【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和等により社会経済活動に回復の動きが見受けられるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大、ウクライナ情勢による資源価格の高騰や供給面での変動に加え、急激な円安等の為替変動の懸念等により、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループに関連する事業環境におきましては、設備投資においては持ち直しの動きがみられ、公共投資は底堅い動きとなりましたが、電線事業の業界およびポリマテック事業の業界におきましては材料価格の高騰や銅価格の変動の影響を受け厳しい状況が続いております。一方で、電熱線事業は引き続き産業用ロボット向け抵抗器など抵抗器向け需要を中心に好調に推移しております。
このような状況の中、当社グループにおきましては、ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))を経営方針の中核に据え、4S(新)運動(新分野開拓・新製品創出・新顧客増強・新グローバル戦略推進)を推進し中長期的、持続的な成長を目指しております。環境面では、風水害や地震の防災・災害復旧工事、海洋汚染問題対策などを、社会面では少子高齢化問題解決に資する自動化・ロボット化や老朽化した設備のメンテナンス対応などを、ガバナンス面では経営の透明性やリスク管理の徹底などを重視した経営を行い、今後成長が見込まれる新たな分野開拓を行ってきました。また新製品創出のため大阪大学との産学連携も継続しております。
利益面におきましては、材料価格の高騰や銅価格の変動により、前年同期比で売上高は増加したものの、営業利益と経常利益に影響が出ております。また、株主提案対応費用や和解金および訴訟費用として特別損失が発生したため四半期純損失となりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は7,450百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は128百万円(前年同期比40.0%減)、経常利益は174百万円(前年同期比32.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は97百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益260百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
[電線]
電線事業の主要な市場である建設・電販は、「ウィズコロナ」が定着しつつある中で経済活動に回復傾向がみられたものの、歴史的な高インフレにより欧米など多くの国、地域では厳しい金融引き締め、ウクライナ情勢の影響等によるサプライチェーンの混乱や半導体不足、物流コスト上昇、原油価格とともに原材料が高騰、そして1990年以来32年ぶりの1ドル150円越えの円安、関連部材等の品薄状況も引き続き見られていることもあり、経済活動の停滞感が強く回復ペースが鈍化している状況でありました。
販売量におきましてはゴム電線、プラスチック電線ともに減少しましたが、国内銅価格は1,204千円/トン(期中平均)と高値で推移したことで、売上高は5,146百万円(前年同期比7.5%増)となりました。
セグメント利益におきましては、ユーティリティ等の諸費用の価格転嫁、高付加価値製品の販売強化、継続的な経費削減等に取り組みましたが、他社との競合により41百万円(前年同期比66.5%減)となりました。
今後におきましては、当事業に関連の深い公共事業においては政府が災害に備えた国土強靱化基本計画の推進により当社の強みである海洋、河川土木等で使用できる水回り商品(フロートケーブル、ED-CV等)を中心に継続した販路開拓を図ってまいります。
また、水回り商品については海洋技術連絡会が主催する 『第98回海洋技術連絡会講演会』 に登壇し、フロートケーブルやマルチケーブルなど、当社の電線技術について紹介しました。
今後も技術・営業・製造の各部門連携を強化し製品開発・新分野開拓を行い、社会に貢献できる物作りに取り組んでまいります。
[ポリマテック]
ポリマテック事業では、当事業に関連のある新設住宅着工戸数は資材価格高騰による建設コストの増加が住宅取得マインドの重しとなり前年同期比0.9%減と低調に推移しました。ただし、当面、貸家を中心にコロナ禍で先送りされてきた住宅需要が顕著化していく余地があることから底堅く推移すると期待されます。住宅関連以外では公共事業である土木関連部材では前年同期比で大幅に増加しました。公共事業は2025年度までは国土強靱化基本計画が実施されることになっており大きく減少することはないと予測されます。
売上高におきましては獲得した案件の量産スケジュールが先送りになりましたが、住宅の窓周りに使用する部材が堅調に推移し下水工事関連部材と海外向け高機能チューブの受注増加および材料値上げ分を製品価格に転嫁したことにより、1,451百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
利益面におきましては、生産性の改善、材料ロスの低減、ロス材料の再利用等に取り組みましたが、原材料および電気代を含むユーティリティーコストの値上げが重なり、セグメント利益は7百万円(前年同期比39.6%減)となりました。
今後におきましては、WEB面談を活用することにより営業部と技術課と協働で顧客との関係を強化し案件獲得に向け活動いたします。また、海外市場については国際事業部と連携しフィリピンにおいて異形押出製品の需要調査および既存顧客へのWEB面談を活用した営業活動を引き続き進めてまいります。上期の業績を牽引していました下水工事関連部材の更正管と海外向け高機能チューブは引き続き好調であると思われますが、一方原材料とエネルギー環境は依然として厳しい状況が続くと思われます。
[電熱線]
電熱線事業の経営環境は、当事業が関係する各分野において、部品不足等の問題は一部で解消されつつあるものの、自動車関連を中心に生産への影響が続いている分野もあります。また、歴史的な物価高、急速な利上げ、中国のロックダウン、資源高、円安等により世界経済の失速感や不透明感が強くなる中、供給網混乱対応として積み上げた過剰在庫を調整する動きが2022年10月以降に表面化し、受注環境は厳しいものとなりました。一方、新型コロナウイルス感染拡大前に比べ、産業用ロボット向け抵抗器など抵抗器向け受注を中心に業績のベースが底上げされた結果、売上高は852百万円(前年同期比16.5%増)となりました。スピード感のある営業対応や生産性向上など供給体制の強化を図り、納期の短縮化に取り組むことで、競合他社との差別化を進め、新規開拓やシェアアップに繋げてまいります。
利益面におきましては、受注環境が厳しい中にあって、比較的付加価値の高い鋼種や極細線製品および帯製品の受注は比較的好調に推移しました。主要原材料であるニッケル価格の高騰や諸資材の値上がりを背景に、価格転嫁するべく値上げを実施しましたが、値上げ前の駆け込み受注の影響もあり、2022年10月以降の利益率は減少傾向にて推移し、セグメント利益は80百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
今後におきましては、資源高やエネルギー代高騰などによる景気の減速懸念や製造業での過剰在庫による在庫調整など厳しい状況が予想されますが、自動車のEV化やカーボンニュートラルの進展を背景に、電気制御に必要な抵抗器や電熱機器の需要は長期的に見れば今後も拡大が続くものと思われます。拡大が見込めるマーケットでの新規開拓を進めるとともに、その為の取扱鋼種および関連部材の取扱拡大に引き続き注力するとともに品質および信頼性の向上や生産性向上と原価低減を図り、業績の向上に努めてまいります。
②財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は7,669百万円となり、前連結会計年度末と比べ795百万円増加しました。これは主に現金及び預金が467百万円、受取手形及び売掛金が202百万円、電子記録債権が68百万円、商品及び製品が55百万円増加したことによるものであります。固定資産は3,453百万円となり、前連結会計年度末に比べ91百万円減少しました。これは主に投資有価証券が59百万円、無形固定資産が25百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は11,122百万円となり、前連結会計年度末に比べ703百万円増加しました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は3,446百万円となり、前連結会計年度末に比べ618百万円増加しました。これは主に短期借入金が463百万円、支払手形及び買掛金が85百万円、電子記録債務が68百万円増加したことによるものであります。固定負債は1,636百万円となり、前連結会計年度末に比べ216百万円増加しました。これは主に長期借入金が248百万円増加しましたが、リース債務が33百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は5,083百万円となり、前連結会計年度末に比べ834百万円増加しました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は6,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ130百万円減少しました。これは主に為替換算調整勘定が18百万円、資本剰余金が10百万円増加しましたが、利益剰余金が166百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は54.3%(前連結会計年度末は59.2%)となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は2百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分
析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。