【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに起因する行動制限の緩和により、社会経済活動の正常化に向けた動きが見られました。一方、ウクライナ情勢、円安進行の長期化等の外部環境の影響によって、原材料・エネルギー価格の高騰に起因する仕入れ価格・物流コストの高止まりによるコストプッシュインフレの状況は、継続するものと思われ、依然として先行きが不透明な状況が予想されます。
小売業界におきましては、生活必需品の物価上昇による消費者の生活防衛意識の高まりを受け、価格志向は二極化が鮮明になりました。食品や日用品等の一般消費財の需要回復は見られる中で、節約志向の高まりによる耐久消費財の買い控えが発生、また業種・業態を超えた競争環境の激化など、引き続き厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、昨年4月に「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)を策定し、2025年3月期に売上高4,180億円、ROA・ROE8.0%以上の目標数値を掲げました。計画の達成に向け、4つの重点施策である「成長基盤投資(出店・物流・情報・人材)」、「暮らしを守り・育てる商品開発」、「チェーンリフォーム」、「ネットとリアルでより身近に」を策定し、取り組みをスタートさせています。長期ビジョンにおいても遅れた住関連分野の流通近代化を通して、お客様の暮らしを守り、育てることを目指し、全国11か所の物流センターを中心とする物流網と、全国1,200を超える店舗網を活用し、世界のベストソースからお客様の潜在ニーズを顕在化させた商品の提供と、住まいの環境改善に資するサービスのご提案に注力しております。
営業概況としては、当社の核カテゴリーであり、第1四半期で売上構成の高い、園芸植物関連、ガーデニング・家庭菜園資材は4月、5月共に天候不順の影響を受け、前年同期間を下回りました。また、肥料においては、原材料価格の変動等による価格改定の報道を受け、前年は駆け込み需要があった反面、今年は買い控えが発生し、販売が減少しました。一方、農薬、刈払機等の農業事業者様向けの商品やネジ・釘・基礎資材といったプロが頻繁にご使用になられる消耗品は、引き続き堅調に推移いたしました。また、ペット用品・カー用品部門においては、市場商品と比較し「価格・品質」共に優位性のあるPBの新商品がヒットし、好調に推移しております。
成長基盤投資である出店につきましては、ハード&グリーンを3店舗開店いたしました。退店につきましては、ハード&グリーンを1店舗閉店いたしました。これらにより、当第1四半期末の店舗数は、パワー94店舗、ハード&グリーン1,105店舗、PRO12店舗、アテーナ5店舗、合計で1,216店舗となりました。
重点施策である商品開発につきましては、「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現するため、お客様の潜在ニーズを具現化させる商品開発に努めております。また、物価高の影響で各商品の価格が上がる中、PB商品の価格優位性を高めることでお客様からのご支持をいただくことができ、PB商品の売上高構成比率は、前年同期比1.1%増の49.9%まで高めることができました。
リフォーム事業においては、1,200を超えるコメリ全店でリフォームサービスや住まいのメンテナンスサービスを受付けできる体制を整えてまいりました。2023年2月より放映しているTVCMの効果もあり、受付・契約件数共に堅調に推移しております。また、人的資本投資の1つであるマイスター制度の促進で接客レベルを向上させた結果、庭木の手入れ、シロアリ駆除、エアコンクリーニング等の「住急番サービス」も受注件数が増加し、好調に推移しております。
イーコマース事業においては、1,200を超える店舗数を活かし、店頭受取比率81%に達するBOPIS(Buy Online Pick up In Store)の取り組みを行い、アプリと連携したキャンペーン等の販売促進に努めました。
カード事業においては、自社発行しているコメリカード(クレジット機能)、アクアカード(プリペイド機能)等のカード会員数は494万人を突破いたしました。2022年11月よりコメリカード・アクアカードとコメリアプリを連携させたスマホ決済サービス「コッコPay」をリリースし、CRMを活用した販促活動や、決済手段の多様化に対応することでお客様の利便性向上に努めております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の営業収益は、1,040億74百万円(前年同四半期比3.3%減)、営業利益は、84億40百万円(同20.3%減)、経常利益は、83億99百万円(同17.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、56億54百万円(同18.2%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(単位:百万円、%)
部門別
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前 年
同期比
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
金額
構成比
金額
構成比
工具・金物・作業用品
17,938
16.7
17,574
16.9
98.0
リフォーム資材・エクステリア用品
15,782
14.6
15,195
14.6
96.3
園芸・農業・ペット用品
41,179
38.3
40,384
38.8
98.1
日用品・家電・カー・レジャー用品
17,435
16.2
16,562
15.9
95.0
インテリア・家庭・オフィス用品
9,006
8.4
8,450
8.1
93.8
灯油等
1,434
1.3
1,251
1.2
87.2
その他
3,644
3.4
3,610
3.5
99.1
ホームセンター事業計
106,421
98.9
103,029
99.0
96.8
その他事業
1,173
1.1
1,044
1.0
89.0
営業収益合計
107,595
100.0
104,074
100.0
96.7
(注)1.当第1四半期連結累計期間においてホームセンター事業の商品分類を変更いたしました。前年同期比較にあたっては、前第1四半期連結累計期間分を変更後の区分に組替えて表示しております。
2.商品別の各構成内容は次のとおりであります。
工具・金物・作業用品
(工具、建築金物、ペイント、補修用品、作業衣料等)
リフォーム資材・エクステリア用品
(建築資材、配管材、木材、住設機器、エクステリア等)
園芸・農業・ペット用品
(園芸用品、肥料・農薬、農業資材、植物、ペット用品等)
日用品・家電・カー・レジャー用品
(日用消耗品、ヘルス&ビューティケア、家電、カー・レジャー・サイクル用品、食品等)
インテリア・家庭・オフィス用品
(内装、家具・収納用品、家庭用品、ダイニング、文具等)
(2)財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、1,711億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億11百万円増加いたしました。主に商品及び製品が47億35百万円減少いたしましたが、現金及び預金が46億68百万円、その他に含まれる前払費用が16億14百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は、1,931億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億68百万円増加いたしました。主に有形固定資産が14億67百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,642億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億80百万円増加いたしました。
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、1,022億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億75百万円増加いたしました。主に支払手形及び買掛金が73億57百万円、未払法人税等が14億88百万円それぞれ減少いたしましたが、電子記録債務が99億59百万円増加したことによるものであります。固定負債は、326億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億38百万円増加いたしました。主に長期借入金が3億1百万円減少いたしましたが、リース債務が1億57百万円、退職給付に係る負債が1億19百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,349億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億13百万円増加いたしました。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,293億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億66百万円増加いたしました。主に剰余金の配当により利益剰余金が12億32百万円減少し、自己株式の取得により自己株式が26億28百万円増加いたしましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が56億54百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、63.0%(前連結会計年度末は62.9%)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、ホームセンター事業の展開がサステナビリティと一体であるという考えのもと、原材料の調達から、生産・販売、消費までの各過程において、事業活動を通じたサステナビリティの取り組みを行っております。
当第1四半期連結累計期間の主な取り組みは、以下の通りです。
(環境に関する取り組み)
資材建材、金物工具、園芸農業分野の流通近代化を通して、断熱リフォーム等の各種省エネの提案や国産木材の拡販、農業振興への取り組み等を進めております。これらの取り組みは、地球温暖化防止に寄与するだけでなく、森林や農地の維持が防災や減災に繋がることを目指すものでもあります。また、廃棄物の削減や店舗で使用するエネルギーコストの低減も引き続き進めてまいります。
(社会に関する取り組み)
①多様性の確保に向けた取り組み
当社では、従業員の多様性の確保の一つとして、女性社員の登用を進めております。現在、女性の平均勤続年数が4.3年と男性と比べて8年短く、勤続15年を超える女性社員の割合は1割を超える程度となっているため、2023年3月末時点の女性管理職比率は7.2%と、まだ低い状況となっております。そのため、女性社員につきましては、管理職手前の役職者への登用を積極的に進めております。
また、女性新入社員も積極的に採用を増やしており、2023年4月入社の女性社員比率は30%となっております。
②物流2024年問題への対応
資材建材、金物工具、園芸農業分野の流通近代化を目指す当社グループにとって、物流2024年問題は避けては通れない問題となっています。引き続き、1,200超の店舗数と国内11ヵ所の物流センターにより、生産から販売までをトータルでサポートし、物流機能の拡充と効率化を進めてまいります。
また、2023年6月1日付であるべき物流体制についての戦略立案を行う物流統括部を新設いたしました。物流統括部は、商品毎の最適な物流形態の実現に向け、推進を図り、物流2024年問題にも対応しております。
(コーポレート・ガバナンスに関する取り組み)
当社は、IR担当役員及び担当者を選任し、株主・投資家の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーに対し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目的とした適時適切な情報開示及び建設的な対話に努めております。株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識し、集中日開催の回避や招集通知早期開示、議案等の英文開示、議決権行使プラットフォームへの参加等の取り組みを行っております。第62回定時株主総会につきましては、このような取り組みの結果、議決権ベースの行使率が9割を超える結果となりました。
引き続き、ステークホルダーの皆さまとの建設的な対話に努めてまいります。