【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、経済活動の持ち直しがみられ、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢の長期化を一因とするエネルギー価格や原材料価格の高騰などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社は利益の確保を重視しながら、受注・売上の拡大に取り組んでまいりました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高は38億65百万円(前年同期比26.6%増)、営業損失は61百万円(前年同期は営業損失3億11百万円)、経常利益は63百万円(前年同期は経常損失2億2百万円)、当期純利益は70百万円(前年同期は当期純損失2億4百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(産業機械関連)
日本工作機械工業会による工作機械主要統計では2022年の工作機械の受注累計額は1兆75百億円と、前年同期に比べ14.2%の増加となっております。
このような中、大型鋳物を得意とする当社の工作機械鋳物部品の同期間における受注高は前年同期比50.4%増の12
億89百万円となりました。
ディーゼルエンジン部品の分野は、受注高が前年同期比7.1%増の3億48百万円となりました。
産業機械部品の分野は、昨年から増加した「定盤」の需要が落ち着いたこともあり、受注高は84百万円と前年同期と比べ70.9%の減少となりました。
この結果、当セグメントの受注高は21億54百万円(前年同期比20.4%増)、売上高は20億19百万円(前年同期比45.4%増)となりました。
(住宅機器関連)
2022年の新設住宅着工戸数は、資材価格の高騰等により持家の着工戸数は前年を下回りましたが、全体では前年同期に比べ0.4%の微増となりました。
このような中、住宅機器関連の分野は、提案型の営業を推進しながら、主力である「鋳物ホーロー浴槽」の拡販に努めてまいりました。
また、宿泊施設の新設や改修に対し、自由な浴室空間を提案できる「わのゆ」を「やまと風呂」に追加するなど商品ラインナップを強化してまいりました。
この結果、当セグメントの売上高は18億46百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1億29百万円減少し、7億27百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、2億77百万円(前事業年度は67百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加が2億66百万円及び棚卸資産の増加が2億1百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、49百万円(前事業年度は46百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が41百万円あった一方、投資不動産の賃貸による収入が1億11百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、98百万円(前事業年度は55百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増加が1億円あったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
産業機械関連
1,572,449
+37.5
住宅機器関連
1,331,342
+23.1
合計
2,903,791
+30.5
(注)金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
産業機械関連
2,154,450
+20.4
835,774
+20.5
(注)住宅機器関連は見込生産のため記載しておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
製品(千円)
商品(千円)
合計(千円)
前年同期比(%)
産業機械関連
2,019,005
-
2,019,005
+45.4
住宅機器関連
1,282,417
564,184
1,846,602
+10.9
合計
3,301,422
564,184
3,865,607
+26.6
(注)1.産業機械関連には、産業機械鋳物、機械加工、組立品を含んでおります。
2.前事業年度及び当事業年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
オークマ株式会社
637,289
20.9
1,020,995
26.4
タカラスタンダード株式会社
889,877
29.1
1,065,207
27.6
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比べ2億25百万円増加し、59億71百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が1億29百万円減少した一方、商品及び製品は1億56百万円、受取手形は1億36百万円増加したことから、前事業年度末と比較して3億34百万円増加し、34億42百万円となりました。
固定資産は、主に機械及び装置が45百万円、建物が21百万円減少したことから、前事業年度末と比べ1億9百万円減少し、25億28百万円となりました。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比べ1億65百万円増加し、34億74百万円となりました。
流動負債は、主に短期借入金が1億円増加したことから、前事業年度末と比べ1億79百万円増加し、26億83百万円となりました。
固定負債は、退職給付引当金が26百万円増加した一方、繰延税金負債が39百万円減少したことから、前事業年度末と比べ14百万円減少し、7億90百万円となりました。
(純資産)
純資産は、主に繰越利益剰余金が70百万円増加したことから、前事業年度末と比べ60百万円増加し、24億96百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前事業年度末と比べ0.6ポイント減少し、41.8%となりました。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、38億65百万円(前年同期比26.6%増)となり、前事業年度に比べ8億12百万円の増加となりました。
産業機械関連事業の売上高は、設備投資の増加により工作機械鋳物部品やディーゼルエンジン部品の受注が増えたことで、前事業年度に比べ6億30百万円増加し、20億19百万円(前年同期比45.4%増)となりました。
住宅機器関連事業の売上高は、宿泊施設の新設や改修工事への営業強化に取組んだ結果、前事業年度に比べ1億81百万円増加し、18億46百万円(前年同期比10.9%増)となりました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は、主要な原材料価格の高騰等の懸念材料はありましたが、価格転嫁や生産の効率化に取組んだことで前事業年度に比べ2億93百万円増加し、6億39百万円(前年同期比84.8%増)となりました。また、売上高総利益率は前事業年度から5.2ポイント上昇し16.5%となりました。
(営業損益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、主に荷造運搬費が増加したことにより前事業年度に比べ43百万円増加し、7億円(前年同期比6.5%増)となりました。
当事業年度における営業損益は、引き続き生産の効率化に取り組んできましたが、販売費及び一般管理費が売上総利益を上回ったことにより営業損失は61百万円(前年同期は営業損失3億11百万円)となりました。
(経常損益)
当事業年度における営業外収益は、1億60百万円(前年同期比10.3%増)となり、営業外費用は36百万円(前年同期比1.4%減)となりました。
この結果、当事業年度における経常損益は、前事業年度に比べ2億65百万円増加し、経常利益は63百万円(前年同期は経常損失2億2百万円)となりました。
(当期純損益)
当事業年度における特別損益は、災害による保険金収入を特別利益に、災害による損失を特別損失にそれぞれ計上しましたが、これらが業績に与える影響は軽微でありました。
この結果、当期純損益は前事業年度に比べ2億74百万円増加し、当期純利益70百万円(前年同期は当期純損失2億4百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況につきまして、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社の運転資金需要の主なものは、原材料・部品等の購入費用、製造経費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等であります。
(財務政策)
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は金融機関からの短期借入を、長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。なお、運転資金として1億円、金融機関より借入金の調達を実施しました。
この結果、当事業年度末における借入金の残高は17億円となっており、現金及び現金同等物の残高は7億27百万円となっております。
当社のキャッシュ・フロー関連の指標は以下のとおりであります。
〈参考〉キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年12月期
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率
(%)
47.2
49.2
46.5
42.4
41.8
時価ベースの自己資本比率 (%)
15.7
15.7
16.5
18.7
17.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
-
5.5
-
23.8
-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
-
24.2
-
5.2
-
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(注4)キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオのうち、2018年12月期と2020年12月期及び2022年12月期については、営業キャッシュ・フローがマイナスであったため記載を省略しております。
③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。