【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループは画像認識ソフトウェア開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は504,366千円(前連結会計年度末比45,929千円減)となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が8,874千円増加したものの、法人税及び消費税の納付並びに敷金の差入により現金及び預金が54,095千円減少したことによるものであります。
また、固定資産は86,986千円(同37,822千円増)となりました。これは主に、オフィスフロアの増床に伴い有形固定資産が13,025千円増加したこと及び敷金の差入により投資その他の資産が25,265千円増加したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は591,353千円(同8,106千円減)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は42,511千円(前連結会計年度末比11,544千円増)となりました。これは主に、未払法人税等が3,151千円及び未払消費税等が9,243千円減少したものの、未払金が20,820千円増加したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は42,511千円(同11,544千円増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は548,841千円(前連結会計年度末比19,651千円減)となりました。これは主に、譲渡制限付株式の発行に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ4,684千円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が28,591千円減少したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当社グループは、「Make Things Intelligent」をミッションに掲げ、画像認識ソフトウェアの開発を行っております。
当社グループが属する画像認識ソフトウェア業界におきましては、あおり運転や高齢運転者による交通事故が社会課題となる中、自動車向け先進運転支援システム(ADAS)、ドライバー監視システム(DMS)の普及や自動運転技術の実用化に向けて、自動車関連企業各社がこれらの取り組みを強化しております。また、社会的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速しており、少子高齢化や人口減少といった労働力の課題をAIにより解決する取り組みも様々な分野で多数行われております。
こうした環境の中、当社グループは、量産案件を中心とした新規案件の獲得及びディープラーニングをはじめとした画像認識技術の研究開発を積極的に進め、当社ライセンス製品の量産台数は累計で200万台を突破しました。また、主力事業であるモビリティ事業に加え、スマートインフラ事業、DX(AI-OCR)事業へとサービス分野を広げ、事業の拡大を図ってまいりました。さらに、2023年6月には、今後、益々発展していくと予想される市場環境の中で成長をより加速させることを目的として、ボッシュ株式会社との資本業務提携契約を締結いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高389,705千円(前連結会計年度比1.8%増)、営業損失23,168千円(前連結会計年度は営業利益25,677千円)、経常損失25,496千円(前連結会計年度は経常利益26,753千円)、親会社株主に帰属する当期純損失28,591千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益29,023千円)となりました。
売上高の収入形態別の内訳は、以下のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前期実績比
増減率
売上高
382,688千円
389,705千円
1.8%
うち、受託開発収入
197,221千円
172,986千円
△12.3%
うち、ライセンス収入
185,466千円
216,718千円
16.9%
受託開発収入に関しては、新規受託開発案件の開発開始が遅延した影響もあり、当連結会計年度は172,986千円(前連結会計年度比12.3%減)となりました。また、ライセンス収入に関しては、既存のドラレコ案件が堅調に推移していることに加え、新車向け車載カメラ案件の量産台数が増加傾向にあることや、使用権ライセンスの契約もあった影響により、216,718千円(同16.9%増)となりました。
なお、当社グループは「画像認識ソフトウェア開発事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ54,095千円減少し、416,506千円となりました。なお、当該減少には、現金及び現金同等物に係る為替変動による影響410千円が含まれております。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,435千円(前連結会計年度比91.2%減)となりました。これは主に、売上債権の増加8,874千円、未払消費税等の減少9,243千円及び税金等調整前当期純損失の計上25,496千円による資金の減少があったものの、減価償却費の計上6,489千円、未払金の増加20,820千円及び株式報酬費用21,388千円による資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55,918千円(前連結会計年度比1,113.5%増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出19,047千円及び敷金及び保証金の差入による支出36,870千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は23千円(前連結会計年度は3,606千円の収入)となりました。これは、自己株式の取得による支出23千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
画像認識ソフトウェア開発事業
389,705
101.8%
合計
389,705
101.8%
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
本田技研工業株式会社
-
-
83,465
21.4
フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
-
-
68,566
17.6
加賀FEI株式会社
58,221
15.2
53,212
13.7
株式会社JVCケンウッド
76,733
20.1
44,536
11.4
BIPROGY株式会社
42,190
11.0
44,255
11.4
株式会社ネクスティエレクトロニクス
68,785
18.0
-
-
2.株式会社ネクスティエレクトロニクスの当連結会計年度は当該割合が10%未満であるため記載を省略してお ります。また、本田技研工業株式会社及びフォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社は当連結会計年度から10%を超えたため記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は、389,705千円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。受託開発収入に関しては新規受託開発案件の開発開始が遅延した影響もあり減少しましたが、ライセンス収入に関しては、既存のドラレコ案件が堅調に推移していることに加え、新車向け車載カメラ案件の量産台数が増加傾向にあることや、使用権ライセンスの契約もあった影響により増加しました。
b. 売上原価、売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、105,643千円(前連結会計年度比3.6%減)となりました。これは主に、売上高のうち、受託開発収入が減少したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、284,062千円(同4.0%増)となりました。
c. 販売費及び一般管理費、営業損益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、307,231千円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。これは主に、研究開発費が増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は、23,168千円(前連結会計年度は営業利益25,677千円)となりました。
d. 営業外損益、経常損益
当連結会計年度の営業外収益は、55千円(前連結会計年度比97.2%減)となりました。これは主に、受取利息によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、2,383千円(前連結会計年度比159.8%増)となりました。これは主に、株式報酬費用によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常損失は、25,496千円(前連結会計年度は経常利益26,753千円)となりました。
e. 特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度において、特別利益及び特別損失は発生しておりません。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は、25,496千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益26,753千円)となり、法人税、住民税及び事業税を605千円計上及び法人税等調整額を2,489千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は、28,591千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益29,023千円)となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の財源を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバー購入等を目的とした資金需要は、自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は416,506千円であります。
⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、重要な経営指標として売上高、営業利益及びROEを掲げております。
当連結会計年度を含む、直近2連結会計年度の各指標の推移は、次のとおりであります。
2022年6月期
2023年6月期
売上高(千円)
382,688
389,705
営業利益又は営業損失(△)(千円)
25,677
△23,168
ROE(%)
5.4
△5.1
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