【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は417,530百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,875百万円の増加となりました。これは主に現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、使用権資産、のれんが増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、負債合計が335,742百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,306百万円の増加となりました。これは主に社債及び借入金が増加したこと等によるものであります。
資本につきましては、資本合計が81,788百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,569百万円の増加となりましたが、これは主に配当の支払により減少した一方、四半期利益の計上及び為替の影響等により増加したものであります。
②経営成績
当第1四半期連結累計期間(2023年1月~3月)における事業環境は、年初はインフレ率が落ち着きを見せたものの、ウクライナ情勢の長期化により地政学的緊張が続くほか、インフレの高止まりや金融部門の混乱など、国際情勢に重大な影響を及ぼす事象の発生が続き、経済活動の重しとなる状況でありました。
国内においては、原燃料高の逆風のなか、新型コロナウイルスの新規感染者減少に伴う個人消費の持ち直しや水際対策緩和など政策的な追い風が見られたものの、主要顧客である大手メーカーにおいては景況感が悪化するなど不透明感がなお色濃い状況でありました。しかしながら、労働市場が逼迫し、ITに限らず幅広い業種においてエンジニアの活用ニーズはいまだ活況であります。
このような国内の事業環境に対して、当社グループは、かねてより業績平準化による成長基盤の強化を推進してまいりました。製造系分野においては、長く重石となっていた供給制限が和らぎつつありますが、完全回復には至っておりません。外国人技能実習生等の管理受託分野においては、適切な管理実績が顧客に高く評価され、3月末の管理人数は19,226名と国内首位を維持することに加えて、実習生が借金を背負って出国する債務労働問題の解消に向けた外国人労働市場全体の健全化にも取り組んでおります。技術系分野においては、高止まりするエンジニアニーズに対して、当社グループの教育機関であるKENスクールを活用し、機械設計のみならず、ITや建設、医薬分野に至るまで、多岐にわたって未経験者を教育して配属するスキームにより、採用単価の上昇を抑えながら増員して業績を伸長させました。加えて、新卒採用人数も国内首位を争う規模となり、4月には連結で約2,300名の新卒者が入社しております。これは採用力のみならず、未経験者の配属先を開拓する営業力と新人教育力、さらには派遣先との信頼関係の賜と考えます。このほか、マクロ環境の影響を受けやすい製造分野とは異なり、景気変動の影響を受けにくい事業分野も拡大を図っております。米軍施設向け事業では、建物や設備の改修・保全への需要は引き続き堅調でありましたが、調達リードタイム長期化及び資材高騰により足もとの成長は足踏みする結果になりました。
一方、海外においては、経済成長が低迷し金融リスクが高まるなかでもインフレがピークに達していないという、不確実性が依然として高い状況でありました。
このような海外の事業環境に対して、当社グループは、海外においても従前より業績平準化による成長基盤の強靭化を力強く推し進めてまいりました。景気変動の影響を受けにくい政府事業等の公共系アウトソーシング事業等を拡充することに加えて、根強い需要がある技術系分野を展開するほか、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国から人材を流動化するスキームをグローバル規模で展開しております。事業ポートフォリオ及び地域ポートフォリオ分散の取組が功を奏し、技術系のみならず製造系及びサービス系も増収増益となりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は175,471百万円(前年同期比12.9%増、第1四半期として14期連続で売上収益の過去最高を更新)、営業利益は4,884百万円(前年同期比20.0%減)、税引前四半期利益は4,309百万円(前年同期比5.6%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2,758百万円(前年同期比56.0%増)となりました。
なお、当社グループは、成長の持続可能性を重視しております。SDGs経営に向けたサステナビリティ方針として、当社グループでは、事業を通して世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造を実現し、社会課題の解決と事業の成長、ステークホルダーへの貢献に持続的に取り組み、事業活動が広く社会に還元される仕組みを追求してまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(国内技術系アウトソーシング事業)
国内技術系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍の影響は限定的であり、引き続き前年同期比で増収増益となりました。採用は、リテンションのために新卒入社を見据えながら、引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用単価の抑制を図っております。各産業で採用活動が復活して採用競争が激化するなかにあっても採用計画人数を確保し、期末外勤社員数は、前年同期末(2022年3月末)比2,694名増の24,779名と、後発ながら業界トップを保持しました。製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置付けているIT分野や建設、医薬分野も引き続き拡大しました。
以上の結果、売上収益は39,155百万円(前年同期比14.4%増)、営業利益は2,925百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
(国内製造系アウトソーシング事業)
国内製造系アウトソーシング事業におきましては、半導体不足の改善傾向に伴って自動車業界の生産調整が増産に転じており、前年同期比で増収となりました。利益面では更なる増産を見据えて外勤社員を抱え込んだためコスト増により減益となりました。期末外勤社員数は前年同期末比4,397名増の25,903名であります。管理業務受託におきましては、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調であり、適切な管理実績を引き続き高く評価され、国内首位の事業者として3月末の管理人数は19,226名となりました。
以上の結果、売上収益は30,567百万円(前年同期比13.1%増)、営業利益は935百万円(前年同期比35.4%減)となりました。
(国内サービス系アウトソーシング事業)
国内サービス系アウトソーシング事業におきましては、製造系とは異なり景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業が主力事業であります。米軍施設の建物や設備の改修・保全業務の需要は堅調であるものの、輸入建設資材の船便遅延といった調達リードタイム長期化が継続し、加えて建設資材や海上輸送費の高騰の影響により費用が増加したため、前年同期比で減収減益となりました。しかしながら受注残高を積み増しており、中長期での事業収益力は損なわれていないと考えます。
以上の結果、売上収益は7,669百万円(前年同期比8.4%減)、営業利益は475百万円(前年同期比55.2%減)となりました。
(海外技術系事業)
海外技術系事業におきましては、前年同期比で二桁増の増収増益となりました。英国では利益率の高い公的債権回収事業が回復傾向を継続した一方で、アイルランドではグローバルIT大手のレイオフ等の先行き不透明感が人材紹介事業に一部影響を及ぼしました。インフレが高止まりして費用増となりましたが、派遣事業が安定的に手堅く推移しております。
以上の結果、売上収益は40,863百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は2,007百万円(前年同期比18.3%増)となりました。
(海外製造系及びサービス系事業)
海外製造系及びサービス系事業におきましては、前年同期比で二桁増の増収増益となりました。オランダの大手スーパーを中心としたインターネットショッピング関連事業が消費マインドの冷え込みを受けて成長が足踏みする結果となりましたが、物流系への注力や派遣単価引上げなどによって影響は一定程度緩和されました。ドイツでは組織再編による体制強化に加えて航空業界向けが好調となりました。
一方、利益面では、海外技術系と同様にインフレが高止まりして費用増となりましたが、前年同期比では変異株急拡大に伴う対策費用などの一過性要因の剥落もあり、増益となりました。
以上の結果、売上収益は57,200百万円(前年同期比16.5%増)、営業利益は1,100百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
(その他の事業)
その他の事業におきましては、特例子会社での障がい者による事務のシェアードサービス事業及び手話教室事業等が、おおむね堅調に推移しました。
以上の結果、売上収益は17百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は23百万円(前年同期比78.6%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,258百万円増加し、56,581百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は3,954百万円となりました。これは、税引前四半期利益4,309百万円、減価償却費及び償却費4,463百万円、営業債権及びその他の債権の増加7,146百万円及び法人所得税等の支払額3,447百万円等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は1,172百万円となりました。これは、敷金及び保証金の差入による支出127百万円等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は7,658百万円となりました。これは、短期借入金の増加18,036百万円、長期借入金の返済による支出7,028百万円、配当金の支払額3,148百万円等を反映したものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
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