【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大防止への取り組みやワクチン接種の普及等により行動規制も緩和され、外食事業における明るい兆しは見受けられております。しかしながら国際情勢の不安定化による原材料・エネルギー価格の高騰により、依然として先行き不透明な状況が続いております。
外食産業におきましても、同業種はもとより他業種との競争激化、原材料価格及びエネルギー価格の高騰や継続的な採用難・パートアルバイトの時給の上昇により、引き続き厳しい経営環境が続いております。
このような状況の中、当社におきましては、「一杯のラーメンをお客様に満足していただく」という創業当時からの理念にのっとり、「美味しさと快適な食の空間」の追求、「食の安心・安全」の維持向上に取組み、お客様一人一人に誠実であり続けることに、より一層邁進してまいるとともに、固定客の獲得のための接客サービスとマーケティング戦略、商品開発の強化・充実に力を注ぎ、収益構造の改善及び強固な企業体質づくりを取組んでまいりました。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高1,061百万円(前年同期は売上高978百万円)、営業損失37百万円(前年同期は営業損失29百万円)、営業外損益におきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金等9百万円及び福岡県田川郡福智町より「ほうじょう温泉ふじ湯の里」指定管理者運営費の補助金10百万円があったことから経常損失17百万円(前年同期は経常利益22百万円)となりました。また、令和4年6月に福岡県田川郡の香春本店の建物・土地を加盟店オーナーに譲渡したことに加え、令和4年9月に福岡県福岡市城南区の建物・土地を譲渡し固定資産売却益64百万円があったことから、四半期純損益につきましては、四半期純利益56百万円(前年同期は四半期純利益19百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。当社の事業につきましては、ラーメン店及びラーメン店のフランチャイズ・チェーン本部の経営を主とした「外食事業」、当社が所有する店舗用地等の不動産賃貸を主とした「不動産賃貸事業」、ラーメン等の製品を主要販売品目とした「外販事業」、衛生関連の販売等を主とした「衛生事業」、「ほうじょう温泉ふじ湯の里」の運営をしております「温泉事業」を報告セグメントとしております。
(外食事業)
当第3四半期累計期間の売上高は928百万円(前年同期比9.5%増)となり、営業利益36百万円(前年同期比33.0%減)となりました。
店舗数の増減につきましては、FC店1店舗の新規出店があったものの、直営店からFC店の業態変更1店舗、FC3店舗及び海外4店舗の閉店があったことから、前事業年度末に比べ6店舗減少し132店舗(直営店9店舗、FC店90店舗、海外33店舗)となりました。
(不動産賃貸事業)
当社が所有する店舗用地等の有効活用を目的とした賃貸事業を行っており、当第3四半期累計期間の売上高は26百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益2百万円(前年同期比28.1%減)となりました。
(外販事業)
当社は、ラーメン等の製品を主要販売品目とする外販に加え、インターネット通販サイトにおける通信販売及び一般小売先向け卸し、委託販売による小売りを行っております。
当第3四半期累計期間における外販事業の売上高は33百万円(前年同期比9.8%減)となり、営業損失8百万円(前年同期は営業損失3百万円)となりました。
(温泉事業)
当社は、令和2年6月より、福岡県田川郡福智町「ほうじょう温泉ふじ湯の里」の指定管理者となり、同施設の経営を行っております。
当第3四半期累計期間における温泉事業の売上高は67百万円(前年同期比30.0%増)となり、営業損失11百万円(前年同期は営業損失10百万円)となりました。
(衛生事業)
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、外食産業だけでなく、全ての生活・経済環境において感染症予防、対策が求められております。各業界で様々な取り組みが行われている中、当社は、「お客様の為に店舗内衛生管理において、安心、安全に食して頂ける店舗作りを提案、提供し、実行する」ことを通じて、新しい生活様式における安心と安全の価値を創造することを目的に、衛生事業を行っております。
当第3四半期累計期間における衛生事業の売上高は2百万円(前年同期比80.7%減)となり、営業損失6百万円(前年同期は営業損失15百万円)となりました。
(その他)
当社は、FC加盟店などに飲食店用の厨房設備の販売を行っております。
当第3四半期累計期間におけるその他事業の売上高は3百万円(前年同期比504.6%増)となり、営業利益0百万円(前年同期比199.9%増)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べ298百万円増加し961百万円となりました。これは主に、短期貸付金が7百万円及び未収入金が5百万円減少したものの現金及び預金が269百万円および売掛金が38百万円増加したこと等によるものであります。
一方、固定資産につきましては、前事業年度末に比べ371百万円減少し1,682百万円となりました。これは主に、建物・土地を譲渡したことから、土地が212百万円及び建物が127百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は2,643百万円となり、前事業年度末に比べ72百万円の減少となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べ106百万円増加し、705百万円となりました。
これは主に、預り金が11百万円減少したものの取引金融機関との間で、返済条件の緩和(支払い余力に応じたプロラタ返済)を締結したことから1年内返済予定の長期借入金が61百万円、買掛金が29百万円及び未払消費税等が24百万円増加したこと等によるものであります。
一方、固定負債につきましては、長期借入金の減少等により、前事業年度末に比べ241百万円減少し、486百万円となりました。
この結果、負債合計は1,192百万円となり、前事業年度末に比べ134百万円の減少となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は1,451百万円となり、前事業年度末に比べ62百万円増加いたしました。これは主に、その他有価証券評価差額金が3百万円増加及び四半期純利益が56百万円あったことによるものであります。
この結果、自己資本比率は54.6%(前事業年度末は50.9%)となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の主要事業である外食事業(外食産業)は、人口減少と少子高齢化の進行、異業種との競争激化など厳しい状況にあり、企業間競争がさらに激しくなるものと予想されます。
加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」の発令により、商業施設等の休業や外出自粛による来店客数の激減、特に、飲食店舗の休業や営業時間短縮を余儀なくされ、予測が困難な状況にあります。また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により小麦粉や原油価格等、今後も極めて厳しい状況が続くことが予測されます。
このような状況のもの、下記の施策を実施することで、借入金の圧縮、財務の健全性の向上に努め、固定客の獲得のための接客サービスとマーケティング戦略、商品開発の強化・充実に力を注ぎ、外食事業及び外販事業等における生産性向上、集客力アップ、顧客の利便性向上に注力いたします。
①外食事業及び外販事業の取組
外食事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によるダメージコントロールを今後も継続しつつ、人件費の抑制、広告媒体の最適化、不動産賃借料の減額交渉等を実施し、店舗における感染防止対策を重点的に講じ、顧客満足度の向上に努めるべく、新メニューの開発や各種キャンペーン・イベント等の施策の実施、各種営業施策を積極的に取り組んでまいります。
当事業年度におきましても、「角煮ラーメン」、「濃いラーメン」、「カレー担々麺」および「やまじろう」といった自社工場生産の利点を最大限に活用した商品開発を行っており、今後も、幅広い顧客ニーズを捉えた新商品の開発や、定番商品の付加価値向上により、商品力の強化に努めるとともに、商品コンセプトを消費者の皆様に発信するために、「山小屋ラーメン」「筑豊ホルモン鍋香春」等のブランドサイトや、「ほうじょう温泉ふじ湯の里」、ECサイト「山小屋からの贈り物」、コーポレートサイト及び専用アプリと連動させ、今後も継続して情報開示をより積極化し、PRと併せたIRへの取組を強化してまいります。
また、WITH/AFTER コロナに対応すべく、ご家庭へも当社のラーメンが味わえるよう、当社通販サイト「山小屋からの贈り物」(https://www.yamagoya-gift.com/)での焼豚入生ラーメンセットの販路拡大に加え、ストレートスープにこだわった「グルメ冷凍自動販売機」に対応するための冷凍商品の開発に取り組むことで、本社工場における食品製造メーカーとしての地位を確立してまいります。
そうすることで、緊急事態宣言等による外出自粛による店舗売上高の減収を補うことはもちろん、当社の直営店及びFC店舗が無い地域の皆様にも、「山小屋ラーメン」に触れて頂く機会にも繋がり、当社の食品製造ラインでのOEMの受注件数を増やし、さらなる事業の拡大を目指してまいります。
②借入金の圧縮及び財務の健全性の向上
現在、取引金融機関との関係性を保ちながら、引き続き、借入金の圧縮を進め令和9年3月期までに長期借入金の残高50%以下を目指し、自己資本比率と合わせ、財務の健全性を向上させてまいります。
また、それらに必要な資金については、不動産評価(資産価値)の高い物件の売却及びエクイティ等の手段を実施することで調達することを検討してまいります。
なお、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により小麦粉や原油価格等、令和4年10月以降も極めて厳しい状況が続くことが予測され、営業債務及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じることから、取引金融機関に対し四半期決算についての財務報告の実施とともに、金融支援要請及び協議を重ねた結果、令和4年10月以降の返済について返済条件の緩和(支払余力に応じたプロラタ返済)について契約を締結しております。
(4)研究開発活動
特記すべき事項はありません。