【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下コロナ感染)の感染拡大とそれに伴う2度にわたる緊急事態宣言の影響等により、非常に厳しい状況が続いています。政府の各種政策の効果やワクチン普及によるコロナ感染の収束期待から、一部の企業収益や投資活動には持ち直しの動きは見られたものの、足元では変異ウイルスの急拡大が起こりつつあり、経済活動における先行きの不透明感が再び強まっています。海外でも、いちはやくコロナ感染の拡大が収束した中国や、ワクチン接種が先行する米国などの一部では経済活動に回復の兆しが見られるものの、いまだ世界各国で拡大しているコロナ感染の影響に加え、貿易摩擦に端を発した米中対立の激化が世界経済に与える影響など、低迷するわが国の景気が更に下振れするリスクに留意していく状況にあります。またこれらの影響が、日本の産業構造全体に急速な変化を促しており、各業界・企業の対応力が問われています。 このような情勢のもと、当社グループは、競争力のある事業基盤を形成し、全てのステークホルダーへの貢献を継続して達成することを目標とする中期経営計画「New Sakurajima for 2022」(2020年度~2022年度)に基づき、中長期的な視点に立った各種施策の検討を進めてまいりました。同計画の実現に向け、引続き人材育成に注力しつつ、「機動的な設備投資推進による既存事業の更なる展開」、「産業構造の変化に対応した新規ビジネスの発掘」、「地場産業と一体となる連携事業の育成」などの戦略に取り組んでまいります。 上記の事業活動を踏まえ、当連結会計年度の売上高は、4,507百万円となり、前連結会計年度に比べ120百万円、2.6%の減収となりました。 売上原価は、売上の減少に伴い荷役関係諸払費が減少したものの、食材流通加工施設増設投資に係る減価償却相当費用の発生や経営計画に基づく中核設備の整備に努めたことによる修繕維持費の増加等により、前連結会計年度とほぼ同額の3,957百万円となりました。また、販売費及び一般管理費につきましては、人材投資に伴う人件費の増加により、458百万円となり、前連結会計年度に比べ微増となりました。 以上により、当連結会計年度の営業利益は91百万円となり、前連結会計年度に比べ133百万円、59.2%の減益となりました。経常利益は、受取配当金などの営業外収益を得たことなどから171百万円となり、前連結会計年度に比べ110百万円、39.1%の減益となりました。 また、特別利益として、2018年9月の台風被害に係る損害保険金などからなる62百万円を、特別損失として、固定資産除売却損の14百万円を計上いたしました。 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、189百万円となり、前連結会計年度に比べ44百万円、19.2%の減益となりました。
セグメントごとの営業成績は、次のとおりであります。
(ばら貨物セグメント)大型クレーンを使用する荷役業務は、イルメナイトやコークスなどの主力貨物の取扱数量が減少したことなどにより、総荷役数量は318万トンと、前連結会計年度に比べ6.3%の減少となり、荷役業務の売上高は900百万円となり、前連結会計年度と比べ9.2%の減収となりました。 海上運送業務につきましては、上記を受け603百万円と、前連結会計年度と比べ3.5%の減収となりました。 保管業務につきましては、倉庫保管業務は増収となりましたが、野積保管業務については、石炭の在庫回転期間が短くなったことや一部貨物の取扱数量が減少したことなどにより、売上高は322百万円と、前連結会計年度に比べ4.7%の減収となりました。 その他業務につきましては、子会社の陸上運送が景気後退の影響を受け不調だったことに加え荷役作業に付随する雑作業などが減少したことから、売上高は589百万円と、前連結会計年度に比べ13.4%の減収となりました。 以上により、ばら貨物セグメントの売上高は2,416百万円となり、前連結会計年度に比べ220百万円、8.4%の減収となりました。ばら貨物セグメントの営業利益は13百万円となり、前連結会計年度に比べ101百万円、88.6%の減益となりました。
(液体貨物セグメント)石油類につきましては、アスファルトの荷動きは前連結会計年度に比べ低調でしたが、白油系の荷動きが好調であったことから、石油類全体の取扱数量は増加しました。また、年度に亘り安定したタンク運営を継続できたことから、比較的高稼働率を維持しました。この結果、売上高は718百万円となり、前連結会計年度に比べ39百万円、5.8%の増収となりました。 化学品類につきましては、前連結会計年度に誘致した新規貨物のタンクが稼働したことが貢献し、売上高は323百万円と、前連結会計年度に比べ12百万円、4.2%の増収となりました。 以上により、液体貨物セグメントの売上高は1,042百万円となり、前連結会計年度に比べ52百万円、5.3%の増収となりました。液体貨物セグメントの営業利益は、設備の修繕を積極的に実施したため309百万円となり、前連結会計年度に比べ14百万円、4.4%の減益となりました。
(物流倉庫セグメント)化学品センターにつきましては、順調に稼働したことから、売上高は100百万円となり、前連結会計年度並みとなりました。 低温倉庫につきましては、荷役・保管部門の売上げが減少したことから、売上高は580百万円となり、前連結会計年度に比べ14百万円、2.4%の減収となりました。 冷蔵倉庫につきましては、コロナ感染症の影響で水産品を中心に取扱数量が減少したことにより、売上高は169百万円となり、前連結会計年度に比べ8百万円、4.9%の減収となりました。 また、テーマパークのセントラルキッチンを担う食材流通加工施設につきましては、新しく増設した施設が2020年1月より稼働したことから、売上高は176百万円となり、前連結会計年度に比べ70百万円、66.7%の増収となりました。 以上により、物流倉庫セグメントの売上高は1,027百万円となり、前連結会計年度に比べ47百万円、4.8%の増収となりました。物流倉庫セグメントの営業利益は人件費や修繕費が増えたこともあり80百万円と、前連結会計年度に比べ2百万円、2.9%の減益となりました。
(その他セグメント)売電事業によるその他セグメントの売上高は20百万円となり、前連結会計年度並みとなりました。セグメントの営業利益は前連結会計年度並みの7百万円となりました。 当連結会計年度末の総資産は7,150百万円となり、前連結会計年度末に比べて673百万円増加しました。これは保有する株式の時価の上昇等により投資有価証券が増加したほか、タンク改造工事等の設備投資による有形固定資産の増加によるものです。 負債合計につきましては、外注費の減少により買掛金が減少しましたが、投資有価証券の時価の上昇により繰延税金負債が増加したことなどにより、前連結会計年度末より190百万円増加し、2,841百万円となりました。 純資産合計につきましては、その他有価証券評価差額金および利益剰余金が増加したことなどにより前連結会計年度末から483百万円増加し、4,309百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,331百万円となり、前連結会計年度末に比べて14百万円減少しました。各キャッシュ・フロー別の状況及びそれらの要因は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローでは、557百万円の資金増加(前連結会計年度は154百万円の資金減少)となりました。これは税金等調整前当期純利益を219百万円、減価償却費を267百万円計上したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローでは有価証券の償還による収入が30百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出を571百万円行ったことなどから563百万円の資金減少(前連結会計年度は343百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入金の借入れによる収入が300百万円ありましたが、長期借入金の返済による支出270百万円、配当金の支払額29百万円などにより、8百万円の資金減少(前連結会計年度は501百万円の資金増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産の実績該当事項はありません。
b.受注実績該当事項はありません。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
売上金額(千円)
対前年同期比(%)
ばら貨物
2,416,262
△8.4
液体貨物
1,042,428
5.3
物流倉庫
1,027,904
4.8
その他
20,561
1.0
合計
4,507,156
△2.6
(注) 1 セグメント間の取引はありません。2 主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は、次の通りであります。
相手先
前連結会計年度(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
電源開発株式会社
993,603
21.4
1,026,905
22.8
株式会社ロジスティクス・ネットワーク
629,060
13.6
616,818
13.7
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
品目別取扱数量
セグメントの名称
取扱品目
取扱数量(千トン)
対前年同期比(%)
荷役
海上運送
保管
荷役
海上運送
保管
ばら貨物
石炭他
3,180
873
3,345
△6.3
△1.9
△10.8
液体貨物
石油類
白油
455
–
330
35.8
–
0.0
重油
161
–
667
△4.8
–
0.1
工業用原料油
75
–
186
△10.0
–
0.0
アスファルト
49
–
30
△28.0
–
0.0
小計
741
–
1,214
12.9
–
0.0
化学品類
102
–
272
△4.3
–
4.7
液体貨物合計
843
–
1,487
10.4
–
0.9
(注) ばら貨物セグメントの保管数量の内訳は以下の通りであります。
保管数量(千トン)
対前年同期比(%)
野積保管
倉庫保管
野積保管
倉庫保管
3,067
278
△11.3
△4.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容経営成績の分析(売上高)ばら貨物セグメントでは、燃料系の貨物は比較的堅調に推移しましたが、イルメナイトやコークスなどの工業原料貨物が、新型コロナウイルス感染症の影響を受け取扱数量が減少したことにより、売上高は2,416百万円となり、前連結会計年度に比べ220百万円、8.4%の減収となりました。液体貨物セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微で、白油系の荷動きが好調であったことから、取扱数量は増加しました。また、前連結会計年度に誘致した新規貨物のタンクが稼働したことにより、タンク稼働率は、比較的高水準を維持しました。この結果、売上高は1,042百万円となり、前連結会計年度に比べ52百万円、5.3%の増収となりました。物流倉庫セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の影響で、低温倉庫、冷蔵倉庫の取扱数量が減少しましたが、食材流通加工施設において、新しく増設した施設が2020年1月より稼働したことなどにより、売上高は1,027百万円となり、前連結会計年度に比べ47百万円、4.8%の増収となりました。売電事業のその他セグメントの売上高は20百万円となり、前連結会計年度並みとなりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,507百万円となり、前連結会計年度に比べ120百万円、2.6%の減収となりました。なお、売上高の分析につきましては、「第2『事業の状況』 3『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の項目もご参照下さい。
(売上原価並びに販売費及び一般管理費)売上原価につきましては、作業外注費である荷役関係諸払費が売上の減少に伴い、前連結会計年度比108百万円減少し、2,051百万円となりました。修理維持費は前連結会計年度に比べ55百万円増の285百万円となりました。また、タンクの地盤強化やその他設備の増強投資を行ったことにより、減価償却費や諸経費は増加しました。これらの結果、売上原価は前連結会計年度と比べて10百万円増の3,957百万円となり、売上高に対する割合は87.8%(前連結会計年度は85.3%)となりました。販売費及び一般管理費は、ほぼ前連結会計年度並みの458百万円となりました。売上高に対する割合は10.2%(前連結会計年度は9.8%)となりました。以上の結果、営業利益は91百万円となり、前連結会計年度に比べ133百万円、59.2%の減益となりました。売上高に対する割合は2.0%(前連結会計年度は4.9%)となりました。
(営業外収益・費用)営業外収益は受取保険金が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ29百万円増の104百万円となりました。営業外費用については、借入金の増加に伴う支払利息が増えたことにより、前連結会計年度に比べ7百万円増の24百万円となりました。以上の結果、経常利益は171百万円となり、前連結会計年度に比べ110百万円、39.1%の減益となりました。売上高に対する割合は3.8%(前連結会計年度は6.1%)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)特別利益として、2018年9月の台風被害で前連結会計年度に受取っていなかった保険金等、62百万円を計上しました。特別損失として、固定資産除売却損14百万円を計上しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は189百万円となり、前連結会計年度に比べ44百万円、19.2%減益となりました。売上高に対する割合は4.2%(前連結会計年度は5.1%)となりました。
財政状態の分析当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2『事業の状況』 3『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の項目に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2『事業の状況』 2『事業等のリスク』」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 ばら貨物セグメントの資産は1,169百万円となり、前連結会計年度末に比べて11百万円増加しました。これは、クレーンの一部更新投資等を行ったことにより、有形固定資産が増加したことなどによるものです。液体貨物セグメントの資産は877百万円となり、前連結会計年度に比べて358百万円増加しました。これは、タンクの地盤強化等の投資を行ったことにより、有形固定資産が増加したことなどによるものです。物流倉庫セグメントの資産は、減価償却により、前連結会計年度末に比べて126百万円減少の1,355百万円となりました。セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2『事業の状況』 3『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2『事業の状況』 3『経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析』 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。当社グループの運転資金需要の主なものは、荷役関係諸払費や借地料、修理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資であります。また、株主還元については、安定的な配当を継続することを基本方針とし、経営の安定性と財務体質の維持・強化を重視する観点から、内部留保の水準と利益の見通しを考慮して実施してまいります。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。尚、手許資金の流動性を高めるために、4金融機関と総額850百万円の当座貸越枠を設定しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理) 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。(繰延税金資産) 繰延税金資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
#C9353JP #櫻島埠頭 #倉庫運輸関連セクター