【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は233,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,446百万円の減少となりました。これは主に現金及び現金同等物の減少等によるものであります。
負債につきましては、負債合計が174,449百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,144百万円の減少となりました。これは主に社債及び借入金が増加した一方、未払法人所得税等、その他の金融負債が減少したこと等によるものであります。
資本につきましては、資本合計が58,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,302百万円の減少となりましたが、これは主に期末配当金の支払い及び為替の影響等を反映したものであります。
②経営成績
当第2四半期連結累計期間における事業環境は、新型コロナウイルス感染症がパンデミックと認定されるほど急速に拡大し、未曾有の先行き不透明感に直面しております。
国内においては、主要顧客である大手メーカーにおいても減産や工場の稼働停止が日を追うごとに深刻化したのち、一部では底入れの兆しも見られますが、足もとの実体経済は依然として著しい悪化が続いております。生産活動の停滞を受け、製造派遣ニーズの鈍化が一部で生じておりますが、ITをはじめ建設業やサービス業において、エンジニアの活用ニーズはいまだ活況であり、日本人の労働人口減少に対応した外国人技能実習生の導入ニーズも堅調であります。さらに、法改正の影響に加えてコロナ禍があり、このタイミングでの会社売却や事業売却等の淘汰が製造系・技術系ともに進んでおります。
このような国内の事業環境に対して、当社グループは、製造系分野においては、長期間の派遣契約にて期間工が手掛けていた工程に労働者を派遣することにより減産の影響低減を図っておりますが、それ以上にマクロ環境の影響が大きく、成長が足踏みする結果となりました。また、外国人技能実習生等の管理受託分野においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う出入国規制により、新規の来日が困難な状況が継続しておりますが、適切な管理実績が引き続き顧客に高く評価され、6月末の管理人数も伸長しました。20,000名超をサポートする国内で突出した首位の事業者として、特定技能外国人の管理受託も引き続き増加しております。
技術系分野においては、当社グループの教育機関であるKENスクールを活用して、機械設計のみならず、ITや建設、医薬分野に至るまで、多岐にわたって未経験者を教育して配属するスキームにより、1人当たり採用コストの上昇を抑えながら業績を伸長させました。加えて、新卒者の採用数も国内でも指折りの規模となり、4月には連結で約2,500名の新卒者が入社しております。新卒者は予定どおり入社しており、研修もリモートで実施いたしましたが、一部の配属先では顧客側の在宅勤務に伴う職場見学の後倒しなどがあり、配属まで例年より時間を要しました。ただし、足もとではおおむね配属完了しており、下期には大きく利益貢献していく見通しです。このほか、マクロ環境の影響を受けやすい製造分野とは異なり、景気変動の影響を受けにくい事業分野も順調に拡大しており、業績の平準化を図る体制強化もより一層進展しました。とりわけ米軍施設向け事業においては、建設物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響をさほど受けず順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し、利益率の高い大口受注へと繋げました。その結果、前年同期比でも大幅な増収となりました。
一方、海外の事業環境は、米中貿易摩擦の激化への警戒感が解けぬうちに新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われ、在外子会社を有する各国においても厳格なロックダウン(都市封鎖)や外出規制等が発令されるなど、世界経済は日本国内以上に深刻な景気低迷に陥っております。
このような海外の事業環境に対して、当社グループは、かねてより業績平準化を掲げ、景気変動の影響を受けにくい政府事業等の公共系アウトソーシング事業等を拡充することに加えて、海外においても技術系分野を展開するほか、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国から人材を流動化するスキームをグローバル規模で推進しております。製造業よりも景況感が変動しにくい非製造業にも、急激な景況感悪化をもたらしたコロナ禍においても、好機をとらえ、オランダを中心としたライフラインを担う大手スーパーEコマースの倉庫業務、英国を中心とした給付金や税還付関連の地方自治体向けBPO事業、南米では、医療施設向けの消毒業務や小売向けの清掃業務などを伸長することにより、海外の業績予想(2020年5月14日公表)を上回る結果となりました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上収益は172,540百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益は3,315百万円(前年同期比40.1%減)、税引前四半期利益は2,012百万円(前年同期比40.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は452百万円(前年同期比67.1%減)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(国内技術系アウトソーシング事業)
国内技術系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍の影響は限定的であり、前年同期比で増収増益となりました。採用人数については、引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用コストを抑制しながら伸ばしております。また輸送用機器メーカーをはじめとする製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置づけているIT分野や建設分野も順調に業容拡大しました。緊急事態宣言の発令に伴う一部顧客の稼働停止により技術者の休業待機が増加したことや、新卒者の配属の遅れ、更には残業時間の減少傾向が続いたことなどが売上を抑制する要因となりましたが、在宅勤務推進により大幅なコストダウンに取り組んだことや、雇用調整助成金の支給、更には顧客から一部休業補償が得られたことにより、利益面への影響は一定程度緩和されました。
以上の結果、売上収益は50,396百万円(前年同期比17.7%増)、営業利益は2,551百万円(前年同期比7.4%増)となりました。
(国内製造系アウトソーシング事業)
国内製造系アウトソーシング事業におきましては、製造業の深刻な景気後退の影響を大きく受け、製造派遣・請負及び期間工の有料職業紹介ともに低調でありました。
管理業務受託におきましては、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調でありますが、出入国規制により技能実習予定者の来日が困難な状況が継続しております。しかしながら、コンプライアンスに則った適切な管理実績は引き続き高く評価されており、国内で突出した首位の事業者として6月末の管理人数は引き続き20,000名を超えました。
以上の結果、売上収益は30,408百万円(前年同期比14.4%減)、営業利益は2,739百万円(前年同期比8.9%減)となりました。
(国内サービス系アウトソーシング事業)
国内サービス系アウトソーシング事業におきましては、製造系とは異なり景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業が主力事業であり、米軍施設の建設物や設備の改修・保全業務がコロナ禍の影響もほとんどなく順調に伸長しました。米軍工事の入札には、同額のボンド(履行保証保険)が義務付けられることが通例であり、当社の信用力を活かしてボンド枠を拡張し利益率の高い大口受注へと繋げた結果、前年同期比で大幅な増収増益となりました。
以上の結果、売上収益は11,854百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は1,266百万円(前年同期比21.5%増)となりました。
(海外技術系事業)
海外技術系事業におきましては、コロナ禍の影響を受け前年同期比で減収減益となりました。英国での公的債権回収の受託業務では、政府や自治体から回収停止要請が入るとともに、外出規制により債務者の自宅への訪問が困難となりましたが、その他の公共系事業は、政府の機能維持のためおおむねリモートで対応できております。また、豪州及びシンガポールでのエンジニアトレーニング事業では、感染防止やソーシャルディスタンス確保のため集合研修キャンセルが生じましたが、オンライン研修への切り替えが一部で進捗しました。
以上の結果、売上収益は18,053百万円(前年同期比17.7%減)、営業損失は4百万円(前年同期は営業利益1,117百万円)となりました。
(海外製造系及びサービス系事業)
海外製造系及びサービス系事業におきましては、コロナ禍の影響を受けネガティブインパクトとポジティブインパクト双方が発生し、前年同期比では減収減益となりましたが、業績予想を上回る結果となりました。ドイツ及び一部東南アジアの製造系においては生産活動が停滞し、サービス系においては人々の移動制限がマイナス要因となった一方で、オランダの大手スーパーを中心としたインターネットショッピング関連事業が、外出禁止による需要拡大で大きく伸長したほか、英国を中心とした給付金や税還付関連の地方自治体向けBPO事業も特需となり、南米では、医療施設向けの消毒業務や小売向けの清掃業務などが好調でありました。人材不足の国に対して人材の余剰感のある国からスタッフを送る人材流動化スキームもグローバル規模で推進しております。
以上の結果、売上収益は61,680百万円(前年同期比7.7%減)、営業損失は196百万円(前年同期は営業利益1,309百万円)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、特例子会社での障がい者による事務のシェアードサービス事業及び手話教室事業等が堅調に推移しました。
以上の結果、売上収益は149百万円(前年同期比53.3%減)、営業利益は150百万円(前年同期比226.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5,228百万円減少し、35,018百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は6,240百万円となりました。これは、税引前四半期利益2,012百万円、減価償却費及び償却費5,877百万円、金融費用1,861百万円及び法人所得税等の支払4,325百万円等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は5,074百万円となりました。これは、事業の取得に伴う支出2,255百万円、敷金及び保証金の差入による支出400百万円等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は5,843百万円となりました。これは、短期借入金の増加9,892百万円、長期借入金の返済による支出6,306百万円、リース負債の返済による支出3,759百万円、配当金の支払額3,019百万円等を反映したものであります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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