依然として好調な需要に支えられ、堅調に推移しました。ビジュアルコミュニケーション事業も屋外広告や車両グラフィックの需要が堅調に推移しています。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,270億30百万円(前年同期比34.5%増)となり、営業利益は143億9百万円(前年同期比305.2%増)と、当社グループの業績において、大きな割合を占める結果となりました。
<アジアパシフィック><オセアニア>オーストラリアは、現地企業買収効果と商業印刷分野の市況好転によって、売上高は引き続き好調に推移しました。ニュージーランドは供給不足による販売機会のロスがあったものの、総じて業績の底上げが出来ました。<東南アジア>シンガポールにおけるビジュアルコミュニケーション事業の投資案件が業績に貢献したことも有り、売上高は前年を上回りました。その他既存事業については、各地域共に依然として厳しい価格競争にさらされておりますが、事業再編・統合の効果により営業利益段階では改善が進んでおります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は363億88百万円(前年同期比31.8%増)となり、営業利益は16億97百万円(前年同期比157.9%増)となりました。
<不動産賃貸>当社グループにおきましては、一部テナントビルの管理体系見直しによる増収があったものの、賃貸駐車場の再開発やKPP八重洲ビルのテナント入れ替えによる空室期間の発生などから賃料収入が減少し、前年比で減収となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は8億75百万円(前年同期比5.5%減)となり、営業利益は1億62百万円(前年同期比18.7%増)となりました。
② 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間末における総資産額は、売上債権、棚卸資産等が増加し、前連結会計年度末に比べ526億29百万円増加し、3,433億36百万円となりました。負債額は、仕入債務、短期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比べ392億50百万円増加し、2,735億82百万円となりました。純資産額は、親会社株主に帰属する四半期純利益等により、前連結会計年度末に比べ133億78百万円増加し、697億53百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は20.3%となり、前連結会計年度末に比べ0.9ポイント増加しております。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
(5) 従業員数① 連結会社の状況当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。② 提出会社の状況当第3四半期累計期間において、当社の従業員数は前連結会計度末から555名減少し、52名となっております(2022年12月31日現在)。主な要因は、2022年10月1日に当社が営む紙パルプ等卸売事業を、会社分割の方法によって国際紙パルプ商事株式会社に承継させたことにより減少したものです。
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