【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けた世界的な経済危機から、通常の経済への回復途上にあるものと考えられます。しかし、コロナ禍に対する経済対策としての各国の過去の金融緩和とロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰等によりインフレが発生し、その対策として米欧の金融引き締めによりインフレは沈静化しつつあるものの、世界的な経済成長停滞に基づく貿易の減少が発生し、ドライバルク船市況も停滞しております。先進国について、米国での景気は比較的良好に推移しましたが今後は高インフレや政策金利の引き上げが景気を下押しする見込みです。EU圏と英国では近隣の経済圏での戦争の影響が大きく、高インフレが継続し景気の停滞が長期化する見込みです。日本経済も資源高と円安に基づくインフレ傾向にありますが、金融緩和の姿勢は継続しつつ比較的良好に推移し、今後も同様に比較的良好な状態が継続する見込みです。新興国経済についてもインドを除き全般的に悪化し、特に中国経済は、ゼロコロナ政策によるロックアウトの多発、不動産セクターのストレスの長期化等により予想よりも大幅に悪化しましたが、今後の政府によるコロナ対策の変換、不動産不況対策等による景気の好転が期待されます。このような世界経済情勢の下、外航ドライバルク船市況は上記のように前期に引き続き、インフレによる世界景気の後退、中国経済の悪化、更にはロシアのウクライナ侵攻の長期化等もあり下降を続けております。今後は、2023年1月1日から就航船舶燃費規制(温室効果ガス排出規制EEXI)が施行され、規制に基づく船舶のスピードダウン、高齢船のスクラップ促進等による既存船の稼働率の低下も予測され、更には船舶供給量の減少も加わり、一方では中国の景気好転に伴う貿易量の増加も予期されマーケットの好転が期待されますが、インフレの高進、金利の上昇、投資の減少に伴う世界経済の成長鈍化、新種のコロナウイルスの発生、更には今後の地政学的リスクの進展等によっては、世界経済の悪化が継続・拡大する恐れもあり、今後の様々なリスクに対応するための準備と対策が必要とされています。
以上のような状況下、この四半期も安全と顧客へのサービスを第一に、市況リスク並びに運航リスク、更には環境負荷の軽減に全社で努力を傾注すると共に、太平洋と大西洋を結ぶトランスオーシャン輸送に当社の支配船舶を可能な限り重点的に配船し、安全且つ経済的、効率的な輸送につとめ、定期用船も含めた新規契約の獲得に鋭意努力し、将来を見据えた事業展開を図りました。この結果、営業収益は6,333百万円(対前第3四半期連結累計期間比1,396百万円、28.3%増)、営業利益は1,428百万円(同239百万円、20.1%増)、シンジケート・ローンの組成手数料等を営業外費用に計上し、経常利益は1,334百万円(同121百万円、10.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は905百万円(同△25百万円、2.7%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。・外航海運業支配船舶による北米からの輸入穀物や南米からの水酸化アルミや海外向けのスラグの輸送を行い、運航採算の向上に努めるとともに、一部支配船舶の短期貸船により安定収益の確保を図りました。営業収益は、乱高下したマーケットや為替相場ではあったものの、期間を通じてみると、当社グループにとっては増収要因となり、5,538百万円(対前第3四半期連結累計期間比1,380百万円、33.2%増)となりました。営業利益面は、燃料油価格の高騰で運航費の増加等により営業費用全体が増加したものの営業収益の増加が大きく、1,766百万円の営業利益(同305百万円、20.9%増)となりました。
・内航海運業定期用船1隻による水酸化アルミなどの輸送を行い、安全輸送と効率配船に努めるとともに、所有船2隻に加え他社船1隻の定期貸船により安定収益の確保を図りました。また船員を他社へ融通し派遣業収入を得ました。ドライバルク部門でバンカー・サーチャージの増加はあったものの航海数が減少し全体として減収となりました。一方、タンカー部門では貸船料の値上げによる増収で、ドライバルク部門をカバーし、内航海運業全体での営業収益は、713百万円(対前第3四半期連結累計期間比15百万円、2.3%増)となりました。営業利益面では、船員費や船舶修繕費などの増加により営業費用が増加したため、18百万円の営業利益(同△7百万円、28.3%減)となりました。
・不動産賃貸業不動産賃貸業においては、堅調に推移し、営業収益は、81百万円(対前第3四半期連結累計期間比△0百万円、0.3%減)、営業利益は、修繕費の増加などにより27百万円(同△6百万円、18.4%減)となりました。
(注)営業利益は配賦不能営業費用(383百万円)控除前のものです。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ784百万円減少し、11,398百万円となりました。主な内容は、流動資産が主に現金及び預金の減少などにより689百万円減少し、固定資産は建設仮勘定が増加した一方、主に減価償却などにより全体で95百万円減少しました。負債は4,687百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,604百万円の減少となりました。これは、有利子負債の圧縮を行ったため、流動負債が主に1年内返済予定の長期借入金の減少などにより979百万円減少し、固定負債が、長期借入金の減少などで624百万円減少したことによるものです。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益905百万円、剰余金の配当96百万円により株主資本の増加809百万円、その他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額合計の増加11百万円などにより、前連結会計年度末に比べ819百万円増加し、6,710百万円となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。
(5) 従業員数当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(6) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。