【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更を受け、社会活動が回復し活発化しております。また、2026年に向けて半導体増産計画による半導体及び関連する材料・電子部品産業の工場設置及び製造設備への投資等の計画が継続しております。一方で、原材料価格の高止まり及び燃料費・人件費高騰等によるコスト増加に加え、世界各地における紛争の長期化や新たな発生等により、先行きにつきましては引き続き動向を注視する必要があります。
当社における事業環境は、各種部品の供給停滞による影響がほぼ解消し、顧客希望納期への対応は改善しております。また、海外提携会社との技術交流が回復し活発化しております。
電子工業分野では、半導体関連の製造装置メーカー、電子材料関連及び電子部品メーカーのクリーンエアーシステムの設備導入計画が活発であり、受注残は高水準で維持しております。一方、バイオロジカル分野においては、感染症研究用及び再生医療分野の細胞加工用クリーンルーム、製薬分野では工場及び研究施設への設備投資が拡大しております。
営業面におきましては、2023年1月に熊本県熊本市東区に開所した「熊本出張所」は、若干名を増員し熊本地区の営業及び物流倉庫の拠点として順調に稼働しております。さらに、2023年4月に静岡県富士市に開所した「静岡出張所」及び「静岡サービスセンター」につきましても、地元へ密着した活動を本格的に進めております。また、展示会については、第25回インターフェックス Week 東京(7月5日~7月7日、東京ビッグサイト)にて安全キャビネット等の新製品及びオールインワンクリーンルーム等を紹介しました。「第8回 オーガニックライフスタイルEXPO2023」(9月14日~9月16日、東京都立産業貿易センター)では、「DACシステム搭載型ハイブリッド空気清浄機」(株式会社レブセルとの共同開発品)を出品し、SDGs及び脱炭素の取組みを紹介しております。
当社の脱炭素社会実現への総合的な取組みにつきましては、サステナビリティ委員会にて「TCFD提言」に基づいた気候関連財務情報を2023年2月14日に開示しておりますが、今後、GHG 排出量の算定をより精緻なものとするための取組を進めており、GHG 排出量削減に関する指標と目標を設定する予定です。加えて、重要なリスクと機会に示した7つの事項についても、指標と目標の検討を進め、適宜開示する予定です。また、2023年3月30日の発行決議による従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとしての新株式の発行に伴い、6月23日に13,740株の発行を完了しております。
なお、当社は2023年8月14日に開示しました「プライム市場の上場維持基準への適合状況並びにスタンダード市場への選択申請及び適合状況のお知らせ」に記載のとおり、スタンダード市場への選択申請を同日付けで株式会社東京証券取引所へ提出しております。その理由といたしましては、プライム市場の上場維持基準を充たしていないままプライム市場への上場を維持した場合に起こりうる経過措置終了後の上場廃止リスクを回避すること及び現状の体制基盤を充実させ今後より一層の企業価値拡大を図ることが、全てのステークホルダーの皆様への還元が可能になると総合的に判断したことによるものです。この市場区分変更の決定により、2021年12月16日に提出した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」の内容を踏襲しつつ、新たな経営方針、戦略を加味した「新中期経営計画(2024年度〜2028年度)」を検討・策定しており本年中に開示する予定です。今後も高いガバナンス水準の維持や積極的な情報開示に努めるとともに、持続的な成長と企業価値の向上に取組んでまいります。
① 経営成績
製品別の販売状況は、主にバイオ分野向けの「クリーンルーム」及び「フィルターユニット」「エアーシャワー」等の半導体・電子工業分野向け製品が増加しました。また、「クリーンパーティション」「陰圧ユニット」「安全キャビネット」等の感染症対策製品が減少しました。
収益面におきましては、原価率の高い「クリーンルーム」等の販売が増加し、各種経費の増加もあり前年同期比で増収減益となりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高105億24百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益6億65百万円(同20.8%減)、経常利益9億76百万円(同14.9%減)、四半期純利益は7億1百万円(同17.0%減)となりました。
②
財政状態
当第3四半期会計期間末における総資産は197億33百万円と前事業年度末に比べ2億42百万円(1.2%)の減少となりました。
当第3四半期会計期間末における資産、負債及び純資産の状況とそれらの内訳は次のとおりであります。
(資産)
流動資産は138億56百万円であり、前事業年度末に比べ8億88百万円(6.0%)の減少となりました。主な内訳は、現金及び預金9億85百万円の減少、受取手形、売掛金及び契約資産54百万円の減少、電子記録債権74百万円の増加及び棚卸資産78百万円の増加となります。
固定資産は58億76百万円であり、前事業年度末に比べ6億46百万円(12.4%)の増加となりました。主な内訳は、土地(埼玉県草加市)2億46百万円の増加、その他有形固定資産1億71百万円の増加及び投資その他の資産2億44百万円の増加となります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債は56億74百万円であり、前事業年度末に比べ3億75百万円(6.2%)の減少となりました。
流動負債は48億51百万円であり、前事業年度末に比べ2億32百万円(4.6%)の減少となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金等の仕入債務2億11百万円の減少となります。
固定負債は8億23百万円であり、前事業年度末に比べ1億43百万円(14.8%)の減少となりました。主な内訳は、長期借入金71百万円の減少及び退職給付引当金50百万円の減少となります。
(純資産)
純資産は140億59百万円であり、前事業年度末に比べ1億32百万円(1.0%)の増加となりました。主な内訳は、譲渡制限付株式報酬としての新株式の発行による資本金、資本剰余金各7百万円の増加、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)」において、「日本エアーテック従業員持株会専用信託」が保有する当社株式34百万円の減少、配当金6億24百万円の支出による減少及び四半期純利益7億1百万円の計上による増加となります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は1億59百万円であります。なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の促進を図るため、研究所員を3名から6名に増員しております。
新製品として「清浄度モニタリング連携式風量自動制御型クリーンブース」、「新型クリーンモニター」、「新型クリーンオーブン」、「新型採痰ブース」、「オゾン消臭除菌ストッカー」及び「DACシステム搭載型ハイブリッド空気清浄機」(CO2吸着フィルター付、株式会社レブセルとの共同開発)のサンプル出荷品も上市しました。
研究においては、更なる省エネルギー化を目標とした高効率の送風機の研究及び滅菌技術を用いた製品開発等に取組んでおります。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期累計期間において、生産面におきましてはパワー半導体関連部品の供給不足による影響はほぼ解消され、幅広い製品分野において仕様及び納期等の顧客対応も改善いたしました。一方で原材料価格、燃料費の高騰及び当社を含むサプライチェーン全体における人的資本への投資による人件費増加等の要因が継続しております。その対応として販売価格改定を複数回実施しておりますが、価格転嫁時期のギャップ等の要因も加わり原価率が増加しております。引き続き、原価低減及び受注価格の向上に注力しております。
草加工場近隣に取得した土地(約1,750㎡)の活用に向け、太陽光発電設備を有するZEB_Ready仕様の3階建屋(延べ床面積2,520㎡)の設計・施工を2023年6月に契約しました。2024年末を目途として倉庫及び事務所等を建設し、竣工後は草加工場機能を一部移転することで草加工場の建替えを進め、生産能力を向上させる計画が進行しております。
半導体及び関連する材料・電子部品産業の設備投資に伴うクリーンエアーシステムの受注は堅調です。感染症対策機器の受注は昨年より既に減少に転じておりますが、一定程度の販売が継続しております。その結果、全体の受注残高は第2四半期末に比べやや増加しております。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」をご参照下さい。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
2023年3月30日開催の臨時取締役会決議に基づき、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブとしての新株式の発行による増加、並びにストック・オプションの行使による増加に伴い、当第3四半期累計期間において資本金が10百万円、資本剰余金が12百万円それぞれ増加し、当第3四半期会計期間末において資本金が21億9百万円、資本剰余金が21億58百万円となっております。