【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は345,894百万円となり、前連結会計年度末に比べ46,451百万円の増加となりました。これは主に現金及び現金同等物が減少した一方、営業債権及びその他の債権、のれんが増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、負債合計が273,974百万円となり、前連結会計年度末に比べ37,258百万円の増加となりました。これは主に営業債務及びその他の債務、社債及び借入金、リース負債が増加したこと等によるものであります。
資本につきましては、資本合計が71,920百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,193百万円の増加となりましたが、これは主に四半期利益の計上等を反映したものであります。
②経営成績
当第2四半期連結累計期間(2021年1月~6月)における事業環境は、未曾有の先行き不透明感をもたらした新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチン普及によりパンデミック収束への期待が高まっているものの、感染力の強い変異ウイルスによる感染拡大など、不透明感がなお色濃い状況であります。
国内においては、深刻な負の影響をもたらした景況感に持ち直しの基調が続くも、緊急事態宣言の再発令や延長、2月に発生した福島県沖地震、長引く半導体不足等の下押し圧力により、主要顧客である大手メーカーにおいても回復の力強さに大きなばらつきが出ております。しかしながら、ITをはじめ建設業やサービス業において、エンジニアの活用ニーズはいまだ活況であります。さらに、コロナ禍に伴い、接触削減やリモートワークを支えるシステム化需要やDX需要の高まりが顕著となったほか、会社売却や事業売却等の業界再編が製造系・IT系ともに進んでおります。
このような国内の事業環境に対して、当社グループは、かねてより業績平準化による成長基盤の強化を推進してまいりました。製造系分野においては、期間工が手掛けていた工程に長期間の派遣契約にて労働者を派遣することにより生産変動の影響低減を図っております。派遣管理のDX化を通じて生産性向上を図るHRテックサービスである派遣スタッフ管理システム「CSM(クラウド・スタッフィング・マネジメント)」の展開も本格的な拡大の兆しが見えております。地震や半導体不足が自動車業界の生産活動に一時的な影響を及ぼしましたが、自動車需要は衰えておらず振替生産が見込まれるため、今年度の期間でみれば当社グループの事業への影響は限定的であると考えます。また、外国人技能実習生等の管理受託分野においては、適切な管理実績が顧客に高く評価され、コロナ禍に伴い新規来日が困難かつ帰国便は臨時運行している状況下にあっても、6月末の管理人数は21,607名と国内で突出した首位を維持しております。管理業務受託事業の中核グループ会社では、JICAが推進する責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム「JP MIRAI」に加盟し、能力開発研修や来日前から帰国後までの横断サービス等において、国際的な連携のもと、日本での持続可能なサプライチェーンの推進にイニシアティブを発揮して取り組んでおります。技術系分野においては、人とテクノロジーを融合して効率化・省力化を実現するビジネスモデル「派遣2.0」の対象領域が拡大の一途であります。業界随一の採用を継続し、当社グループの教育機関であるKENスクールを活用して、機械設計のみならず、ITや建設、医薬分野に至るまで、多岐にわたって未経験者を教育して配属するスキームを加速させ、採用単価の上昇を抑えながら増員して業績を伸長させました。加えて、新卒採用人数も国内首位を争う規模となり、4月には連結で約3,000名の新卒者が入社しております。このほか、マクロ環境の影響を受けやすい製造分野とは異なり、景気変動の影響を受けにくい事業分野も順調に拡大しており、とりわけ米軍施設向け事業においては、建物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響をさほど受けず順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し、利益率の高い大口受注へとつなげた結果、前年同期比で大幅な増収増益となりました。
一方、海外においては、ワクチンの普及と並行してコロナ禍への対策が進んだことにより、先進各国とも経済が徐々に回復基調にありますが、変異株の急拡大も相まって不確実性がいまだ高い状況にあります。
このような海外の事業環境に対して、当社グループは、海外においても従前から業績平準化による成長基盤の強靭化を力強く推し進めてまいりました。景気変動の影響を受けにくい政府事業等の公共系アウトソーシング事業等を拡充することに加えて、リモート対応可能な技術系分野を展開するほか、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国から人材を流動化するスキームをグローバル規模で推進しております。さらに、前年度にいち早くリモート対応等の体制を整備しており、デジタル政府機能への貢献をはじめ中央・地方政府向けが成長をけん引したことに加えて、ライフラインを支えるeコマースの流通系事業も更なる発展を遂げております。また、1月にグループインしたCPLグループはアイルランド最大の人材ビジネス企業であり、IT技術者派遣のみならず、金融、製薬、ライフサイエンス、医療、ヘルスケア等の幅広い産業に専門スキル人材の派遣や人材紹介、マネージドサービス等を提供しており、厳格な再ロックダウン下でも順調な業績を継続しました。
これらの事業及び地域ポートフォリオ分散の取組が功を奏し、第2四半期として、また上半期として、売上収益及び各利益いずれも、同期間の過去最高を大きく更新しました。
なお、オランダOTTOグループの業績が計画を大きく上回って推移しており、IFRS会計処理に則りプットオプション負債の公正価値評価にて一過性の金融費用を約16億円計上しております。この一過性の金融費用は税金計算には加味されず、税引前四半期利益以下の各利益を同額押し下げる大きな影響を及ぼしました。しかしながら、買収後のOTTOグループが想定を上回って成長していることは、本質的に非常にポジティブな結果であり、中長期的な企業価値向上に資するものと考えます。税引前四半期利益以下の各利益は、この一過性の金融費用約16億円を吸収してなお大幅な増益を遂げております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上収益は264,614百万円(前年同期比53.4%増)、営業利益は10,666百万円(前年同期比226.7%増)、税引前四半期利益は9,964百万円(前年同期比408.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5,031百万円(前年同期比4,619百万円増加)となりました。
なお、当社グループは、成長の持続可能性を重視しております。SDGs経営に向けたサステナビリティ方針として、当社グループでは、世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造を事業を通して実現し、社会課題の解決と事業の成長、ステークホルダーへの貢献に、持続的に取り組んでまいります。2021年を当社グループのSDGs元年と位置付け、2月にアウトソーシンググループSDGs宣言、3月にサステナビリティ委員会を設置しました。加えて、4月には、国連グローバル・コンパクト(UNGC)への署名とともにグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンへ加盟し、UNGCの提唱する企業責任イニシアティブの4分野(人権・労働・環境・腐敗防止)10原則の遵守を支持しております。引き続き、事業活動が広く社会に還元される仕組みを追求してまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
国内技術系アウトソーシング事業、国内製造系アウトソーシング事業、国内サービス系アウトソーシング事業、海外技術系事業、海外製造系及びサービス系事業、5つの報告セグメントすべてにおいて、第2四半期として、また上半期として、売上収益及びセグメント利益ともに過去最高を塗り替える結果となりました。
(国内技術系アウトソーシング事業)
国内技術系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍の影響は限定的であり、引き続き前年同期比で大幅な増収増益となりました。4月入社の新卒2,364名の新人研修コストを吸収し高い利益成長を遂げております。採用人数については、引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用単価を抑制しながら伸ばしており、業界随一の採用力により、期末外勤社員数は、前年同期末(2020年6月末)比3,002名増の20,829名と、後発ながら業界トップに躍進しました。製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置付けているIT分野や建設、医薬分野も順調に拡大しました。
以上の結果、売上収益は57,594百万円(前年同期比14.3%増)、営業利益は2,872百万円(前年同期比12.7%増)となりました。
(国内製造系アウトソーシング事業)
国内製造系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍による低調から脱却し、前年同期比で大幅な増収増益となりました。製造派遣・請負及び期間工の有料職業紹介において地震や半導体不足の影響が生じましたが、振替生産が見込まれるため、一時的な影響であると考えます。期末外勤社員数は前年同期末比7,700名増の20,126名となりました。これは主に、自動車業界を中心とした旺盛な需要に支えられ採用を推進したためであります。
管理業務受託におきましては、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調でありますが、技能実習予定者の来日が困難な状況が継続しております。しかしながら、適切な管理実績、とりわけコンプライアンス面を引き続き高く評価され、国内で突出した首位の事業者として6月末の管理人数は21,607名となりました。
以上の結果、売上収益は47,511百万円(前年同期比56.2%増)、営業利益は3,718百万円(前年同期比35.7%増)となりました。
(国内サービス系アウトソーシング事業)
国内サービス系アウトソーシング事業におきましては、引き続き前年同期比で大幅な増収増益となりました。製造系とは異なり景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業が主力事業であり、米軍施設の建物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響もほとんどなく順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し利益率の高い大口受注へとつなげております。
以上の結果、売上収益は14,170百万円(前年同期比19.5%増)、営業利益は2,393百万円(前年同期比89.0%増)となりました。
(海外技術系事業)
海外技術系事業におきましては、前年同期比で大幅な増収増益となりました。CPL社のグループ入りによる増加のみならず、オーガニック成長としても、回復に勢いがありました。英国では、公的債権回収の受託業務が再ロックダウン下でも総じて事業を継続しております。豪州では、IT系の需要拡大に加え、インフラや建築などへの注力戦略が好調を維持しております。
以上の結果、売上収益は62,528百万円(前年同期比246.4%増)、営業利益は3,177百万円(前年同期は営業損失43百万円)となりました。
(海外製造系及びサービス系事業)
海外製造系及びサービス系事業におきましては、前年同期比で大幅な増収増益となりました。オランダの大手スーパーを中心としたインターネットショッピング関連事業が、需要拡大を受け大きく伸長したほか、英国では、給付金や税還付関連の地方自治体向けBPO事業が特需となり、公共系派遣やコンサルティングも好調であります。南米でも、インターネットショッピングの需要拡大に伴い物流向けが活況となり、小売向けの清掃業務も好調を維持しました。
前期にコロナ禍のマイナスインパクトが大きかったドイツにおいても、需要は回復基調にあります。
以上の結果、売上収益は82,783百万円(前年同期比34.2%増)、営業利益は2,754百万円(前年同期は営業損失204百万円)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、特例子会社での障がい者による事務のシェアードサービス事業及び手話教室事業等が、緊急事態宣言の再発令の影響を受けました。
以上の結果、売上収益は29百万円(前年同期比80.3%減)、営業利益は62百万円(前年同期比58.2%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33,402百万円減少し、48,318百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は4,773百万円となりました。これは、税引前四半期利益9,964百万円、減価償却費及び償却費6,609百万円、営業債権及びその他の債権の増加10,335百万円、営業債務及びその他の債務の増加5,877百万円、法人所得税等の支払5,276百万円等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は33,917百万円となりました。これは、事業の取得に伴う支出33,919百万円等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は6,230百万円となりました。これは、短期借入金の増加4,121百万円、長期借入れによる収入15,379百万円、長期借入金の返済による支出9,390百万円、社債の償還による支出6,225百万円、リース負債の返済による支出4,548百万円、非支配株主との取引による減少5,182百万円等を反映したものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、前年同期と比べ、連結子会社が増加したこと等により、販売の実績が著しく増加いたしました。
本件に関する詳細につきましては「(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、CPL RESOURCES LIMITED(2021年3月22日付でCPL RESOURCES PUBLIC LIMITED COMPANYから商号変更)を連結子会社としたことに伴い、当社グループの従業員数が増加いたしました。これにより、前連結会計年度末に比べ、海外技術系事業において12,990名増加しております。
なお、従業員数は就業人員であります。
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