【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大もありましたが、各種行動制限の緩和により、社会経済活動の正常化に向けた動きが進みました。一方で、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、原材料・エネルギー価格の高騰、急速な円安の進行等に起因したコストプッシュインフレによる、個人消費停滞の懸念等、先行き不透明な状況が続いております。
小売業界におきましては、3年振りに行動制限のないゴールデンウィークや年末年始を迎え、客足が改善した業種・業態もあった一方で、日常生活や仕事に必要な商品の価格上昇が消費者の購買意欲、購買行動へ与える影響は計り知れず、引き続き厳しい経営環境が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社グループは、遅れた住関連分野の流通近代化を通して、お客様の暮らしを守り、育てることを目指し、全国11か所の物流センターを中心とする物流網と、全国1,200を超える店舗網を活用し、世界のベストソースからの商品開発、商品調達と、住まいの環境改善に資するサービスのご提案に注力してまいりました。また、多くのお客様が価格に敏感な今こそ、安心してお買い物をしていただくために、税込みでの価格表示、PB商品を中心としたEDLP施策を継続してまいりました。
営業概況としては、新型コロナウイルス感染対策に関連する商品の需要は減少したものの、ガーデニング・家庭菜園用資材の販売は、堅調に推移いたしました。また、原材料価格の高騰等により建設事業者様、農業事業者様等、プロのお客様の資材調達先として、継続的にご利用いただけたことで、リフォーム資材・エクステリア用品、園芸・農業用品の販売は、堅調に推移いたしました。利益面につきましては、店舗運営モデルの刷新、EDLP施策の推進による改善効果がみられたものの、コストプッシュインフレの影響による売上総利益率の悪化、水光熱費の上昇が大きく影響しました。
出店につきましては、コメリパワーを4店舗、コメリPROを1店舗、コメリハード&グリーンを5店舗それぞれ開店いたしました。退店につきましては、コメリハード&グリーンを9店舗閉店いたしました。これらにより、当第3四半期末の店舗数は、パワー88店舗、ハード&グリーン1,110店舗、PRO10店舗、アテーナ7店舗、合計で1,215店舗となりました。
重点施策である商品開発につきましては、「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現するため、お客様の潜在ニーズを顕在化させる商品開発に努めてまいりました。なかでも、自走式草刈機の「速刈り君」は、使う立場から品質を決め直すことで実現した低価格と、TVCMも絡めた全店での重点販売の結果、客層が拡大し販売が好調に推移いたしました。これらの結果、EDLP施策と合わせ、お客様からもご支持をいただくことができ、PB商品の売上高構成比率は、前年同期比1.3%増の46.9%まで高めることができました。
リフォーム事業につきましては、全店で受付可能な住宅設備機器の簡易取付・施工サービスや、庭木の手入れ、エアコンクリーニング等の「住急番サービス」が堅調に推移いたしました。また、住宅設備機器の取付・交換工事にとどまらないフルリフォームをハード&グリーンまで含めた全店で可能とするため、店舗での受付体制整備や専門スタッフの配置を進めました。その結果、2022年10月より全店でのリフォームサービス提供を開始することができました。
イーコマース販売につきましては、1,200を超える店舗数を活かしたBOPIS(Buy Online Pick up In Store)の取り組みや、スマホアプリと連携したキャンペーン等の販促活動により堅調に推移いたしました。
農業振興に関する取り組みにつきましては、従来の農業用品予約販売によるご注文の受け付けだけでなく、新たに農林水産省の「肥料価格高騰対策事業」の受付窓口としての取り組みを開始いたしました。JAとの取り組みにつきましては、現在3JAとの協業を行っており、JAの商品をコメリの17店舗にて販売しております。また、三重県内のJA伊勢、JA多気郡と協業に向けた協議を継続しているとともに、2022年9月27日より新たに沖縄県のJAおきなわと農業振興に関する協議を開始いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の営業収益は、2,967億85百万円(前年同四半期比1.0%増)、営業利益は、242億15百万円(同3.6%減)、経常利益は、238億18百万円(同6.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、161億90百万円(同5.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(セグメント別営業収益) (単位:百万円、%)
部門別
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前 年
同期比
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
金額
構成比
金額
構成比
工具・金物・作業用品
53,621
18.2
53,883
18.2
100.5
リフォーム資材・エクステリア用品
43,991
15.0
44,973
15.1
102.2
園芸・農業・ペット用品
87,655
29.8
91,364
30.7
104.2
日用品・家電・カー・レジャー用品
57,586
19.6
56,620
19.1
98.3
インテリア・家庭・オフィス用品
29,733
10.1
28,405
9.6
95.5
灯油等
7,768
2.6
7,665
2.6
98.7
その他
10,178
3.5
10,342
3.5
101.6
ホームセンター事業計
290,536
98.8
293,255
98.8
100.9
その他事業
3,447
1.2
3,530
1.2
102.4
営業収益合計
293,983
100.0
296,785
100.0
101.0
(注)1.第1四半期連結会計期間よりホームセンター事業の商品分類を変更いたしました。前年同期比較にあたっては、前第3四半期連結累計期間分を変更後の区分に組替えて表示しております。
2.ホームセンター事業の商品別の各構成内容は次のとおりであります。
工具・金物・作業用品
(工具、建築金物、ペイント、補修用品、作業衣料等)
リフォーム資材・エクステリア用品
(建築資材、配管材、木材、住設機器、エクステリア等)
園芸・農業・ペット用品
(園芸用品、肥料・農薬、農業資材、植物、ペット用品等)
日用品・家電・カー・レジャー用品
(日用消耗品、ヘルス&ビューティケア、家電、カー・レジャー・サイクル用品、
食品等)
インテリア・家庭・オフィス用品
(内装、家具・収納用品、家庭用品、ダイニング、文具等)
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、1,688億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ47億17百万円増加いたしました。主に商品及び製品が20億60百万円減少いたしましたが、現金及び預金が42億79百万円増加したことによるものであります。固定資産は、1,883億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億35百万円減少いたしました。主に有形固定資産が14億28百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,571億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億82百万円増加いたしました。
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、978億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億19百万円減少いたしました。主に電子記録債務が37億25百万円、短期借入金が50億円増加いたしましたが、支払手形及び買掛金が31億62百万円、1年内返済予定の長期借入金が71億58百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定負債は、329億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ64億31百万円減少いたしました。主に長期借入金が減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、1,307億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ101億51百万円減少いたしました。
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,263億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ125億33百万円増加いたしました。主に剰余金の配当が23億79百万円ありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益161億90百万円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、63.4%(前連結会計年度末は60.3%)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)サステナビリティへの取り組みに関する説明
コメリグループではより良い商品をより安くより多くのお客様へご提供するため、お客様の潜在需要を顕在化させる商品やサービスを開発するとともに、環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現も目指し、事業活動を通じたサステナビリティの各種課題の解決に努めております。当第3四半期連結累計期間における主なサステナビリティへの取り組みについては、以下の通りです。
① 人財育成
不易流行の精神を実践できる人材を育むため、社内の各種教育プログラムを再編し、「賢和塾」として統合、強化いたしました。また、勤務シフトへの教育時間の落とし込みを行い、Eラーニングカリキュラムの充実とともに、商品知識・業務習得の教育環境整備を継続して行っております。2022年12月末のマイスター取得者は、3級 9,763名、2級 5,627名、1級 338名となっております。
また、今後は商品知識・業務習得の教育環境整備とあわせて、各業務プロセスを突き合わせて最適な仕組みを設計できる人材の育成も進めてまいります。
② DXの取り組み
ニューオペレーションモデルの浸透を目指し、2022年8月29日に組織体制が変更されたDX部が中心となり、各業務プロセスを突き合わせて最適な仕組みを設計し、原材料調達、製造・生産、流通、販売に至る過程の業務の生産性向上の仕組みづくりを行っております。
また2022年11月30日に開始したスマホ決済サービス「コッコPay」は、アプリとコメリカードの情報の連携が強化され、これまで以上にお客様一人ひとりに最適なお買い物情報のご提供が可能となり、お客様の利便性向上と更なる販売促進の実現が可能となります。
また2022年12月21日には、切り花の流通加工、配送の効率化、リードタイムの短縮、仕入れ価格低減等により、お客様により新鮮な切り花をより安くご提供することを目的に、コメリ新潟流通管理センター敷地内に「新潟フレッシュマネジメントセンター」を開設し、2023年1月13日より本格的に稼働を開始いたしました。
③ 農業への取り組み
食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目指す「みどりの食料システム戦略」に対応する取り組みを進めております。今年度も2022年11月1日から「農業用品予約販売」を開始しております。また、同12月からは、化学肥料の2割低減の取り組みを行う農業者に対する支援事業である「肥料価格高騰対策事業」の申請の受付対応を行っております。引き続き、日本の農業の産業化を目指し、農産物の生産から販売までをトータルでコーディネートできる体制の構築を進めてまいります。
④ 環境への対応
商品を通じた取り組みといたしましては、主に群馬県周辺の伐採適齢期を迎えた杉材を使用したコメリオリジナル商品の「国産ヴィンテージ調枕木」が一般社団法人日本ウッドデザイン協会が主催する「ウッドデザイン賞2022」を受賞いたしました。
社会貢献活動の一環として、当社は緑化活動や農業支援の取り組みを行う「公益財団法人コメリ緑育成財団」への寄付を通じ環境保全への取り組みを支援しておりますが、今般、公益財団法人コメリ緑育成財団の活動が評価され、公益財団法人日本デザイン振興会主催の2022年グッドデザイン賞を受賞いたしました。
また、エネルギー使用量等の削減を通じたCO2排出削減に継続して努めるとともに、高騰する原材料・輸送コスト・エネルギー価格の影響の低減への取り組みも進めております。
なお、気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動や収益等に与える影響につきましては、引き続きシナリオ分析の準備を進めております。