【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大もありましたが、各種行動制限の緩和により、社会経済活動の正常化に向けた動きが進みました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、原材料・エネルギー価格の高騰、急速な円安の進行等に起因したコストプッシュインフレによって、個人消費停滞の懸念等、先行き不透明な状況が続いております。
小売業界におきましては、3年振りに行動制限のないゴールデンウィークやお盆休みを迎え、客足が改善した業種・業態もあった一方で、日常生活や仕事に必要な商品の価格上昇が消費者の購買意欲、購買行動へ与える影響は計り知れず、引き続き厳しい経営環境が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社グループは、遅れた住関連分野の流通近代化を通して、お客様の暮らしを守り、育てることを目指し、全国11か所の物流センターを中心とする物流網と、全国1,200を超える店舗網を活用し、世界のベストソースからお客様の潜在ニーズを顕在化させた商品の提供と、住まいの環境改善に資するサービスのご提案に注力してまいりました。また、多くのお客様が価格に敏感な今こそ、安心してお買い物をしていただくため、税込みでの価格表示、PB商品を中心としたEDLP施策を継続してまいりました。
営業概況としては、新型コロナウイルス感染対策に関連する商品の需要は減少したものの、ガーデニング・家庭菜園用資材の販売は堅調に推移いたしました。また、原材料価格の高騰等により建設事業者様、農業事業者様等、プロのお客様の資材調達先として、継続的にご利用いただけたことで、リフォーム資材・エクステリア用品、園芸・農業用品の販売は底堅く推移いたしました。
出店につきましては、コメリパワーを1店舗、コメリPROを1店舗、コメリハード&グリーンを1店舗それぞれ開店いたしました。退店につきましては、コメリハード&グリーンを4店舗閉店いたしました。これらにより、当第2四半期末の店舗数は、パワー85店舗、ハード&グリーン1,111店舗、PRO10店舗、アテーナ7店舗、合計で1,213店舗となりました。
また、5月20日にKOMERI(THAILAND)CO.,LTD.(非連結子会社)がタイ王国2号店となる「コメリハードアンドグリーン パナットニコム店」を開店いたしました。今後も日本国内における事業モデルを活かし、タイ王国においても出店地域のお客様の暮らしに寄り添い、豊かな暮らしを守り育てる店づくりを目指してまいります(当該店舗は上記店舗数には含まれません)。
重点施策である商品開発につきましては、「暮らしを守り・育てる商品開発」を実現するため、お客様の潜在ニーズを顕在化させる商品開発に努めてまいりました。なかでも、自走式草刈機の「速刈り君」は、使う立場から品質を決め直すことで実現した低価格と、草刈り作業を安全かつ楽に行いたいというニーズが合致し、エントリー層のお客様を中心に販売が好調に推移いたしました。これらの結果、EDLP施策と合わせ、お客様からもご支持をいただくことができ、PB商品の売上高構成比率は前年同期比1.4%増の47.1%まで高めることができました。
リフォーム事業につきましては、全店で受付可能な住宅設備機器の簡易取付・施工サービスや、庭木の手入れ、エアコンクリーニング等の「住急番サービス」を拡充するとともに、従業員の教育体制も強化したことで堅調に推移いたしました。また、住宅設備機器の取付・交換工事にとどまらないフルリフォームを、ハード&グリーンまで含めた全店で可能とするため、店舗での受付体制整備や専門スタッフの配置を進めてまいりました。
イーコマース販売につきましては、1,200を超える店舗数を活かし、BOPIS(Buy Online Pick up In Store)の取り組みや、アプリと連携したキャンペーン等の販促活動により堅調に推移いたしました。
JAとの取り組みにつきましては、現在3JAとの協業を行っており、JAの商品をコメリの17店舗にて販売しております。また、三重県内のJA伊勢、JA多気郡と協業に向けた協議を継続しているとともに、9月27日より新たに沖縄県のJAおきなわと農業振興に関する協議を開始いたしました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の営業収益は、1,978億88百万円(前年同四半期比0.5%増)、営業利益は、170億76百万円(同3.8%減)、経常利益は、165億8百万円(同7.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、113億2百万円(同6.0%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(単位:百万円、%)
部門別
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前 年
同期比
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
金額
構成比
金額
構成比
工具・金物・作業用品
35,386
18.0
34,969
17.7
98.8
リフォーム資材・エクステリア用品
28,991
14.7
29,416
14.9
101.5
園芸・農業・ペット用品
65,895
33.4
68,294
34.5
103.6
日用品・家電・カー・レジャー用品
36,748
18.7
36,013
18.2
98.0
インテリア・家庭・オフィス用品
18,854
9.6
17,847
9.0
94.7
灯油等
1,990
1.0
2,109
1.1
106.0
その他
6,922
3.5
6,988
3.5
101.0
ホームセンター事業計
194,789
98.9
195,640
98.9
100.4
その他事業
2,154
1.1
2,248
1.1
104.4
営業収益合計
196,943
100.0
197,888
100.0
100.5
(注)1.第1四半期連結会計期間よりホームセンター事業の商品分類を変更いたしました。前年同期比較にあたっては、前第2四半期連結累計期間分を変更後の区分に組替えて表示しております。
2.ホームセンター事業の商品別の各構成内容は次のとおりであります。
工具・金物・作業用品
(工具、建築金物、ペイント、補修用品、作業衣料等)
リフォーム資材・エクステリア用品
(建築資材、配管材、木材、住設機器、エクステリア等)
園芸・農業・ペット用品
(園芸用品、肥料・農薬、農業資材、植物、ペット用品等)
日用品・家電・カー・レジャー用品
(日用消耗品、ヘルス&ビューティケア、家電、カー・レジャー・サイクル用品、食品等)
インテリア・家庭・オフィス用品
(内装、家具・収納用品、家庭用品、ダイニング、文具等)
(2)財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、1,650億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億82百万円増加いたしました。主に現金及び預金が11億69百万円減少いたしましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が6億15百万円、その他に含まれる前払費用が9億9百万円増加したことによるものであります。固定資産は、1,891億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億33百万円減少いたしました。主に有形固定資産が13億12百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,542億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億50百万円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、985億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億1百万円減少いたしました。主に電子記録債務が56億17百万円増加いたしましたが、支払手形及び買掛金が62億61百万円、1年以内返済予定の長期借入金が21億2百万円減少したことによるものであります。固定負債は、330億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ62億84百万円減少いたしました。主に長期借入金の減少によるものであります。
この結果、負債合計は、1,316億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億85百万円減少いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,225億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ87億35百万円増加いたしました。主に剰余金の配当が11億46百万円ありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益113億2百万円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は62.8%(前連結会計年度末は60.3%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12億31百万円減少し179億69百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、163億24百万円(前年同期比1.6%減)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前四半期純利益 165億89百万円、減価償却費 58億円であります。主な使用要因は、法人税等の支払額 32億3百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、58億17百万円(同32.8%増)となりました。主な使用要因は、有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、117億38百万円(同124.0%増)となりました。主な使用要因は、長期借入金の返済 84億38百万円、自己株式の取得による支出 15億円であります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
該当事項はありません。
(8) サステナビリティに関する説明
① 基本方針
コメリグループは、経営理念である「コメリのねがい」を掲げ、「住まい」と「園芸・農業」に関する地域社会のインフラとして、ホームセンター事業を通じて地域社会、環境に貢献し、各種社会課題を解決し、持続可能な社会の実現、持続的な成長および中長期的な企業価値向上を目指しております。
そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、各種サステナビリティの取り組みを推進してまいります。
② サステナビリティ推進体制
コメリグループでは、持続可能な社会の実現に貢献することを重要な経営課題の一つと認識しております。2022年9月末現在、経営企画担当の取締役常務執行役員をサステナビリティ推進担当とし、広報担当付の社員等がその業務を補佐しております。
③ 重要課題への取り組み
コメリグループでは、環境・社会を中心とする社会課題の解決による持続可能な社会の実現を通じた持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指し、商品や店舗運営、物流等、商品の生産から販売までのすべての過程において、省力化・効率化を行い、環境及び社会課題の解決に取り組んでおります。
なお、重要課題に関する指標と目標につきましては、現在、策定に向けて準備を進めております。
④ 気候変動対応(TCFD提言に基づく開示)
コメリグループでは、2022年9月末現在、サステナビリティに関する各種取り組みを実施しております。TCFDへの対応につきましては、コメリ単体におけるスコープ1・スコープ2排出量とスコープ3排出量の一部データの整備が完了し、スコープ3排出量の未算定部分の整備を進めております。
なお、温室効果ガスの排出削減の取り組みにつきましては、原材料調達、製造・生産、流通、販売、消費の各過程において各種対応を行っております。2022年3月期の原単位あたりの排出量は、2013年度と比較して、32.8%減と大幅に削減しております。
また、気候変動に係るリスクおよび収益機会が事業活動や収益等に与える影響につきましては、現在シナリオ分析の準備を進めております。
⑤ 多様性確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針
コメリ経営要諦の「人は事業の最も大切な柱である」に基づき、従業員の人権を尊重し、性別・国籍・年齢等に関係なく、多様な人材がより能力を発揮し活躍できる環境整備を行っております。計画的な配置転換、職種別・階層別教育を中心とする営業力・商品力の強化、生産性の向上を実現する人事制度や多様な教育制度を構築し、中核人材の育成と従業員が安心・安全・健康に働くことができ「働きがい」を感じられる環境の確保に努めてまいります。
そして、具体的な行動の指針である「コメリグループ行動指針」「行動基準」に沿って、人材育成とその環境整備の取り組みを推進してまいります。
⑥ 公正取引の推進(腐敗防止の基本的な考え方)
コメリグループでは、お取引先様の取引方針として、「お取引にあたってのお約束」を策定し、お取引先様との平等かつ対等な関係を築き、信頼される企業となるよう、公正かつ透明な取引の実現に取り組んでおります。贈収賄、不公正・不当な取引等の腐敗行為および腐敗行為に加担する行為を防止し、コメリグループ全体で、お取引先様と健全なパートナーシップの構築を目指してまいります。
⑦ お取引における人権についての考え方
生産から販売までのトータルプロデュースを行い、より良い商品・サービスをより安くお客様に提供するため、お取引先様とともに持続可能なサプライチェーンを構築するために、公正な取引を行うとともに人権の尊重も重要な課題の一つと考えております。
コメリグループでは、「事業活動における人権の尊重」をサステナビリティの重要課題の一つとしております。特に海外のプライベートブランド商品のお取引先様との間の契約の中で、強制労働、違法労働、児童労働の禁止、人種や国籍等での差別の禁止を規定して、定期的にその確認を行うこととしております。